新機能係数「地域病院への配慮を」
現在の調整係数に代わってDPC対象病院に適用する新たな医療機能評価係数を検討している中央社会保険医療協議会(中医協)のDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)は2月12日、長野県佐久市で地域医療を展開する佐久総合病院など2病院から意見を聴いた。同病院の西澤延宏診療部長は、地方の病院では、治療に必要なコストが高くなる高齢者の入院が都市部に比べて多い状況を指摘。地方病院に配慮した新しい機能評価係数として、患者の年齢構成を評価に反映する「高齢者診療機能」の導入を提案した。
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12月3日の中医協
ヒアリングで西澤氏は、高齢患者の特徴として、手術後に合併症を発症する可能性が高い点や、治癒までに時間がかかるため、在院日数が長引くことが多い点などを列挙。同じDPCであっても、高齢者ではコストが高くなると主張し、「高齢者診療機能」の導入による配慮を求めた。
また、地方病院について、▽地域医療を守るため、周辺の医療機関に医師を派遣していることがある ▽在宅医療に特化した診療所が周辺になければ、在宅医療にも取り組まなければならない ▽周辺に医療機関が少ないため、外来を縮小することが困難―などと指摘。全国一律で評価する現在の仕組みでは、地方のDPC対象病院が不利になるとの見解を示した。
西澤氏はその上で、地方の診療所や中小病院への医師派遣を評価する「マグネットホスピタル機能」や、在宅医療の展開を評価する「在宅診療機能」の導入を提案。さらに、急性期病院を評価する「入院時医学管理加算」については、外来診療縮小のための体制整備を算定要件から外すよう求めた。
■「チーム医療実践への評価を」
一方、群馬県伊勢崎市で脳・神経疾患を専門にしている美原記念病院の美原盤院長は、新係数に盛り込むべきものとして、▽チーム医療の実践▽急性期医療の提供体制▽アウトカムを伴う効率化▽救急医療への対応実績▽政策的医療への対応実績−に対する評価を挙げた。
チーム医療に関しては、薬剤師や管理栄養士、メディカルソーシャルワーカーなどの配置が、同病院の在院日数短縮などに大きく貢献していると指摘。しかし、現時点では、これらスタッフの配置が適切に評価されないため、経営的な観点からは不利になると述べた。
■新係数の候補選定、4月以降にずれ込みも
厚生労働省は12日のDPC評価分科会終了後、当初は年度内としていた新係数候補の取りまとめ時期について、4月以降にずれ込む可能性もあるとの見方を示した。
この日の分科会では、DPCだけでなく包括部分の見直しを求める意見もあったため、今後は中医協の基本問題小委員会と並行して議論を進める。
更新:2009/02/12 21:41 キャリアブレイン
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