頻繁利用歯止めへ/戸別訪問行い軽症者ら理解

　那覇市消防本部がまとめた二〇〇八年の救急車出動件数は、前年より三百三十二件少ない一万四千百八十件（搬送人員一万二千九百一人）で、十四年ぶりに減少に転じたことが十三日までにわかった。同市消防本部は〇五年から軽い病気やけがで一一九番を頻繁に利用する「頻回利用者」を戸別訪問し、救急車の適正利用を呼び掛ける取り組みを展開。一日六十回以上要請していた人からの電話が月数件に激減したことなどが全体の件数減につながったとしている。（座安あきの）

　同本部の取り組みは先進事例として全国の自治体や消防でも注目され、頻回利用者への「個別指導」として積極的に取り入れられているという。

　同本部救急車の〇八年の一日平均の出動件数は約三十九件。約三十七分に一回の割合で出動し、傷病者を医療機関に搬送した計算。通報から現場到着までの所要時間は平均八・一分だった。一方で、頻回利用者からの電話はなくならず、緊急性の高い患者搬送への影響が懸念されている。

　〇八年は同本部救急課職員が、月七回以上救急車を要請した三十四軒の家庭を訪問。市の厳しい救急事情を説明し、要請者の健康状態や家庭環境などの見守りを通して、市の関係課や医療機関などと連携しながら必要な支援へとつなげている。

　〇八年の傷病程度別搬送人員では、重症の割合が昨年より０・７ポイント、中等症が１・８ポイントそれぞれ増となった一方、軽症は２・４ポイント減少。同課は「軽症者に多い頻回利用者の減少がこの数字にも表れているのではないか」と分析している。

　同課によると、訪問先はアルコール依存症や精神的な疾患傾向のある人、
一人暮らしで健康に不安を抱えるお年寄りが多いという。古我知進救急課長は「救急車を呼ぶ前に同課に電話してもらったり、病院のケースワーカーにつないだり、工夫はいろいろ。コミュニケーションを図りながら状況を説明すると、ほとんどの人が理解してくれる」と直接対話の効果をアピールした。