社会保障改革推進で議論開始―政府
社会保障国民会議が昨年11月に取りまとめた最終報告の具体化につなげようと、政府は2月12日、社会保障改革推進懇談会の初会合を東京都内で開いた。国民会議の吉川洋座長(東大大学院経済学研究科教授)をはじめ、「サービス保障(医療・介護・福祉)分科会」など3つの分科会の座長らが出席。厚生労働省から「医療・介護の機能強化の主要課題」などが示された。同懇談会の座長には吉川氏が選ばれた。冒頭、あいさつした松本純官房副長官は「急速に進む少子・高齢化の下、国民の社会保障への関心は非常に高くなっている。年金、雇用、少子化対策、医療・介護の分野で、国民の信頼に足る、安定した制度にするために、国民的議論を進めていくことが大切だ」と強調した。
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厚労省は「医療・介護の機能強化の主要課題」として、(1)救急など急性期医療の強化と病床の機能分化(2)地域で暮らし続けるための在宅・施設の介護サービス基盤強化(3)医療と介護が連携したサービスを提供するための報酬体系見直し―の3点を挙げた。(1)は2013年度からの新たな都道府県医療計画への反映を、(2)は12年度からの新たな市町村介護保険事業計画への反映を目指す。また、(3)は12年度の診療報酬と介護報酬の同時改定に向け、総合的に検討していくとした。
改革を進めていく上での医療・介護の課題としては、▽医師不足問題への対応▽救急医療の確保▽介護従事者の処遇改善、介護人材の確保▽第4期介護保険事業計画期間における介護基盤の整備▽療養病床再編成の円滑な推進▽診療報酬における対応▽IT化への対応―を挙げている。
委員からは「介護報酬引き上げが、実際に(介護労働者の)収入アップに反映されているか、検証すべき」「周産期医療と救急との連携などで、都内でのたらい回しを早急に解消すべき」「厚労省は縦割りをなくして、省を挙げて(改革に)取り組むべき」「診療所の稼働率を上げることはできないか」などの意見が出た。
松本官房副長官は、「昨年末、社会保障国民会議の最終報告を踏まえ、麻生太郎首相のリーダーシップの下、持続可能な社会保障制度を実現するための中期プログラムが閣議決定され、『中福祉・中負担』を目指すための道筋が示された。社会保障の機能強化のための改革を着実に進めていかなくてはならない」と述べた。
今後、月に1回のペースで会合を開き、6月までに方向性を示す方針だ。
更新:2009/02/12 22:41 キャリアブレイン
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