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診療所 守りたい/平戸の大島・度島

2009年02月13日

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「大島の医療を考え支える会」設立会=平戸市大島村前平

 ◆島民が組織結成

 医師がそれぞれ1人しかいない平戸市の離島、大島村(人口1453人)と度島(たくしま)町(同893人)で、島民が診療所を支える組織を相次いでつくった。時間内の受診を心がけるよう呼びかけたり、島民の要望や感謝の気持ちを医師に伝えたりする。背景には「無医地区にしたくない」という切実な願いがある。(松尾美江)

 大島村では10日夜、「大島の医療を考え支える会」の設立会があり、老人会の代表ら16人が集まった。

 岡村幸夫・大島支所区長は「24時間体制を願う気持ちはわかるが、それでは医師が来るのは難しい。地域で考えないといけない」と呼びかけた。これに対し、参加者は「夜中に具合が悪くなった時に来てくれないのか」「救急車は大げさで使いづらい」と口々に訴えた。診療所事務長が「時間外も診療している。だが、急患は診療所より新しい機材がそろった救急車を使ってほしい」と取りなした。

 市保険福祉課の永田米吉課長が「こんな風に住民と医師との思いがかみ合わず、行き違っている。この会が、両方の立場を理解して話を伝える緩衝剤になってほしい」と話すと、参加者はうなずいた。

 大島の診療所は59年に開設。これまで医師は1人か、不在の期間もあった。市保険福祉課によると、臨床研修医制度が変わり、医師が研修先を選べるようになって以来、へき地が医師を確保するのはいっそう難しくなっている。

 度島町でも1月25日に「度島の診療所を支える会」が設立された。

 同町では08年、診療所の医師が高齢で引退することになり、後任がなかなか決まらなかった。市や市議が生月病院(同市生月町)に勤務していた柴田匡之(まさ・ゆき)医師(68)に頼み込んだ。柴田医師は当初固辞したが、代診で度島を訪ねた際に、島民が昼食会を開いて懇願し、心を動かされた。08年4月から2年契約で、週末は家がある佐賀県に帰りながら、島で診療している。柴田医師は「会の発足は診療所を大事にする心意気の表現で、うれしく思った」と話す。

 会長で中部区の吉村初実区長(60)は「夜中でも、『医師は高給取りだからいいかな』と呼ぶケースがあった。よっぽどでない限り、明るいうちに診療所に行くようにしようと声をかけあった」。三免区の浜田孝信区長(61)も「島民で診療所を盛り上げて、医師に『もっといたい』と思ってもらいたい」と話す。医師との昼食会を開いたり、他の離島に視察に行ったりして、島の診療所を充実させていくつもりだ。

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