昨年10月6日、高さ1,000メートルの「ナキール・タワー」の建設計画が発表されましたが、これは工事着工前の計画段階であり、今年1月に当プロジェクトを1年間延期すると伝えられました。
日本でもたびたび建設の様子が放送されたドバイの超高層ビル「ブルジュ・ドバイ」は、昨年の9月2日に688メートルに達し、12月30日には780メートル、今年1月5日には818メートルになったと伝えられています。ブルジュ・ドバイの建設作業が遅れているのは事実ですが、これは世界金融危機によるものではなく、北京オリンピックで鉄鋼需要が逼迫し、建設に必要な資材が不足したことが主な要因です。
また、ある番組で流れた廃墟の映像について、ツアー会社勤務でドバイ在住10年以上の方は「年末の番組が紹介した廃墟は、現在ある自然の入り江を延長させて、アラビア湾に抜けさせるプロジェクトのため立ち退きになった住居などです」とコメントしています。
GCC諸国の格付は意外と高い
格付はムーディーズやS&Pなどの格付機関が行い、債券や債務の返済能力(安全性)を測る基準として利用されます。ムーディーズでは、格付評価を「Aaa」から「C」までの21段階で表し、日本は最上位のAaa、UAEは上から3番目のAA2です。日本の他にAaaに属する国は、アメリカや英国、スイス、スウェーデン、オーストラリア、シンガポールなどです。UAEと同じAa2にランク付けされているのは、イタリアや香港、カタール、クウェートなどがあります。
S&Pの格付は「AAA」から「D」までの22段階評価です。日本は上から3番目のAAであり、アブダビ(表ではUAEと表記)も日本と同じAAです。最上位のAAAは、ムーディーズと同様にアメリカや英国、スイス、スウェーデン、オーストラリア、シンガポールなどがあり、日本やアブダビと同じAAに属するのはスロベニア、チリなどがあります。参考までに、BRICs諸国の格付は、中国はA+(上から5番目)、インドはBBB-(上から10番目)、ロシアとブラジルはBBB+(上から8番目)です。
ショッピング・モールはいつも通りの賑やかさ
ある番組でショッピング・モールがガラガラに空いている映像が流れましたが、ドバイでは昼間の暑さを避けて夕方から出掛ける習慣があり、また現地に住んでいる人は仕事が終わった後に外出することが多いため、朝や昼のショッピング・モールは比較的空いています。日本でも、平日の朝や昼にデパートへ行くと人が少なく落ち着いており、休日は混雑しているのが一般的です。
世界的な不況によりイギリスやドイツからの訪問者が減少していますが、現在でも多くの人がドバイのショッピング・モールを訪れ、賑わいをみせており、観光都市としての魅力がなくなったというのは事実ではありません。STR Globalのデータによると、2008年11月のドバイのホテルの平均稼働率は84.9%(前年同月比4.9%減)であり、高い水準を維持していることが分かります。また、ホテルの料金が安くなっているため、ドバイに観光するなら、今年は良い時期であると言えるでしょう。
昨年11 月にはドバイ・モール、12月はドバイ・マリーナ・モールがオープンし、今年1月には毎年恒例のドバイ・ショッピング・フェスティバルやドバイマラソンなどビッグ・イベントが開催されました。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの侵攻・攻撃を受け、ガザへの連帯感を示すために、新年の祝賀行事に加えて、ドバイ・ショッピング・フェスティバルのオープニング・セレモニーも中止されましたが、フェスティバル自体は1月15日から2月15日まで実施されます。大々的にセールが行われるこのフェスティバルを目当てに、今回のフェスティバルでも世界各国から観光客が訪れています。
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