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【社会】

臨時職員に閑古鳥 東海の自治体「非正規対象」募集

2009年2月14日 17時00分

派遣切りなどで失職し、ごみの分別をする市の臨時雇用者(右2人)=名古屋市熱田区で

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 仕事や住まいを失った非正規雇用者を対象に、東海地方の自治体が実施した臨時職員募集で、定員割れが続出している。低賃金で短期間なこともあるが、モノづくりの土地柄からか、製造業で派遣社員として働いた人たちには不慣れな事務作業がネックになっているようだ。仕事を探す側と自治体側との“ミスマッチ”現象は、自治体の緊急雇用対策の盲点ともいえそうだ。

 「まず時給がねえ」。名古屋市のハローワークで仕事を探す男性(55)は、自治体の臨時職員には応募していない。「一時的ならもっと時給のいい仕事はある。事務補助と言われても自信がないし…」

 東海地方で定員100人を超える臨時職員を募集したのは、愛知県(200人)と名古屋市(150人)、同県豊田市(117人)など。だが、採用は定員の2−6割にとどまる。外国語のチラシ効果があって主に外国人で募集人員の9割が埋まった同県三好町は例外的なケースだ。

 名古屋市の場合、現場業務はほぼ定員に達したが、一般事務の補助は半数近く空きがある。「パソコン必須」の業務には応募自体が少ないとも。同市勤労福祉室の石川澄男室長は「製造業経験者が多く、世代も50代が中心なので、事務作業や役所仕事を敬遠するのかも」と推察する。

 岐阜県大垣市では30人の枠に約170人が殺到。しかし、ほとんどは現場作業希望で、時給730円の事務補助の採用はわずか1人。全体の採用も大幅に定員割れし17人にとどまった。外国人の申し込みはあるが「事務はパソコンを使えて漢字なども理解できないと難しい」と担当者。日本人には「短期間の臨時雇用」「低い時給」が障害になっているとみる。

 臨時職員の賃金は、自治体ごとに時給が決まっている。名古屋市の場合、時給785円で規定通りにフルに1カ月働いて月収約12万4000円。愛知労働局が2007年度に給付した雇用保険の失業手当(月額平均12万1000円)と比べて大差がない。

 「住民票が必要」「兼業禁止」など公務員ならではの制約も足かせ。派遣切りに遭った人にはハードルが高くなりかねない。

 ただ、臨時職員として働く人からは「助かった」との声も。昨年12月に仕事を失った元派遣社員の男性(58)は今年1月下旬から名古屋市熱田区内の資源ごみ収集場で働く。いまの仕事が精神的な救いにもなったともいい、自治体の果たす役割は小さくない。

(中日新聞)

 

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