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県南・県北の自治体 地域医療に財政支援 栃木
県南や県北の自治体が平成21年度当初予算案で、公的医療機関に対する財政支援を相次いで打ち出している。世界的な金融不況の余波を受けての緊縮財政の中、基金を取り崩してやりくりしただけでなく、県境を越えて自治体に支援を求めるケースもあった。背景には、採算の合わない地域の救急医療の現状がある。
県南唯一の救命救急センターがあり、地域医療の核となっている足利赤十字病院。足利市では、施設の老朽化に伴い、競馬場跡地に建設される同病院建設費の補助金として、平成21、22年度の2カ年で総額11億円を交付する方針を決めた。さらに、佐野市、群馬県館林、太田、桐生、みどり市に対し、同病院への財政支援を打診しており、18日に開かれる両毛市長会で協議する意向だ。
足利市によると、同病院の利用者が足利市内で約7割、残り3割は両毛地区の自治体で、応分の負担を求めたい考えだ。両毛地区の医療機関では医師不足により救急医療体制の維持に苦慮しており、足利赤十字病院への期待は大きい。
また、JA厚生連が運営を断念した塩谷総合病院(矢板市)の譲渡先となる国際医療福祉大(大田原市)への補助費として、矢板市は21年度当初予算案に5億7530万円を計上した。
同病院の移譲先として名前の挙がった別の医療機関は、救急医療体制の維持ができないとして断念している。矢板、さくら、塩谷、高根沢の4市町は「地域の基幹病院で市民生活に欠かせない」として、同大に運営補助費として計8億円を支出する。
4市町の中で全体の約7割を負担する矢板市では、法人市民税の大幅な減少が見込まれるなど厳しい財政状況にあり、基金を取り崩して補助費に充てる。