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武雄市民病院の民間譲渡問題
市長再選 譲渡推進を具体的議論
反対した医師会も協議のテーブルへ
2009.2.9

 公立病院改革ガイドラインを背景に、全国の自治体病院の見直し再編が急ピッチとなっているが、佐賀県武雄市の武雄市民病院(一般病床135床)は、民間譲渡を決めた市側に、医師会と一部市民が反発、昨年12月末に市長選挙が行われる異例の事態となっていた。選挙は現市長が再選を果たし、武雄市民病院の医療法人池友会への譲渡がほぼ確定した。ただ、来年2月の譲渡まで約1年間あるため、この間の譲渡契約条件の設定、新病院の移転建築計画の動向など今後の課題も残っている。

 昨年12月28日の武雄市長選挙は、自治体病院の民間譲渡に対する賛否を聞くことだけが目的に行われた。結果は民間譲渡案を打ち出し、譲渡先も福岡県の医療法人財団池友会(鶴崎直邦理事長)に決めていた現職の樋渡啓祐氏が1万5739票を獲得。2006年の市長選挙でも戦った元市長の古庄健介氏を3000票近い差で破って当選した。

 古庄氏は財政的見地だけの民間譲渡に反対姿勢を示していたが、民意は民間譲渡にゴーサインを出した形となった。なお、投票率は70.84%で、前回を大きく下回り、市民病院の譲渡問題だけが争点だった選挙に対する市民の関心は、それほど高くはなかったという分析もできる。

 今後は、池友会との間での譲渡契約に伴う具体的な病院運営のあり方の論議、移転新築が濃厚な池友会による新病院建設の問題、そして譲渡論議の中で実質的に関係が途切れた形の佐賀大医学部との関係修復、それを前提にした地域医師会との連携の在り方など課題は山積しているのが現状だ。

 このため市は、市、地域医師会である武雄杵島地区医師会(古賀義行会長)、池友会の3者による協議会を早期に設立して課題を順次解決し、譲渡契約を進める意向だ。早ければ2月中にはその準備会合となる予備的な3者協を開催する。2月中の予備会合には医師会の古賀会長も参加を表明している。なお、譲渡契約までには具体的な譲渡金額を決める交渉も残されている。市は池友会が移転新築する際には、解体費用を譲渡金額から差し引くことなどを決めている。

 昨年7月に信友浩一・九州大大学院教授を委員長とする移譲先選考委員会は、候補医療法人2病院から2次救急体制を確保できること、2010年2月の移譲までの間に医師派遣について具体的な提案が行われていることを評価して池友会を選んだ経緯がある。

 ただ、選考委員会は、池友会側に<1>新病院の経営理念に「武雄市民病院のイメージ維持」を掲げる<2>移譲までの1年半の間、市民病院の運営に協力し、医師会との意思疎通に努める<3>移譲後は直ちに市民、医師会、市による評価委員会を設置し、10年以上継続すること<4>移譲後は年2回以上のタウンミーティングを開催し、市民との意思疎通を図る−との遵守事項を示し、公益性の高い地域中核病院として機能することを求めている。

●協議会の構成・論議が焦点に

 3者協議会はこうした、いわゆる譲渡に伴う「条件」をクリアするための環境整備や、池友会側の新病院を含めた考え方の提示、民間病院になった場合の地域連携のあり方などについて意見交換する方針だが、予備会合は3者協の形から論議することになる。

 市は、「基本的に民間譲渡は民意を得たが、今後は医師会との連携を確保することが焦点になる」(大田芳洋・副市長)との考えから、選挙では反対に回った医師会の協力が不可欠とみる。実際、樋渡市長は正月明けの1月6日に古賀会長と会い、協力を要請。古賀会長も、選挙結果が出た以上、市との協議の場は尊重し、協力していく姿勢だ。

 ただ、協議会をどのように設営し、運営していくかについては、各側の意見はまちまちで、曲折も予想される。国立病院から自治体病院に衣替えし、さらに民間への譲渡となる武雄市民病院の今後には関心が強い。

●譲渡後の病院の装備にも関心

 民間譲渡に関して選考委員会の委員長を務めた信友氏は、「民間譲渡そのものは福岡県でも論議してきて実現した経緯があったので、自分なりに対応できた」としつつ、「武雄市の場合は市側に情報が偏っていたという印象は否めない。コストとリスクに関して情報をきちんと市民や医師会に伝えていく必要があったと思う」と、市長選までこじれた背景に市側の説明不足があったとの認識を示している。

 また、池友会への移譲については、「自己完結型ではなく、地域完結型の中核病院としての機能発揮に期待したい」とし、あまりに重装備なリニューアルは必要ないとみている。
(写真:武雄市民病院)




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