事件・事故・裁判

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

中国残留孤児訴訟:最高裁が上告棄却 残留婦人ら敗訴確定 裁判長は反対意見

 永住帰国した中国残留婦人ら3人が、早期帰国や帰国後の自立支援を怠ったとして国に計6000万円の賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は12日、原告側の上告を退ける決定を出した。原告敗訴の1、2審判決が確定した。

 中国残留婦人・孤児訴訟では初の最高裁の結論。小法廷は「上告を受理すべきとは認められない」とだけ述べたが、宮川裁判長は「政府に自立支援の法的義務があったと解する余地があり、日本語習得などの支援が早期・適切に行われたか、国に違法性があるかについて議論の余地がある。上告を受理して判断を示すべきだ」と反対意見を述べた。

 原告は東京都の75~80歳の女性3人。1、2審は国が自立支援策を講じる政治的責務を負うとしたが、「政策は国の広範な裁量に任されている」と訴えを退けた。旧満州(中国東北部)に取り残された日本人のうち、国はおおむね13歳未満を残留孤児、それ以外を残留婦人等と区分、残留婦人は当初、自立支援に差が付けられた。

 残留孤児の集団訴訟は全国15地裁に起こされたが、新たな支援策を盛り込んだ改正中国残留邦人支援法の成立(07年11月)を受け、訴え取り下げなどで順次終結。3人は「司法判断を仰ぎたい」と訴訟を継続していた。

 また、東京都の中国残留孤児の男性(71)が、早期に帰国させる義務を怠ったとして国に約100万円の賠償を求めた訴訟でも、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)が12日、男性の上告を棄却する決定を出し、原告敗訴が確定した。男性は集団訴訟とは別に個人で提訴していた。【北村和巳】

毎日新聞 2009年2月13日 東京朝刊

事件・事故・裁判 アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報