日本のワサビ「HONWASABI」（３）

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日本のワサビ「HONWASABI」（１）
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日本のワサビ「HONWASABI」（２）  
http://www.enjoykorea.jp/tbbs/read.php?board_id=pfood&nid=55689&st=writer_id&sw=0020
 

■江戸時代のワサビの漬け物

わさびの葉や茎を保存食に加工するという技術は、江戸時代中期頃から向上しはじめました。
酢漬け・ぬか漬け・どぶろく漬けなど多種多様な料理が考えられました。
現在の酒粕に漬けるようになったのは、清酒が出始めてきた、江戸後期に府中（現静岡市）の味噌屋が考えたとされています。

その店は現代でも「ワサビ漬け」の老舗として、全国的に高い評価を受けています。

■田尻屋本店（創業宝暦三年　1753）

わさび漬の元祖で、創業以来240年を数える老舗。

現代の当主は八代目です。
わさび漬の起源は、おそよ240年前、徳川9代将軍家重の時代、初代田尻屋利助が考案したと伝えられています。

調べてみますと、ワサビ漬けを考案した人物や、会社の発展の様子に、面白いエピソードがありました。
そこで、今回は、ワサビについて、というよりも、ワサビに関わった製造業者のお話をします。

前述したように、現在、ワサビ漬けを考案した人物が創業した店は、２４０年の老舗となり、全国的に非常に有名になっております。

では、なぜ、この店が発展することが出来たのか？
それは、代々の当主が努力したからです。

その足跡を店の歴史と共に紹介していこうと思います。

元祖、「ワサビ漬け屋」の「田尻屋」はどうやって成功したのでしょうか？

まずは、商品の説明。

■田尻屋のワサビ漬けの特徴

田尻屋の販売する商品は一種類。

「ワサビ漬け」だけです。

今も地元農家で栽培されるわさびだけを使用し、昔と変わらぬ製法で手作りしています。
ワサビ漬は酒粕を熟成させるところから開始します。

■酒粕（イメージ図）

酒粕は半年以上、樽で寝かせます。

真っ白だった酒粕がクリーム色に変わってきたらわさびを混ぜる時期です。

選別されたわさびの茎と根はよく洗い、薄い塩水に一晩漬けて浅い塩漬けにします。
水気を切ってから熟成させた酒粕、塩、砂糖などと共に練り合わせます。
 

出来立て茎や根の色の緑色が鮮やかでいかにもおいしそうですが、実際の食べごろは２、３日経過してからです。
その方がわさびと酒粕がよく馴染み、辛さも若干和らぎます。
辛いのが好き、独特の刺激、香りが強いのを好む人は作りたてでも美味だそうです。

■田尻屋　ワサビ漬け完成図

２４０年以上、継続してのれんを守ってきた老舗、「田尻屋」。
日本の美食家に愛され続けた逸品です

皆さんも、機会があれば是非召し上がってみてくださいね。

さて、商品の説明は、ここまでです。

店の歴史の紹介をします。

田尻屋本店（創業宝暦三年　1753）はわさび漬の元祖で、創業以来240年を数える老舗です。
わさび漬の起源は、おそよ240年前、徳川9代将軍家重の時代、初代田尻屋利助が考案したと伝えられています。

初代

利助は、味噌屋に勤めていた人物です。

後に、独立して、自分で味噌屋を開業しました。

これ以降、数世代、田尻屋の当主は「利助」の名前を受け継いだようです。

・味噌屋の利助が、ワサビ漬け屋になったきっかけ

味噌屋の商用で、安倍川上流の山奥にある有東木村へ出かけたことが、わさび漬け発明のきっかけとなりました。

有東村は元来、ワサビが大量に自生するワサビの名産地でした。

■有東木村のワサビが大量に自生していた場所には記念碑が建てられている。

「ワサビ栽培発祥の地」という字が彫られている。

利助が訪ねた先の農家で、わさびの茎や葉をぬか味噌にしたものがお茶請けとして出されました。

独特の風味と辛さが美味な食べ物でした。

利助はワサビの茎や葉をもっと美味しく加工できないかと考えました。

味噌漬け・酒粕漬け・塩漬けなどを研究した結果、甘い酒粕が一番味がよいと判断したようです。
利助は味噌屋ではなく、元祖わさび漬屋としての「田尻屋」を創業します。
開業は宝暦３年（1753）でした。
その後の「田尻屋」は跡継ぎに経営が引き継がれて活動を続けます。

■現在のワサビ畑

★商売の工夫１
■お客さんに喜んで貰えるような、画期的で味の良い商品を作る■

（１）新商品を発明する。
他社と似たような商品を作っても、意味がありません。

珍しくないものは売れません。
江戸時代にはワサビを栽培している地元の人しか食べなかった山葵の葉と茎を加工する。
初代はまず、ここに着目したようです。

（２）商品開発をする。
珍しい商品であっても、味が良くなければ売れません。
味噌漬け・酒粕漬け・塩漬け、、、代表的な調味料で加工して味を比べます。
当時はぬか漬けやどぶろく漬けもあったようですから、それも試したかもしれません。
また、調味料でも、味は様々です。
初代製造者は、甘い酒粕が一番適していると判断しました。

★江戸時代の酒粕について
・清酒について
１６世紀には、奈良で大量生産の先がけとなる十石入り仕込み桶が製造され、かめや壺で少量ずつ仕込んでいたころよりも、 生産量が飛躍的に増大し、まさに近代清酒工業の基盤が確率しました。

江戸時代１７世紀前半、冬期における「寒づくり」が最も優れていることが明らかになります。冬期は農民が暇なので、優秀な 酒づくりの技術集団の確保がしやすい時期であること。低温、長期発酵といった醸造条件の上 から、冬期に作る方が良いこと。
これらの要素から、寒づくりが重要視されるようになりました。
また、保存性を高めるための火入れ法や、歩留りをよくすると同時に香味をととのえ火落ち 酸敗の危険を低くする柱焼酎の混和法など、当時ヨーロッパには見られない画期的な処理技術 が続々と開発されます。
江戸中期には、日本の海運や交通、問屋組織が発達することによって、酒づくりは「地方の酒」を超越します。

単なる地方名物ではなく、巨大な 装置産業へと発展していったのです。
大量生産式に変わった酒造りですが、その製造過程で生じるのが酒粕です。
ワサビの漬け物に酒粕を利用したことは、上記の事柄（酒の大量生産）と無関係ではないでしょう。

二代目
二代目の行った事業は、天然ワサビの確保、集荷。

そして、地元でのワサビ栽培への貢献でした。
創業当初はワサビ漬けには、地元である有東木の山中の沢に自生する天然わさびを使用していました。
しかし、商売に使うとなると、天然ものの確保は難しくなります。
しかし、二代目利助の頃になると、農家でワサビの栽培が行なわれるようになります。
この栽培は、二代目利助と農家の人々との協力の産物と伝えられています。
こうしてワサビの安定生産、増産が可能になりました。

■現在の山葵畑

商売の工夫２
■商品が安定して製造できるように材料を確保する■

いくら良い商品でも、安定して製造販売できないと価値は半減します。
消費者は、常時求める商品が、商店に置いてあると考えているからです。
二代目は、農家と契約して栽培して貰うことで、材料を確保しました。
地味な作業ですが、長く製造を続けるためには絶対に必要な条件です。

■有東村全景