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【バンクーバーの今 冬季五輪あと1年】(下)競技場、運営…課題次々と (1/2ページ)
バンクーバーはサハリン(樺太)中部と同じ高緯度だが、暖流の影響で過ごしやすい。2月上旬の市内の平均気温は最高が7度前後、最低は1度たらずだ。市内から車で30〜40分、標高1000メートル弱のサイプレスマウンテン会場で行われるフリースタイルスキー、スノーボードでは「暖かさ」が競技に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
テスト大会として行われた先週のフリースタイルスキーのW杯。エアリアルの競技中には激しい雨が降り続くなど、悪コンディションが続いた。
スキークロス男子の滝沢宏臣(明徳寺)は「日本に似た雪質だが、軟らかくて苦労した」。女子モーグルの伊藤みき(中京大)も「時間によって雪の質が変わりやすい」と戸惑った。カナダ・フリースタイルスキー協会のケリー・コービン氏は「最新の降雪機で迅速に全体をカバーできる」と強調。約16億円を投じてスキー場の再整備がされたというが、日中の高温下での急激な雪質変化は避けられそうにない。
気候だけでなく、競技施設そのものに選手が首をひねるものもある。「プロビンス」など9日付のカナダ各紙は、「このスピードは信じられない。世界一速いよ」と驚いたボブスレーのラトビア選手の話を報じた。ウィスラーでのW杯。決勝では時速153・03キロが出て、従来の「世界最速」を約4キロも上回った。「速すぎる。カーブが曲がりにくい」と、コースのやりにくさを指摘する選手の声を載せており、改善の余地はありそうだ。
また、先週行われた五輪新種目のスキークロスでは、運営で初歩的ミスがあった。観客が待つ地点はゴール直前のわずかな滑りしか見えない。画面がないためレース内容は実況音声を聞くだけで全くわからず、順位を表示する電光掲示板もなかった。さらに濃霧も重なって、観客の中からは「何が起こっているのかまったくわからない」の声が多く聞かれた。