民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)の見直し作業が足踏みしている。昨秋の総選挙を想定していったんは固めたが、景気の悪化や財源問題、政権構想という新たな三つの課題に直面しているからだ。政権交代が現実味を帯びてきただけに、党内には不安の声も広がり始めた。
「政権をとった後が大変だ。自民党がひどすぎるあまり民主党への期待が高くなっても、民主党になってバラ色になるわけではない」。各種世論調査で民主党優位が強まるなか、あるベテラン幹部は複雑な胸の内を打ち明けた。
最大の懸案は、深刻さを増す景気問題だ。小沢代表は10日のテレビ番組で「今年できるだけ早い機会に政権を任された場合に、来年中には回復への道を歩むようにしなければいけない」と語った。1月には地域密着型の雇用創出策として「環境のニューディール」「安心・安全のニューディール」を提唱。太陽光パネル設置補助や全小中学校・病院耐震化を柱に掲げる。
党「次の内閣」閣僚らによる「緑の成長戦略調査会」で3月中のとりまとめをめざすが、中身は詰まっていない。農林漁業や科学技術支援も加わりそうで、高速道路無料化や子ども手当創設などの既存公約と併せて実現可能性を問われかねず、幹部は「バラマキ系に進まないようタガをはめなくては」と語る。
財源をめぐる状況も変わった。昨秋作成した財源工程表では、09年度当初予算から政策実行する手順だったが、その前提は崩れた。小沢氏は政権奪取後の補正予算提出に言及し、「十分今のお金で足りている。我々の主張する政策の優先順位に従って予算をつける」と説明している。