火災のあった「トトロの住む家」=14日午後1時3分、東京都杉並区阿佐谷北5丁目、越田省吾撮影
焼失前の「トトロの住む家」=杉並区阿佐谷北5丁目、同区提供
14日午前2時20分ごろ、東京都杉並区阿佐谷北5丁目の通称「トトロの住む家」から出火、木造平屋建て約70平方メートルが全焼した。杉並署が出火原因を調べている。ファンの間では、この家は、映画「となりのトトロ」のモデルになったとされ、全国各地から訪れる人気スポットだった。
東京消防庁によると、1月3日から2月3日にかけ、周辺の公園で枯れ葉が焼けたり、ごみ集積所の掲示板が焼けたりする不審火が10件以上相次いだという。また、近くの住民によると、12日夜も近くでぼや騒ぎがあったという。同署などは一連の不審火との関連も調べる。
同庁によると、すぐ北側に住む男性(36)が焦げたようなにおいに気づき、自宅の窓を開けると、燃えていたため119番通報した。同庁は消防車16台を出動させ、消火に当たった。
「トトロの住む家」は昭和初期に造られた木造平屋建ての洋風住宅。広大な庭にモミジやキンモクセイなど数十種類の草木が植えられ、住宅街の中でもひときわ緑の多さが際だっていた。
約20年前、アニメ映画監督の宮崎駿さんが近くを通りかかった際に偶然見つけ、著書「トトロの住む家」(朝日新聞社)で紹介した。休日には家族連れがカメラで記念撮影する姿が見られた。
07年に所有者が転居して空き家となったが、地元で保存の署名活動が起き、6千人分を超える署名が集まった。これを受け、杉並区は08年6月に家の建物と周辺の駐車場などを約4億円で買い取り、公園としての整備を進めていた。