江戸時代農業に使用されていた「堆肥熱」と、伝統料理「ホンタク」調理

堆肥などをつくる過程で、微生物の活動によって発酵熱が生じます。

"土ぼかし"などの濃厚な肥料をつくる過程では、冬場でも５０～６０度の熱が身近な材料と簡単な道具でつくることができます。

江戸時代には実用化されていた、早春に野菜の苗を育てるのに使う"踏み込み温床"という暖房装置もあります。

（踏み込み温床）
冬の間に集めた大量の落ち葉を米ぬかなどと混ぜます。

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水をふりまきます
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地面に長方形の穴を掘ります。

枠は藁で作ります。

熱が逃げないように、半分地中に埋めた枠のなかに、水を振りまいた米ぬかや落ち葉を、入れます。

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積み上げて、足で踏んで、圧縮します。
（「足で踏み込みます」）

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中に入れる米ぬかや落ち葉の量の割合や底の微妙な形状などで育苗に適当な２０数度の熱が生じます。そこで苗を育てます。

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配合を変えれば、熱や時間を調整することができます。江戸時代は、油紙を使用、現代ではビニールで、地表を覆い温度調整を行います。
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この踏み込み温床は早春、発酵熱で苗をつくったあとは発酵がすすみじょじょに温度が下がっていきます。
年間を通し育苗の台として使えます。

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育苗中は毎日適度に水をうちますので一年間で踏み込んだ落ち葉はいい具合に腐葉土化します。それは翌年以降の苗をつくる床土の材料になります。

このように、江戸時代には、日本人は、堆肥から生じる熱を利用して、野菜作りをしていました。
"踏み込み温床"の技術を使用して、庶民が時季外れの野菜を作るので、文献上でも幕府による「過度の早だし野菜の禁止令」の記述が残っているようです。

日本人は、堆肥の微生物分解で得られた地熱を、農業に使用していました。

半島でも、堆肥を熱源利用して、食品加工に使用していたようです。

その１つがホンタクのようですね。

（以下はwikからの文章参考）
 洪濁(ホンタク、홍탁)はガンギエイ(洪魚：ホンオ、홍어)の身を発酵させたホンオフェ(홍어회)と濁酒（タクジュ、탁주)をセットにした韓国料理のひとつ。

概要
全羅南道の港町である木浦地域の郷土料理。
ホンオフェを濁酒(タクジュ)とともに食べるのでホンタクと呼ばれる。アンモニアによる刺激臭がきわめて強く涙すら流れるというホンオフェに対して、その刺激臭を回避するため、口に含んだホンオフェを濁酒（マッコリ）で流しこむ方法が取られたのが始まりといわれる。
ホンタクに加え、豚肉、キムチなどを一緒に包んで食べることをサマプ（三合、삼합）という。

なお、あくまで木浦地域の名物料理であり、韓国人でも他の地域では通常食さない。

■作り方
ホンタクは葬式などの人が集まる祭事で振舞われることが多い。
このため、ホンオフェの発酵を促進するため、堆肥を利用する仕込みが考案された。
伝統的な方法では、アンモニア臭のするエイの切り身を入れた瓶を堆肥(洪濁用は主に松葉や米糠を使う)の上に置き、堆肥の発酵熱によりエイの醗酵を進ませる。濁酒の瓶も堆肥で暖めて同時に発酵を促進させることもできたので、一石二鳥であった。

つまり、
「魚と藁屑の入った瓶」を用意

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「温かい堆肥の上に置く」

↓
「発酵を促進させる」

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「完成」

このような作り方です。
「人糞を魚に直接混ぜて発酵させる」というのは、誤解ですね。
堆肥は、熱源利用するだけのようです。

（詳細な作り方）

１瓶の底に4個程度の石を平たく敷く。
２石の上にワラや松葉を3cm 程度敷く。
３ガンギエイ表面のミクンミクンした(つるつるした)液体がたまった "コブ"を残した状態で切り、そのエイの切り身を密着させずにまばらに散らして堆肥上に配置する。(黒山島雁木エイの皮にある "コブ"には発酵バクテリアが多く、これを残すことで独特の味付けになる)
４ワラや松葉をかぶせるように 3cm 程度敷き、エイの層とワラや松葉の層を交互に積み重ねる。
５瓶口にビニールをかぶせ、輪ゴムでしっかり密閉する。
暖かい日は陰地で 2~3日位、寒い時は7日程度発酵させる。(気温や日照具合によってサックヒムゾングドを調節する)
６毎日定期的に匂いを確認し、適度に漬かった段階で取り出す。冷蔵庫で保管することで長期保存が可能になる。

http://www.hongdori.co.kr/product_70.html

■日本の堆肥熱利用例（甘酒）

日本にも堆肥の発酵熱を利用して、甘酒を作ることがあったようです。

地元の郷土料理本に掲載されていた記憶があるので今度紹介しますね。