2人のボクサー人生を左右しかねない、“ダブルブッキング”契約が判明した。
3月4日にノンタイトル戦を予定する興毅はこの日、都内の亀田ジムで会見を開き、6月初旬に首都圏で世界挑戦することが決まったことを発表した。TBSテレビ系でゴールデンタイムでの生放送も決まり、「オレより強い挑戦者がどこにおるんや! 死にもの狂いでデンカオをグチャグチャにして、2階級制覇やったるで」と豪語した。
さらに、王座奪取後の青写真まで言及。9月に初防衛戦を行い、大みそかには同じ階級に君臨するWBC世界フライ級王者・内藤大助(34)=宮田=との王座統一戦か、1階級上げて日本人ボクサー初となる3階級制覇まで口にした。
07年10月に次男・大毅(20)=亀田=が内藤に挑戦し、悪質な反則行為を繰り返し、社会問題に発展。その余波と、08年8月に協栄ジムから移籍し、亀田ジムを開設したことなどが重なり、昨年の興毅は2試合しか消化できなかった。それだけに、「これからはコンスタントに試合してどんどん上にいく。やったるで〜!」。2年半ぶりの世界戦が決まり、亀田節をさく裂させた。
ところがその後、事態は急転する。元WBA世界Sウエルター級王者・輪島功一など3人の世界王者を輩出した名門三迫ジムが14日、所属する元東洋太平洋Lフライ級王者・升田が、興毅が挑むと発表した王者デンカオセーンへ挑戦する会見を設定していたことが判明。この席にはデンカオセーンも同席し、4月下旬に都内で世界戦を開催するというものだった。
この動きを聞いた、興毅の父で亀田プロモーションの史郎社長(43)は「正式な契約書もあるし、升田Vsデンカオが実現したら告訴する!」と法廷闘争も辞さない構えをみせたが、両陣営が協議。興毅が王座を奪取した場合、初防衛戦で升田と対戦することを条件に、三迫ジムは急きょ、会見を中止した。
“ダブルブッキング”の背景には、王者に付いている2人の共同マネジャーの存在がある。王者を傘下に置くプロモーター兼マネジャーのナリス・シンワンチャー氏と、王者のWBA(世界ボクシング協会)の世界戦をビジネスとするニワット氏で、亀田陣営はナリス氏と、三迫陣営はニワット氏とそれぞれ別の契約を結んでいたのだ。
関係者によると、王者本人はニワット氏とコンビを組むことを希望。亀田陣営と契約したシンワンチャー氏とは先週末に関係が切れたと訴え、所属ジムも名前も変えたいという。ナリス氏とニワット氏の軋轢が深まれば、興毅の世界戦実現への障害となるのは必至。夢の2階級制覇へ、予断は許さない。(川田尚市)