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2007/12/7 韓国忠清南道泰安郡万里浦沖タンカー衝突

海洋水産部は「7日午前7時15分ごろ、万里浦沖北西10キロの海上で、海上クレーンを積んだ艀船(動力なしで浮く船)が、停泊中の香港船籍タンカー “フーベイ・スピリット号(14万6800トン級)”と衝突、タンカー左側のオイルタンクに3個の穴が開き、1万500トンの原油が漏れ出した」と発表

忠清南道泰安郡万里浦の北西10キロの沖合に停泊していた14万6800トン級のタンカー「フーベイ・スピリット号」に、1万2000トン級のタグボートが衝突した。この事故で、タンカーの石油タンクに穴が開き、1万500トンの原油が海に流出、現在のところ幅500メートル、長さ5キロの帯状の形となり、秒速10メートルから18メートルの風に乗って南東方向に流れている。

 事故はえい航船2隻が海上クレーンを載せたはしけ船を仁川から巨済島にえい航していた際、はしけ船を固定していたワイヤが切れてしまったことが原因となって起きた。このはしけ船が流され、タンカーに衝突したのだ。

 流出した原油の量は、1995年7月に全羅南道麗水市の海岸で起こった「シープリンス号」の事故で流出した5035トンの約2倍に達する。シープリンス号の事故では、麗水市から慶尚北道浦項市まで、230キロに及ぶ海岸線が流出した原油で汚染され、周辺の漁場や養殖場などへの被害額は960億ウォン(現在のレートで約116億6000万円)に達し、また原油の回収作業にも5カ月を要した。

■「シープリンス号事故」

1995年7月23日に発生した海洋汚染事故。全羅南道麗水市南面の鳶島でキプロス船籍のタンカー「シープリンス号」が座礁し、原油5035トンが流出、3826ヘクタールの養殖場に被害が出た。

 油で汚された干潟は、死の海も同然だ。油のカスが干潟の小さな穴をすべて塞いでしまい、そこに生息していた貝やゴカイ、エビ、カニなどの生物を窒息死させてしまった。干潟は海の生物にとって重要な役割を担っている。干潟が汚染されれば、魚が餌を得たり、卵を産んだりする場所が失われてしまうのだ。また干潟に立ち寄る渡り鳥にも大きな悪影響を及ぼす。

シープリンス号の事故では、発生から10年後の2005年5月に専門家らが事故地点近くの金鰲島と小橫干島の2カ所で土壌標本採取を行って検査したところ、両方から原油成分が検出された。それだけ一度汚染された海はなかなか元にはもどらないということだ。しかも泰安のケースでは、シープリンス号の時の2倍の原油が流出した。泰安の海は、いつになったら息を吹き返すことができるのだろうか。

 韓国では1995年に起きたシープリンス号の事故を受け、エネルギー経済研究院が対策を講じるための費用を試算したが、東海(日本海)・西海・南海にそれぞれ2500億ウォン(約303億円)ずつ必要だとの結果が出たため、事実上これを放棄してしまった。

 韓国政府は1995年に起きたシープリンス号事件を契機として、1996年-2000年にかけて海洋汚染防止5カ年計画に着手し、1999年には原油流出による海洋汚染を防止するための国際条約に加入した。2000年1月には国家防除緊急計画(NCP)が始まり、海上警察隊を中心とした汚染防除指揮態勢が整備され、石油会社が出資する防除専門会社も設立された。また200億ウォン(約24億円)近い資金を投入して、4隻の大型防除船を導入した。そして政府はシープリンス号事件当時1300トンに過ぎなかった防除能力を1万6000トンに引き上げたと発表していた。だが今回の泰安沖タンカー衝突事故は、政府のこれまでの取り組みが予算を浪費しただけで、何の実効性もなかったことを示す形となった。事故発生から二日目の今月8日から11日までの四日間に、毎日ほぼ100隻の防除船が動員され、延べ3万1800人もの人々が参加して防除作業に加わったが、回収された油の量は909キロリットルに過ぎなかった。これは流出した1万500キロリットルの10分の1にしかならない。

12/10時点で、汚染地域が事故現場から北東に20キロ余り離れた加露林湾の入口まで広がったほか、薄い油膜は南東に50キロ余り離れた安眠島西方沖まで拡大し、海岸線の汚染地域は前日の150キロから167キロに増えた。特に忠清南道地域で最大の養殖漁場である瑞山市加露林湾と養殖場が集中している泰安郡安眠邑でも油の帯が確認され、緊張が高まっている。幸い加露林湾内部では、オイルフェンスを越えた油が集中的な除去作業でほぼ取り除かれた。

 忠清南道泰安沖の原油流出被害を受けた現場が衛星カメラにとらえられた。事故発生から5日目の韓国時間11日午前10時40分、欧州宇宙機関(ESA)の衛星エンビサットが撮影したこの写真を見ると、黒い油が海を覆っている様子が分かる。水の上にインクがみるみる広がっていくように、黒い油は海を覆う。/写真提供=欧州宇宙機関

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2012年博覧会のテーマが海洋汚染だから、ちょうどいいテーマかもしれませんが

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