兵庫県伊丹市で1月20日夜、交通事故で重傷を負った男性(69)が、県内や大阪府内の14病院に受け入れを断られ、事故の約3時間後に出血性ショックで死亡していたことが4日、明らかになった。
市消防本部などによると、1月20日午後10時15分ごろ、伊丹市内の県道を横断していた駐輪場誘導員の男性(69)の自転車に、市内の自営業の男性(29)が乗るバイクが衝突。2人とも全身を強く打つ大けがをした。自営業男性の方がけがが重いとみられていた。
救急車は2台出動。まず、自営業男性が、1人なら受け入れが可能とされた同県西宮市の大学病院に搬送された。誘導員の男性を担当した救急隊は、応急処置をしながら約1時間にわたり14病院に受け入れを求めたが、「満床」「専門医がいない」「他の患者を措置中で対応できない」といった理由で断られた。
結局、男性は同11時半ごろ、伊丹市内の民間病院に収容されたが、容体が悪化。その後、高度な医療のできる3次救急の2病院に転院を依頼したが断られるなどし、男性は21日午前1時10分ごろ、出血性ショックで死亡した。搬送の遅れと死亡との因果関係ははっきりしないという。【池内敬芳】
毎日新聞 2009年2月4日 大阪夕刊