先日、くさやの干物を知人からいただきました。
食べてしまったので画像はありませんが、くさやの干物について調べていると、意外な事が判明しました。
■くさやの干物イメージ画像

なんと、くさやを漬けるときの「魚の漬け汁」を、病気の治療、、、しかも、外傷の治療薬にしていたようなのですw
先祖の行っていたこととはいえ、驚愕しましたw
だって魚の漬け汁ですよ?
なぜ、日本人は、そのような不可解な行動を行ったのでしょうか?
詳しく調べてみましたw
くさやの干物の発祥
■くさやの干物(水分の多い干物)

江戸から南へおよそ150キロに位置するのが伊豆七島だ。
七島は食塩をも造り、これを幕府へ献納した。
江戸時代の食塩は貴重で、新島に対する幕府の食塩取立ても厳しかった。
伊豆七島は、アジ・サバ・イワシ・トビウオなどの漁獲に恵まれている。
保存のため、普通は食塩で干物にして保存する。
しかし、伊豆七島は産地なのに、幕府に献納していたため塩が不足した。
伊豆地域

人々は開いた魚を桶に汲んだ海水に浸し、干物にしようとした。
食塩不足は回数で補おうとした。
だから何回も何回も桶の海水に浸しては、食塩を濃くしていった。
時間が経過し、汁に変化がおきた。
桶に魚の旨みが溶け出し、これがだいぶ濃くなった食塩水で発酵を始めたのだ。
※製造工程は現代の写真です
1新鮮な魚を用意する

2開いて水洗いした魚を汁につける

3 味が染みるまで漬ける。
商品によっては、何度も漬ける。

島人は旨そうな香りに期待をかけ作業を続ける。
4 水で洗い、余分な液を洗い落とす

5干す

島民は出来上がった物を、焼いて食べてみました。

美味い。

江戸で売れるかどうかわからないまま、とにかく送ってみた。
■くさやの干物(水分が少ない物)
叩くと、固い音がするそうです。

移送期間は、船で二日必要なので、水分を抜いて、乾燥させて送ります。
■江戸中期の魚河岸


これが大好評になり、高値で売れました。
江戸では、くさやの干物は夏の風物詩として有名な食品になり、多くの江戸庶民に愛される結果となりました。
※この干物は独特の匂いがするので、「くさいや!」といった者がいて、そのまま「くさや」という名前になったという説もある。
この発酵食塩水は島人の宝物となり、減った分だけ海水を加えて使い続けています。
現在では300年以上も同じタネ(付け汁)を使って大事にしている、業者も珍しくありません。
くさやの干物は全国的にも有名で、この写真のように、くさや作り体験なども、産地では開催されています。
■現地の体験学習
さて。
ここからが本題。
江戸時代、島人は病になると、この漬け汁を利用した。
下痢。便秘。風邪。疲労。このような症状の時は漬け汁を飲んだ。
最も効果を発揮したのが、外科治療薬としての役割だ。
この汁を傷口に塗ったものは、怪我はほとんどが治癒したらしい。

最近になって科学的に分析研究され、意外な事実が判明しました。
結論を言えば、この漬け汁は「抗生物質の宝庫」でした。
「くさや菌」「酪酸」「吉草酸」「カプロン酸」といった何十種類の発酵微生物が関与している。
漬け汁の中の微生物は「自分の子孫は残したい、しかし他の微生物は邪魔」だと、生存を妨害する物質を作り出していたのです。
力の強い微生物が残った結果、漬け汁は邪魔な微生物を殺す「抗生物質」液体となっていたのである。
人間がこの液を口に入れても、唾液や胃液に消化され全く無害。
傷口にこれを塗れば進入してきた化膿菌はたちまち、くさや菌などの餌食となり、消滅する。
今後もこのような発酵食品の中から、近代医学に役立つ物質が発見されると予想する研究者が多く、日本では、この分野への期待は大きいようです。
科学技術の無い時代。
臭い魚の漬け汁の効能を発見して、生活に役立てていた、島民達の洞察力と智恵には驚かされるばかりですねw
(東京農大の小泉教授意見参考)
くさやの焼き方。
基本的には強火で遠火で焼きます。
必ず背中の皮を下にして焼いてください。
塩の干物より水分が少ないので、焦がさないように注意が必要です。表面がうっすらと焼き色が付いたところでひっくり返して身の側に火を入れて、ほんの30秒ぐらいで仕上げます。

注意事項
この魚は発酵漬け汁に漬けているので、独特の匂いがします。
窓を開けて焼くと、ガス漏れその他の事故かと間違われて、警察などに通報される危険性がありますから、配慮してください。
アルミホイルに包んで焼いたり、密封できる魚焼き器(グリルパン)で焼くと、匂いは軽減します。
江戸都市庶民の夏の食べ物として「くさやの干物、茶漬け」が有名でした。
それもご紹介しておきます。
a 海苔。 三つ葉。 あられ。 わさび又は生姜のすり下ろし、、、、各適量
くさやの干物(焼いた物)適量を細かくしておく。
熱いお茶 適量。
ご飯、一人分
作り方
ご飯にaを乗せて、熱い茶をかけて食べる。
熱湯の茶を使うと良い。

くさやの干物は加工品がでています。
■普通のくさやの干物
真空パック

■くさやの干物ふりかけ
■くさやの干物を焼いたものの瓶詰め
■くさやの干物を焼いた物の瓶詰め
(激辛)
健康によいくさやの干物と、加工品。
スーパーやおみやげ物屋でも売られています。
皆様も、見かけたら是非お試しください。