いつもは、この時間にニュースを見ることができない男性の方々もいると思います。
きょうは、こども病院の移転問題を特集します。
何が批判を受けているのか、6つの問題点と福岡市の反論を紹介します。
弁護士たちは今月、こども病院の人工島移転計画に反対する市民団体を発足させました。
法律の専門家が主張する問題点です。
1つめは、患者家族の反対です。
福岡市の中央部にあるこども病院は、九州では唯一の小児科専門病院で、難病の子供たちが治療を受けていますが、老朽化したため、福岡市は市の東部・人工島への移転を決めました。
しかし、親たちの多くは、埋立地の人工島移転に危機感を持っています。
2つめは医師の反対です。
お産は危険との戦いです。
新生児が緊急事態に陥ると、産科医はこども病院に送り込みます。
現在、福岡市内の産科開業医のうち、9割が移転の白紙撤回を要求しています。
さらに、福岡市とその周辺の小児科医150人でつくる福岡地区小児科医会も、「移転反対」を組織決定しました。
3つめは福岡市長は公約違反です。
前回の福岡市長選挙は、人工島問題が争点でした。
吉田市長は、こども病院や市民病院の人工島移転計画を「見直す」と公約し、前の山崎広太郎市長を破って初当選しました。
吉田市長は当選後、見直し作業に入り、市民病院は現在地で建て替え、こども病院だけを移転させるという結論を出しました。
福岡市は、医療の質の確保するためには広い敷地が必要で、アクセスとは両立できないと説明しています。
4つめはなぜ人工島なのか。
多くの患者の親たちが望んでいたのは、人工島への移転ではなく、現在地での建て替えです。
人工島は、福岡市の第3セクター=博多港開発が銀行から融資を受けて造成しましたが、計画通りには土地が売れませんでした。
福岡市が3.5ヘクタールの病院用地代として博多港開発に支払うのは、47億円。
全額が銀行に返済される予定です。
5つめは不透明な手続き。
現在地での建て替えには128億円もかかる、これが人工島移転の一つの根拠でした。
ところが去年7月、福岡市が700万円で試算を委託した東京のコンサルタント会社が、85億円あまりと算出していたことがRKBの取材で発覚しました。
福岡市によると、内部で「85億円は安すぎる」と声が挙がり、ゼネンコン3社に口頭で聞き取りしたところ、「1.5倍くらいかかる」との感触を得たので128億円に引き上げたということですが、これは市議会でも大問題になりました。
6つめは福岡市議会での議論。
人工島の用地買収は、議会最大会派の自民党に公明党、市長選で市長を応援した民主党などが賛成し、本会議で可決されました。
しかし、患者の親や医師たちは、「移転の是非の判断を市民にゆだねたい」と、住民投票を求めました。
1か月間に、法律が定める有権者の50分の1以上、3万2,000人分の署名が集まりましたが、住民投票の実現には議会の承認が必要で、それは得られませんでした。
こうして、人工島への移転が確定したのです。
今回、市民団体を結成した弁護士たちは、今後、公金支出の差し止め訴訟など法的な手続きも検討していますが、福岡市長はきのうの会見で改めて理解を求めました。