「メディアの厳しい現実」に加担した者たちの激励

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2008-02-06

「メディア関係者の呟き」第2回。

今回は、メディア業界へ就職を希望している学生たちに「激励」を飛ばす、諸先輩方の厳しいお言葉。

森達也監督&下村、合同講義で学生と熱論! 放送日:2007/8/25(下村健一の眼のツケドコロ) より

■覚悟を決めて、負の自覚を失うな

メディアの問題点や限界を、学生時代に机上で深く勉強していても、理想に燃えて現場に出た後、結局は組織の論理に飲み込まれてしまう学生たちも多い。今回、武蔵大学の松本恭幸先生は、「単なる理想論だけに染まっている学生達に、メディアの厳しい現実を教えて欲しい」という趣旨で、森氏と私を講義に招いた。
我々がメディア就職希望の学生たちを相手に、本当に現場のツラい話ばかりしたので、「就職を目指すのをやめた」という学生も出てきてしまうかもしれない。そういう反応も見込んで、私と森氏は、こんな厳しめの激励メッセージで、講義を締め括った。

下村: 事件の現場で、被害者に「俺たち見世物じゃない、出てけ!」って言われて、我々は追い立てられるんです。そういう仕事、したいですか? 憧れてメディアに入って、加害者になりたいですか?
 こういう話ばっかり立て続けにすると、「この業界に就くの、やめろ」って言ってるように聞こえちゃうかもしれないけど、そうは言いません。この仕事が果たす役割、意義、喜び、楽しみ、いっぱいあります。僕だって好きだから、今でも契約の形だけど、週のうちの半分は、報道の仕事を続けてます。だから、「やめろ」って言いたいんじゃなくて、「覚悟を決めて」就職活動に臨んでくれよって言いたいんです。今言った事、全部自分の中でクリアできたら、就職活動に臨んでください。少しでもビビるんだったら、まだ時間はあるから、メディア以外の職種に切り替えて、仕事を探して下さい。


森: 皆がもし、まだメディアに意味を見つけるんであれば…と言うか、見つけて欲しいんですね。見つけなきゃ駄目。地球が壊れます。だからこそ、負の部分をよく自覚してね。そういったものも含めて自分の中で、大事に、その自覚が消えないように。これすぐ消えます、集団の中では。でもホントにそういったこだわりを持ち続けながら、メディアを変えて下さい。じゃ、ご静聴ありがとうございました。 [拍手]
 → これが、メディア業界へ就職を希望する学生にむけられた「激励」だそうだ。

「メディアの厳しい現実」「本当に現場のツラい話」を学生に向かって語る森氏と下村氏。しかし、その「厳しい現実」「ツライ現場」を、彼らは変えようとしたのだろうか?

むしろ、彼らは当事者である。「厳しい現実」「ツライ現場」へ向かっていった、このメディア業界の現状を築き上げる構成員として、有意識(あるいは無意識)のうちに加担した(してしまった)のだから。

それを差し置いて「激励」とは、これいかに。

先輩が散らかした「残債」を、未来の担い手たちに掃除させること。それだけは、本当に勘弁していただきたいものだ。

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サヤキ : 2008年11月04日(火) 22:09 URL edit
面白いですね。ヤフーからきました。コメントさせて頂きました。
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