土曜日のバレンタインデーを喜んでいる人は、きっと少なくはない。もらう側にすれば、「今日は学校や会社が休みだからもらえなかった」と自分や家族に言い訳が立つ。“本命”に曜日は関係ないとの現実には、とりあえず目をつぶる。
渡す側も、余計な“義理”を配らない理由ができる。いやそれについて言えば、もらう側だって1カ月後に倍返しをしなくて済む。まあどっちもどっち。確かなのは例年より出費が減らせるということか。
できるなら、その節約分を貧困解消に回してほしい。そう願う大学生たちに出会った。彼女らは今日と明日、高松市鍛冶屋町のフリースペース「jam」でフェアトレード(公正貿易)のチョコレートを販売する。
途上国にある小規模カカオ農家の多くは、不安定な市場価格や仲買業者に翻弄(ほんろう)され、貧困にあえいでいる。児童労働の存在も指摘されている。フェアトレードのチョコは、そうした生産者を支援する。
もちろんチョコ1つで貧困が消えてなくなるわけではない。農園で働く子どもがチョコを口にできるほど豊かになるわけでもないだろうし、自己満足と見る向きもあろう。それでも現実を知る意味はある。何とかしたいと願う大学生たちの心に触れられる。
もしもその気になったなら、渡すのは月曜日でも遅くはない。男からでも女からでもいい。こんなチョコなら話が広がりやすいだろう。意外な面を発見して新たな恋が芽生える、なんてことを期待するのは個人の自由である。