岩永峯一元農水相
旧信楽町の山中にある宗教法人「神慈秀明会」の本部=08年5月、滋賀県甲賀市、本社ヘリから
小泉政権で農水相を務めた岩永峯一(みねいち)衆院議員(67)=自民、滋賀4区=側が地元の宗教法人から政治献金として計6千万円の資金提供を受けながら、政治資金収支報告書に寄付の事実を記載していなかったことがわかった。滋賀県警もこの資金提供の事実を確認している。岩永氏側は受け取りを否定しているが、宗教法人側は朝日新聞の取材に対し「政治献金だった」と認めた。献金を隠した岩永氏側には政治資金規正法違反の疑いがある。
資金提供を認めたのは、滋賀県甲賀市に本部を置く宗教法人「神慈(しんじ)秀明会」(小山弘子会長)。同会の説明によると、03年8月4日と05年9月6日にそれぞれ3千万円を渡した。同会は、岩永氏が代表を務める「自民党滋賀県第4選挙区支部」(党第4支部)への寄付として会計処理したという。1回目の献金の約3カ月後、2回目の献金の5日後にはいずれも総選挙の投開票があり、岩永氏が民主候補に競り勝った。
県警は旧信楽町(現・甲賀市)の町有地売却をめぐる汚職事件の関係先として、神慈秀明会本部を昨年5月に家宅捜索した。その際に、党第4支部名で発行された3千万円分の領収書を見つけ、同会から任意提出を受けた。
捜査関係者によると、03年分は献金翌日の8月5日に、甲賀市(当時水口町)内の地銀支店に開設された「岩永みねいち君を励ます会」(励ます会)名義の口座に3千万円の入金記録があった。05年分は献金約2カ月後の11月1日に、同県近江八幡市の同地銀支店にある党第4支部名義の口座に3千万円が入金されていたという。励ます会の当時の代表は、岩永氏の私設秘書だった長男(40)で、党第4支部の代表は岩永氏が務めていた。岩永氏側は2回とも額面3千万円の小切手で同会から献金を受けており、県警が銀行に保管されている2通の小切手を確認したところ、いずれも岩永氏側が換金したことを裏付ける裏書があったという。