一般・療養病床の一本化を―慢性期医療協会
日本慢性期医療協会の武久洋三会長は2月12日、東京都新宿区の同協会で記者会見し、「良質な急性期医療を提供しても、慢性期医療の質が悪ければ、患者が地域に戻ることができない」と述べ、療養病床が担う機能の重要性を指摘した上で、「一般病床と療養病床という分け方は既に形骸(けいがい)化している。一本化すべき」との考えを示した。
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武久会長は、外来の急性期患者が入院している療養病床や、慢性期の長期入院患者が交じっている一般病床がある現状を指摘。「現実には、一般病床イコール急性期、療養病床イコール慢性期ではなくなってきている」と述べた。また、「社会保障国民会議が示した医療・介護提供体制の将来像では、『一般病床』という言葉すら見当たらない」「一般病床も回復期リハも療養病床も介護療養病床も持っているような、いわゆる『ケアミックス』の民間病院が非常に増えている。病院を『一般』と『療養』に分ける時代は終わったのでは」などと指摘した。
その上で、「一般・療養病床を一本化すべき」と発言。具体的には、▽平均在院日数▽医師や看護師、薬剤師、コメディカルなど医療専門職の配置数▽病床面積―の3つの要素により、「診療報酬上の傾斜を付ける制度に改めてはどうか」と述べた。
■「良質な慢性期医療が医療費の適正化に」
武久会長は会見で、「『療養病床の削減が医療費の適正化につながる』と呪縛(じゅばく)のように唱えられているが、本当にそうか」と疑問を呈した。
武久会長は「一般病床と療養病床の診療費の差は、1日当たり3、4倍。急性期病院に入らなくていい患者が急性期病院にたくさん入院している方が、余計に医療費が掛かる。患者を早く適切に、急性期医療から慢性期医療につなげることで、セーブできる医療費は莫大(ばくだい)になる」と指摘。その上で、「良質な慢性期医療の拡充こそが、医療費の適正化につながる。慢性期医療の質を上げることが求められている」と訴えた。
更新:2009/02/13 16:49 キャリアブレイン
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