子どもが不登校になった経験をもつ熊本市の母親2人が、不登校を克服した経験を生かし、不登校問題に関して子どもや親、教師の率直な思いを一冊の本にまとめ、自費出版した。タイトルは「届け!!文科省まで」。2人は「不登校は社会全体の問題。多くの人に現状を知ってもらい、不登校からいつでもやり直せる社会になってほしい」と話している。
出版したのは、不登校児・生徒の保護者や支援者らでつくる「登校拒否・不登校に学ぶフレンズネットワークくまもと」の石井嘉寿絵さん(55)と河野安子さん(57)。2人は「自分たちの経験から不登校問題の実態を多くの人に伝えたい」と3年前から出版準備を開始。同ネットワーク会員の保護者80人と中学3年の生徒約180人、教師5人にアンケートや聞き取りを行ってきた。
本には「何もしないで年齢を重ねてしまうのが一番つらいです」と語る不登校から抜け出せない子どもを持つ母親や「(自分で問題を抱え込まず)親や友人に何でも話してほしい」と語る不登校を克服した女子生徒、「報告文の作成で時間を取られ、生徒と向き合う暇がない」と漏らすベテラン教師など教育現場の生の声を紹介し、不登校問題の現状をあぶり出している。
2人は「教育関係者に読んでほしい」と熊本市教委を通じ、市内の全小中学校分に相当する約120冊を寄贈した。石井さんは「不登校の原因は1つではない。本を読んで子どもと親と教師がどう連携していけるかを、考えてほしい」と話している。
本はA5判、136ページ。1260円。
=2009/02/13付 西日本新聞朝刊=