北九州市立医療センターの「名ばかり管理職」問題で同市は12日、管理職とみなして残業代を支払っていない医師がセンターの75人に加え市立3病院に50人おり、計125人に上ることを明らかにした。処遇改善策として、4月から残業代を支給し、新たな手当を創設する方針も表明。この改善策に伴う財政負担は、約8億8000万円の見込みという。
市病院局によると、125人は行政職の課長級に当たる「部長」の肩書を持ち、4病院の医師全体(200人)の6割強を占める。3病院の50人も、北九州東労働基準監督署が労働基準法に基づく是正勧告で「名ばかり管理職」であると指摘したセンターの「部長」と同様、業務に関する権限がないという。4病院全体で28人いる係長級の「副部長」の医師には昨年4月から残業代の支払いを始めたという。
是正勧告を受けて提出する予定の改善報告書は、残業代と深夜勤務の割増賃金の支払い、労使間の残業に関する協定の早期締結が柱。これまで「部長」に支給されていた管理職手当は撤廃されるが、「部長」の平均年収は1400万円から1700万円に増額となる見通しという。
会見した南本久精病院局長は「医師確保の上で処遇がネックになっていた」と述べ、「名ばかり管理職」問題を含めた市立病院の医師に対する待遇に問題があったとの認識を示した。労基法の時効は2年だが、不払い分をさかのぼって支払うことに関しては「これまで管理職の位置付けで手当を支払ってきた」とし、否定的な見方を示した。
北橋健治市長は「勧告を重く受け止め、処遇改善に最善を尽くす」と語った。
=2009/02/13付 西日本新聞朝刊=