2008年09月
2008年09月28日
『志ジャーナル』陥落
毎日放送のラジオ番組、『勝谷誠彦の志ジャーナル』が本日9月28日の放送をもって終了しました。
放送回数は104回なんだそうで、約2年間続いたことになります。
終了の理由ですが、同番組の構成作家が書いているブログ『構成作家 ポッター平井のコラム』の「秋の改編」というエントリーにはこうあります。
「勝谷さんの番組なので、問題発言があったのかとか、
どこからかの圧力があったのかなどと思われがちですが、
そういう理由で終了するのではありません。
一言で言うと、スポンサーさんがなくなったから。」
そのスポンサーというのが日本ポリグル株式会社というところで、まあ基本的には(表向きには)そこの予算繰りが苦しくなったということなんでしょうが、それ以外の理由がないとも言い切れません。
コメント欄で読者の犬さんがおっしゃっていたように、その会社の偉いさんがここを見てしまって、とんでもないものにカネを出していることに気づいたとか、そういうなんらかの影響をこのブログが与えた可能性は否定できませんよね。
続けてこの構成作家氏はこう言っています。
「もしかするとまた新たなスポンサーさんがついて、
復活するかもしれません。」
明るく書いちゃってますが、結構深刻ですよ。裏を返せば新しいスポンサーが現れなかった、見つけられなかった、ということですからね。
普通、人気番組なら一つの企業がスポンサーを降りても、別の企業が代わりを務め、番組自体が終わることはないでしょう。
そうならなかったということは、企業が勝谷氏の番組のスポンサーになることを嫌っている、あるいは二の足を踏むようになっている。今そういう状況かもしれません。
そして、その状況の創出にこのブログが一役買っているかもしれないと。
なんか我田引水ですが、どっちみち具体的な真相なんて私たちにはわからないんだから、そういうことにしときましょう。
そうです、ついに私たちが勝谷氏の番組の一つを打ち切りに追い込んだんです!
やったね!
今日の放送の冒頭、勝谷氏はこんなことを言っています。
「別に私は自分の人生が終わるわけではございませんので、気の毒なのは
聴いてらっしゃるみなさんでございましてですね、聴けなくなるという
だけでして。」
負け惜しみにしか聞こえませんね。
聴いていた人にとってはデタラメを吹き込まれる機会が減ることになるわけですし、勝谷氏にとっては何よりも恐ろしい「打ち切り」で、自分の懐に入ってくるカネが減るわけですから。
番組の最後のほうで必死で自分の有料配信日記の宣伝をしていたのが、何よりそれを雄弁に語っています。
ま、なんにしても今日はめでたい日ですな。

放送回数は104回なんだそうで、約2年間続いたことになります。
終了の理由ですが、同番組の構成作家が書いているブログ『構成作家 ポッター平井のコラム』の「秋の改編」というエントリーにはこうあります。
「勝谷さんの番組なので、問題発言があったのかとか、
どこからかの圧力があったのかなどと思われがちですが、
そういう理由で終了するのではありません。
一言で言うと、スポンサーさんがなくなったから。」
そのスポンサーというのが日本ポリグル株式会社というところで、まあ基本的には(表向きには)そこの予算繰りが苦しくなったということなんでしょうが、それ以外の理由がないとも言い切れません。
コメント欄で読者の犬さんがおっしゃっていたように、その会社の偉いさんがここを見てしまって、とんでもないものにカネを出していることに気づいたとか、そういうなんらかの影響をこのブログが与えた可能性は否定できませんよね。
続けてこの構成作家氏はこう言っています。
「もしかするとまた新たなスポンサーさんがついて、
復活するかもしれません。」
明るく書いちゃってますが、結構深刻ですよ。裏を返せば新しいスポンサーが現れなかった、見つけられなかった、ということですからね。
普通、人気番組なら一つの企業がスポンサーを降りても、別の企業が代わりを務め、番組自体が終わることはないでしょう。
そうならなかったということは、企業が勝谷氏の番組のスポンサーになることを嫌っている、あるいは二の足を踏むようになっている。今そういう状況かもしれません。
そして、その状況の創出にこのブログが一役買っているかもしれないと。
なんか我田引水ですが、どっちみち具体的な真相なんて私たちにはわからないんだから、そういうことにしときましょう。
そうです、ついに私たちが勝谷氏の番組の一つを打ち切りに追い込んだんです!
やったね!
今日の放送の冒頭、勝谷氏はこんなことを言っています。
「別に私は自分の人生が終わるわけではございませんので、気の毒なのは
聴いてらっしゃるみなさんでございましてですね、聴けなくなるという
だけでして。」
負け惜しみにしか聞こえませんね。
聴いていた人にとってはデタラメを吹き込まれる機会が減ることになるわけですし、勝谷氏にとっては何よりも恐ろしい「打ち切り」で、自分の懐に入ってくるカネが減るわけですから。
番組の最後のほうで必死で自分の有料配信日記の宣伝をしていたのが、何よりそれを雄弁に語っています。
ま、なんにしても今日はめでたい日ですな。
2008年09月26日
TBSラジオ番組審議会御中
「TBSラジオ番組審議会」というところに、メールを送ってみました。
内容は次の通りです。
どうせ無視されちゃうんでしょうねぇ・・・。
でも、なんにもしないよりはマシでしょ。

内容は次の通りです。
『ストリーム』における盗用等について
TBSラジオ番組審議会御中
TBSラジオの番組『ストリーム』の以下の問題について、貴審議会において審議し、同ラジオ局に対して然るべき対処を促すよう要望します。
【盗用について】
今月17日に放送された同番組の「コラムの花道」で、盗用が行われました。
この放送でゲストの勝谷誠彦氏が、今月14日に起きた国籍不明の潜水艦による高知沖領海侵犯事件の解説をしましたが、これは軍事ジャーナリストの神浦元彰氏が自身のホームページ上に掲載していた記事とまったく同じものです。
当該の神浦氏の記事は、下記URLの「What's New !」というページにある「潜水艦が領海侵犯(朝日9月15日朝刊)」と、同じく「Re:メールにお返事」というページにある9月15日、16日のコメントです。勝谷氏の発言と比べてみれば、盗用であることは明らかです。
・「What's New !」 http://www.kamiura.com/new.html
・「Re:メールにお返事」 http://www.kamiura.com/mail.html
もちろん番組中に神浦氏の記事からの引用であるとの断りは1度としてありませんでした。ゲストの勝谷氏自身の考えとして放送されています。
「TBSラジオ&コミュニケーションズ放送基準 8. 良識・良俗・社会通念に反する放送は行わない。」を持ち出すまでもなく、盗用した話を放送することは許されることではないと思います。
【事実との相違について】
先月13日の同番組で、事実と異なる内容が放送されました。
同番組の「コラムの花道」中、ゲストの勝谷誠彦氏と司会の小西克哉氏との間で北京オリンピック開会式について以下のやり取りがありました。
勝谷「最後に五輪旗を持ったのが、人民解放軍の兵士でしたね。
それでグースフットで歩いて。
よくIOCがあれを許したと。
平和の祭典の五輪旗を軍人が持って、最後に。」
小西「ああ、そう言えば、他、持ってないですね。」
勝谷「当たり前ですよ。旗持ってくっていう。
で、結局最後はやっぱり軍が、
この国は軍であるっていうことを。」
しかし、自衛官も含めて軍人がオリンピック開会式で五輪旗を運搬・掲揚することは過去に何度もあります。例えば長野、シドニー、アテネでそうしたことが行われました。下記URLにある動画で確認できます。
・長野 http://jp.youtube.com/watch?v=8R-yWqFM47Q
・シドニー http://jp.youtube.com/watch?v=ZVmB7YyIiZw
・アテネ http://jp.youtube.com/watch?v=a9KujXff6f8
「TBSラジオ&コミュニケーションズ放送基準」には「15. 放送が事実と相違することが明らかになったときは、すみやかに訂正または取り消しを行う。」とありますが、上記のやり取りは今現在訂正も取り消しもされていません。
【個人の名誉侵害について】
今年6月18日に放送された同番組で、宮崎勤死刑囚と彼の家族の名誉を侵害する発言がありました。
同番組の「コラムの花道」でゲストの勝谷誠彦氏が、「宮崎勤死刑囚の父親は実の父親ではない。彼の本当の父親は祖父で、父親は実は宮崎勤の兄である(つまり祖父が自分の息子の妻と肉体関係を持ち、宮崎勤をもうけた)」というような話をしていました。根拠は「そういう話を取材中聞いたことがある」ということでした。
このような噂話程度の根拠で、個人やその家族の名誉を侵害することは、例え相手が死刑囚やその家族であったとしても許されることではないと考えます。
「日本民間放送連盟放送基準」にも「第1章 人権 (2)個人・団体の名誉を傷つけるような取り扱いはしない。」とあります。
【ゲストの資質について】
上記以外にも勝谷誠彦氏は同番組で度々問題のある発言をしています。
このような問題の多い人物を番組で出演させ続けることは、放送の品位と信頼を著しく損なうものであると考えます。
以上
どうせ無視されちゃうんでしょうねぇ・・・。
でも、なんにもしないよりはマシでしょ。
2008年09月25日
前回のオマケ〈神浦氏批判〉
勝谷氏の潜水艦話の盗用元、神浦元彰氏が「クジラ説」についてコメントしています。
自身のホームページに届いた「『クジラ説』をどう思うか」というメールに答えてこう言っています。
「HPを読んでいる何人の方から、『潜水艦はクジラの可能性ありと防衛省
が言い出しました』というメールを頂き、何のことかわからず、ニュース
をネットで調べましたが、それらしい記事を見つけることができませんで
した。このニュースだったのですね。
むろん、こんなものは無視して結構です。こんなゴミ情報に振り回される
ようでは軍事をやっていられません。そうですか土佐の"高知の沖では潜望
鏡を出すクジラが泳いでいる ヨサコイ ヨサコイ"のですか。民謡の"ヨサ
コイ節"に新しい歌詞ができそうですね。
まあ、ご察しの通り、外務省あたりから何か言われたのでしょう。ヨサコ
イ、ヨサコイです。」
「Re:メールにお返事」 9月24日
別に神浦氏まで敵に回すつもりはないんですが、どうせ勝谷氏も同じことを言うでしょうから、このコメントも批判しておきます。
検索してみると、神浦氏と同様「潜望鏡の生えたクジラがいるのか?」と、「クジラ説」の穴を見透かしたつもりになって揶揄しているブログをいくつも見かけました。アホじゃないですかねぇ。
前回も書きましたが、神浦氏(またこういうブログを書いている人たち)の間違いは、『あたご』の乗組員が目撃したものが「潜望鏡」であることを確定的事実としてしまっていることです。「クジラ説」は「そもそもそこが違う」と言っているんです。神浦氏はそれをまったく理解していない。
事実、私が見た新聞はすべて「『潜望鏡らしきもの』『潜望鏡のような物体』を視認・発見した」となっています。もし視認した物体が確かに潜望鏡なら、「潜望鏡を視認した」と発表するはずです。
したがって神浦氏の「高知の沖では潜望鏡を出すクジラが泳いでいるのか」という反論は、「自分の説が正しく、相手の説が間違っている」というこれから証明しなければならない「結論」を「根拠」にしてしまった反論で、完全に自家撞着を起こしています。
もう少し詳細に神浦説を検討してみましょう。
「この潜水艦は九州南端から奄美、沖縄などの南西諸島の線を通過した段階で
探知され、海自によって密かに追尾を受けていたと考えられる。」
「What's New !」 9月15日
「海自によって」とは「『あたご』によって」ということでしょうが、ではなぜ『あたご』はこの潜水艦にみすみす領海を侵犯させたんでしょうか?
私がもし『あたご』の艦長なら、他の艦への応援を要請し、複数の艦で威圧してこの潜水艦の領海内への侵入を阻止します。
それが間に合わないのなら、領海に侵入する前にアクティブソナーを打って潜水艦に警告します。
潜水艦が何の目的で日本の領海に接近しているのかわからない以上、侵犯するまでただつけていくだけなんて、のんき過ぎます。
この潜水艦は、もしかしたら日本の領海内にある何かを攻撃する目的を持っていたかもしれない。そこまででなくとも、日本に不利益をもたらす行動をとったかもしれない。そういう最悪のシナリオを想定しておくのが軍事でしょ。
ならば、まずは領海内への侵入を阻止することと、万が一侵入された場合、速やかにかつ確実にこれを排除する態勢を整えることが先決です。
神浦氏が言うように、悠長に、まるでゲーム感覚のように領海内に入ってからアクティブソナーで警告するなどということをしたなら、これは「教科書に載せられるぐらい上手に出来た」話どころか、軍としては大問題の行動ですよ。
今度は逆に潜水艦側から考えてみましょう。
日本の領海近くで自分の知らない船につけられていると知ったら、まずは日本の艦船を想定するでしょ。だったらその後日本の領海に侵入するなんて考えられないわけです。普通日本の領海から遠ざかりますよ。
また、つけられている状況が不安なら、潜望鏡なんて絶対上げないでしょ。しかも日本の領海内で。
で、防衛省はこの事件を記者会見で発表します。
そこでは「その後『あたご』は潜水艦を見失った」としていますが、神浦説では「この潜水艦の音紋は採取され、すでに照合されたはずだ」としています。
ではなぜ防衛省はそれを隠すのか? 勝谷氏は「探船技術がバレるから」と言っていますが、それが当たらないことは前回書いた通りです。
神浦氏はその理由を明示していませんが、自説が正しいと言うなら、この点にも解答を用意すべきです。
神浦氏は「クジラ説」が出てきた理由を「外務省あたりから何か言われた」からだと推測していますが、それは違いますよ。
最初の発表の時点でも、防衛省関係者が「クジラや魚群を潜水艦と誤認するケースは多い。潜水艦でない可能性も含めて慎重に調べている」と述べています。つまり外務省に言われて急遽「クジラ説」を捏造したのではなく、はじめからその可能性はあったということです。
国籍や艦種が特定できているのなら、こんなこと言う必要はない。「後々の中国への『配慮』を想定して伏線を張っておいた」なんていう苦しい後付けも出てきそうですが、そこまで中国に気を使うなら、はじめから発表しなければいいじゃないですか。
まあご覧の通り神浦説はそれこそ穴だらけです。
しかも杜撰な分析が今回の潜水艦問題に限ったわけではないことは、最初に引用した彼の言葉からも窺えます。
「ニュースをネットで調べましたが、それらしい記事を見つけることができ
ませんでした。」
「むろん、こんなものは無視して結構です。こんなゴミ情報に振り回される
ようでは軍事をやっていられません。
ニュースを見つけられなかったって、どんだけ検索能力低いんだよ。
なんで「クジラ説」無視していいの? なぜ検討もせずに「ゴミ情報」と決めつけるの? なんでそれでは軍事をやっていられないの?
分析というのは、微に入り細を穿つような、それこ重箱の隅をつつくような仕事であって、妄想を膨らますことではないでしょ。自説に不都合な情報なら、なおのこと詳細に検討すべきものを、反射的に「ゴミ情報」と断じて捨て去るなんて論外ですよ。
この人、軍事ジャーナリストとしても軍事アナリストとしても、間違いなく4流以下ですわ。

自身のホームページに届いた「『クジラ説』をどう思うか」というメールに答えてこう言っています。
「HPを読んでいる何人の方から、『潜水艦はクジラの可能性ありと防衛省
が言い出しました』というメールを頂き、何のことかわからず、ニュース
をネットで調べましたが、それらしい記事を見つけることができませんで
した。このニュースだったのですね。
むろん、こんなものは無視して結構です。こんなゴミ情報に振り回される
ようでは軍事をやっていられません。そうですか土佐の"高知の沖では潜望
鏡を出すクジラが泳いでいる ヨサコイ ヨサコイ"のですか。民謡の"ヨサ
コイ節"に新しい歌詞ができそうですね。
まあ、ご察しの通り、外務省あたりから何か言われたのでしょう。ヨサコ
イ、ヨサコイです。」
「Re:メールにお返事」 9月24日
別に神浦氏まで敵に回すつもりはないんですが、どうせ勝谷氏も同じことを言うでしょうから、このコメントも批判しておきます。
検索してみると、神浦氏と同様「潜望鏡の生えたクジラがいるのか?」と、「クジラ説」の穴を見透かしたつもりになって揶揄しているブログをいくつも見かけました。アホじゃないですかねぇ。
前回も書きましたが、神浦氏(またこういうブログを書いている人たち)の間違いは、『あたご』の乗組員が目撃したものが「潜望鏡」であることを確定的事実としてしまっていることです。「クジラ説」は「そもそもそこが違う」と言っているんです。神浦氏はそれをまったく理解していない。
事実、私が見た新聞はすべて「『潜望鏡らしきもの』『潜望鏡のような物体』を視認・発見した」となっています。もし視認した物体が確かに潜望鏡なら、「潜望鏡を視認した」と発表するはずです。
したがって神浦氏の「高知の沖では潜望鏡を出すクジラが泳いでいるのか」という反論は、「自分の説が正しく、相手の説が間違っている」というこれから証明しなければならない「結論」を「根拠」にしてしまった反論で、完全に自家撞着を起こしています。
もう少し詳細に神浦説を検討してみましょう。
「この潜水艦は九州南端から奄美、沖縄などの南西諸島の線を通過した段階で
探知され、海自によって密かに追尾を受けていたと考えられる。」
「What's New !」 9月15日
「海自によって」とは「『あたご』によって」ということでしょうが、ではなぜ『あたご』はこの潜水艦にみすみす領海を侵犯させたんでしょうか?
私がもし『あたご』の艦長なら、他の艦への応援を要請し、複数の艦で威圧してこの潜水艦の領海内への侵入を阻止します。
それが間に合わないのなら、領海に侵入する前にアクティブソナーを打って潜水艦に警告します。
潜水艦が何の目的で日本の領海に接近しているのかわからない以上、侵犯するまでただつけていくだけなんて、のんき過ぎます。
この潜水艦は、もしかしたら日本の領海内にある何かを攻撃する目的を持っていたかもしれない。そこまででなくとも、日本に不利益をもたらす行動をとったかもしれない。そういう最悪のシナリオを想定しておくのが軍事でしょ。
ならば、まずは領海内への侵入を阻止することと、万が一侵入された場合、速やかにかつ確実にこれを排除する態勢を整えることが先決です。
神浦氏が言うように、悠長に、まるでゲーム感覚のように領海内に入ってからアクティブソナーで警告するなどということをしたなら、これは「教科書に載せられるぐらい上手に出来た」話どころか、軍としては大問題の行動ですよ。
今度は逆に潜水艦側から考えてみましょう。
日本の領海近くで自分の知らない船につけられていると知ったら、まずは日本の艦船を想定するでしょ。だったらその後日本の領海に侵入するなんて考えられないわけです。普通日本の領海から遠ざかりますよ。
また、つけられている状況が不安なら、潜望鏡なんて絶対上げないでしょ。しかも日本の領海内で。
で、防衛省はこの事件を記者会見で発表します。
そこでは「その後『あたご』は潜水艦を見失った」としていますが、神浦説では「この潜水艦の音紋は採取され、すでに照合されたはずだ」としています。
ではなぜ防衛省はそれを隠すのか? 勝谷氏は「探船技術がバレるから」と言っていますが、それが当たらないことは前回書いた通りです。
神浦氏はその理由を明示していませんが、自説が正しいと言うなら、この点にも解答を用意すべきです。
神浦氏は「クジラ説」が出てきた理由を「外務省あたりから何か言われた」からだと推測していますが、それは違いますよ。
最初の発表の時点でも、防衛省関係者が「クジラや魚群を潜水艦と誤認するケースは多い。潜水艦でない可能性も含めて慎重に調べている」と述べています。つまり外務省に言われて急遽「クジラ説」を捏造したのではなく、はじめからその可能性はあったということです。
国籍や艦種が特定できているのなら、こんなこと言う必要はない。「後々の中国への『配慮』を想定して伏線を張っておいた」なんていう苦しい後付けも出てきそうですが、そこまで中国に気を使うなら、はじめから発表しなければいいじゃないですか。
まあご覧の通り神浦説はそれこそ穴だらけです。
しかも杜撰な分析が今回の潜水艦問題に限ったわけではないことは、最初に引用した彼の言葉からも窺えます。
「ニュースをネットで調べましたが、それらしい記事を見つけることができ
ませんでした。」
「むろん、こんなものは無視して結構です。こんなゴミ情報に振り回される
ようでは軍事をやっていられません。
ニュースを見つけられなかったって、どんだけ検索能力低いんだよ。
なんで「クジラ説」無視していいの? なぜ検討もせずに「ゴミ情報」と決めつけるの? なんでそれでは軍事をやっていられないの?
分析というのは、微に入り細を穿つような、それこ重箱の隅をつつくような仕事であって、妄想を膨らますことではないでしょ。自説に不都合な情報なら、なおのこと詳細に検討すべきものを、反射的に「ゴミ情報」と断じて捨て去るなんて論外ですよ。
この人、軍事ジャーナリストとしても軍事アナリストとしても、間違いなく4流以下ですわ。
2008年09月23日
潜水艦話は盗用だった!
「イージス艦『あたご』が高知沖で領海侵犯していた国籍不明の潜水艦を発見」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080915k0000m040067000c.html
17日放送の『コラムの花道』で勝谷氏がこの事件に関してデタラメな解説を行ったことを前回記事でお伝えしました。
勝谷氏はまったく同じデタラメ解説を21日放送(収録は19日か)の『志ジャーナル』でもしています。
そこでは次のような発言も聞かれました。
「おそらくっていうか、ボクはもうだいぶウラ取ってるんですけれども、」
「だから、これはもうホントに日本国民は安心していいと思いますね。」
しかしこの両番組での勝谷氏の解説、実は「盗用」であることがわかりました。
教えてくれたのはこのブログの初期からの読者である愚民2号さんです。
愚民2号さんの話によると、盗用元は
『日本軍事情報センター Japan Research Center Of Military affairs : J-RCOM』
というサイト上に、運営者である軍事ジャーナリスト・神浦元彰氏が書いた記事です。
実を言うと、私は前回記事のコメント欄に書かれた愚民2号さんの情報提供を読んだ段階では、「盗用」「パクリ」と断言するのは難しいのではないかと思っていました。
例えば番組で共演した人の話を、別の回や別の番組、雑誌や日記で同じように発言すれば、これはもう勝谷氏がその共演者の話を聞いていたことは確かなわけですから、「パクリ」と言っていい。
しかしウェブや雑誌に書かれたものからの盗用となると、勝谷氏がそれを読んだと断定するのはなかなか難しい。そう思っていました。
ところが、実際盗用元とされる記事を読んでみると、そういう懸念は吹き飛んでしまいました。あまりにもソックリです! これを盗用でないと思う人はよっぽどの人です。そんな人、まずいないと思います。
実際に読んでいただければわかると思いますが、とりあえず象徴的な文を抜き出してみました。これだけでも十分確信が持てると思います。
「What's New !」というコーナーの9月15日の記事から
「この潜水艦は中国海軍の潜水艦と思われる。」
「あたごの乗組員が偶然に潜航中の潜望鏡を発見する可能性は限りなくゼロに
近い。」
「海自によって密かに追尾を受けていたと考えられる。」
「潜航中の潜水艦はアクティブ・ソナーの音を当てられて、震え上がったはず
である。」
「この潜水艦の艦長も母港に帰れば厳しい処分が待っている。」
「潜水艦はいつまでも追尾をやめないことに不安がって、追尾の船(あたご)
を確認するために潜望鏡を上げるという失敗を行った。」
「この潜水艦の音紋は採取され、すでに照合されたはずだ。」
さらに「Re:メールにお返事」というコーナーから。
9月15日
「あたごが日本の領海に接近してくる潜水艦を等距離で追跡し、『お前はすで
に捕捉されている』と威嚇したのです。」
「海自の能力が低いとか、官邸の危機管理能力が弱いなんて話しではありませ
ん。」
「あの潜水艦の艦長は帰国して上司から叱られるでしょうね。」
9月16日
「今回の事件は軍事では大きな事件ではない。海自の行動は教科書に載せられ
るぐらい上手にできた」
前回引用した勝谷氏の話と比べてみてください。話の流れ、技術的な解説から、自衛隊への評価、潜水艦艦長のその後の運命への「心配」まで、ソックリと言う他ないでしょ。
勝谷氏は『志ジャーナル』で「ウラ取ってるんです」と言っていましたが、勝谷氏が言う「ウラ」とは「ウェブ上に専門家がそういう風に書いていた」という意味なんでしょうか?
私はこれを「盗用」と断言します。これが盗用でないなら、世の中に「盗用」なんていうものは存在しない!
勝谷氏は以前こう言っていました。
「コラムニストっていうのはね、自分の書いた物と心中する仕事だとオレは思
ってるんですよ。
(当ブログ「文筆の死神がお待ちかね」参照)
「盗用」は紛れもない違法行為で、社会的に許されるものではありません。かつて新聞や雑誌のコラム、小説、マンガなどで多くの人が「盗用」の責任を取らされてきました。
もう勝谷氏の職業意識がどうのこうのと言っている段階ではありません。本人にその気がなくとも、社会が彼に「心中」を迫るときです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところで、私は前回の記事で「勝谷氏の解説はデタラメだ」と言いました。今回その解説が軍事ジャーナリストの話をパクったものだとわかったわけですが、だからといって勝谷氏のそれがちゃんとした話だった、なんてことになったら、逆に私の言がデタラメだったということになります。
それでは困るので、ここでは盗用元も含めて勝谷氏の話を改めて批判しておきたいと思います。
まず、神浦氏の問題点は、『あたご』の乗組員が目視したものが「潜望鏡」であったということを疑わなかったことにあります。彼の解説はすべて、このことを確定した事実であると見なすことからはじまっています。
「潜望鏡を目視した」→「偶然潜望鏡を発見する可能性は限りなくゼロに近い」→「密かに追尾していたに違いない」→・・・
という具合です。
しかし、その出発点が間違いだったら、彼の推論は全部パーです。「目視したのは潜望鏡ではなかった」。「実はクジラだった説」はそれを突きつけるものでした。神浦氏は、出発点でのそういう別の可能性も視野に入れておくべきだったと思います。
ただ神浦氏は、なぜ防衛省が、特定した(と彼が思っている)国籍や艦種を隠したかについては、ほとんど何も言っていません。17日の記事で、「赤星幕僚長の『潜水艦の音は録音しなかった』という発言を信じる関係者はいない」と言っているだけです。
それに対して勝谷氏のほうは、この部分に言及しています。いわば勝谷オリジナルの部分です。『コラムの花道』では、こう言っていました。
「艦種がわかったとかなんだとかかんだとか、どう見つけたっていうことは、
すべてこっちの手の内をさらすことになるわけ。どういう探船技術を持って
るかっていうのを。」
『志ジャーナル』でもこう言っています。
「こういうとこで『あれは中国の潜水艦だと思う』とかね、『我が軍はここま
で知っている』とかっていうことは絶対に言わない。なぜかって言ったら、
こっちがどれだけの潜水艦探知能力を持っているかっていうことを相手にわ
からさないことが、こういう『沈黙の艦隊』のですね、基本中の基本なんで
すよ。」
この勝谷オリジナルが、やはり話の中で最も破綻しているところです。
国籍や艦種を発表することによって、なぜ日本の探船技術の手の内を明かすことになるのか? なぜ日本の技術レベルを知られてはマズいのか?
日本が具体的にどういう技術を駆使しているかは、国籍や艦種を発表したところでわからないだろうし、もしそれだけでわかるとしたら秘密でもなんでもない。
そして日本がどういう技術レベルにあるかは、勝谷氏が知っているぐらいですから、とっくに他国の軍関係者も知っているでしょ。
一番理解できないのは、林芳正防衛大臣が「国籍を特定する情報や手掛かりはない」「ソナーによる捜索で、国籍など絞り込むスクリュー音などを探知できなかった」と述べたことに、「素人だよ。バカだね」などと罵倒していることです。
こちらの探船技術のレベルを秘匿するんなら、そういうフェイント発言をしたほうがいいじゃないですか。少なくとも不利になる発言ではない。それの何がバカなんでしょうか?
これは神浦氏にも言えることですが、そもそも領海侵犯した船の国籍を知りながら、国民には一切知らせないなどということが許されるんでしょうか? 軍事に関しては、国民にその程度のことも知らせない、国民は何も知らないまま黙っていろと?
で、その一方で胡散臭いオッサンがしゃしゃり出てきて、軍が黙っていたことをご丁寧にペラペラ解説してくれて、広報よろしく「日本国民のみなさん、どうぞご安心を」と言う。
何なの、この状況は?
隠しておくつもりなら、最初の記者会見の「おとぼけ」で十分で、なにも「クジラ説」まで出してこなくてもいいはずです。
こんな説得力のないややこしい話、私はまったく信じません。これなら「クジラ説」のほうがよっぽど筋が通ってます。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080915k0000m040067000c.html
17日放送の『コラムの花道』で勝谷氏がこの事件に関してデタラメな解説を行ったことを前回記事でお伝えしました。
勝谷氏はまったく同じデタラメ解説を21日放送(収録は19日か)の『志ジャーナル』でもしています。
そこでは次のような発言も聞かれました。
「おそらくっていうか、ボクはもうだいぶウラ取ってるんですけれども、」
「だから、これはもうホントに日本国民は安心していいと思いますね。」
しかしこの両番組での勝谷氏の解説、実は「盗用」であることがわかりました。
教えてくれたのはこのブログの初期からの読者である愚民2号さんです。
愚民2号さんの話によると、盗用元は
『日本軍事情報センター Japan Research Center Of Military affairs : J-RCOM』
というサイト上に、運営者である軍事ジャーナリスト・神浦元彰氏が書いた記事です。
実を言うと、私は前回記事のコメント欄に書かれた愚民2号さんの情報提供を読んだ段階では、「盗用」「パクリ」と断言するのは難しいのではないかと思っていました。
例えば番組で共演した人の話を、別の回や別の番組、雑誌や日記で同じように発言すれば、これはもう勝谷氏がその共演者の話を聞いていたことは確かなわけですから、「パクリ」と言っていい。
しかしウェブや雑誌に書かれたものからの盗用となると、勝谷氏がそれを読んだと断定するのはなかなか難しい。そう思っていました。
ところが、実際盗用元とされる記事を読んでみると、そういう懸念は吹き飛んでしまいました。あまりにもソックリです! これを盗用でないと思う人はよっぽどの人です。そんな人、まずいないと思います。
実際に読んでいただければわかると思いますが、とりあえず象徴的な文を抜き出してみました。これだけでも十分確信が持てると思います。
「What's New !」というコーナーの9月15日の記事から
「この潜水艦は中国海軍の潜水艦と思われる。」
「あたごの乗組員が偶然に潜航中の潜望鏡を発見する可能性は限りなくゼロに
近い。」
「海自によって密かに追尾を受けていたと考えられる。」
「潜航中の潜水艦はアクティブ・ソナーの音を当てられて、震え上がったはず
である。」
「この潜水艦の艦長も母港に帰れば厳しい処分が待っている。」
「潜水艦はいつまでも追尾をやめないことに不安がって、追尾の船(あたご)
を確認するために潜望鏡を上げるという失敗を行った。」
「この潜水艦の音紋は採取され、すでに照合されたはずだ。」
さらに「Re:メールにお返事」というコーナーから。
9月15日
「あたごが日本の領海に接近してくる潜水艦を等距離で追跡し、『お前はすで
に捕捉されている』と威嚇したのです。」
「海自の能力が低いとか、官邸の危機管理能力が弱いなんて話しではありませ
ん。」
「あの潜水艦の艦長は帰国して上司から叱られるでしょうね。」
9月16日
「今回の事件は軍事では大きな事件ではない。海自の行動は教科書に載せられ
るぐらい上手にできた」
前回引用した勝谷氏の話と比べてみてください。話の流れ、技術的な解説から、自衛隊への評価、潜水艦艦長のその後の運命への「心配」まで、ソックリと言う他ないでしょ。
勝谷氏は『志ジャーナル』で「ウラ取ってるんです」と言っていましたが、勝谷氏が言う「ウラ」とは「ウェブ上に専門家がそういう風に書いていた」という意味なんでしょうか?
私はこれを「盗用」と断言します。これが盗用でないなら、世の中に「盗用」なんていうものは存在しない!
勝谷氏は以前こう言っていました。
「コラムニストっていうのはね、自分の書いた物と心中する仕事だとオレは思
ってるんですよ。
(当ブログ「文筆の死神がお待ちかね」参照)
「盗用」は紛れもない違法行為で、社会的に許されるものではありません。かつて新聞や雑誌のコラム、小説、マンガなどで多くの人が「盗用」の責任を取らされてきました。
もう勝谷氏の職業意識がどうのこうのと言っている段階ではありません。本人にその気がなくとも、社会が彼に「心中」を迫るときです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところで、私は前回の記事で「勝谷氏の解説はデタラメだ」と言いました。今回その解説が軍事ジャーナリストの話をパクったものだとわかったわけですが、だからといって勝谷氏のそれがちゃんとした話だった、なんてことになったら、逆に私の言がデタラメだったということになります。
それでは困るので、ここでは盗用元も含めて勝谷氏の話を改めて批判しておきたいと思います。
まず、神浦氏の問題点は、『あたご』の乗組員が目視したものが「潜望鏡」であったということを疑わなかったことにあります。彼の解説はすべて、このことを確定した事実であると見なすことからはじまっています。
「潜望鏡を目視した」→「偶然潜望鏡を発見する可能性は限りなくゼロに近い」→「密かに追尾していたに違いない」→・・・
という具合です。
しかし、その出発点が間違いだったら、彼の推論は全部パーです。「目視したのは潜望鏡ではなかった」。「実はクジラだった説」はそれを突きつけるものでした。神浦氏は、出発点でのそういう別の可能性も視野に入れておくべきだったと思います。
ただ神浦氏は、なぜ防衛省が、特定した(と彼が思っている)国籍や艦種を隠したかについては、ほとんど何も言っていません。17日の記事で、「赤星幕僚長の『潜水艦の音は録音しなかった』という発言を信じる関係者はいない」と言っているだけです。
それに対して勝谷氏のほうは、この部分に言及しています。いわば勝谷オリジナルの部分です。『コラムの花道』では、こう言っていました。
「艦種がわかったとかなんだとかかんだとか、どう見つけたっていうことは、
すべてこっちの手の内をさらすことになるわけ。どういう探船技術を持って
るかっていうのを。」
『志ジャーナル』でもこう言っています。
「こういうとこで『あれは中国の潜水艦だと思う』とかね、『我が軍はここま
で知っている』とかっていうことは絶対に言わない。なぜかって言ったら、
こっちがどれだけの潜水艦探知能力を持っているかっていうことを相手にわ
からさないことが、こういう『沈黙の艦隊』のですね、基本中の基本なんで
すよ。」
この勝谷オリジナルが、やはり話の中で最も破綻しているところです。
国籍や艦種を発表することによって、なぜ日本の探船技術の手の内を明かすことになるのか? なぜ日本の技術レベルを知られてはマズいのか?
日本が具体的にどういう技術を駆使しているかは、国籍や艦種を発表したところでわからないだろうし、もしそれだけでわかるとしたら秘密でもなんでもない。
そして日本がどういう技術レベルにあるかは、勝谷氏が知っているぐらいですから、とっくに他国の軍関係者も知っているでしょ。
一番理解できないのは、林芳正防衛大臣が「国籍を特定する情報や手掛かりはない」「ソナーによる捜索で、国籍など絞り込むスクリュー音などを探知できなかった」と述べたことに、「素人だよ。バカだね」などと罵倒していることです。
こちらの探船技術のレベルを秘匿するんなら、そういうフェイント発言をしたほうがいいじゃないですか。少なくとも不利になる発言ではない。それの何がバカなんでしょうか?
これは神浦氏にも言えることですが、そもそも領海侵犯した船の国籍を知りながら、国民には一切知らせないなどということが許されるんでしょうか? 軍事に関しては、国民にその程度のことも知らせない、国民は何も知らないまま黙っていろと?
で、その一方で胡散臭いオッサンがしゃしゃり出てきて、軍が黙っていたことをご丁寧にペラペラ解説してくれて、広報よろしく「日本国民のみなさん、どうぞご安心を」と言う。
何なの、この状況は?
隠しておくつもりなら、最初の記者会見の「おとぼけ」で十分で、なにも「クジラ説」まで出してこなくてもいいはずです。
こんな説得力のないややこしい話、私はまったく信じません。これなら「クジラ説」のほうがよっぽど筋が通ってます。
2008年09月22日
よっ、軍事の専門家!
「今月14日早朝に高知県沖で領海侵犯している国籍不明の潜水艦を、イージス艦『あたご』が発見した」というニュースがありました。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080915k0000m040067000c.html
軍事に大変お詳しい勝谷氏は、9月17日放送の『コラムの花道』でこの件を取り上げています。
そこで勝谷氏は、自らの豊富な軍事的知識を思う存分披露されると同時に、林芳正防衛大臣を「軍事に暗い素人」と、こき下ろしています。
そのくだりをほぼ全部引用します。かなり長いですが、じっくり味わってお読みください。もちろん実際の音声も是非お聞きください。
「潜望鏡が出てんのを『あたご』が見つけた。
で、P3Cで追いかけてたら、そのうち失探、つまりどこ行っちゃったかわ
かんなくなっちゃったっていうんで、また『日本の自衛隊は情けない』だ
とかね、なんだかんだ言う人いるけれども、あんなものね、潜望鏡を出し
てるのをね、偶然見張り員が目で見つけるなんていうことありませんよ!
『あたご』でしょ? 『清徳丸』も見つけられないのにね。
そんなものはずーっと追いかけてたわけよ。ね。
それで、後にずーっとヒタヒタ、ヒタヒタついてきてるんで、その潜水艦、
おそらく中国、中国ですけどね、ガマンできなくなって、潜望鏡深度まで
上がって、後ろを見たわけですよ。そういう状況なわけですよ。
で、その後『あたご』が何したかって言ったら、アクティブソナーを打っ
たと。
ソナーって2種類あって、パッシブソナーっていうのは、要するに潜水艦
の音をずーっと聴きながら追跡していく。アクティブソナーっていうのは、
こっちから音波をピーンと。あれ潜水艦の中で聞くと、ビーンと音がして
震えるわけですよ。あれは要するに『これ魚雷だったら、アンタとっくに
アウトやで、死んでるで』ということで、最大限の脅しなわけ。で、アク
ティブソナー打たれたなんて言ったら、艦長帰ったら今頃軍法会議、譴責
ものですよ。
で、おそらくそっから後、どこに入ったかまで把握してるんですよ。ね。
ところが、昨日記者会見をいろいろしました。
町村さんは『時間がかかりすぎたかどうか確認しないといけない』つって
る。それから海自トップの海幕長、赤星海幕長、こないだボクお目にかか
りましたけど、このかたはね、こう言ってるんです。『あの海域で潜水艦
が確認されたことはあまりない。ハッキリした背景はわからない』。とぼ
けてるわけです。何も言ってないのと同じですよ。
んで、おそらく林防衛大臣は、この幹部から『余計なこと言うんじゃあり
ませんよ』。なぜかと言うと、艦種がわかったとかなんだとかかんだとか、
どう見つけたっていうことは、すべてこっちの手の内をさらすことになる
わけ。どういう探船技術を持ってるかっていうのを。
だからこういうのは軍事の常識としては、下手したら、これ報道されちゃ
ったけど、ホントは見つけたっていうことも言わないのがあれなんですよ。
で、この林防衛庁長官はちょっとやっぱり素人でうれしかったんだね。
『国籍を特定する情報や手掛かりはない』って述べちゃってる。
言わずもがなだよ、オマエ! そんなことも言わなくていいの!
ね。ね。あったんだよ。あったんだけど、こんなこと言わなくていいの。
もっと言ってる。『ソナーによる捜索で、国籍など絞り込むスクリュー音
などを探知できなかったことを明らかにした』。素人だよ。バカだね。
どういうことだよ。『ソナーによる捜索で、国籍など絞り込むスクリュー
音などを・・・』。こんなもんスクリュー音をすぐ録音しますよ、パッシ
ブで。でもう、すぐに研究所に送りますよ。その瞬間『ああ、中国のハン
級の何々だな』って、もう艦名までわかって、艦長の経歴まで出てますよ。
ね。
石破さんだったら『(口まねして)いや、ちょっと言えません。言えない
のが軍事的常識ですからね』とか言って。」
http://podcast.tbsradio.jp/st/files/st20080917.mp3
聞き手の小西克哉氏も松本ともこ氏も、しまいにはまるで軍事の常識を身につけちゃったかのように相槌を打ち、林大臣を嘲笑うようになってましたねぇ。さすがですねぇ。たいした説得力ですよ、勝谷氏の話は。
(ちなみに、この日の有料配信日記もこの話題だったようで、そのタイトルは
「高知沖の領海侵犯潜水艦への対応は『現場』でも『後処理』でも完璧だった。
ご安心を」
です。 http://www.katsuyamasahiko.jp/modules/tinyd0/index.php?id=9 )
ところがですねぇ、昨日になって勝谷氏のご高説をひっくり返すニュースが出てきちゃいました。
この国籍不明の潜水艦、実はクジラだった可能性が高いんだそうです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008092102000087.html
記事によれば、スクリュー音など音の特徴を示す「音紋」も取れず、アクティブソナーの反響音も潜水艦とは考えられないほど遠くからのもので、米軍にも強力してもらった結果、「この海域にどこかの国の潜水艦がいた可能性はほとんどない」との結論に達したんだそうです。
あれれ? 結論だけじゃなく、ディテールまで勝谷氏の言ってたことと全然違うじゃないですか。
で結局、この海域に生息しているニタリクジラではないかと。
もちろんクジラだったという確証もないので、そうだと断定はできません。しかし、勝谷氏のデタラメぶりはこれでハッキリしたわけです。
「目視で潜望鏡は発見できない」
「ヒタヒタとつけていった」
「潜水艦はガマンできなくなって潜望鏡を出した」
「瞬時に艦名や艦長の経歴までわかる」
「相手の艦長は軍法会議で譴責」
「潜水艦がどこに入ったかまで把握している」
全部想像や思い込みによる作り話じゃないですか。
勝谷氏はそんな妄想の上に乗っかって林氏を侮辱してるわけですよ(しかも「防衛大臣」を「防衛庁長官」と言っています。そんなんで本当に自衛隊を愛しているのか?)。
この放送では、「アフラック」をAIGと関係があるかのように言ってしまい、番組から「訂正とお詫び」を出したことは、前回記事でお伝えした通りです。
ならば、この林氏への誤爆も詫びるべきじゃないですかねぇ。
何より、こんなデタラメを聞かされたリスナーに謝罪すべきじゃないですか。
勝谷氏はことあるごとに「軍事については本当のことは明かされない」と言いますが、この「クジラだった可能性が大きい」という見解も、真実を隠すためのウソだと言うんでしょうか? 自衛隊・防衛省が真実を公表していないと言うのなら、なぜさらにこんなウソをつく必要があるんでしょうか? 陰謀説の継ぎ足しは通用しませんよ。くだらない。
勝谷氏の軍事オンチはこれだけではありません。
先月、ロシア軍とグルジア軍が衝突しましたが、
http://ja.wikinews.org/wiki/グルジアが南オセチアに侵攻、ロシア軍が応戦
この件に関してもトンチンカンなことを言っていました。
8月8日にグルジア軍が南オセチア州に侵攻したのは、ロシアの陽動作戦に引っかかったからだと、あちこちで言っていました。
つまり、ロシアのプーチン首相がオリンピック開会式のため北京入りしたのは、ロシアにスキができたとグルジア側に思わせて南オセチアに侵攻させ、そこを逆に叩いてしまうという陽動作戦で、グルジア側はまんまとその罠にハメられたんだとか。
しかし、プーチン氏が軍を引き連れて移動し、グルジア方面の部隊が手薄になったとか、あるいはそういう情報を流したとか言うなら「陽動」と言えるかもしれませんが、実際にはそんなことはしておらず、プーチン氏は単に北京入りしただけ。
大昔じゃあるまいし、通信手段だっていくらでもあるんだから、北京にいたって指示は出せる。そんなもんで「陽動」だの「罠」だのと大はしゃぎする姿は、生半可に軍事をかじっただけの素人そのものですよ。
もちろん、グルジア側にしてみれば、少しでも相手の不利になる時期にと、プーチン氏の不在時を狙ったのかもしれませんが、結局それはロシア側に読まれていた。ただそれだけのことで、「陽動」とか「罠」とか言うものではありません。
(「国際社会へのアピールのためこの日を選んだ」という視点は他のマスコミと同じく勝谷氏も言及しています。また「アメリカ大統領選がらみ」という説もありますが、ここでは勝谷氏の「陽動説」だけを問題にしています。)
引用した『コラムの花道』での勝谷発言の後、小西克哉氏はこんなことを言っています。
「知識のない文民が防衛大臣になるとちょっと怖いですよね。」
なんのなんの。知ったかぶりでデタラメな軍事解説をするコラムニストや、安易に同調する共演者、それを電波に乗せてまき散らす放送局も、負けず劣らず恐ろしいですよ。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080915k0000m040067000c.html
軍事に大変お詳しい勝谷氏は、9月17日放送の『コラムの花道』でこの件を取り上げています。
そこで勝谷氏は、自らの豊富な軍事的知識を思う存分披露されると同時に、林芳正防衛大臣を「軍事に暗い素人」と、こき下ろしています。
そのくだりをほぼ全部引用します。かなり長いですが、じっくり味わってお読みください。もちろん実際の音声も是非お聞きください。
「潜望鏡が出てんのを『あたご』が見つけた。
で、P3Cで追いかけてたら、そのうち失探、つまりどこ行っちゃったかわ
かんなくなっちゃったっていうんで、また『日本の自衛隊は情けない』だ
とかね、なんだかんだ言う人いるけれども、あんなものね、潜望鏡を出し
てるのをね、偶然見張り員が目で見つけるなんていうことありませんよ!
『あたご』でしょ? 『清徳丸』も見つけられないのにね。
そんなものはずーっと追いかけてたわけよ。ね。
それで、後にずーっとヒタヒタ、ヒタヒタついてきてるんで、その潜水艦、
おそらく中国、中国ですけどね、ガマンできなくなって、潜望鏡深度まで
上がって、後ろを見たわけですよ。そういう状況なわけですよ。
で、その後『あたご』が何したかって言ったら、アクティブソナーを打っ
たと。
ソナーって2種類あって、パッシブソナーっていうのは、要するに潜水艦
の音をずーっと聴きながら追跡していく。アクティブソナーっていうのは、
こっちから音波をピーンと。あれ潜水艦の中で聞くと、ビーンと音がして
震えるわけですよ。あれは要するに『これ魚雷だったら、アンタとっくに
アウトやで、死んでるで』ということで、最大限の脅しなわけ。で、アク
ティブソナー打たれたなんて言ったら、艦長帰ったら今頃軍法会議、譴責
ものですよ。
で、おそらくそっから後、どこに入ったかまで把握してるんですよ。ね。
ところが、昨日記者会見をいろいろしました。
町村さんは『時間がかかりすぎたかどうか確認しないといけない』つって
る。それから海自トップの海幕長、赤星海幕長、こないだボクお目にかか
りましたけど、このかたはね、こう言ってるんです。『あの海域で潜水艦
が確認されたことはあまりない。ハッキリした背景はわからない』。とぼ
けてるわけです。何も言ってないのと同じですよ。
んで、おそらく林防衛大臣は、この幹部から『余計なこと言うんじゃあり
ませんよ』。なぜかと言うと、艦種がわかったとかなんだとかかんだとか、
どう見つけたっていうことは、すべてこっちの手の内をさらすことになる
わけ。どういう探船技術を持ってるかっていうのを。
だからこういうのは軍事の常識としては、下手したら、これ報道されちゃ
ったけど、ホントは見つけたっていうことも言わないのがあれなんですよ。
で、この林防衛庁長官はちょっとやっぱり素人でうれしかったんだね。
『国籍を特定する情報や手掛かりはない』って述べちゃってる。
言わずもがなだよ、オマエ! そんなことも言わなくていいの!
ね。ね。あったんだよ。あったんだけど、こんなこと言わなくていいの。
もっと言ってる。『ソナーによる捜索で、国籍など絞り込むスクリュー音
などを探知できなかったことを明らかにした』。素人だよ。バカだね。
どういうことだよ。『ソナーによる捜索で、国籍など絞り込むスクリュー
音などを・・・』。こんなもんスクリュー音をすぐ録音しますよ、パッシ
ブで。でもう、すぐに研究所に送りますよ。その瞬間『ああ、中国のハン
級の何々だな』って、もう艦名までわかって、艦長の経歴まで出てますよ。
ね。
石破さんだったら『(口まねして)いや、ちょっと言えません。言えない
のが軍事的常識ですからね』とか言って。」
http://podcast.tbsradio.jp/st/files/st20080917.mp3
聞き手の小西克哉氏も松本ともこ氏も、しまいにはまるで軍事の常識を身につけちゃったかのように相槌を打ち、林大臣を嘲笑うようになってましたねぇ。さすがですねぇ。たいした説得力ですよ、勝谷氏の話は。
(ちなみに、この日の有料配信日記もこの話題だったようで、そのタイトルは
「高知沖の領海侵犯潜水艦への対応は『現場』でも『後処理』でも完璧だった。
ご安心を」
です。 http://www.katsuyamasahiko.jp/modules/tinyd0/index.php?id=9 )
ところがですねぇ、昨日になって勝谷氏のご高説をひっくり返すニュースが出てきちゃいました。
この国籍不明の潜水艦、実はクジラだった可能性が高いんだそうです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008092102000087.html
記事によれば、スクリュー音など音の特徴を示す「音紋」も取れず、アクティブソナーの反響音も潜水艦とは考えられないほど遠くからのもので、米軍にも強力してもらった結果、「この海域にどこかの国の潜水艦がいた可能性はほとんどない」との結論に達したんだそうです。
あれれ? 結論だけじゃなく、ディテールまで勝谷氏の言ってたことと全然違うじゃないですか。
で結局、この海域に生息しているニタリクジラではないかと。
もちろんクジラだったという確証もないので、そうだと断定はできません。しかし、勝谷氏のデタラメぶりはこれでハッキリしたわけです。
「目視で潜望鏡は発見できない」
「ヒタヒタとつけていった」
「潜水艦はガマンできなくなって潜望鏡を出した」
「瞬時に艦名や艦長の経歴までわかる」
「相手の艦長は軍法会議で譴責」
「潜水艦がどこに入ったかまで把握している」
全部想像や思い込みによる作り話じゃないですか。
勝谷氏はそんな妄想の上に乗っかって林氏を侮辱してるわけですよ(しかも「防衛大臣」を「防衛庁長官」と言っています。そんなんで本当に自衛隊を愛しているのか?)。
この放送では、「アフラック」をAIGと関係があるかのように言ってしまい、番組から「訂正とお詫び」を出したことは、前回記事でお伝えした通りです。
ならば、この林氏への誤爆も詫びるべきじゃないですかねぇ。
何より、こんなデタラメを聞かされたリスナーに謝罪すべきじゃないですか。
勝谷氏はことあるごとに「軍事については本当のことは明かされない」と言いますが、この「クジラだった可能性が大きい」という見解も、真実を隠すためのウソだと言うんでしょうか? 自衛隊・防衛省が真実を公表していないと言うのなら、なぜさらにこんなウソをつく必要があるんでしょうか? 陰謀説の継ぎ足しは通用しませんよ。くだらない。
勝谷氏の軍事オンチはこれだけではありません。
先月、ロシア軍とグルジア軍が衝突しましたが、
http://ja.wikinews.org/wiki/グルジアが南オセチアに侵攻、ロシア軍が応戦
この件に関してもトンチンカンなことを言っていました。
8月8日にグルジア軍が南オセチア州に侵攻したのは、ロシアの陽動作戦に引っかかったからだと、あちこちで言っていました。
つまり、ロシアのプーチン首相がオリンピック開会式のため北京入りしたのは、ロシアにスキができたとグルジア側に思わせて南オセチアに侵攻させ、そこを逆に叩いてしまうという陽動作戦で、グルジア側はまんまとその罠にハメられたんだとか。
しかし、プーチン氏が軍を引き連れて移動し、グルジア方面の部隊が手薄になったとか、あるいはそういう情報を流したとか言うなら「陽動」と言えるかもしれませんが、実際にはそんなことはしておらず、プーチン氏は単に北京入りしただけ。
大昔じゃあるまいし、通信手段だっていくらでもあるんだから、北京にいたって指示は出せる。そんなもんで「陽動」だの「罠」だのと大はしゃぎする姿は、生半可に軍事をかじっただけの素人そのものですよ。
もちろん、グルジア側にしてみれば、少しでも相手の不利になる時期にと、プーチン氏の不在時を狙ったのかもしれませんが、結局それはロシア側に読まれていた。ただそれだけのことで、「陽動」とか「罠」とか言うものではありません。
(「国際社会へのアピールのためこの日を選んだ」という視点は他のマスコミと同じく勝谷氏も言及しています。また「アメリカ大統領選がらみ」という説もありますが、ここでは勝谷氏の「陽動説」だけを問題にしています。)
引用した『コラムの花道』での勝谷発言の後、小西克哉氏はこんなことを言っています。
「知識のない文民が防衛大臣になるとちょっと怖いですよね。」
なんのなんの。知ったかぶりでデタラメな軍事解説をするコラムニストや、安易に同調する共演者、それを電波に乗せてまき散らす放送局も、負けず劣らず恐ろしいですよ。
2008年09月20日
またまたケツを拭いてもらいました
アメリカの証券大手「リーマン・ブラザーズ」が経営破綻し、同国巨大保険グループ「AIG(アメリカンインターナショナルグループ)」が巨額の公的資金で救済されることにななったのは、みなさんご存知の通りです。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080919AT1D180D318092008.html
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014166771000.html
17日放送の『コラムの花道』でこの話題を取り上げた勝谷氏、羽振りのいい外資系金融会社社員への日頃からのネタミをぶつけていましたが、「アフラック」もAIGだと思い込んで攻撃したようです。
もちろんアフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)はAIGとは関係ありません。勝谷氏の完全な誤爆です。
私はオンタイムではなく、ポッドキャスティングで聴きましたが、その部分はカットされていたのか、確認できませんでした。
しかし、番組のウェブサイト上に訂正と謝罪が掲載されています(読者のちょっと立ち寄りさんに教えていただきました)。
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/192498/129530/54121377
『スッキリ!!』で勝谷氏が、埼玉県中3女子父親殺害事件の原因を「夢遊病」であるかのように発言して、番組が謝罪したのは記憶に新しいところですが、またまたやってしまいました。このご仁の失言の多さ、太田誠一か麻生太郎か、はたまた森喜朗かと言ったところでしょうか。
勝谷氏は、物事を正確に認識するのが大の苦手のようなので(「サメ脳」!)、こういう誤爆はこれからもまだまだ続くんでしょうねぇ。
太田誠一氏も農水相を辞任したことだし 、勝谷氏のほうもそろそろホントに消えてくれないかなぁ・・・。

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080919AT1D180D318092008.html
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014166771000.html
17日放送の『コラムの花道』でこの話題を取り上げた勝谷氏、羽振りのいい外資系金融会社社員への日頃からのネタミをぶつけていましたが、「アフラック」もAIGだと思い込んで攻撃したようです。
もちろんアフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)はAIGとは関係ありません。勝谷氏の完全な誤爆です。
私はオンタイムではなく、ポッドキャスティングで聴きましたが、その部分はカットされていたのか、確認できませんでした。
しかし、番組のウェブサイト上に訂正と謝罪が掲載されています(読者のちょっと立ち寄りさんに教えていただきました)。
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/192498/129530/54121377
『スッキリ!!』で勝谷氏が、埼玉県中3女子父親殺害事件の原因を「夢遊病」であるかのように発言して、番組が謝罪したのは記憶に新しいところですが、またまたやってしまいました。このご仁の失言の多さ、太田誠一か麻生太郎か、はたまた森喜朗かと言ったところでしょうか。
勝谷氏は、物事を正確に認識するのが大の苦手のようなので(「サメ脳」!)、こういう誤爆はこれからもまだまだ続くんでしょうねぇ。
太田誠一氏も農水相を辞任したことだし 、勝谷氏のほうもそろそろホントに消えてくれないかなぁ・・・。
2008年09月17日
政局〜パクらない話〜
5人もの立候補者が登場して、自民党総裁選は過去最高の盛り上がり!
かと思いきや、麻生太郎氏優位の情勢が早々に固まってしまったもんだから、たいして盛り上がってはいませんよねぇ。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008091590070446.html
こんなことなら麻生氏の対抗馬を山本一太氏に絞って、歌え踊れの大茶番劇にしてくれたほうが楽しかったかもしれませんね(ちなみに山本氏はブログをやっていて、タイトルは「気分はいつも直滑降」です。まっすぐ進むということらしいですが、滑り落ちてどうすんの!?)。
しかし! そんないまいち盛り上がらない総裁選でも、やらないよりはいいですよね。
勝谷氏が必死になって応援している民主党なんか、対立候補が1人も立たないまま無投票で小沢一郎氏が代表に3選ですから。国民にアピールする気、ゼロ!?
http://www.asahi.com/politics/update/0908/TKY200809080101.html
私なんかが思うに、人前で堂々と議論するのが苦手な小沢氏が、立候補しようとしていた議員に裏から手を回して潰してしまったんだろうなぁ、というところなんですが、勝谷氏に言わせると、それは違うんだそうです。あくまで小沢氏は悪くないと。今月1日の『ムーブ!』での発言です。
「だからこれね、プロレスでよかったんですよ。小沢さんが、小沢さんも認め
ている相手を立てて堂々とやればよかったんで。
小沢さん、『別にボク、怖くないよ。後で恨み持ったりしないよ。』って、
こそっと言ってあげる、そういう根回しをやるべきなのに、小沢さんはたぶ
んそう思ってる、小沢さんの周りがね、小沢さんに気を使いすぎるんだし、
昔は実際にほんとにそういう怖い人だったんですよ。だからボク、小沢さん
よく知ってるけど、今はそんな怖い人じゃないんですよ。だから民主党全体
のことを考えたら、やってもよかった」
これがもし本当でも、やっぱりこの代表でいいのかと思ってしまいますよねぇ。本人が何も言ってないのに、周りが立候補できないぐらいビビってるって、とても健全な状態だとは思えないんですけどねぇ。
ま、その内容はさて措き、問題はこの発言自体です。実はこれパクリなんです。
この放送のほぼ1週間前、8月26日の『ムーブ!』で、勝谷氏とともにコメンテーターを務めていた政治アナリストの伊藤惇夫氏が話しています。
「今の小沢さんはわかりませんけど、前の小沢さんは、自分に刃向かうものが
出てくることに対しては非常にですね、不愉快な感情を持つ人ですからね。
(司会者「『前』って、いつごろのこと?」)
まあ、ついこないだまでですね。」
「今ね、今現在小沢さん自身はそんなにですね、新進党時代のようなですね、
強圧的な態度に出てるとは思えないんですよ。ただ、その周りがですね、い
わゆる『小沢神話』ってものにですね、まだまだこだわってるっていうか、
怯えてるというかね。かつて小沢さんはこういうことやったと、つまり敵を
徹底的に叩き潰すんだと、戦った場合。で、2度と立ち上がれないようにし
て追い出してしまうと。新進党のときはそうでしたからね。そのイメージが
まだ残ってるもんですから、その神話にちょっと怯えてですね、周りが勝手
に自己規制しちゃってる。」
はっきり言って、勝谷氏は他人の話をパクらないと、まともな政局分析や政治論議はできません。ファンである民主党や小沢氏に関してもこの有様ですから、他は推して知るべしです。
ついでですから、もう一つ小沢氏がらみでパクったネタをご紹介しておきます。
昨年秋に起きた自民・民主大連立騒動について、勝谷氏は『偽装国家II』の中で小沢氏の思惑をこう分析しています。
「私は、小沢さんは、トロイの木馬になろうとしたんだと思います。
どういうことか。
大連立の申し出を受諾し、相手の懐に飛び込んで、解散総選挙に持ち込んで
から、その後連立を解く、という作戦です。
今の『ねじれ国会』では政策はほとんど実行できない。となれば、解決方法
は『大連立』か『解散総選挙』しかない。
小沢さんはこのふたつを組み合わせた高等な戦術を立てた。大連立で相手に
手を突っ込んでおいて、その手を抜くと崩壊、そして選挙で勝って政界再編
です。」
私はこの分析を非常に奇異に感じてたんです。騒動発生当初は「小沢は罠にハメられた」とか「小沢氏自身は大連立なんて言ってない」などとわめいていた勝谷氏が、しばらく後になって出した本の中では「高等戦術をもくろんでいた」になってますからね。
で、ちょっと調べてみたら、こんなのがありました。大連立に失敗して小沢氏が代表辞任会見をした直後の週明け、昨年11月5日の『ムーブ!』(もちろん勝谷氏も出演)での元民主党議員・山本穣司氏の発言です。
「まあ、(小沢氏が)本来描いていたのは、選挙後大連立を組んで、そこでガ
ラガラポンをすると、政界再編をやると。まあ、ですから政権奪取より、小
沢さんの頭の中にはいつも政界再編がある。政界再編のためには大臣という
道具を使って党内も説得できるだろうと思ったんじゃないですかねぇ。」
ともに大連立の最終目標を政界再編に置いています。
ただ山本氏はこの大連立には否定的で、小沢氏が言うように民主党が未熟なら、逆に自民に取り込まれてしまうと言っていました。一方の勝谷氏は「高等戦術」と高く評価しています。
また両者の違いで面白いのは、総選挙の時期です。山本氏は「選挙後大連立」と言っていますが、これは今回の連立話が持ち上がる前の小沢氏が「本来描いていた」構想です。だから勝谷氏には参考にならなかったんですね。勝谷氏は選挙の時期まではパクれず混乱しています。前段では「解散総選挙に持ち込んでから、その後連立を解く」と言っていますが、後段では「その手を抜く(連立を解く)と崩壊、そして選挙」と、順序が逆になってしまってます。
政局に関しても他人の見解をパクってばかりに見える勝谷氏ですが、本当に独自の分析はできないんでしょうか?
おそらく氏独自の分析ではないかと思われるものがありましたので、ちょっと見てみましょう。一昨日まで書店に並んでいた『週刊SPA!』08/9/16号に掲載されていた『ニュースバカ一代』VOL.300「福田首相電撃辞任 の巻」です。冒頭でこう言っています。
「福田康夫首相の敵前逃亡と、それを糊塗して総裁選の馬鹿騒ぎという、また
同じ三文芝居で国民を騙して政権の座にしがみつことする与党について真面
目に分析していると、書いているキーボードが腐りそうだ。ここは一つ距離
を置いて、私がいつも使っている戯画化で今の状況を遊んでみたいと思う」
内容を要約してみると、こんな感じ。
【自民党=信用できない男】
「土建屋などの悪友とつるんでギャンブルにカネを注ぎ込み、公明党という愛人もいるらしい。しかし、とにもかくにも何日に1回かは家に帰ってきて、あなたの生活が成り立つようにはしてくれていた。」
しかし、「ここのところつき合った二人の男は」「突然疾走してしまった」。
今度の男は「多少ヒョットコに似ているがマンガ好きないい奴だから」と言われても・・・。
【民主党=頼りない男】
「ようやく会社でキレるのもなくなり、真面目に勤め始めている」。
「女性のつもりになって『このどちらかを選ばなくてはいけないならどうしますか』」だって。
なんだか以前やった「『ムーブ!』をほめ殺す」というコラムみたいになってますねぇ。
なんで公明党が「愛人」という例えなのかわかりませんが、だったら「頼りない男」のほうも今必死で国民新党抱き込もうとしてるじゃないですか。新党日本も愛人に加わりそうですよ。
党全体は「頼りない男」かもしれないけど、代表はもともとバリバリの「信用できない男」ですからねぇ。
ま、ふざけて書いているようなこと言っていますが、勝谷氏の「パクらない」政局分析なんて精一杯やってこの程度ですよ。
読まされたこっちの目が腐りそうです。

(別に私は自民支持でも反民主でも創価学会員でもありません。誤解のないように。)

かと思いきや、麻生太郎氏優位の情勢が早々に固まってしまったもんだから、たいして盛り上がってはいませんよねぇ。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008091590070446.html
こんなことなら麻生氏の対抗馬を山本一太氏に絞って、歌え踊れの大茶番劇にしてくれたほうが楽しかったかもしれませんね(ちなみに山本氏はブログをやっていて、タイトルは「気分はいつも直滑降」です。まっすぐ進むということらしいですが、滑り落ちてどうすんの!?)。
しかし! そんないまいち盛り上がらない総裁選でも、やらないよりはいいですよね。
勝谷氏が必死になって応援している民主党なんか、対立候補が1人も立たないまま無投票で小沢一郎氏が代表に3選ですから。国民にアピールする気、ゼロ!?
http://www.asahi.com/politics/update/0908/TKY200809080101.html
私なんかが思うに、人前で堂々と議論するのが苦手な小沢氏が、立候補しようとしていた議員に裏から手を回して潰してしまったんだろうなぁ、というところなんですが、勝谷氏に言わせると、それは違うんだそうです。あくまで小沢氏は悪くないと。今月1日の『ムーブ!』での発言です。
「だからこれね、プロレスでよかったんですよ。小沢さんが、小沢さんも認め
ている相手を立てて堂々とやればよかったんで。
小沢さん、『別にボク、怖くないよ。後で恨み持ったりしないよ。』って、
こそっと言ってあげる、そういう根回しをやるべきなのに、小沢さんはたぶ
んそう思ってる、小沢さんの周りがね、小沢さんに気を使いすぎるんだし、
昔は実際にほんとにそういう怖い人だったんですよ。だからボク、小沢さん
よく知ってるけど、今はそんな怖い人じゃないんですよ。だから民主党全体
のことを考えたら、やってもよかった」
これがもし本当でも、やっぱりこの代表でいいのかと思ってしまいますよねぇ。本人が何も言ってないのに、周りが立候補できないぐらいビビってるって、とても健全な状態だとは思えないんですけどねぇ。
ま、その内容はさて措き、問題はこの発言自体です。実はこれパクリなんです。
この放送のほぼ1週間前、8月26日の『ムーブ!』で、勝谷氏とともにコメンテーターを務めていた政治アナリストの伊藤惇夫氏が話しています。
「今の小沢さんはわかりませんけど、前の小沢さんは、自分に刃向かうものが
出てくることに対しては非常にですね、不愉快な感情を持つ人ですからね。
(司会者「『前』って、いつごろのこと?」)
まあ、ついこないだまでですね。」
「今ね、今現在小沢さん自身はそんなにですね、新進党時代のようなですね、
強圧的な態度に出てるとは思えないんですよ。ただ、その周りがですね、い
わゆる『小沢神話』ってものにですね、まだまだこだわってるっていうか、
怯えてるというかね。かつて小沢さんはこういうことやったと、つまり敵を
徹底的に叩き潰すんだと、戦った場合。で、2度と立ち上がれないようにし
て追い出してしまうと。新進党のときはそうでしたからね。そのイメージが
まだ残ってるもんですから、その神話にちょっと怯えてですね、周りが勝手
に自己規制しちゃってる。」
はっきり言って、勝谷氏は他人の話をパクらないと、まともな政局分析や政治論議はできません。ファンである民主党や小沢氏に関してもこの有様ですから、他は推して知るべしです。
ついでですから、もう一つ小沢氏がらみでパクったネタをご紹介しておきます。
昨年秋に起きた自民・民主大連立騒動について、勝谷氏は『偽装国家II』の中で小沢氏の思惑をこう分析しています。
「私は、小沢さんは、トロイの木馬になろうとしたんだと思います。
どういうことか。
大連立の申し出を受諾し、相手の懐に飛び込んで、解散総選挙に持ち込んで
から、その後連立を解く、という作戦です。
今の『ねじれ国会』では政策はほとんど実行できない。となれば、解決方法
は『大連立』か『解散総選挙』しかない。
小沢さんはこのふたつを組み合わせた高等な戦術を立てた。大連立で相手に
手を突っ込んでおいて、その手を抜くと崩壊、そして選挙で勝って政界再編
です。」
私はこの分析を非常に奇異に感じてたんです。騒動発生当初は「小沢は罠にハメられた」とか「小沢氏自身は大連立なんて言ってない」などとわめいていた勝谷氏が、しばらく後になって出した本の中では「高等戦術をもくろんでいた」になってますからね。
で、ちょっと調べてみたら、こんなのがありました。大連立に失敗して小沢氏が代表辞任会見をした直後の週明け、昨年11月5日の『ムーブ!』(もちろん勝谷氏も出演)での元民主党議員・山本穣司氏の発言です。
「まあ、(小沢氏が)本来描いていたのは、選挙後大連立を組んで、そこでガ
ラガラポンをすると、政界再編をやると。まあ、ですから政権奪取より、小
沢さんの頭の中にはいつも政界再編がある。政界再編のためには大臣という
道具を使って党内も説得できるだろうと思ったんじゃないですかねぇ。」
ともに大連立の最終目標を政界再編に置いています。
ただ山本氏はこの大連立には否定的で、小沢氏が言うように民主党が未熟なら、逆に自民に取り込まれてしまうと言っていました。一方の勝谷氏は「高等戦術」と高く評価しています。
また両者の違いで面白いのは、総選挙の時期です。山本氏は「選挙後大連立」と言っていますが、これは今回の連立話が持ち上がる前の小沢氏が「本来描いていた」構想です。だから勝谷氏には参考にならなかったんですね。勝谷氏は選挙の時期まではパクれず混乱しています。前段では「解散総選挙に持ち込んでから、その後連立を解く」と言っていますが、後段では「その手を抜く(連立を解く)と崩壊、そして選挙」と、順序が逆になってしまってます。
政局に関しても他人の見解をパクってばかりに見える勝谷氏ですが、本当に独自の分析はできないんでしょうか?
おそらく氏独自の分析ではないかと思われるものがありましたので、ちょっと見てみましょう。一昨日まで書店に並んでいた『週刊SPA!』08/9/16号に掲載されていた『ニュースバカ一代』VOL.300「福田首相電撃辞任 の巻」です。冒頭でこう言っています。
「福田康夫首相の敵前逃亡と、それを糊塗して総裁選の馬鹿騒ぎという、また
同じ三文芝居で国民を騙して政権の座にしがみつことする与党について真面
目に分析していると、書いているキーボードが腐りそうだ。ここは一つ距離
を置いて、私がいつも使っている戯画化で今の状況を遊んでみたいと思う」
内容を要約してみると、こんな感じ。
【自民党=信用できない男】
「土建屋などの悪友とつるんでギャンブルにカネを注ぎ込み、公明党という愛人もいるらしい。しかし、とにもかくにも何日に1回かは家に帰ってきて、あなたの生活が成り立つようにはしてくれていた。」
しかし、「ここのところつき合った二人の男は」「突然疾走してしまった」。
今度の男は「多少ヒョットコに似ているがマンガ好きないい奴だから」と言われても・・・。
【民主党=頼りない男】
「ようやく会社でキレるのもなくなり、真面目に勤め始めている」。
「女性のつもりになって『このどちらかを選ばなくてはいけないならどうしますか』」だって。
なんだか以前やった「『ムーブ!』をほめ殺す」というコラムみたいになってますねぇ。
なんで公明党が「愛人」という例えなのかわかりませんが、だったら「頼りない男」のほうも今必死で国民新党抱き込もうとしてるじゃないですか。新党日本も愛人に加わりそうですよ。
党全体は「頼りない男」かもしれないけど、代表はもともとバリバリの「信用できない男」ですからねぇ。
ま、ふざけて書いているようなこと言っていますが、勝谷氏の「パクらない」政局分析なんて精一杯やってこの程度ですよ。
読まされたこっちの目が腐りそうです。
(別に私は自民支持でも反民主でも創価学会員でもありません。誤解のないように。)
2008年09月12日
福山雅治に嫉妬
テレビ朝日の北京オリンピック公式カメラマンは福山雅治氏です。
http://www.asahi.com/showbiz/news_entertainment/TKY200808220295.html
ミュージシャンとして数々のヒット曲を世に出し、ドラマ・映画で俳優としても活躍する福山氏、公式カメラマンを務めるのは、今回で3度目です。
最初のシドニーのときには、「素人のくせに、人気タレントだからって公式カメラマンとは笑わせる」なんて陰口叩かれるほど話題性がありましたが、今回はテレ朝の宣伝が弱かったせいか、「え、やってたの?」なんて思ったかたも多いんじゃないでしょうか。
テレ朝の公式カメラマンとして撮った福山氏の五輪写真を、是非「プロのカメラマン」たる勝谷氏に評価してほしかったんですが、結局そういう機会はありませんでした。
しかし、です。
実は北京オリンピック以前に、勝谷氏は福山氏の写真についてコメントしたことがあったんです。
福山氏は今年4月5日から5月25日まで『PHOTO STAGE III〜残響〜』という写真展を長崎で開いています。
福山氏の出身地である長崎を写した写真の他、旅の写真や、知り合いの写真家の作品も展示されていたそうです。
http://mainichi.jp/enta/geinou/graph/200804/04/
この話題は、4月1日の『ムーブ!』の芸能コーナーでも取り上げられたんですが、そのときに勝谷氏が福山氏の写真を見ながら、こうコメントしました。
「ま、だから、あれモノクロ、紙焼きでしょ? 銀影フィルムを使った。
これは写真の腕じゃなくって、ラボマンの焼く腕ですから。どういう風に焼
くかってことによって、きれいに見えるかどうかですから。それは素晴らし
いあれを使ってれば上手に見えますよ。」
私、この発言を聞いたとき、少なからず驚いてしまいました。何がかって、「仮にもプロのカメラマンがこんなこと言うか?」と思って。
私のような写真にたいしてこだわりのない、いわば普通の人間が使用しているフィルムはカラーのネガフィルムです。撮影し終わったらフィルムをカメラから取り出して、街の現像屋(ラボ)に持っていきますよね。現像し終わったフィルムを見ると、撮ったものとは色や明暗が逆になっています。
ラボでは、このネガフィルムから元の色・明暗に戻した画像を写真紙にプリント(紙焼き)してくれます。これが普通の「写真」ですよね。じゃ、紙焼きでない写真はというと、例えばスライド写真なんかがそうですね。
写真に詳しくないかたはご存じないかもしれませんが、この紙にプリントしてもらった写真というのは、たいがいラボ側が色調や明暗を補正してくれています。だから露出に失敗したような写真でも、ある程度は直してきれいにしてくれているわけです。
私は今はデジカメで自分のフィギュアを撮影していますが、昔はフィルムでとって現像・プリントに出していました。しかし出したラボによって、できてきた写真は「全然」と言っていいほど色合いが違うんです。
だから自分の気に入ったラボを見つけるのに苦労したり、気に入ったラボに対しても「もっとマゼンタ(赤)強めに」とか「イエロー抑えて」とか注文して、鬱陶しがられたりしました(そういう注文、一応どこのラボでも聞いてはくれるんですよ)。
勝谷氏の言っている「ラボマンの焼く腕」とは、つまりそういうことです。ラボマンの腕の良し悪しによって、確かに写真の出来はかなり違ってはきます。
しかし、なんですよ。
『ムーブ!』で紹介していた福山氏の写真はモノクロでしたよね。勝谷氏も「モノクロ」と、ちゃんと言っています。つまり福山氏はモノクロフィルムで撮影したと考えられるわけです。このモノクロフィルムというのは、カラーフィルムと違って、現像・プリントが自分で簡単にできるんですよ。
高校や大学の写真部って、たいがいモノクロ写真撮ってますよね。モノクロのほうが写真の基本だから、その基本を学ぶっていう意味もあるんでしょうが、もっと大きな理由は、自分たちで現像・プリントが出来るからだと思います。
私は写真部ではありませんでしたが、知り合いの写真部員が部室の奥にある暗室で現像・プリントするところを見せてもらったことがあります。
つまり、勝谷氏は福山氏が腕のいいラボマンを使ったように言っていますが、カラーフィルムではなくモノクロフィルムなんだから、福山氏本人が現像・プリントまでやった可能性は大きいんですよ。私はむしろ、その可能性のほうが高いと思っています。
だから勝谷氏が、福山氏がラボマンに焼かせたと決めつけているのが不思議なんです。ひょっとして勝谷氏は、プロのカメラマンのくせに自分で現像・プリントしたことないんじゃないでしょうか?
また、例え福山氏が腕のいいラボマンを使ったとしても、それだけで写真の出来が決まるわけではありませんよね。
ラボマンは明るさやコントラストは調節できても、写真の構図やボケ具合やシャッタースピード、テーマやアイデアまで変えることはできませんよ。
そういうところに関心が向かないところも、「この人、ほんとにプロのカメラマンなのか?」って思ってしまいます。
さらにもう一つ言うなら、明るさやコントラクトをラボマンがやったとしても、最終的にOKを出すのは福山氏です。だからその部分に関しても、福山氏の仕事と言っていいはずです。
以前テレビで、篠山紀信氏が撮影するところを見たことがあります。
スタジオで女の人を撮影する場面でしたが、はじめスタジオには篠山氏はいないんです。別の部屋で待機しているんですね。スタジオではお弟子さんたちがライティングやらなんやら、セッティングしています。
で、それが完了すると、篠山氏を呼びにいくわけです。スタジオに篠山氏がおもむろに入ってきて、カメラの前に立って、モデルのほうを見ます。と次の瞬間、無言でクルッと後ろを向いて歩き出し、スタジオを出て行ってしまったんです。セッティングが気に入らなかったようです。
お弟子さんたち、師匠が何に不満だったか推測しながら必死でやり直しです。できあがって、恐る恐る師匠を呼ぶと、今度はOK。篠山氏はモデルに声をかけてシャッターを押すだけでした。
勝谷氏は、有名カメラマンがこういう撮影をしていることを知らないんでしょうかねぇ? 篠山氏にも言ってほしいもんですな、「弟子の腕がいいから、いい写真が撮れるんだ」って。ま、言えないでしょうね、ビビっちゃって。
結局勝谷氏、自分を「プロのカメラマン」と称しながら、写真のことなんか全然わかってないんですよ。
そうでないとしたら、あの『ムーブ!』での発言は何だったのか? 若くて男前で多才な素人カメラマン・福山雅治に嫉妬して、ついイヤミを口にしちゃったんでしょか? 勝谷氏が福山雅治に嫉妬!? イヤミも的外れなら、嫉妬そのものも的外れですな。


http://www.asahi.com/showbiz/news_entertainment/TKY200808220295.html
ミュージシャンとして数々のヒット曲を世に出し、ドラマ・映画で俳優としても活躍する福山氏、公式カメラマンを務めるのは、今回で3度目です。
最初のシドニーのときには、「素人のくせに、人気タレントだからって公式カメラマンとは笑わせる」なんて陰口叩かれるほど話題性がありましたが、今回はテレ朝の宣伝が弱かったせいか、「え、やってたの?」なんて思ったかたも多いんじゃないでしょうか。
テレ朝の公式カメラマンとして撮った福山氏の五輪写真を、是非「プロのカメラマン」たる勝谷氏に評価してほしかったんですが、結局そういう機会はありませんでした。
しかし、です。
実は北京オリンピック以前に、勝谷氏は福山氏の写真についてコメントしたことがあったんです。
福山氏は今年4月5日から5月25日まで『PHOTO STAGE III〜残響〜』という写真展を長崎で開いています。
福山氏の出身地である長崎を写した写真の他、旅の写真や、知り合いの写真家の作品も展示されていたそうです。
http://mainichi.jp/enta/geinou/graph/200804/04/
この話題は、4月1日の『ムーブ!』の芸能コーナーでも取り上げられたんですが、そのときに勝谷氏が福山氏の写真を見ながら、こうコメントしました。
「ま、だから、あれモノクロ、紙焼きでしょ? 銀影フィルムを使った。
これは写真の腕じゃなくって、ラボマンの焼く腕ですから。どういう風に焼
くかってことによって、きれいに見えるかどうかですから。それは素晴らし
いあれを使ってれば上手に見えますよ。」
私、この発言を聞いたとき、少なからず驚いてしまいました。何がかって、「仮にもプロのカメラマンがこんなこと言うか?」と思って。
私のような写真にたいしてこだわりのない、いわば普通の人間が使用しているフィルムはカラーのネガフィルムです。撮影し終わったらフィルムをカメラから取り出して、街の現像屋(ラボ)に持っていきますよね。現像し終わったフィルムを見ると、撮ったものとは色や明暗が逆になっています。
ラボでは、このネガフィルムから元の色・明暗に戻した画像を写真紙にプリント(紙焼き)してくれます。これが普通の「写真」ですよね。じゃ、紙焼きでない写真はというと、例えばスライド写真なんかがそうですね。
写真に詳しくないかたはご存じないかもしれませんが、この紙にプリントしてもらった写真というのは、たいがいラボ側が色調や明暗を補正してくれています。だから露出に失敗したような写真でも、ある程度は直してきれいにしてくれているわけです。
私は今はデジカメで自分のフィギュアを撮影していますが、昔はフィルムでとって現像・プリントに出していました。しかし出したラボによって、できてきた写真は「全然」と言っていいほど色合いが違うんです。
だから自分の気に入ったラボを見つけるのに苦労したり、気に入ったラボに対しても「もっとマゼンタ(赤)強めに」とか「イエロー抑えて」とか注文して、鬱陶しがられたりしました(そういう注文、一応どこのラボでも聞いてはくれるんですよ)。
勝谷氏の言っている「ラボマンの焼く腕」とは、つまりそういうことです。ラボマンの腕の良し悪しによって、確かに写真の出来はかなり違ってはきます。
しかし、なんですよ。
『ムーブ!』で紹介していた福山氏の写真はモノクロでしたよね。勝谷氏も「モノクロ」と、ちゃんと言っています。つまり福山氏はモノクロフィルムで撮影したと考えられるわけです。このモノクロフィルムというのは、カラーフィルムと違って、現像・プリントが自分で簡単にできるんですよ。
高校や大学の写真部って、たいがいモノクロ写真撮ってますよね。モノクロのほうが写真の基本だから、その基本を学ぶっていう意味もあるんでしょうが、もっと大きな理由は、自分たちで現像・プリントが出来るからだと思います。
私は写真部ではありませんでしたが、知り合いの写真部員が部室の奥にある暗室で現像・プリントするところを見せてもらったことがあります。
つまり、勝谷氏は福山氏が腕のいいラボマンを使ったように言っていますが、カラーフィルムではなくモノクロフィルムなんだから、福山氏本人が現像・プリントまでやった可能性は大きいんですよ。私はむしろ、その可能性のほうが高いと思っています。
だから勝谷氏が、福山氏がラボマンに焼かせたと決めつけているのが不思議なんです。ひょっとして勝谷氏は、プロのカメラマンのくせに自分で現像・プリントしたことないんじゃないでしょうか?
また、例え福山氏が腕のいいラボマンを使ったとしても、それだけで写真の出来が決まるわけではありませんよね。
ラボマンは明るさやコントラストは調節できても、写真の構図やボケ具合やシャッタースピード、テーマやアイデアまで変えることはできませんよ。
そういうところに関心が向かないところも、「この人、ほんとにプロのカメラマンなのか?」って思ってしまいます。
さらにもう一つ言うなら、明るさやコントラクトをラボマンがやったとしても、最終的にOKを出すのは福山氏です。だからその部分に関しても、福山氏の仕事と言っていいはずです。
以前テレビで、篠山紀信氏が撮影するところを見たことがあります。
スタジオで女の人を撮影する場面でしたが、はじめスタジオには篠山氏はいないんです。別の部屋で待機しているんですね。スタジオではお弟子さんたちがライティングやらなんやら、セッティングしています。
で、それが完了すると、篠山氏を呼びにいくわけです。スタジオに篠山氏がおもむろに入ってきて、カメラの前に立って、モデルのほうを見ます。と次の瞬間、無言でクルッと後ろを向いて歩き出し、スタジオを出て行ってしまったんです。セッティングが気に入らなかったようです。
お弟子さんたち、師匠が何に不満だったか推測しながら必死でやり直しです。できあがって、恐る恐る師匠を呼ぶと、今度はOK。篠山氏はモデルに声をかけてシャッターを押すだけでした。
勝谷氏は、有名カメラマンがこういう撮影をしていることを知らないんでしょうかねぇ? 篠山氏にも言ってほしいもんですな、「弟子の腕がいいから、いい写真が撮れるんだ」って。ま、言えないでしょうね、ビビっちゃって。
結局勝谷氏、自分を「プロのカメラマン」と称しながら、写真のことなんか全然わかってないんですよ。
そうでないとしたら、あの『ムーブ!』での発言は何だったのか? 若くて男前で多才な素人カメラマン・福山雅治に嫉妬して、ついイヤミを口にしちゃったんでしょか? 勝谷氏が福山雅治に嫉妬!? イヤミも的外れなら、嫉妬そのものも的外れですな。
2008年09月08日
文筆の死神がお待ちかね
前々回の記事で、2003年にイラクで2人の外交官が殺害されたときの『勝谷誠彦の××な日々。』を取り上げました。
今回の記事はこのときの日記を踏まえて読んでいただきたいので、もう1度それを掲載しておきます。
11月30日
「ついに日本人がイラクで殺された。今のところの情報では外交官のようだが
この時期に護衛なしでティクリート(!)にのこのこ出かける危機意識こそ
が自衛隊を送り込む無謀と相通じると言っていい。しかも軽防弾の4輪駆動
車だと?プレスだか外交官だかともかく外国の殺すに値する人間が乗ってい
ると宣伝しつつ実は何も効果もない気休め防御。旗を建てて全裸で街を歩き
回っているキチガイの類である。」
12月1日
「昨日正午。奥克彦、井ノ上正盛の二人の日本国外交官の死の詳細を告げるテ
レビを消して私は近くの靖国神社に行ったのであった。どうという強烈な意
志があったわけではない。あるいは九段下あたりで昼食には蕎麦を手繰ろう
かという不純な動機もあったかもしれぬ。しかし気がつくと私は社頭で頭を
下げたとえそれがいかに愚劣な使命であっても国家の命じた任務に殉じた二
人とイラク人運転手に深く哀悼の誠を捧げていたのであった。そしてまたこ
れから赴くあまたの同胞たちを護りたまえと。」
12月2日
「イラクの日本人外交官射殺の陰鬱なニュースから画面が一転して道場猿と野
球馬鹿が満面の笑みで登場する。一瞬私は耳を疑った。『奥さん』『奥さ〜
ん』。奥克彦参事官のことばかり考えていた私はここで振られると何を言っ
ていたか自信がない。結婚届けを出して『奥さん』になった田村亮子に対し
て周囲がさかんに声をかけて返事をさせようとしていたのだ。本人の脳は筋
肉で周囲の脳は銭でできている動物たちの頭ではこの日この場でそういうや
りとりをすることに何の躊躇もなかったろう。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今年6月、朝日新聞のコラム『素粒子』が物議をかもしましたよね。18日の夕刊で、当時の法務大臣・鳩山邦夫氏を「死に神」と表現した、あれです。
こう書いていました。
「永世死刑執行人 鳩山法相。『自信と責任』に胸を張り、2カ月間隔でゴー
サイン出して新記録達成。またの名、死に神。」
これに対して読者から抗議が殺到したため、翌日19日の『素粒子』ではこういう釈明が掲載されました。
「鳩山法相の件で千件超の抗議をいただく。『法相は職務を全うしているだ
け』『死に神とはふざけすぎ』との内容でした。・・・①
法相のご苦労や、被害者遺族の思いは十分認識しています。それでも、死
刑執行の数の多さをチクリと刺したつもりです。・・・②
風刺コラムはつくづく難しいと思う。法相らを中傷する意図はまったくあ
りません。表現の方法や技量をもっと磨かねば。・・・③」
(番号付けは東田による)
こんな中途半端な釈明に批判がやむわけもなく、25日には『全国犯罪被害者の会(あすの会)』が、7月3日には『地下鉄サリン事件被害者の会』が朝日新聞に抗議しています。
http://news.biglobe.ne.jp/social/jc_080704_7178011555.html
勝谷氏はこの件を6月25日放送の『コラムの花道』で取り上げました。
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080625.mp3
その中で勝谷氏、同じコラムを書くものとして、こんな発言をしています。
「コラムニストっていうのはね、自分の書いた物と心中する仕事だとオレは思
ってるんですよ。いざとなったら筆を擱(お)くんですよ、本当に間違った
と思ったら。
そしたらその翌日の『素粒子』のみっともなさ!」
カッコいいですねぇ。素晴らしい心構えです!
ただ、細かいことを言わせていただければ、文筆家を廃業するという慣用表現は「筆を擱く」ではなく、「筆を折る」です。「筆を擱く」というのは「文章を書き終える。書いてしまう」という意味です。威勢良く語った割には、ここはちょっとカッコわるかったですね。
で、『素粒子』の釈明の「みっともなさ」が、具体的にどういうところかと言うと、こういうところだそうです。
「(①について)たった12行の中の2行ぐらいを、読者からの手紙で潰して
いる。カネ返せ!」
「(②について)コラムニストが、自分のコラムを説明したら終わり!」
「(③について)最後がボヤキ!」
そこで勝谷氏、「自分なら19日の『素粒子』をこう書く!」とお手本を示してくれました。それがこれです!
・・・何でしょうか、これ?
謝ってるのか? 謝ってないのか? どっちなんでしょうか?
誰に何を言いたいのか、まったく判然としない文章ですよね。こんなもん、実際の『素粒子』の釈明よりヒドいじゃないですか。
勝谷氏によるとこの文章は、「全然違う方向に話を持ってい」ったり「相手(鳩山氏)のほうに投げ」たりという技巧が駆使されているんだそうです。
しかし、そんなものに何の意味があるのか!? 返って神経に障るだけだ!
自分の書いたことは間違いなのか、間違いでないのか、ハッキリ見解を示す。その上で間違っていたなら率直に謝罪し、間違っていないというなら堂々と反論する。そういう単純な対応こそが、最も大事なんじゃないでしょうかねぇ。
氏の「お手本」のように技巧を鼻にかけて読者を煙に巻こうという態度こそ、一片の誠意も感じない、コラムニストとして恥ずべき文章だと思いますよ、私は。
冒頭に再掲した日記は、はじめに死者を「キチガイ」と罵倒し、批判が噴出すれば翌日には哀悼する心を持っていると装い、それでもダメなら無関係なスポーツマンに矛先を反らそうとする卑怯姑息な文章でした。
それから4年半。勝谷氏はまったく何も変わっていないようです。自分で作った『素粒子』の「お手本」について、こう言っています。
「どんなもんだ!」
「私はこれを2分ぐらいで書きました。」
勝谷さん、アンタは文筆家としてはとっくに死んでますよ。職業上の死神をこれ以上待たせないで、とっとと筆を「折って」、地獄へ連れて行ってもらってください。

今回の記事はこのときの日記を踏まえて読んでいただきたいので、もう1度それを掲載しておきます。
11月30日
「ついに日本人がイラクで殺された。今のところの情報では外交官のようだが
この時期に護衛なしでティクリート(!)にのこのこ出かける危機意識こそ
が自衛隊を送り込む無謀と相通じると言っていい。しかも軽防弾の4輪駆動
車だと?プレスだか外交官だかともかく外国の殺すに値する人間が乗ってい
ると宣伝しつつ実は何も効果もない気休め防御。旗を建てて全裸で街を歩き
回っているキチガイの類である。」
12月1日
「昨日正午。奥克彦、井ノ上正盛の二人の日本国外交官の死の詳細を告げるテ
レビを消して私は近くの靖国神社に行ったのであった。どうという強烈な意
志があったわけではない。あるいは九段下あたりで昼食には蕎麦を手繰ろう
かという不純な動機もあったかもしれぬ。しかし気がつくと私は社頭で頭を
下げたとえそれがいかに愚劣な使命であっても国家の命じた任務に殉じた二
人とイラク人運転手に深く哀悼の誠を捧げていたのであった。そしてまたこ
れから赴くあまたの同胞たちを護りたまえと。」
12月2日
「イラクの日本人外交官射殺の陰鬱なニュースから画面が一転して道場猿と野
球馬鹿が満面の笑みで登場する。一瞬私は耳を疑った。『奥さん』『奥さ〜
ん』。奥克彦参事官のことばかり考えていた私はここで振られると何を言っ
ていたか自信がない。結婚届けを出して『奥さん』になった田村亮子に対し
て周囲がさかんに声をかけて返事をさせようとしていたのだ。本人の脳は筋
肉で周囲の脳は銭でできている動物たちの頭ではこの日この場でそういうや
りとりをすることに何の躊躇もなかったろう。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今年6月、朝日新聞のコラム『素粒子』が物議をかもしましたよね。18日の夕刊で、当時の法務大臣・鳩山邦夫氏を「死に神」と表現した、あれです。
こう書いていました。
「永世死刑執行人 鳩山法相。『自信と責任』に胸を張り、2カ月間隔でゴー
サイン出して新記録達成。またの名、死に神。」
これに対して読者から抗議が殺到したため、翌日19日の『素粒子』ではこういう釈明が掲載されました。
「鳩山法相の件で千件超の抗議をいただく。『法相は職務を全うしているだ
け』『死に神とはふざけすぎ』との内容でした。・・・①
法相のご苦労や、被害者遺族の思いは十分認識しています。それでも、死
刑執行の数の多さをチクリと刺したつもりです。・・・②
風刺コラムはつくづく難しいと思う。法相らを中傷する意図はまったくあ
りません。表現の方法や技量をもっと磨かねば。・・・③」
(番号付けは東田による)
こんな中途半端な釈明に批判がやむわけもなく、25日には『全国犯罪被害者の会(あすの会)』が、7月3日には『地下鉄サリン事件被害者の会』が朝日新聞に抗議しています。
http://news.biglobe.ne.jp/social/jc_080704_7178011555.html
勝谷氏はこの件を6月25日放送の『コラムの花道』で取り上げました。
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080625.mp3
その中で勝谷氏、同じコラムを書くものとして、こんな発言をしています。
「コラムニストっていうのはね、自分の書いた物と心中する仕事だとオレは思
ってるんですよ。いざとなったら筆を擱(お)くんですよ、本当に間違った
と思ったら。
そしたらその翌日の『素粒子』のみっともなさ!」
カッコいいですねぇ。素晴らしい心構えです!
ただ、細かいことを言わせていただければ、文筆家を廃業するという慣用表現は「筆を擱く」ではなく、「筆を折る」です。「筆を擱く」というのは「文章を書き終える。書いてしまう」という意味です。威勢良く語った割には、ここはちょっとカッコわるかったですね。
で、『素粒子』の釈明の「みっともなさ」が、具体的にどういうところかと言うと、こういうところだそうです。
「(①について)たった12行の中の2行ぐらいを、読者からの手紙で潰して
いる。カネ返せ!」
「(②について)コラムニストが、自分のコラムを説明したら終わり!」
「(③について)最後がボヤキ!」
そこで勝谷氏、「自分なら19日の『素粒子』をこう書く!」とお手本を示してくれました。それがこれです!
鳩山法相の件で1000件超えの抗議をいただく。あえて死神に例えた効果があったかと微苦笑。意見すべてを拝見するも、その千差万別に『裁判員制度は大丈夫だろうか?』といささか危惧するが。法相の心中や如何。机を叩いての抗議に、ハンコを突く重さを思い、頭を垂れる。被害者遺族のお気持ちや、ましてや。風刺コラムと言われるが、風を刺すほどの力も我がペンになし。ただし今回のように議論の風を巻き起こすなら、まだしもかいありと今日も机に向かう。
・・・何でしょうか、これ?
謝ってるのか? 謝ってないのか? どっちなんでしょうか?
誰に何を言いたいのか、まったく判然としない文章ですよね。こんなもん、実際の『素粒子』の釈明よりヒドいじゃないですか。
勝谷氏によるとこの文章は、「全然違う方向に話を持ってい」ったり「相手(鳩山氏)のほうに投げ」たりという技巧が駆使されているんだそうです。
しかし、そんなものに何の意味があるのか!? 返って神経に障るだけだ!
自分の書いたことは間違いなのか、間違いでないのか、ハッキリ見解を示す。その上で間違っていたなら率直に謝罪し、間違っていないというなら堂々と反論する。そういう単純な対応こそが、最も大事なんじゃないでしょうかねぇ。
氏の「お手本」のように技巧を鼻にかけて読者を煙に巻こうという態度こそ、一片の誠意も感じない、コラムニストとして恥ずべき文章だと思いますよ、私は。
冒頭に再掲した日記は、はじめに死者を「キチガイ」と罵倒し、批判が噴出すれば翌日には哀悼する心を持っていると装い、それでもダメなら無関係なスポーツマンに矛先を反らそうとする卑怯姑息な文章でした。
それから4年半。勝谷氏はまったく何も変わっていないようです。自分で作った『素粒子』の「お手本」について、こう言っています。
「どんなもんだ!」
「私はこれを2分ぐらいで書きました。」
勝谷さん、アンタは文筆家としてはとっくに死んでますよ。職業上の死神をこれ以上待たせないで、とっとと筆を「折って」、地獄へ連れて行ってもらってください。
2008年09月05日
陛下のお背中で妄想するな!
先月26日アフガニスタン東部のジャララバード付近で、NGO『ペシャワール会』のメンバー・伊藤和也氏が、現地の武装グループによって拉致・殺害されました。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080827-4066805/news/20080829-OYT1T00106.htm
現在発売中の『週刊SPA!』08/9/9号に掲載されている『ニュースバカ一代』VOL.299「アフガン邦人殺人事件 の巻」では、この事件が取り上げられています。
勝谷氏はそこで「政府の無策」を批判しています。
「政府の無策とは何か。政治の不在で結局は自衛隊を出す出さないも決めな
いまま、NGOの人々の献身だけに頼る中途半端な状態を放置し続けたこ
とだ。カブールの大使館から百五十キロしか離れていないにもかかわらず、
すぐに伊藤さんの救出活動に参加するスタッフを送らなかったことだ。銃
撃戦になる前に日本国政府が関与していれば、伊藤さんを救えた可能性が
あると私は考えている。」
大使館スタッフが現場に急行すべきだったという話はここでは措くとして、私が特に違和感を感じるのは自衛隊派遣の話なんですね。
勝谷氏の言いかたでは「出す出さないを決めない」のがダメなのか「NGOの人々の献身だけに頼」っていることがダメなのか判然としませんが、ずっと自衛隊が派遣されていない実状から考えて、結局自衛隊を派遣しないことがダメなんだという主張で間違いないでしょう。
しかし、なぜこんなまどろっこしい言いかたなんでしょうねぇ。ハッキリ「自衛隊を出せ」と言えばいいじゃないですか。私には、なんだかそうハッキリ言えない後ろめたさがあるように思えるんですがねぇ。
その後ろめたさの原因の1つは、当の『ペシャワール会』が自衛隊の派遣を望んでいなかったという事実でしょう。
『ペシャワール会』は「銃剣に守られた復興支援はありえない」という方針を持っており、政府が派遣を本格的に検討しはじめた6月には、もし自衛隊が派遣されれば「日本人が武装勢力の攻撃対象となるのは確実で、会員の安全確保が難しくなる」として、現地の邦人スタッフを全員帰国させ、活動を一時停止せざるを得ないとまで述べています。
http://www.2nn.jp/news5plus/1212848696/
また、昨年11月の段階ですが、『ペシャワール会』以外のNGOも派遣には反対しています。
http://www.news.janjan.jp/world/0711/0711195872/1.php
勝谷氏は伊藤和也氏個人とともに、この『ペシャワール会』の活動を高く評価しています。しかし、にもかかわらず氏の主張は、その『ペシャワール会』や他のNGOの考えを無視し、復興支援そのものを停止させてでも自衛隊を派遣せよというもので、矛盾をはらんでいます。
だからああいうまどろっこしい言いいかたになるわけです。
それにしても、私は勝谷氏にそこまでして派遣を主張する本質的な理由があるとは思えません。しかし、非本質的な理由なら思い当たるものがあります。
それは、勝谷氏が敬愛してやまない(口先では「支持してない」と言っていますが)民主党代表・小沢一郎氏がアフガニスタンへの自衛隊派遣に積極的な姿勢を示しているという事実です。
小沢氏は月刊誌『世界』07年11月号に寄稿した論文で、アフガニスタン本土に展開する国際治安支援部隊(ISAF)への参加を「政権を取ったら実現したいと思う」と明言しています。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071007/plc0710071946003-n1.htm
ついでに言うなら、この派遣に強く反対していたのが政府与党の一翼を担う公明党であることも想起しておきましょう。
つまり勝谷氏は、小沢民主党代表を支持し、政府を攻撃することで、自身の望む政権交代へ少しでも近づけようとする政治的意図から、こういう主張をコラムでしているというわけです。
そう考えると、このコラムの締めくくりはなんとも空々しい。
「アフガン問題が永田町の下劣な政争の道具にされているうちに有為の青年の
命がひとつ失われた。私たちは恥じねばならない。」
その政争に露骨に加担してるのはどこのコラムニストさんなの?
さて、話はここで終わりじゃないんですよ。むしろ本題はここからです。
このコラムの最大の問題点は、こういう政府への批判は「天皇陛下のお考えでもある」と言っているところなんです。
長野・群馬で静養中だった天皇・皇后は、伊藤和也氏殺害の知らせを受けて、予定されていたコンサートの鑑賞を中止しています。
http://mainichi.jp/select/wadai/koushitsu/news/20080829k0000m040028000c.html
勝谷氏は、ひとりの海外ボランティアの死に対し天皇・皇后が弔意を表すことは異例だとし、そのような異例の行動をとった理由をこう語っています。
「政府の無策に対して背中でお叱りになられたのだと思う。天皇陛下が時にこ
ういう無言でのご叱責をなさることを私はかねてから見てきた。今回のこと
にも私はそれが感じられてならないのだ。」
言うまでもないことですが、天皇あるいは皇后が政府批判やそれを連想させる言葉を発したから、こう書いているのでは、まったくありません。勝谷氏の完全な妄想です。
皇族が実際に発した言葉を、あれこれ解釈するのはまだいいとしても、まったく発言していないことを「背中で叱った」だの「無言で叱責した」だの、意思を捏造するようなことは、もってのほかでしょ。
これは自分の個人的政治的主張をアピールするための「天皇の政治利用」以外何ものでもない。
恥じねばならないのは、何を措いても、まずはこの下劣なコラムニストですよ!
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080827-4066805/news/20080829-OYT1T00106.htm
現在発売中の『週刊SPA!』08/9/9号に掲載されている『ニュースバカ一代』VOL.299「アフガン邦人殺人事件 の巻」では、この事件が取り上げられています。
勝谷氏はそこで「政府の無策」を批判しています。
「政府の無策とは何か。政治の不在で結局は自衛隊を出す出さないも決めな
いまま、NGOの人々の献身だけに頼る中途半端な状態を放置し続けたこ
とだ。カブールの大使館から百五十キロしか離れていないにもかかわらず、
すぐに伊藤さんの救出活動に参加するスタッフを送らなかったことだ。銃
撃戦になる前に日本国政府が関与していれば、伊藤さんを救えた可能性が
あると私は考えている。」
大使館スタッフが現場に急行すべきだったという話はここでは措くとして、私が特に違和感を感じるのは自衛隊派遣の話なんですね。
勝谷氏の言いかたでは「出す出さないを決めない」のがダメなのか「NGOの人々の献身だけに頼」っていることがダメなのか判然としませんが、ずっと自衛隊が派遣されていない実状から考えて、結局自衛隊を派遣しないことがダメなんだという主張で間違いないでしょう。
しかし、なぜこんなまどろっこしい言いかたなんでしょうねぇ。ハッキリ「自衛隊を出せ」と言えばいいじゃないですか。私には、なんだかそうハッキリ言えない後ろめたさがあるように思えるんですがねぇ。
その後ろめたさの原因の1つは、当の『ペシャワール会』が自衛隊の派遣を望んでいなかったという事実でしょう。
『ペシャワール会』は「銃剣に守られた復興支援はありえない」という方針を持っており、政府が派遣を本格的に検討しはじめた6月には、もし自衛隊が派遣されれば「日本人が武装勢力の攻撃対象となるのは確実で、会員の安全確保が難しくなる」として、現地の邦人スタッフを全員帰国させ、活動を一時停止せざるを得ないとまで述べています。
http://www.2nn.jp/news5plus/1212848696/
また、昨年11月の段階ですが、『ペシャワール会』以外のNGOも派遣には反対しています。
http://www.news.janjan.jp/world/0711/0711195872/1.php
勝谷氏は伊藤和也氏個人とともに、この『ペシャワール会』の活動を高く評価しています。しかし、にもかかわらず氏の主張は、その『ペシャワール会』や他のNGOの考えを無視し、復興支援そのものを停止させてでも自衛隊を派遣せよというもので、矛盾をはらんでいます。
だからああいうまどろっこしい言いいかたになるわけです。
それにしても、私は勝谷氏にそこまでして派遣を主張する本質的な理由があるとは思えません。しかし、非本質的な理由なら思い当たるものがあります。
それは、勝谷氏が敬愛してやまない(口先では「支持してない」と言っていますが)民主党代表・小沢一郎氏がアフガニスタンへの自衛隊派遣に積極的な姿勢を示しているという事実です。
小沢氏は月刊誌『世界』07年11月号に寄稿した論文で、アフガニスタン本土に展開する国際治安支援部隊(ISAF)への参加を「政権を取ったら実現したいと思う」と明言しています。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071007/plc0710071946003-n1.htm
ついでに言うなら、この派遣に強く反対していたのが政府与党の一翼を担う公明党であることも想起しておきましょう。
つまり勝谷氏は、小沢民主党代表を支持し、政府を攻撃することで、自身の望む政権交代へ少しでも近づけようとする政治的意図から、こういう主張をコラムでしているというわけです。
そう考えると、このコラムの締めくくりはなんとも空々しい。
「アフガン問題が永田町の下劣な政争の道具にされているうちに有為の青年の
命がひとつ失われた。私たちは恥じねばならない。」
その政争に露骨に加担してるのはどこのコラムニストさんなの?
さて、話はここで終わりじゃないんですよ。むしろ本題はここからです。
このコラムの最大の問題点は、こういう政府への批判は「天皇陛下のお考えでもある」と言っているところなんです。
長野・群馬で静養中だった天皇・皇后は、伊藤和也氏殺害の知らせを受けて、予定されていたコンサートの鑑賞を中止しています。
http://mainichi.jp/select/wadai/koushitsu/news/20080829k0000m040028000c.html
勝谷氏は、ひとりの海外ボランティアの死に対し天皇・皇后が弔意を表すことは異例だとし、そのような異例の行動をとった理由をこう語っています。
「政府の無策に対して背中でお叱りになられたのだと思う。天皇陛下が時にこ
ういう無言でのご叱責をなさることを私はかねてから見てきた。今回のこと
にも私はそれが感じられてならないのだ。」
言うまでもないことですが、天皇あるいは皇后が政府批判やそれを連想させる言葉を発したから、こう書いているのでは、まったくありません。勝谷氏の完全な妄想です。
皇族が実際に発した言葉を、あれこれ解釈するのはまだいいとしても、まったく発言していないことを「背中で叱った」だの「無言で叱責した」だの、意思を捏造するようなことは、もってのほかでしょ。
これは自分の個人的政治的主張をアピールするための「天皇の政治利用」以外何ものでもない。
恥じねばならないのは、何を措いても、まずはこの下劣なコラムニストですよ!