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「大人のソリ」エアボード――21世紀生まれ、ブームの気配2009/02/13配信
エアボードは2001年、スイスのアウトドアメーカーが発売して以来、オーストリアやドイツなどの近隣諸国をはじめ、ヨーロッパを中心に人気が高まってきたスポーツで、スノースピードなどとも呼ばれる。 輸入元のモンベルによれば、現在、全国の20カ所足らずのスキー場で、滑走できる斜面が用意されているという。関西では滋賀県高島市のマキノスキー場でレンタルもあるというので、乗り込んで体験してみた。 出迎えてくれたのは、マキノスキー場の支配人、前川正彦さん(51)。スキーだけでなく、この時期であればスノーシューハイキング、雪のない時期にはトレッキングなどでも来場者のガイドをし、マキノ一帯の自然に精通している。 エアボードは、マリンスポーツのボディーボードに例えられることが多いようだが、そもそもボディーボードがわからないと想像もできない。要は、ビーチなどで使われる船形のフローターの雪版。 そのエアボードの上に腹ばいになって雪の斜面を滑る、というものだ。接地面にはエッジが付いており、練習すれば、右に左にとコントロールすることができる。そこが、よくあるチューブを使ったそりとの大きな違い。 * * スキー場の管理事務所で、フローターのように空気を入れて膨らませたエアボードと、防護用のヘルメットとゴーグルを手渡された。最初に連れて行かれたのは、子供たちがそりで遊ぶかなり緩やかな斜面だ。「ちょっと見ておいてくださいね」と、前川さんはやおらエアボードを抱えると、助走をつけて、いきなり斜面に飛び込んだ。体を左右にスライドさせながら滑り降りていく。 「スキーのように、エッジを利かせてコントロールするんです」と、エアボード片手に斜面を登りながら前川さんは言う。「では、どうぞ。最初は助走なしで、上に乗ってけり出してみましょうか」 両サイドのハンドルに手をかけ、上半身をエアボードの上に載せ、いざ。しかし、あまりに緩斜面のため、いまひとつスピードに乗れない。「上に行きましょか」との前川さんの声に、さらに斜度のあるエリアへ。 「ゴー!」の掛け声とともに、ああ、滑る滑る。目の前30センチで雪面が行き過ぎていく。余裕があれば、そのスリル感たるや、と言いたいところだが、余裕がないのでそれどころではない。体を右、左と動かしてみるが、簡単にはいかない。ずるずると深雪にはまり込んでは再スタート。スイスイいかないもどかしさから、やたらと体を動かすので、かなり暑い。 何度か繰り返し、ようやくコツのようなものが見えてきた。例えば、右に体重をかけるとエッジが利いて左に曲がっていく。スキーの要領に近い。フィールドが雪原で、エアボード自体もクッション性が高いので、かなりむちゃなことをしても(といっても限度はある)大丈夫のようだ。 * * 同スキー場ではエアボードを導入して5年になるが、広く認知されておらず、まだ利用者は少なめ。この日もほかには楽しむ姿はなかったが、「空気を抜けばザックにも入るので、マキノ高原だったらスノーシューで赤坂山の上まで運んで遊ぶ方もいますよ」と前川さん。なるほど、スポーツ、スポーツと考えすぎて少し構えてしまっていたが、簡潔に言えば、携行性の高い「大人が遊べるそり」なのだ。そう考えると、かなり楽しみが広がる。必ずしもスキー場のゲレンデでなくても構わないのだ。 エアボード自体は価格が3万円前後と、個人で購入するには少々値が張るが、最初はレンタルでOK。仲間同士で自分たち独自の楽しみ方を見つけてみてはどうだろう。 (ライター 加藤芳樹) 【エアボード体験情報】 ▼関西やその近隣の滑走可能エリア (注)事前に積雪情報の確認を ○マキノスキー場=滋賀県高島市(電)0740・27・0936 ※レンタル(1日2000円)あり ○尼崎市立美方高原自然の家=兵庫県香美町(電)0796・97・3600 ○スキージャム勝山=福井県勝山市(電)0779・87・6109 ○大山スキー場=鳥取県大山町(電)0859・52・2521 ▼商品の問い合わせ ○モンベルカスタマーサービス (電)0088・22・0031 (電)06・6536・5740
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