ドイツのタルトとクーヘン。
★クーヘン
Kuchenとは、ドイツ語の「贅沢な配合の練りを焼いたもの=ケーキ」です。
ドイツ語でケーキを表す言葉には、Kuchen(クーヘン)とTorte(トルテ)があります。
■ドイツのケーキ屋

★クーヘンとトルテの関係
「贅沢な配合の練りを焼いたもの=ケーキ」を表す大きな概念としてのKuchenがあります。
卵、油脂、小麦粉、砂糖とその他の材料でできた生地を型に入れて焼き、できあがりは切り分けて食べる大きさの焼き菓子の総称として使われます。
http://images.google.co.jp/images?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GZHZ_jaJP229JP229&q=Kuchen&oe=UTF-8&um=1&sa=N&tab=wi
「Kuchen」検索結果
その中に、一段階下の概念として、「スポンジケーキのファンシーケーキ=Torte(トルテ)」と、「練りだけを焼いたケーキ=Kuchen(クーヘン)」があります。
大きな概念
(贅沢な配合の練りを焼いたもの=ケーキの意味=Kuchen)

小さな概念
(練りを焼いた菓子「Kuchen」)

(スポンジケーキのファンシーケーキ「Torte」)

★練りだけを焼いたクーヘンの特徴
生クリームなどで飾らない、「贅沢な配合の練りを焼いたもの=ケーキ」
円形の型、パウンドケーキ型、また、典型的な、天板一杯に生地を広げて焼く型などがある。
クーヘンの特徴は、生地に工夫が凝らしてあること。
様々な種類の生地に、香辛料やナッツ、フルーツ等を加えて焼き上げる。
■素朴なクーヘン


■ジャムを挟んだクーヘン

■日本で有名なバームクーヘン

■人参のクーヘン

■チョコレートをかけたクーヘン

■クッキーのような「クーヘン」

だから、クーヘンといったとき、トルテを含んでいることもあれば、練りだけを焼いたケーキだけを意味していることもあります。
「西洋では贅沢な練りを焼いた食べ物の意味=ケーキ」ですから、理にかなっています。
一般に「クーヘン」というときは、トルテも含んだ意味で使われることが多いようです。
しかし、レシピの話などになると、狭い意味でのクーヘンを指すことが多くなります。
■しかし、こんな「クーヘン」も例外的に存在します
日本人の感覚ではトルテなのですが、名前は「クーヘン」

★トルテ
ドイツ語のTorte(トルテ)は日本のケーキ屋で売られている「ケーキ」にあたります。
http://images.google.co.jp/images?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GZHZ_jaJP229JP229&q=Torte&oe=UTF-8&um=1&sa=N&tab=wi
Torte検索結果
上でも述べましたが、一般的なケーキは「Kuchen」と言います。
ドイツでの「Torte」は、フルーツやクリームで飾り付けをしたケーキを連想させるのです。
つまり、「スポンジ生地のファンシーケーキ」に該当します。
トルテの土台は、フランス式の練りと似た配合で作ります。
基本的に丸く作ります。
○を△に切り分けて食べるタイプの菓子です。
上の飾りは、多種多様。
バタークリーム、生クリーム、シュー生地、チョコレート、ジャム、果物、様々です。
また、土台も、何層かに切り分け、ジャムやクリームを挟むことがあります。


クリームは生クリームだけとは限定されていません。
一般的に、生地を作る段階より、焼き上げたあとの手間が重要になります。(ファンシーケーキの特徴ですね)
フルーツが載っただけの、クリームを含まないトルテもあるが、
こちらも台を焼き上げたあとの仕上げが重要であるという点では、クリームを使うものと同様のようです。
また、元来丸いケーキを意味したトルテですが、最近では四角いものも作られているようです。

http://www.rittergut-haus-laer.de/html/torten.html
このサイトは必見!たくさんのトルテが写真付きで載っていますw
★トルテの変化過程。
トルテのルーツは「タルト」 でした。
もともと、ビスケット生地やパイ生地を使っていたタルト。
■現代のドイツのタルト

その生地を卵を泡立てる技術を使って作るスポンジ生地に交代させ、「トルテ」という名前になりました。
つまり、丸いスポンジケーキ=トルテ
それが15から16世紀。
19世紀には完全に現在と同じトルテとして確立します。
■現代のトルテ。昔は、ボール型で作っていたので半球状態だったようです。

★現代のドイツのトルテの味
現代のトルテには甘い物と甘くない物がある。
伝統的なケーキは甘さが強いケーキ。
現代的なケーキは甘さが弱いケーキ。
19世紀後半から1970年代までトルテ(スポンジ生地のファンシーケーキ)に代表的に使用されていたクリームが「バタークリーム」
卵黄やシロップを加えて作っていました。
1980年代になり、健康志向がドイツに導入。
ダイエットブームとなり、トルテ製造にも影響を及ぼすようになります。
1980年代後半には、健康志向が浸透しました。
現代では、バタークリームで飾ったトルテは人気が無く、それ以外のトルテが人気の主流のようです。
トルテに使用するクリームが、生クリーム主流になる前から、生クリームを使用することが決まっていた菓子もあるようです。
なお、私は1990年代後半に、ドイツに行ったことがあるのですが、喫茶店には、バタークリームケーキも有りました。店によっては、半分以上がバタークリームケーキの場合もありました。
チョコレートバタークリームなどは、生チョコクリームケーキと区分できないので、困った記憶があります。
ケーキは、バタークリームも生クリームも、日本のケーキに慣れた人間にとっては、非常に甘く、大きかったことを覚えています。