東近江市長選が8日、告示された。15日の投票に向け、激しい舌戦を展開している3候補の横顔を紹介する。(届け出順)【斎藤和夫】
「合併して4年たつが、まだ十分効果が出ていない。合併再スタートという気持ちで街づくりを進めたい」と立候補を決意した。
旧八日市市生まれ。大学卒業後、八日市市役所に。21年間勤め、99年に県議初当選。2期目の途中、市長選に出たが、現職の中村功一氏に小差で敗れた。
「4年間の浪人生活は長かった。試練として受け止めた。おかげで人の情けが感じられようになった」。この間、嘉田由紀子知事の選挙を応援。自分の敗因を考え直す機会になったという。
尊敬する人は「父(4代目市長、故久兵衛氏)と(元大蔵大臣)武村正義さん。父から政治家としての基礎を、武村さんから財政と地方自治をたたき込んでもらった」と話す。
財政問題に自信がある。「子育て支援、教育環境整備、地域医療の確立などに努める。そのために徹底した行財政改革を進め、強いリーダーシップで希望の持てる都市づくりをしたい」と話す。
カヌーと旅行が趣味だが、「今は街づくりのことしか考えられない。政治が趣味かな」と苦笑い。妻と2人暮らし。
「地方分権一括法の施行以来、地方自治体も運営の時代から経営の時代に入った。今こそ、4年間の政治経験と二十数年間にわたる民間での経験が生かせる時代になった」と考え、立候補した。
「もうハコ物を作る時代ではない。経済環境も厳しい。行革のテンポを速め、農業をキーワードに地域の活性化を目指す」
両親から立候補を反対されたが、妻や3人の子どもたちに「もう一回(選挙を)やらせてくれ」と頭を下げ、同意を得た。
9歳から始めた柔道は3段の腕前。背負い投げが得意技で、インターハイにも出場。大学時代はレーシングカヌーに熱を上げた。今は柔道に戻り、子どもたちに教えている。
読書好き。本屋なら好きな本が読めると、25歳で始めた郊外型書店の経営で成功。今は貸しテナント業とコンビニ店を経営し、年中休みなく働いている。早寝、早起きが健康の秘訣(ひけつ)だという。
7人家族。「都会でも田舎でもない、豊かな自然が残る東近江のよさを守り続ける施策をやりたい」と「農ある街づくり」に思いをはせる。
「先に立候補を表明した2人を見て、これでは市民が求める市政はできない。今、住民は変革を求めている。その思いを受け止めて政治を変えたい」と立候補を決めた。
京都府久美浜町の生まれ。7歳の時に父を亡くし、母子家庭で育つ。父の看病をする母の姿を見て看護師に。だが、働き過ぎて10年後に首、肩、腕が痛む病気に。さらに、療養中に3歳だった長男を失う。このショックと職業病を契機に、嫌な思い出の京都を離れ、自然豊かな能登川町に移った。持ち前の正義感から35歳の若さで町議選に立候補、初当選し、7期連続で町議。合併後も東近江市議を1期。弱い立場の味方となり活躍してきた。
市長になったら「命と暮らしを守る政治をしたい。まず、国保料を一世帯1万円引き下げ、中学生までの医療費無料化を実現する」と意欲満々だ。
趣味は畑仕事とJR青春18切符を使っての旅行。夢は自給自足の生活。「一人はみんなのため、皆は一人のために」が座右の銘。人は支えあって生きているのだからと。尊敬する人も「周りの人」。娘と2人暮らし。
毎日新聞 2009年2月11日 地方版