2008年08月
2008年08月28日
前回のオマケ〈日中文化論〉
前回の記事を書いていて、思い出したことがあります。オリンピックとは関係ないんですが、まあ、前回のオマケということで書かせてください。
今年2月26日の『ムーブ!』。上村幸治氏のコーナー・「チャイナ電視台」で毒ギョウザ問題が取り上げられました。
このとき勝谷氏は中国側の対応を批判する中で、日中の文化の違いをこのように語っておられました。
「上村先生には釈迦に説法でしょうけれども、日本っていうのはリアルをその
まま見る写実の文化なんですね。だから証拠を、現実を積み重ねていって全
体像を見るんですね。だから、日本の絵っていうのはそういう感じですよ、
北斎にしても、なんにしても。
ところが中国っていうのは、先に理想なり、妄想なり、幻想があって、それ
に事実のほうを合わせていくというところがあるんです。だから中国の水墨
画ってそうでしょ。この世にない、仙人がいるような、こんな高い山、峨々
たる山で、見た目は非常に美しいけれども、という。」
中国水墨画の山水画で、非現実の理想化された風景を描いたものが多いのは事実です。しかし、それを言うなら日本の水墨画も同じです。勝谷氏は雪舟が描いた風景が現実を写したものだと思っているんでしょうか?
勝谷氏が日本側の例に挙げた葛飾北斎だって、現実の風景ばかり描いていたわけではなく、お化けの絵や幻想的な絵も山ほど描いています。またその風景画(名所絵)にしても、かなりデフォルメした主観的表現になっていて、そういう意味では水墨山水画と似たようなもんです。
絵画の写実性というのはかなり相対的なものですから、あまり断定的には言えませんが、少なくとも日本が写実的で中国がそうではなかった、などということはまったくありません。
そもそも文化の中の1部分でしかない絵画の、さらにその1分野の特徴だけを取り出して、それでもって文化全体や民族性を云々しようという発想が大間違いなんですよ。
などと、勝谷氏のデタラメ文化論を槍玉に挙げてやろうと思いつつも、他の記事を優先してブログに書かずにいたら、意外な人物がこの勝谷氏の言を否定してくれました。
その意外な人物とは誰あろう、勝谷氏ご本人でした。
先の発言からひと月も経たない3月24日の『ムーブ!』で、台湾総統選挙での馬英九氏の勝利を分析して、こう言っています。
「まあー、やっぱし、馬さんというよりも、陳水扁がやっぱり、あまりに独り
負けですよね。自分で転んだって感じです。だから安倍さんに似てますよ、
安倍晋三さんに。
つまり『美しい国』とか言って、理念、理念、理念で行ったんだけれども、
理念でご飯は食べられないってことを、よけい中国人の人たちってのは、台
湾人ってのは現実主義者ですから、わかってるんじゃないですかね。」
・・・・一体、中国人は理想主義なんでしょうか? 現実主義なんでしょうか?
まあ「台湾は中国とは民族性が違う」と言い張るつもりかもしれませんが、現在の人口の98%が漢民族という事実がそれを許さないでしょう。
しかも、早くから台湾に住み、日本の支配も受けたことがある本省人に比べて、戦後台湾に来た外省人のほうが大陸の考えかたを色濃く持っているはずだから、勝谷氏の理屈から行って、外省人は理想主義者のはずですよね。
しかしこの選挙では、その外省人である馬英九氏が現実的政策を掲げ、逆に本省人である陳水扁氏が「理想・理想・理想」と言っているっていうんじゃあ、まったく理屈に合わない。
前回、勝谷氏の文化論を「1事をもって決めつけるだけではなく、その1事さえ間違っているから、全然信用できない」と評しました。
しかし、実はそれだけじゃないんですよね。結局この人の文化論っていうのは、その時々の話の流れに合わせて、いかようにでも変わる、それこそ180度、真逆にでも変わるような、ご都合主義の産物だということです。
ま、勝谷氏の主張や「信念」はたいがいそういうもんですから、いまさら驚くほどでもないんですがね。
それにしても「妄想なり、幻想があって、それに事実を合わせていく」って、それは勝谷脳そのものじゃないですか!
今年2月26日の『ムーブ!』。上村幸治氏のコーナー・「チャイナ電視台」で毒ギョウザ問題が取り上げられました。
このとき勝谷氏は中国側の対応を批判する中で、日中の文化の違いをこのように語っておられました。
「上村先生には釈迦に説法でしょうけれども、日本っていうのはリアルをその
まま見る写実の文化なんですね。だから証拠を、現実を積み重ねていって全
体像を見るんですね。だから、日本の絵っていうのはそういう感じですよ、
北斎にしても、なんにしても。
ところが中国っていうのは、先に理想なり、妄想なり、幻想があって、それ
に事実のほうを合わせていくというところがあるんです。だから中国の水墨
画ってそうでしょ。この世にない、仙人がいるような、こんな高い山、峨々
たる山で、見た目は非常に美しいけれども、という。」
中国水墨画の山水画で、非現実の理想化された風景を描いたものが多いのは事実です。しかし、それを言うなら日本の水墨画も同じです。勝谷氏は雪舟が描いた風景が現実を写したものだと思っているんでしょうか?
勝谷氏が日本側の例に挙げた葛飾北斎だって、現実の風景ばかり描いていたわけではなく、お化けの絵や幻想的な絵も山ほど描いています。またその風景画(名所絵)にしても、かなりデフォルメした主観的表現になっていて、そういう意味では水墨山水画と似たようなもんです。
絵画の写実性というのはかなり相対的なものですから、あまり断定的には言えませんが、少なくとも日本が写実的で中国がそうではなかった、などということはまったくありません。
そもそも文化の中の1部分でしかない絵画の、さらにその1分野の特徴だけを取り出して、それでもって文化全体や民族性を云々しようという発想が大間違いなんですよ。
などと、勝谷氏のデタラメ文化論を槍玉に挙げてやろうと思いつつも、他の記事を優先してブログに書かずにいたら、意外な人物がこの勝谷氏の言を否定してくれました。
その意外な人物とは誰あろう、勝谷氏ご本人でした。
先の発言からひと月も経たない3月24日の『ムーブ!』で、台湾総統選挙での馬英九氏の勝利を分析して、こう言っています。
「まあー、やっぱし、馬さんというよりも、陳水扁がやっぱり、あまりに独り
負けですよね。自分で転んだって感じです。だから安倍さんに似てますよ、
安倍晋三さんに。
つまり『美しい国』とか言って、理念、理念、理念で行ったんだけれども、
理念でご飯は食べられないってことを、よけい中国人の人たちってのは、台
湾人ってのは現実主義者ですから、わかってるんじゃないですかね。」
・・・・一体、中国人は理想主義なんでしょうか? 現実主義なんでしょうか?
まあ「台湾は中国とは民族性が違う」と言い張るつもりかもしれませんが、現在の人口の98%が漢民族という事実がそれを許さないでしょう。
しかも、早くから台湾に住み、日本の支配も受けたことがある本省人に比べて、戦後台湾に来た外省人のほうが大陸の考えかたを色濃く持っているはずだから、勝谷氏の理屈から行って、外省人は理想主義者のはずですよね。
しかしこの選挙では、その外省人である馬英九氏が現実的政策を掲げ、逆に本省人である陳水扁氏が「理想・理想・理想」と言っているっていうんじゃあ、まったく理屈に合わない。
前回、勝谷氏の文化論を「1事をもって決めつけるだけではなく、その1事さえ間違っているから、全然信用できない」と評しました。
しかし、実はそれだけじゃないんですよね。結局この人の文化論っていうのは、その時々の話の流れに合わせて、いかようにでも変わる、それこそ180度、真逆にでも変わるような、ご都合主義の産物だということです。
ま、勝谷氏の主張や「信念」はたいがいそういうもんですから、いまさら驚くほどでもないんですがね。
それにしても「妄想なり、幻想があって、それに事実を合わせていく」って、それは勝谷脳そのものじゃないですか!
2008年08月26日
鞭の文化 綿の文化
北京オリンピックは閉幕してしまいましたが、五輪がらみの勝谷発言はもう少し取り上げていきたいと思います。
今回も前回の続きという感じで、マラソン問題から入らせていただきます。
女子マラソンの野口みずき氏に続き、男子マラソンでも大崎悟史氏が左股関節の腱を痛め競技を欠場してしまいましたね。
http://beijing.yahoo.co.jp/news/detail/20080823-00000129-jij-spo
このことで世間の日本陸連への風当たりはますます強くなっているようで、ついには24日、日本選手団団長の福田富昭氏が、マラソンに関する陸連の管理体制等の批判を(野球、サッカーへの批判も含めてですが)、記者会見で1時間もやってしまうに至りました。
http://sankei.jp.msn.com/sports/other/080825/oth0808251030011-n1.htm
(しかし、この団長、なんなんですかね? 25日の『ムーブ!』で花田紀凱氏も言っていたように、そんなことはもっと前から各連盟に直接言えばいいことでしょ。私には世間の風潮に乗って自分の責任を糊塗しようとしているようにしか見えないんですがね。)
陸連になんら落ち度がなかったこと、補欠選手の増員が事実上不可能・無意味であることは、前回述べた通りなのでここでは繰り返しませんが、マスコミや五輪関係者が陸連を批判するのであれば、どこに問題があり、どうやればそれが解消できるのか、補欠の問題点も含めて具体的に論じてもらいたいところです。
(『とくダネ!』で司会の小倉智昭氏は、このブログとほぼ同じ理由で「補欠増員は無理である」との見解を述べたそうです。やっぱりマラソンに詳しい人はそう言うと思いますよ。私は詳しくないけど。)
勝谷氏がマラソンに関して陸連に批判的なのは前回見た通りですが、この大崎氏欠場以降の流れを受けて、さらに自説への自信を深めているようです。
そんな中、氏は面白い話をしているんですねぇ。
男子ハードルの1次予選を踵の痛みから棄権した中国の英雄的選手・劉翔氏が自国民から猛烈なバッシングを受けていることを引き合いに出した、こういう話です。
8月24日放送の『志ジャーナル』から。
「しかしまあね、この『死者に鞭打つ』というのは、これはもう中国の文化な
んですよ。昔から王朝が代わると、前の王朝の王様の墓を暴いてね、死体に
鞭打つ、です。
例えば、野口選手や土佐選手がリタイアした、あるいは参加しなかったから
といって、『まあ気の毒に』とか『そっとしておいてあげよう』と日本人は
言うけども、『あいつら出てこい!』とか絶対言わない。『敵前逃亡、這っ
てでもゴールしろ!』なんて絶対に言わないですよ。
だけどね、ちょっと話、土佐礼子さんと野口さんのほうに行くけど、それに
陸連が甘えてちゃダメだよ。完全にあれは管理不足ですよ。野口さんはとも
かく、土佐さんはね、あれやっぱり具合悪いっていうのは、元から知ってた
らしいですよ、陸連はある程度。そりゃそうですよ、知らなかったら怠慢だ
し、知ってて手を打たなくっても怠慢ですよ。どうしてもっと何ヶ月も前か
らちゃんと補欠を準備させておかないの?」
http://www.mbs1179.com/katu/
また、大崎氏欠場発表以前ですが、19日の『ムーブ!』でも同様に、出場選手に対する日中の態度の違いを論じています。
「でも、やっぱりね、それの感情のやっぱり強さって、中国は特に強くてです
ね、これ日本で例えば野口みずきさんに誰がそういうこと言いましたか?
『早く良くなってください。どんなに悔しかったでしょう』。土佐礼子さん
に誰が言いましたか? 『よく頑張って、あそこまで走ったね』ということ
でしょ。日本中がそうなんですよ。
ところが中国人っていうのは『死者に鞭打つ』という言葉があるんですね。
王朝が代わると、前の王朝の死体を掘り出して、それに鞭を打つという。つ
まり、倒れたものに対してのですね、考えかたが違う。そういうメンタリテ
ィの違いは確かにあるんですよね。」
勝谷氏お得意の比較文化論ですね。しかし、氏の文化論は絶対に信じちゃダメですよ。ほんとにデタラメですから。
まず基本的な事柄から間違っています。
「死者に鞭打つ」という言葉の元になった故事、ご存知のかたも多いと思いますが、手短に確認しておきましょう。こんな話でした。
中国春秋時代の国の一つ「楚」で、王と王子の内紛があり、これに敗れた王子が国外逃亡を余儀なくされます。王子派の伍子胥という人物は、この内紛で王に父と兄を殺され、復讐を誓いながら王子と行動をともにします。
しかし逃亡先で王子は殺され、やむなく伍子胥は「呉」の国に使え復讐のときを待ちます。やがて機が熟し、呉は楚に侵攻。連戦連勝を重ね、ついに首都を陥落します。
父兄を殺した楚の王に直接復讐を果たそうとした伍子胥ですが、すでに王は老いて死んでいました。気がすまない伍子胥はその王の墓を暴き、その死体が粉々になるまで鞭打ちました。とさ。
勝谷氏はこんなことが、王朝が交代する毎に繰り返されていたと言っています。しかしそんなことはありません。このような話は、これ1つだけです。
しかも、この楚の敗退は王朝の交代とは違いますから、勝谷氏の「王朝が交代すると・・・死者に鞭打つ」という事例は、中国の歴史上ただの1つもないということです。
伍子胥の話には続きがあります。伍子胥はこの行為を、楚時代の親友・申包胥から「あまりに酷い、浅ましい」と非難されています。つまり、当時の人たちから見て、この行為はとても受け入れられるものではなかった。
またこれが特異なエピソードとして史書に特筆され、「死者(死屍)に鞭打つ」という言葉まで生まれたということは、後代の人たちもこれを普通のこととは思わなかったということです。
つまり、勝谷氏が「中国人はそういうメンタリティだ」と言っているのは、まったくのデタラメだということです。
1事をとって文化全体を断定するのは非常に危険ですが、勝谷氏はその上、その1事すらまともに理解していない。だからこの人の文化論なんか信じたらダメだって言うんですよ。
さて、ではもう一方の「日本人のメンタリティ」についても一言。
勝谷氏は日本人が野口氏や土佐氏を非難しないと言っていますが、そうでしょうか?
「はやく補欠と代わればよかったんだ」「痛みがあるなら、はやく報告しろ」という主張は、マラソンという種目での成績を何よりも重んじてのことであって、個々の選手を思っての主張じゃないでしょ。
個々の選手にとってみたら、「たいした痛みじゃない」「まだ走れる」という思いに、まるで耳を貸してもらえず、「とにかく不安要因があるなら、さっさと補欠と代われ」と言われているようなもんでしょ。
そんな国民の声より、最後の最後まで自分を信じてくれた陸連のほうがよっぽど選手にはありがたかったんじゃないでしょうか?
マラソンはそれまでの調整込みで1つの競技と考えるべきだと思います。であるなら、競技中の棄権も、競技前の故障も、完走した上での悪い結果と同じように見なしてあげればいいんじゃないでしょうか? 完走した選手と同じく、「信頼してやってもらったが、結果ダメだった」。それでいいんじゃないでしょうか?
表面的には「アスリートのためのオリンピック」なんてきれいごとを言っても、結局は日本人も成績不審の憤りをどこかにぶつけたい。それが昔のように選手個人に向けづらくなったから、一つ上の組織に矛先を替えただけじゃないですか。
なんの落ち度もない、自分たちを最後まで信じてくれた陸連への非難は、棄権した選手たちにとっても辛く聞こえてるんじゃないですかねぇ。
中国が「死者に鞭打つ」文化と言うなら、日本は「真綿で首を絞める」文化だと言わねばならないんじゃないでしょうか?
アメリカなんかでは、成績の悪かった選手でもそんなに暗い顔にはならないと聞きます。出る側の人柄もあるでしょうが、応援する側の意識がそうさせているのも間違いないでしょ。
日本人も「アスリートのためのオリンピック」を口にするなら、ここらで意識を変えたらどうでしょうか。
あ、そうそう、1つ言い忘れました。
なに? 中国人が「死者に鞭打つ」メンタリティだって? それは災害で死んだ黒人を「佃煮」呼ばわりするオマエのほうだよ、勝谷!
今回も前回の続きという感じで、マラソン問題から入らせていただきます。
女子マラソンの野口みずき氏に続き、男子マラソンでも大崎悟史氏が左股関節の腱を痛め競技を欠場してしまいましたね。
http://beijing.yahoo.co.jp/news/detail/20080823-00000129-jij-spo
このことで世間の日本陸連への風当たりはますます強くなっているようで、ついには24日、日本選手団団長の福田富昭氏が、マラソンに関する陸連の管理体制等の批判を(野球、サッカーへの批判も含めてですが)、記者会見で1時間もやってしまうに至りました。
http://sankei.jp.msn.com/sports/other/080825/oth0808251030011-n1.htm
(しかし、この団長、なんなんですかね? 25日の『ムーブ!』で花田紀凱氏も言っていたように、そんなことはもっと前から各連盟に直接言えばいいことでしょ。私には世間の風潮に乗って自分の責任を糊塗しようとしているようにしか見えないんですがね。)
陸連になんら落ち度がなかったこと、補欠選手の増員が事実上不可能・無意味であることは、前回述べた通りなのでここでは繰り返しませんが、マスコミや五輪関係者が陸連を批判するのであれば、どこに問題があり、どうやればそれが解消できるのか、補欠の問題点も含めて具体的に論じてもらいたいところです。
(『とくダネ!』で司会の小倉智昭氏は、このブログとほぼ同じ理由で「補欠増員は無理である」との見解を述べたそうです。やっぱりマラソンに詳しい人はそう言うと思いますよ。私は詳しくないけど。)
勝谷氏がマラソンに関して陸連に批判的なのは前回見た通りですが、この大崎氏欠場以降の流れを受けて、さらに自説への自信を深めているようです。
そんな中、氏は面白い話をしているんですねぇ。
男子ハードルの1次予選を踵の痛みから棄権した中国の英雄的選手・劉翔氏が自国民から猛烈なバッシングを受けていることを引き合いに出した、こういう話です。
8月24日放送の『志ジャーナル』から。
「しかしまあね、この『死者に鞭打つ』というのは、これはもう中国の文化な
んですよ。昔から王朝が代わると、前の王朝の王様の墓を暴いてね、死体に
鞭打つ、です。
例えば、野口選手や土佐選手がリタイアした、あるいは参加しなかったから
といって、『まあ気の毒に』とか『そっとしておいてあげよう』と日本人は
言うけども、『あいつら出てこい!』とか絶対言わない。『敵前逃亡、這っ
てでもゴールしろ!』なんて絶対に言わないですよ。
だけどね、ちょっと話、土佐礼子さんと野口さんのほうに行くけど、それに
陸連が甘えてちゃダメだよ。完全にあれは管理不足ですよ。野口さんはとも
かく、土佐さんはね、あれやっぱり具合悪いっていうのは、元から知ってた
らしいですよ、陸連はある程度。そりゃそうですよ、知らなかったら怠慢だ
し、知ってて手を打たなくっても怠慢ですよ。どうしてもっと何ヶ月も前か
らちゃんと補欠を準備させておかないの?」
http://www.mbs1179.com/katu/
また、大崎氏欠場発表以前ですが、19日の『ムーブ!』でも同様に、出場選手に対する日中の態度の違いを論じています。
「でも、やっぱりね、それの感情のやっぱり強さって、中国は特に強くてです
ね、これ日本で例えば野口みずきさんに誰がそういうこと言いましたか?
『早く良くなってください。どんなに悔しかったでしょう』。土佐礼子さん
に誰が言いましたか? 『よく頑張って、あそこまで走ったね』ということ
でしょ。日本中がそうなんですよ。
ところが中国人っていうのは『死者に鞭打つ』という言葉があるんですね。
王朝が代わると、前の王朝の死体を掘り出して、それに鞭を打つという。つ
まり、倒れたものに対してのですね、考えかたが違う。そういうメンタリテ
ィの違いは確かにあるんですよね。」
勝谷氏お得意の比較文化論ですね。しかし、氏の文化論は絶対に信じちゃダメですよ。ほんとにデタラメですから。
まず基本的な事柄から間違っています。
「死者に鞭打つ」という言葉の元になった故事、ご存知のかたも多いと思いますが、手短に確認しておきましょう。こんな話でした。
中国春秋時代の国の一つ「楚」で、王と王子の内紛があり、これに敗れた王子が国外逃亡を余儀なくされます。王子派の伍子胥という人物は、この内紛で王に父と兄を殺され、復讐を誓いながら王子と行動をともにします。
しかし逃亡先で王子は殺され、やむなく伍子胥は「呉」の国に使え復讐のときを待ちます。やがて機が熟し、呉は楚に侵攻。連戦連勝を重ね、ついに首都を陥落します。
父兄を殺した楚の王に直接復讐を果たそうとした伍子胥ですが、すでに王は老いて死んでいました。気がすまない伍子胥はその王の墓を暴き、その死体が粉々になるまで鞭打ちました。とさ。
勝谷氏はこんなことが、王朝が交代する毎に繰り返されていたと言っています。しかしそんなことはありません。このような話は、これ1つだけです。
しかも、この楚の敗退は王朝の交代とは違いますから、勝谷氏の「王朝が交代すると・・・死者に鞭打つ」という事例は、中国の歴史上ただの1つもないということです。
伍子胥の話には続きがあります。伍子胥はこの行為を、楚時代の親友・申包胥から「あまりに酷い、浅ましい」と非難されています。つまり、当時の人たちから見て、この行為はとても受け入れられるものではなかった。
またこれが特異なエピソードとして史書に特筆され、「死者(死屍)に鞭打つ」という言葉まで生まれたということは、後代の人たちもこれを普通のこととは思わなかったということです。
つまり、勝谷氏が「中国人はそういうメンタリティだ」と言っているのは、まったくのデタラメだということです。
1事をとって文化全体を断定するのは非常に危険ですが、勝谷氏はその上、その1事すらまともに理解していない。だからこの人の文化論なんか信じたらダメだって言うんですよ。
さて、ではもう一方の「日本人のメンタリティ」についても一言。
勝谷氏は日本人が野口氏や土佐氏を非難しないと言っていますが、そうでしょうか?
「はやく補欠と代わればよかったんだ」「痛みがあるなら、はやく報告しろ」という主張は、マラソンという種目での成績を何よりも重んじてのことであって、個々の選手を思っての主張じゃないでしょ。
個々の選手にとってみたら、「たいした痛みじゃない」「まだ走れる」という思いに、まるで耳を貸してもらえず、「とにかく不安要因があるなら、さっさと補欠と代われ」と言われているようなもんでしょ。
そんな国民の声より、最後の最後まで自分を信じてくれた陸連のほうがよっぽど選手にはありがたかったんじゃないでしょうか?
マラソンはそれまでの調整込みで1つの競技と考えるべきだと思います。であるなら、競技中の棄権も、競技前の故障も、完走した上での悪い結果と同じように見なしてあげればいいんじゃないでしょうか? 完走した選手と同じく、「信頼してやってもらったが、結果ダメだった」。それでいいんじゃないでしょうか?
表面的には「アスリートのためのオリンピック」なんてきれいごとを言っても、結局は日本人も成績不審の憤りをどこかにぶつけたい。それが昔のように選手個人に向けづらくなったから、一つ上の組織に矛先を替えただけじゃないですか。
なんの落ち度もない、自分たちを最後まで信じてくれた陸連への非難は、棄権した選手たちにとっても辛く聞こえてるんじゃないですかねぇ。
中国が「死者に鞭打つ」文化と言うなら、日本は「真綿で首を絞める」文化だと言わねばならないんじゃないでしょうか?
アメリカなんかでは、成績の悪かった選手でもそんなに暗い顔にはならないと聞きます。出る側の人柄もあるでしょうが、応援する側の意識がそうさせているのも間違いないでしょ。
日本人も「アスリートのためのオリンピック」を口にするなら、ここらで意識を変えたらどうでしょうか。
あ、そうそう、1つ言い忘れました。
なに? 中国人が「死者に鞭打つ」メンタリティだって? それは災害で死んだ黒人を「佃煮」呼ばわりするオマエのほうだよ、勝谷!
2008年08月22日
陸連怠慢? 補欠増員?
「なぜ補欠を用意しなかったのか!? 日本陸連は怠慢だ!」
北京五輪の女子マラソンに関してネットを検索してみると、こういう意見を書いているブログがザクザク出てきます。先日『ムーブ!』でも、やくみつる氏が漫画にしてそういうこと言ってました。
ネット上の意見をパクったのか、あるいは逆にネットが影響を受けたのか(たんぶんどっちもあるんでしょうね)、勝谷氏も同じことをテレビ、ラジオ、配信日記で主張しています。
・ラジオ 『コラムの花道』(13日放送)
小西克哉「ほんとだから、そういう意味じゃあ、あの野口なんかもかわいそう
だけどねぇ。」
勝谷「あれねぇ、ちょっとミステリアスだなと思って。」
小西「たくさんわかんないことまだ多いですよねぇ。」
勝谷「ねぇ。なんかねぇ、また陰謀史観って言われるかもしんないけどね、
なんかねぇ不思議な、ちょっと不思議な感じがね、しますよねぇ。」
小西「う〜ん。だけど本人が壊しちゃうとねぇ。ま、ギリギリのところで、
まあ練習してるから・・・」
勝谷「だけど、だけどね、なぜ日本はですね、補欠をちゃんと作っておか
なかったのかと。」
小西「うん。ほんとそうなんですよ。補欠も故障だというふうに聞いてる
んだけど、故障が例えば1人出たら、その故障(そのまた補欠?)
を例えばねぇ、登録できない制度なのかどうなのか。」
勝谷「そうそうそうそう。もし可能であったら、今こそ高橋尚子ですよ。」
小西「ほんとそうですよ。」
勝谷「これ、高橋尚子出て、Qちゃんブッチ切りで金でもとった日には、
もう・・・!」
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080813.mp3
・日記(18日配信)
「野口、土佐と二枚看板の故障を看過し補欠を用意していなかった陸連の
恐るべき怠慢」(タイトル)
http://www.katsuyamasahiko.jp/modules/tinyd0/index.php?id=9
・テレビ 『スッキリ!!』(18日放送)
「しかしねぇ、組織論として陸連ちゅうのは一体何を考えてるバカどもなのか
と思うね。
ちゃんと、ちゃんと補欠の体制をちゃんととってですね、土佐選手も、もう
これ悪いって、足悪いってわかってるんだから、外反母趾ってのは。だった
らその可能性を考えて、2人くらい補欠をちゃんと付けて、早い時期に入れ
替えて、例えば高橋尚子さんなんか出てたらどうなのかって、みんなどっか
で思ってますよ。
それはね、やっぱり選手は一生懸命やるけれども、そういうバックアップ体
制とるのは、これは役員の仕事なんだから、ちゃんとそういう義務を果たし
てないね。これはもっと批判されてしかるべきだと思うね。」
「これでね、補欠で、例えば尚子ちゃんがいたとかなんとか、後ろにいたら土
佐選手だって考えかたも違ったと思うし、走りかたも変わったと思うんだよ
ね。」
《手続き論から》
ちょっと事実関係を整理してみましょう。
日本オリンピック委員会(JOC)のクオリフィケーションにはこうあります。
「代表選手の内定から本大会までの期間が長いことに配慮し、男女各1名の補
欠を選考し、最終エントリー締切日までに正選手に故障などが生じた場合は
補欠が正選手となり本大会に出場する。」
(第29回オリンピック競技大会(2008/北京)日本代表選手選考について
4.選考日程 1)男女マラソン 3.)
http://www.joc.or.jp/beijing/sports_qfc/atheletics.html
これに従って、森本友氏(天満屋)が補欠に選ばれました。
そして7月23日、最終エントリー締め切りです。
ここで注意しておかないといけないのは、先のクオリフィケーションにもあるように、補欠が代わりに出場するんなら、この日までにそれを決めなければならないということ。この日を過ぎてからの交代は基本的にできないということです。つまり、森本氏はこの時点で補欠としての役割を終えているんです。
ここで間違えている人が多いと思うんですが、補欠というのは、補欠として大会に登録されるということではないんです。
野球は登録をしておいたメンバーの中から9人を出場させ、残りが交代要員としてベンチに控えていますが、マラソンはこういうことではないんです。エントリーはあくまで出場選手であって、補欠はエントリーできないんです。
野口みずき氏が、はじめて左臀部下の痛みを訴えたのは、この2日後、7月25日です。つまり、手続き上はもうすべて終わった後ということです。
http://hochi.yomiuri.co.jp/beijing2008/athletics/news/20080811-OHT1T00072.htm
日本陸連が正式に森本氏を補欠解除するのは、それから1週間後の7月30日です。
なぜそんな間を開けたのかはわかりませんが、もしかしたら何かあったときには国際陸連やIOC(国際オリンピック委員会)が柔軟な対応をとってくれるかもしれないという期待から、念のため補欠解除を延期していたのかもしれません。
(8月11日の段階で日本陸連の沢木啓祐専務理事は「『国際陸連が認めるならIOCも認めるだろう。可能性は残っている』というのが、JOCの公式回答」と言っていることからもそうであった可能性は窺えます。しかし一方で、河野匡マラソン部長が逆に「基本的に難しい。補欠が使えるかは手続き上の問題」と言っていることから、あくまで「可能性に期待して」という程度だと思います。)
しかし、それでも30日に補欠を解除してしまったというのは、森本氏が出場選手である中村友梨香氏(同じく天満屋)と高地合宿をしていたときに右足を痛めてしまったことを受けて、陸連が「もはやこれまで」と判断したからではないでしょうか(基本的には選手団全体の定員超過という事情があるようです)。
http://www.sponichi.co.jp/olympic/news/2008/08/11/05.html
さて、こうして事実を整理してみて、どうでしょう? 日本陸連に手続き上の問題・怠慢が何かあったでしょうか? 私にはそんなもの何もなかったと思うんですがねぇ。
『コラムの花道』では小西・勝谷両氏は「登録できない制度なのかどうなのか」「もし可能であったら」なんて言ってますが、その後もテレビ、日記で陸連を非難し続けていることから、結局なんにも調べてないんでしょ。
他人を「バカども」呼ばわりするんなら、それぐらい調べろよ。どっちが「恐るべき怠慢」だよ!
と言うと、今度はこういう声が返ってくるんでしょう。
「土佐礼子は外反母趾で途中棄権した。外反母趾は野口の肉離れと違って、突然起こるものではない。前々からわかっていたなら、本選手として選ばないなど、何か対処できたはずだ。そして根本的にはもっと補欠選手を用意しておくべきだった」とかなんとか。勝谷氏もこんな感じですよね。
しかし、土佐氏の選考に関しての、そういう主張はしょせん結果論でしょ。
彼女は外反母趾でありながら好成績をたたき出してきたわけですから、それを理由に落選させるなんてできない。手術などの根本治療を勧めたとしても、その結果、逆にタイムが悪くなる可能性だってないわけじゃない。そうなったらどう責任を取るのかという話になってしまう。
「補欠をもっと増やせ」という主張も、補欠はしょせんエントリーできないわけだから、何人に増やそうが、結局最終エントリー後に問題が起こった場合は、基本的には何の役にも立たないということで、まったくナンセンス。
仮にIOCや国際陸連が、最終エントリー後の選手交代を認めたとしても、補欠増員にはなお問題があります。というか、むしろこれから述べる問題のほうが重要ではないでしょうか。
《選手の立場から》
私が見かけたブログの中には「今から高橋尚子を出場させろ」と書いてあるものがありました。勝谷氏も『コラムの花道』で「今こそ高橋尚子ですよ」と言っています。
素人ブロガーはともかく、勝谷氏のような文化人(笑)がよくラジオでそんなこと言えますよね。
マラソンという競技は、いつでも、何度でもやれる競技じゃないでしょ。
例えは悪いかもしれませんが『宇宙戦艦ヤマト』の波動砲のようなもので、1度発射するのに相当の時間を要し、発射した後はしばらく何もできない。選手はその1回の発射(競技)のために、何ヶ月も、多い人では半年以上もかけて調整している。
それを「今要るから、今出ろ」なんて、どういう神経で言えるんでしょうか?
調整もせずに走ったら、メダルを穫るどころか、体を壊して選手生命が終わってしまいますよ。
またたとえ十分な期間が与えられたとしても、出場できるかどうかわからない、どちらかというと出場できない可能性のほうが圧倒的に高い補欠という立場で、何ヶ月もの間モチベーションを維持していられるでしょうかねぇ?
市民マラソンに出るのとは訳が違いますよ。世界最高レベルの競技に挑まなくてはならないわけですからね、モチベーションも本人にとって最高レベルを維持していなければならないわけでしょ。補欠というあやふやな立場で、そんなこと絶対不可能ですよ。
さらに補欠増員ということになれば、それだけ出場の可能性も減るわけで、これはもうまったく現実味がない話と言わざるを得ない。
そしてもっと言うなら、高橋尚子氏のようなスター選手が補欠という立場に甘んじられるでしょうか? そういう選手はプライドを脱ぎ捨てることも強要されるわけですよね。
結局勝谷氏の言ってることは、選手の事情、心情をまったく無視するものです。これじゃあまるで選手はスペアの部品です。
勝谷氏は開会式のマスゲームを「人をモノとしてしか見ていない」なんて批判してましたが、またしてもこう言わないといけないじゃないですか。
それはオマエや!
北京五輪の女子マラソンに関してネットを検索してみると、こういう意見を書いているブログがザクザク出てきます。先日『ムーブ!』でも、やくみつる氏が漫画にしてそういうこと言ってました。
ネット上の意見をパクったのか、あるいは逆にネットが影響を受けたのか(たんぶんどっちもあるんでしょうね)、勝谷氏も同じことをテレビ、ラジオ、配信日記で主張しています。
・ラジオ 『コラムの花道』(13日放送)
小西克哉「ほんとだから、そういう意味じゃあ、あの野口なんかもかわいそう
だけどねぇ。」
勝谷「あれねぇ、ちょっとミステリアスだなと思って。」
小西「たくさんわかんないことまだ多いですよねぇ。」
勝谷「ねぇ。なんかねぇ、また陰謀史観って言われるかもしんないけどね、
なんかねぇ不思議な、ちょっと不思議な感じがね、しますよねぇ。」
小西「う〜ん。だけど本人が壊しちゃうとねぇ。ま、ギリギリのところで、
まあ練習してるから・・・」
勝谷「だけど、だけどね、なぜ日本はですね、補欠をちゃんと作っておか
なかったのかと。」
小西「うん。ほんとそうなんですよ。補欠も故障だというふうに聞いてる
んだけど、故障が例えば1人出たら、その故障(そのまた補欠?)
を例えばねぇ、登録できない制度なのかどうなのか。」
勝谷「そうそうそうそう。もし可能であったら、今こそ高橋尚子ですよ。」
小西「ほんとそうですよ。」
勝谷「これ、高橋尚子出て、Qちゃんブッチ切りで金でもとった日には、
もう・・・!」
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080813.mp3
・日記(18日配信)
「野口、土佐と二枚看板の故障を看過し補欠を用意していなかった陸連の
恐るべき怠慢」(タイトル)
http://www.katsuyamasahiko.jp/modules/tinyd0/index.php?id=9
・テレビ 『スッキリ!!』(18日放送)
「しかしねぇ、組織論として陸連ちゅうのは一体何を考えてるバカどもなのか
と思うね。
ちゃんと、ちゃんと補欠の体制をちゃんととってですね、土佐選手も、もう
これ悪いって、足悪いってわかってるんだから、外反母趾ってのは。だった
らその可能性を考えて、2人くらい補欠をちゃんと付けて、早い時期に入れ
替えて、例えば高橋尚子さんなんか出てたらどうなのかって、みんなどっか
で思ってますよ。
それはね、やっぱり選手は一生懸命やるけれども、そういうバックアップ体
制とるのは、これは役員の仕事なんだから、ちゃんとそういう義務を果たし
てないね。これはもっと批判されてしかるべきだと思うね。」
「これでね、補欠で、例えば尚子ちゃんがいたとかなんとか、後ろにいたら土
佐選手だって考えかたも違ったと思うし、走りかたも変わったと思うんだよ
ね。」
《手続き論から》
ちょっと事実関係を整理してみましょう。
日本オリンピック委員会(JOC)のクオリフィケーションにはこうあります。
「代表選手の内定から本大会までの期間が長いことに配慮し、男女各1名の補
欠を選考し、最終エントリー締切日までに正選手に故障などが生じた場合は
補欠が正選手となり本大会に出場する。」
(第29回オリンピック競技大会(2008/北京)日本代表選手選考について
4.選考日程 1)男女マラソン 3.)
http://www.joc.or.jp/beijing/sports_qfc/atheletics.html
これに従って、森本友氏(天満屋)が補欠に選ばれました。
そして7月23日、最終エントリー締め切りです。
ここで注意しておかないといけないのは、先のクオリフィケーションにもあるように、補欠が代わりに出場するんなら、この日までにそれを決めなければならないということ。この日を過ぎてからの交代は基本的にできないということです。つまり、森本氏はこの時点で補欠としての役割を終えているんです。
ここで間違えている人が多いと思うんですが、補欠というのは、補欠として大会に登録されるということではないんです。
野球は登録をしておいたメンバーの中から9人を出場させ、残りが交代要員としてベンチに控えていますが、マラソンはこういうことではないんです。エントリーはあくまで出場選手であって、補欠はエントリーできないんです。
野口みずき氏が、はじめて左臀部下の痛みを訴えたのは、この2日後、7月25日です。つまり、手続き上はもうすべて終わった後ということです。
http://hochi.yomiuri.co.jp/beijing2008/athletics/news/20080811-OHT1T00072.htm
日本陸連が正式に森本氏を補欠解除するのは、それから1週間後の7月30日です。
なぜそんな間を開けたのかはわかりませんが、もしかしたら何かあったときには国際陸連やIOC(国際オリンピック委員会)が柔軟な対応をとってくれるかもしれないという期待から、念のため補欠解除を延期していたのかもしれません。
(8月11日の段階で日本陸連の沢木啓祐専務理事は「『国際陸連が認めるならIOCも認めるだろう。可能性は残っている』というのが、JOCの公式回答」と言っていることからもそうであった可能性は窺えます。しかし一方で、河野匡マラソン部長が逆に「基本的に難しい。補欠が使えるかは手続き上の問題」と言っていることから、あくまで「可能性に期待して」という程度だと思います。)
しかし、それでも30日に補欠を解除してしまったというのは、森本氏が出場選手である中村友梨香氏(同じく天満屋)と高地合宿をしていたときに右足を痛めてしまったことを受けて、陸連が「もはやこれまで」と判断したからではないでしょうか(基本的には選手団全体の定員超過という事情があるようです)。
http://www.sponichi.co.jp/olympic/news/2008/08/11/05.html
さて、こうして事実を整理してみて、どうでしょう? 日本陸連に手続き上の問題・怠慢が何かあったでしょうか? 私にはそんなもの何もなかったと思うんですがねぇ。
『コラムの花道』では小西・勝谷両氏は「登録できない制度なのかどうなのか」「もし可能であったら」なんて言ってますが、その後もテレビ、日記で陸連を非難し続けていることから、結局なんにも調べてないんでしょ。
他人を「バカども」呼ばわりするんなら、それぐらい調べろよ。どっちが「恐るべき怠慢」だよ!
と言うと、今度はこういう声が返ってくるんでしょう。
「土佐礼子は外反母趾で途中棄権した。外反母趾は野口の肉離れと違って、突然起こるものではない。前々からわかっていたなら、本選手として選ばないなど、何か対処できたはずだ。そして根本的にはもっと補欠選手を用意しておくべきだった」とかなんとか。勝谷氏もこんな感じですよね。
しかし、土佐氏の選考に関しての、そういう主張はしょせん結果論でしょ。
彼女は外反母趾でありながら好成績をたたき出してきたわけですから、それを理由に落選させるなんてできない。手術などの根本治療を勧めたとしても、その結果、逆にタイムが悪くなる可能性だってないわけじゃない。そうなったらどう責任を取るのかという話になってしまう。
「補欠をもっと増やせ」という主張も、補欠はしょせんエントリーできないわけだから、何人に増やそうが、結局最終エントリー後に問題が起こった場合は、基本的には何の役にも立たないということで、まったくナンセンス。
仮にIOCや国際陸連が、最終エントリー後の選手交代を認めたとしても、補欠増員にはなお問題があります。というか、むしろこれから述べる問題のほうが重要ではないでしょうか。
《選手の立場から》
私が見かけたブログの中には「今から高橋尚子を出場させろ」と書いてあるものがありました。勝谷氏も『コラムの花道』で「今こそ高橋尚子ですよ」と言っています。
素人ブロガーはともかく、勝谷氏のような文化人(笑)がよくラジオでそんなこと言えますよね。
マラソンという競技は、いつでも、何度でもやれる競技じゃないでしょ。
例えは悪いかもしれませんが『宇宙戦艦ヤマト』の波動砲のようなもので、1度発射するのに相当の時間を要し、発射した後はしばらく何もできない。選手はその1回の発射(競技)のために、何ヶ月も、多い人では半年以上もかけて調整している。
それを「今要るから、今出ろ」なんて、どういう神経で言えるんでしょうか?
調整もせずに走ったら、メダルを穫るどころか、体を壊して選手生命が終わってしまいますよ。
またたとえ十分な期間が与えられたとしても、出場できるかどうかわからない、どちらかというと出場できない可能性のほうが圧倒的に高い補欠という立場で、何ヶ月もの間モチベーションを維持していられるでしょうかねぇ?
市民マラソンに出るのとは訳が違いますよ。世界最高レベルの競技に挑まなくてはならないわけですからね、モチベーションも本人にとって最高レベルを維持していなければならないわけでしょ。補欠というあやふやな立場で、そんなこと絶対不可能ですよ。
さらに補欠増員ということになれば、それだけ出場の可能性も減るわけで、これはもうまったく現実味がない話と言わざるを得ない。
そしてもっと言うなら、高橋尚子氏のようなスター選手が補欠という立場に甘んじられるでしょうか? そういう選手はプライドを脱ぎ捨てることも強要されるわけですよね。
結局勝谷氏の言ってることは、選手の事情、心情をまったく無視するものです。これじゃあまるで選手はスペアの部品です。
勝谷氏は開会式のマスゲームを「人をモノとしてしか見ていない」なんて批判してましたが、またしてもこう言わないといけないじゃないですか。
それはオマエや!
2008年08月19日
続・ナンクセ北京五輪開会式
前回の記事に関して読者から面白い情報が寄せられたこと、また勝谷氏が別のメディアでも同様の発言を繰り返していることから、今回もう1度開会式でいってみたいと思います。
8月17日放送の『志ジャーナル』での開会式に関する発言を見てください。ちょっと長いですが、はじめにまとめて引用します。
「これ、アナウンサーの古川さんに訊きたいですけども、一番今傷ついてる
のは、あれを中継をして、あの開会式を褒め讃えていたあの人たちじゃな
いでしょうか?(笑)『見事な花火です』とか言ってね。(アナウンサー
の言葉に)そうそうそう、そうそうそう、全部CGやってて、ごっつい傷
ついてると思うよ。
世界中のねぇ、これね30億人とか40億人見たとも言われてるんだけど
も、それを騙しきるんだからね。まあねぇ、ボクはもう『偽装国家』って
日本のこと言って本書いてましたけどね、もうやっぱりかないません、中
国には。
ボクね、開会式見てね、すごいイヤな気持ちになったのはね、あのー、他
のねぇ、例えばリレハンメールオリンピックとか、ああいう北欧の小さな
国なんかになってきたら、一人一人の表情がすごく楽しそうで、一人一人
の動きが多少違っていても、全体として非常にヒューマンな感じがするん
だけども、今回のあれ見てると、非常に思ったのはですね、人をモノとし
てしか見ていない。北朝鮮のマスゲームを見ているような感じが非常にし
たのが一つ、ですよ。
それともう一つ、1番仰天したのは、最後に五輪旗ね、いわゆる五輪の旗
を持ったのがね、軍人ですよ。あれ軍人が全員足を挙げて、『グースフッ
ト』ってんだけど、いわゆる独裁国家独特の。あれで持っていった。オレ、
よくIOCがね、あれを許したなぁ。平和の祭典のね、五輪旗を最後に軍
人に持たせるっていうことをね。
だけど中国にはあれが必要なんですよ。要するに『革命は銃口から生まれ
る』ということで、人民解放軍がこの国をやっぱり1番、あの、抑えてる
んだと。保持してるんだということを、ね。
それでありながら、あの演出全部、ボク非常に不思議だったのは、あれ全
部ね、今の中国共産党が打倒したはずの王朝の時代のことばっかしでしょ。
要するに、昔の『清』とか『宋』とか『明』とかの出来事ばっかしで、こ
の袖の長い宮廷のおねえちゃんが踊ってたりとか、なんかこの櫂を持った
おじちゃんたちが動いてたりとか、ね。それキミら、それがイヤで今の国
作ったんでしょうと。ボク期待したのは、人民解放軍が勇敢に突撃してね、
解放するみたいなことを、私は期待してたんですけども、人民解放軍の
『か』の字もない、ですよね。ということは、今の体制そのものが、もう
偽装なんじゃないかと、そもそも。もうだって資本主義でしょ、やってる
ことは。」
http://www.mbs1179.com/katu/
では各論点について言わせていただきます。
《「偽装」問題について》
女の子の口パクに関しては、演出のチャン・イーモウ氏が朝日新聞のインタビューに答えてこう言っています。
「あれは私が決めた。議論が出るとは思っていた。我々は開会式の完璧な美し
さを追求し、3人の女の子を準備した。モラルの問題ではないし、そんなに
重大な問題とは思わない。一種の創作だ。子供たちにとっても誇張して騒ぐ
べきではない。演奏も多くは録音を使っている。過去の五輪でも演奏は録音
が多く、それはごく正常なことだ」
http://www2.asahi.com/olympic2008/news/TKY200808180173.html
前回も書いた通り、私はこの「偽装」問題が、何を問題にしているのかサッパリわかりません。これはショーですよ。チャン氏は「モラルの問題ではない」と言っていますが、私に言わせればモラルにさえ何の問題もない。
それが証拠に、何が何でも文句を言いたい勝谷氏が、具体的にどう問題なのか何も言っていません。言いたくても言えないわけですよ。精一杯がんばって「NHKのアナウンサーが傷ついた」ですよ。それが1番傷ついたことなら、そんなしょうもないこと以下はどうでもええわい!
《マスゲームについて》
一人一人の動きが完璧に統一されていて、それに人間味を感じないから「イヤな気持ちになった」と?
ほーっ。じゃあシンクロナイズドスイミングを見ても気分が悪いんだ。しかも演技が完璧であればあるほど。
オリンピックの競技って、シンクロや体操をはじめ、機械のように正確に動いたり狙ったりするものが山ほどありますよね。あえて言えば、自分の肉体を機械に近づけるために、選手たちは血のにじむような思いで励んでいる。勝谷氏の発言はそういうオリンピック競技の大半を否定してしまうようなものですよ。
確か浅井慎平氏も同じようなこと言ってましたよ。まあ「紋切り型」のご批判ですかねぇ。
それにしても勝谷氏が、一人一人の個性を尊重して運動会でも生徒に統一行動をさせなくなった「歪んだ戦後教育」主義者だったとは存じませんでしたわ。
《五輪旗と軍人について》
勝谷氏は開会式で軍人が五輪旗を持ったことを、ことのほか問題視しています。「平和の祭典で軍人が五輪旗を持つことを、よくIOCが許可したな」と。「仰天」だそうです。
前回紹介した『コラムの花道』では、小西克哉氏と一緒になって「他ではなかった」と言っていました。
これに対して、読者のY.Tさんが面白い情報を提供してくれました。
10年前の長野オリンピックでも、開会式で自衛隊の儀仗隊が、運ばれてきた五輪旗を引き継ぎ、これを掲揚しているとのことです。動かぬ証拠の動画も教えてくださいました。
これです。その場面は4分30秒ごろに出てきます。
確かに自衛官が五輪旗を「持って」います!
そこで私もちょっと探してみました。すると同じ長野の、今度は閉会式で、自衛官が登場し、五輪旗を降ろして運び去る映像が見つかりました。
さらにY.Tさんは、シドニーとアテネでもそうだったと教えてくれましたので、そちらの映像も探してみました。簡単に見つかりましたよ。
まずはシドニーです。3分40秒あたりで登場します。
続いてアテネ。最後のところです。こちらは水兵のようです。
これだけ例があることや、やりかたが同じであることから、五輪旗の運搬・掲揚を軍人が担うのはごく一般的であると言っていいんじゃないでしょうか。つまり勝谷氏の言っていることは完全なデタラメということです。
Y.Tさんは前回のコメント欄でこうおっしゃっています。
「軍隊が開閉会式に出るのがいけない!と言うのなら、儀仗隊のみならず軍楽
隊のファンファーレや砲兵による祝砲、アクロバットチームによる展示飛行
まで全て否定しなくてはいけなくなるのではないでしょうか?」
まったくその通りですよね。
さらに言うなら、「軍隊=アンチ平和」という観念は、戦後の日本にしか見られない特殊なものなんじゃないでしょうか。他の国では、自国の軍隊は自国の平和を守り維持してくれるものだと思っているでしょ。それをIOCが問題にすると思っているなんて、世間知らずにもほどがあるんじゃないでしょうか。
日本では数十年前に軍がバカの極みに達し、その反動で戦後平和憲法が作られたわけですが、それを曲解して軍そのものを嫌悪する人たちが出てきた。勝谷氏はこういう人たちを批判し続けてきたんじゃなかったんですかね。中国さえ非難できれば、そういうことはどうでもいいのか!?
ところで勝谷氏は、膝を曲げずに脚を挙げる行進の仕方を「グースフット」だと言っています。何でもよくご存知ですね。
しかし、これ本当は「グースステップ」って言うんです。何でもよく間違って覚えてらっしゃいますね。
《革命とそれ以前の文化について》
勝谷氏は「開会式には革命前の文化ばかり出てきて、人民解放軍の『か』の字も出てこない」と憤慨しています(なぜ人民解放軍の「じ」の字じゃなくて「か」の字なんだ?)。また「キミら、それがイヤで今の国作ったんでしょう」とまで言っています。
しかし、それは違うでしょ。政治制度がイヤで革命を起こしたわけで、宮廷のお姉ちゃんの長袖や船の櫂がイヤだったわけじゃない。政治制度やある種の思想・宗教は否定しても、文化全体を否定したわけじゃないですよ。
そんなこと言うなら、フランス人はフランス革命以前の文化を誇ってはいけないし、日本も明治維新以前の文化を披露できなくなるじゃないですか。長野の「おんばしら」は何だったんだ?
だいたい「軍人に五輪旗を持たすな」と言っておきながら、「人民解放軍の活躍を期待していた」とはどういうことなのか?
結局、それやったときに非難してやろうと思ったのに、できなかった、その悔しさの裏返しで言ってるだけですよ。子供の悔し紛れと一緒です。
しかし勝谷氏の煩悶と節穴の目をあざ笑うかのように、開会式では実際に革命を表す要素が盛り込まれていました。読者のantさんが教えてくれました。
口パクで話題の、あの女の子(じゃなくて裏の別の女の子)が歌ったあの歌は、毛沢東を讃える革命歌だったそうです。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080814/chn0808141907002-n2.htm
訳詞はこちら http://okwave.jp/qa4242009.html
リンクした産経の記事では「個人崇拝の革命歌曲は五輪開会式にはそぐわない」なんて言ってますが、実際に歌われた歌は「毛沢東」という言葉を削るなどの処理がされていたんだから、革命をソフトに表現した妥当な演出だったと言っていいんじゃないでしょうか。
北京五輪の開会式に関しては『ニュースバカ一代』でも同じこと書いてます。
今日発売の『週刊SPA!』08/8/26号に掲載のvol.297「北京五輪開会式 の巻」です。
『コラムの花道』でも言っていた「オリンピックの精神」について、ここでもこう書いています。
「都市が開催する五輪の精神において国家が前面に出るのはもっとも忌み嫌わ
れるところだ。」
前回の記事では、勝谷氏の有料配信日記のタイトルを引き合いに出して彼の矛盾を指摘しましたが、今回は『志ジャーナル』での発言で、それをやってみます。
体操の内村航平氏が男子個人総合で銀メダルを獲得したことに引っ掛けて、こんなことを言っています。
「ボクね、これね、今ちょうど8月の終戦記念日終わったばっかしやけども、
一旦は22人中21位まで落ちたっていうことは、そっからね、もう1歩
1歩あきらめずに這い上がっていくっていうのは、ほんとにそのー、戦後
の日本の復興を見るような思いで。
いや、ちょうどお盆でね、あの、靖国には英霊が帰ってこられてる時期な
んですよ。ボクはなにか、中国の地に散った日本の将兵のね、英霊が、あ
のスーパーな演技の、こう、なんていうかな、背中を支えてくれたような
気がして。」
ここまでオリンピックを国家と結びつけて見ている人間は、世界広しといえどもこの人だけなんじゃないでしょうか?
まさに「もっとも忌み嫌われる」人物ですね。
ところで、勝谷氏の話でいくと、英霊たちはどこにいるんでしょうかね? 靖国神社なんでしょうか? 北京なんでしょうか? 地理的概念も滅茶苦茶なようです。
ちなみに、日本より中国のほうがメダル獲得数が上であることから考えて、日本の英霊より中国の霊のほうが強いんでしょうか? 日本は霊魂間の日中戦争でも敗れてしまうんでしょうか?
も一つちなみに、正しくは「内村氏は24選手中23位にまで後退」です。
『ニュースバカ一代』の小見出しには「『偽装五輪』を検証せよ」とあります。この記事ではその前に、勝谷氏のデタラメな知識と滅裂な論理でできた見識もへったくれもないバカ話について検証してみました。
8月17日放送の『志ジャーナル』での開会式に関する発言を見てください。ちょっと長いですが、はじめにまとめて引用します。
「これ、アナウンサーの古川さんに訊きたいですけども、一番今傷ついてる
のは、あれを中継をして、あの開会式を褒め讃えていたあの人たちじゃな
いでしょうか?(笑)『見事な花火です』とか言ってね。(アナウンサー
の言葉に)そうそうそう、そうそうそう、全部CGやってて、ごっつい傷
ついてると思うよ。
世界中のねぇ、これね30億人とか40億人見たとも言われてるんだけど
も、それを騙しきるんだからね。まあねぇ、ボクはもう『偽装国家』って
日本のこと言って本書いてましたけどね、もうやっぱりかないません、中
国には。
ボクね、開会式見てね、すごいイヤな気持ちになったのはね、あのー、他
のねぇ、例えばリレハンメールオリンピックとか、ああいう北欧の小さな
国なんかになってきたら、一人一人の表情がすごく楽しそうで、一人一人
の動きが多少違っていても、全体として非常にヒューマンな感じがするん
だけども、今回のあれ見てると、非常に思ったのはですね、人をモノとし
てしか見ていない。北朝鮮のマスゲームを見ているような感じが非常にし
たのが一つ、ですよ。
それともう一つ、1番仰天したのは、最後に五輪旗ね、いわゆる五輪の旗
を持ったのがね、軍人ですよ。あれ軍人が全員足を挙げて、『グースフッ
ト』ってんだけど、いわゆる独裁国家独特の。あれで持っていった。オレ、
よくIOCがね、あれを許したなぁ。平和の祭典のね、五輪旗を最後に軍
人に持たせるっていうことをね。
だけど中国にはあれが必要なんですよ。要するに『革命は銃口から生まれ
る』ということで、人民解放軍がこの国をやっぱり1番、あの、抑えてる
んだと。保持してるんだということを、ね。
それでありながら、あの演出全部、ボク非常に不思議だったのは、あれ全
部ね、今の中国共産党が打倒したはずの王朝の時代のことばっかしでしょ。
要するに、昔の『清』とか『宋』とか『明』とかの出来事ばっかしで、こ
の袖の長い宮廷のおねえちゃんが踊ってたりとか、なんかこの櫂を持った
おじちゃんたちが動いてたりとか、ね。それキミら、それがイヤで今の国
作ったんでしょうと。ボク期待したのは、人民解放軍が勇敢に突撃してね、
解放するみたいなことを、私は期待してたんですけども、人民解放軍の
『か』の字もない、ですよね。ということは、今の体制そのものが、もう
偽装なんじゃないかと、そもそも。もうだって資本主義でしょ、やってる
ことは。」
http://www.mbs1179.com/katu/
では各論点について言わせていただきます。
《「偽装」問題について》
女の子の口パクに関しては、演出のチャン・イーモウ氏が朝日新聞のインタビューに答えてこう言っています。
「あれは私が決めた。議論が出るとは思っていた。我々は開会式の完璧な美し
さを追求し、3人の女の子を準備した。モラルの問題ではないし、そんなに
重大な問題とは思わない。一種の創作だ。子供たちにとっても誇張して騒ぐ
べきではない。演奏も多くは録音を使っている。過去の五輪でも演奏は録音
が多く、それはごく正常なことだ」
http://www2.asahi.com/olympic2008/news/TKY200808180173.html
前回も書いた通り、私はこの「偽装」問題が、何を問題にしているのかサッパリわかりません。これはショーですよ。チャン氏は「モラルの問題ではない」と言っていますが、私に言わせればモラルにさえ何の問題もない。
それが証拠に、何が何でも文句を言いたい勝谷氏が、具体的にどう問題なのか何も言っていません。言いたくても言えないわけですよ。精一杯がんばって「NHKのアナウンサーが傷ついた」ですよ。それが1番傷ついたことなら、そんなしょうもないこと以下はどうでもええわい!
《マスゲームについて》
一人一人の動きが完璧に統一されていて、それに人間味を感じないから「イヤな気持ちになった」と?
ほーっ。じゃあシンクロナイズドスイミングを見ても気分が悪いんだ。しかも演技が完璧であればあるほど。
オリンピックの競技って、シンクロや体操をはじめ、機械のように正確に動いたり狙ったりするものが山ほどありますよね。あえて言えば、自分の肉体を機械に近づけるために、選手たちは血のにじむような思いで励んでいる。勝谷氏の発言はそういうオリンピック競技の大半を否定してしまうようなものですよ。
確か浅井慎平氏も同じようなこと言ってましたよ。まあ「紋切り型」のご批判ですかねぇ。
それにしても勝谷氏が、一人一人の個性を尊重して運動会でも生徒に統一行動をさせなくなった「歪んだ戦後教育」主義者だったとは存じませんでしたわ。
《五輪旗と軍人について》
勝谷氏は開会式で軍人が五輪旗を持ったことを、ことのほか問題視しています。「平和の祭典で軍人が五輪旗を持つことを、よくIOCが許可したな」と。「仰天」だそうです。
前回紹介した『コラムの花道』では、小西克哉氏と一緒になって「他ではなかった」と言っていました。
これに対して、読者のY.Tさんが面白い情報を提供してくれました。
10年前の長野オリンピックでも、開会式で自衛隊の儀仗隊が、運ばれてきた五輪旗を引き継ぎ、これを掲揚しているとのことです。動かぬ証拠の動画も教えてくださいました。
これです。その場面は4分30秒ごろに出てきます。
確かに自衛官が五輪旗を「持って」います!
そこで私もちょっと探してみました。すると同じ長野の、今度は閉会式で、自衛官が登場し、五輪旗を降ろして運び去る映像が見つかりました。
さらにY.Tさんは、シドニーとアテネでもそうだったと教えてくれましたので、そちらの映像も探してみました。簡単に見つかりましたよ。
まずはシドニーです。3分40秒あたりで登場します。
続いてアテネ。最後のところです。こちらは水兵のようです。
これだけ例があることや、やりかたが同じであることから、五輪旗の運搬・掲揚を軍人が担うのはごく一般的であると言っていいんじゃないでしょうか。つまり勝谷氏の言っていることは完全なデタラメということです。
Y.Tさんは前回のコメント欄でこうおっしゃっています。
「軍隊が開閉会式に出るのがいけない!と言うのなら、儀仗隊のみならず軍楽
隊のファンファーレや砲兵による祝砲、アクロバットチームによる展示飛行
まで全て否定しなくてはいけなくなるのではないでしょうか?」
まったくその通りですよね。
さらに言うなら、「軍隊=アンチ平和」という観念は、戦後の日本にしか見られない特殊なものなんじゃないでしょうか。他の国では、自国の軍隊は自国の平和を守り維持してくれるものだと思っているでしょ。それをIOCが問題にすると思っているなんて、世間知らずにもほどがあるんじゃないでしょうか。
日本では数十年前に軍がバカの極みに達し、その反動で戦後平和憲法が作られたわけですが、それを曲解して軍そのものを嫌悪する人たちが出てきた。勝谷氏はこういう人たちを批判し続けてきたんじゃなかったんですかね。中国さえ非難できれば、そういうことはどうでもいいのか!?
ところで勝谷氏は、膝を曲げずに脚を挙げる行進の仕方を「グースフット」だと言っています。何でもよくご存知ですね。
しかし、これ本当は「グースステップ」って言うんです。何でもよく間違って覚えてらっしゃいますね。
《革命とそれ以前の文化について》
勝谷氏は「開会式には革命前の文化ばかり出てきて、人民解放軍の『か』の字も出てこない」と憤慨しています(なぜ人民解放軍の「じ」の字じゃなくて「か」の字なんだ?)。また「キミら、それがイヤで今の国作ったんでしょう」とまで言っています。
しかし、それは違うでしょ。政治制度がイヤで革命を起こしたわけで、宮廷のお姉ちゃんの長袖や船の櫂がイヤだったわけじゃない。政治制度やある種の思想・宗教は否定しても、文化全体を否定したわけじゃないですよ。
そんなこと言うなら、フランス人はフランス革命以前の文化を誇ってはいけないし、日本も明治維新以前の文化を披露できなくなるじゃないですか。長野の「おんばしら」は何だったんだ?
だいたい「軍人に五輪旗を持たすな」と言っておきながら、「人民解放軍の活躍を期待していた」とはどういうことなのか?
結局、それやったときに非難してやろうと思ったのに、できなかった、その悔しさの裏返しで言ってるだけですよ。子供の悔し紛れと一緒です。
しかし勝谷氏の煩悶と節穴の目をあざ笑うかのように、開会式では実際に革命を表す要素が盛り込まれていました。読者のantさんが教えてくれました。
口パクで話題の、あの女の子(じゃなくて裏の別の女の子)が歌ったあの歌は、毛沢東を讃える革命歌だったそうです。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080814/chn0808141907002-n2.htm
訳詞はこちら http://okwave.jp/qa4242009.html
リンクした産経の記事では「個人崇拝の革命歌曲は五輪開会式にはそぐわない」なんて言ってますが、実際に歌われた歌は「毛沢東」という言葉を削るなどの処理がされていたんだから、革命をソフトに表現した妥当な演出だったと言っていいんじゃないでしょうか。
北京五輪の開会式に関しては『ニュースバカ一代』でも同じこと書いてます。
今日発売の『週刊SPA!』08/8/26号に掲載のvol.297「北京五輪開会式 の巻」です。
『コラムの花道』でも言っていた「オリンピックの精神」について、ここでもこう書いています。
「都市が開催する五輪の精神において国家が前面に出るのはもっとも忌み嫌わ
れるところだ。」
前回の記事では、勝谷氏の有料配信日記のタイトルを引き合いに出して彼の矛盾を指摘しましたが、今回は『志ジャーナル』での発言で、それをやってみます。
体操の内村航平氏が男子個人総合で銀メダルを獲得したことに引っ掛けて、こんなことを言っています。
「ボクね、これね、今ちょうど8月の終戦記念日終わったばっかしやけども、
一旦は22人中21位まで落ちたっていうことは、そっからね、もう1歩
1歩あきらめずに這い上がっていくっていうのは、ほんとにそのー、戦後
の日本の復興を見るような思いで。
いや、ちょうどお盆でね、あの、靖国には英霊が帰ってこられてる時期な
んですよ。ボクはなにか、中国の地に散った日本の将兵のね、英霊が、あ
のスーパーな演技の、こう、なんていうかな、背中を支えてくれたような
気がして。」
ここまでオリンピックを国家と結びつけて見ている人間は、世界広しといえどもこの人だけなんじゃないでしょうか?
まさに「もっとも忌み嫌われる」人物ですね。
ところで、勝谷氏の話でいくと、英霊たちはどこにいるんでしょうかね? 靖国神社なんでしょうか? 北京なんでしょうか? 地理的概念も滅茶苦茶なようです。
ちなみに、日本より中国のほうがメダル獲得数が上であることから考えて、日本の英霊より中国の霊のほうが強いんでしょうか? 日本は霊魂間の日中戦争でも敗れてしまうんでしょうか?
も一つちなみに、正しくは「内村氏は24選手中23位にまで後退」です。
『ニュースバカ一代』の小見出しには「『偽装五輪』を検証せよ」とあります。この記事ではその前に、勝谷氏のデタラメな知識と滅裂な論理でできた見識もへったくれもないバカ話について検証してみました。
2008年08月16日
ナンクセ北京五輪開会式
北京オリンピック開幕から今日でちょうど1週間。そろそろこのブログでもオリンピック関連の話題を取り上げていこうかと思います。しばらくそういうのが続きますが、飽きずにおつき合いください。
まずはなんと言っても開会式ですよね。
いや、良かったですねー。私、単純に感動してしまいました。いつもオリンピックの開会式はそんなに熱心に見ないんですが(競技のほうもね)、今回は最初からテレビに釘付けでした。
多少中だるみはしたものの、わかりやすいテーマ、斬新なアイデア、よく訓練された動き、今までで1番面白い開会式じゃなかったですかねぇ。
また、動員した人数や費やした時間とカネ、演出を手がけられる人材なんかを考えると、この先これ以上の開会式、できないんじゃないでしょうか、どこも。
いい意味でも悪い意味でも、国家の威信をかけた今の中国だけがなし得る、そんな風に感じてしまうほどでした。私はね。
しかし、テレビを見ていて評価する声はあまり聞かれなかったんですよね。ラサール石井氏ぐらいでしょうか、私の知る限り。
中にはチベットをはじめとする人権問題等を持ち出して、それを理由に「評価する気になれない」なんて言ってた人もいました。みんなそういうこと意識してるんでしょうか? しかしそれは違うでしょ。
例え開会式自体が政治性を持っていたとしても、それとは別に芸術としてショーとして評価すべきでしょ。それが知性というもんだと思うんですがねぇ。
さて、我らが勝谷氏はこの開会式をどう評価しているんでしょうか? ま、褒めるわけないですわな。
8月13日放送の『コラムの花道』でいろいろと難癖を付けています。
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080813.mp3
まず、こう言っています。
「しかしね、ボクはハッキリ言ってね、あの開会式は、あのー、民族の祭典を
思いましたね、ナチスドイツの。」
またナチスドイツですか。けなしかたが「なんとかの一つ覚え」なんだよなー。
しかしその後、「革命はどこへ行った」と言って、辛亥革命や文化大革命がこの開会式のどこにも描かれていないことがおかしいと言い出すんですね。
最終的に太鼓持ちの小西克哉氏とこんなやり取りです。
小西「中国の祭典自体は、あれはボクは、チャン・イーモウがね、やっぱり共
産党系のことは全部カットしたかったんだろうと、個人的には思うんで
すよ。で、中国のいいところだけ、文明的なところだけ出して。
だから孫文も出ないし、毛沢東も出ないし、というとこかなと思ったん
ですね。」
勝谷「なんかね、『昔の遺産で食ってます』みたいな感じがね。でも全体は、
やっぱりすごいプロパガンダ。ボクはナチスドイツの**ベルリンオリ
ンピックのあれ思い出したね。」
共産党系のことは全部カットしてあるのに、なんでプロパガンダなの? なんでナチスドイツと同じなの? そうだという理由がまったくわかりません。とにかく何が何でもナチスドイツだと言いたかっただけでしょ? 最初からけなしたいだけじゃん。
この間にも両者悪乗りして、やれ『白毛女』をやれだの、毛沢東をパロディしろだの、言いたい放題。挙げ句の果てに「南京大虐殺の百人斬りをやれ」ですよ。
じゃあ、これから日本でオリンピックやるときは、広島・長崎の被爆劇、絶対やらないとね。
で、そんな話をした後、こういうことを言い出すんですよ。
勝谷「最後に五輪旗を持ったのが、人民解放軍の兵士でしたね。それでグース
フットで歩いて。よくIOCがあれを許したと。平和の祭典の五輪旗を
軍人が持って、最後に。」
小西「ああ、そう言えば、他、持ってないですね。」
勝谷「当たり前ですよ。旗持ってくっていう。で、結局最後はやっぱり軍が、
この国は軍であるっていうことを。」
南京大虐殺は描いていいけど、軍人が旗を持つのはダメなのか? どういう基準なんだ?
しかもこれ、勝谷氏がいつも主張していることと違ってませんか?
勝谷氏はいつも軍隊あっての平和だと言っていますよね。単に「平和」「平和」といって軍事をないがしろにするのは間違っていると。
それが今度は、兵士を平和の対極にある存在として忌み嫌ってますよ。これじゃあ勝谷氏が常日頃罵倒している革新政党のおばさんと同じじゃないですか。またしてもご都合主義的変節ですか?
自衛隊のみなさーん、アナタたちに五輪旗を持つ資格はないんですってー。
巨人の足跡を模した花火が実はCGだったことや、歌を歌った女の子が実は口パクで、別の女の子が歌っていたことは各種ニュースでも取り上げられていますから、読者のみなさんもよくご存知だと思います。
・http://www.asahi.com/sports/update/0812/TKY200808120178.html
・http://www2.asahi.com/olympic2008/news/TKY200808120408.html
報道ではたいてい「偽装」という言葉を使って、否定的なニュアンスで伝えているようですね。
しかし、私思うんですが、こういうことってダメなことなんですかねぇ。私には何がダメなのか全然わかりません。
開会式は一種のショーでしょ。トリックを使おうが何をしようが、楽しく見られればそれでいいわけで、事実でなければならないなんてことはありませんよね。そんなこと言い出したら、聖火台に点火したランナーはほんとに宙に浮かないといけない。
私はこれらの「偽装」は、極端な言い方をすれば、むしろ面白い試みなんじゃないかとさえ思っています。
開会式のカウントダウンは人が打楽器を叩いているのに、遠目ではデジタル文字のように見えました。式のはじめの波打つ活字は機械で動かしているように見せかけて、実は人が動かしていました。
そういう見た目と実体のギャップを楽しむ、偽装的お遊びの一環として「足跡花火」や「女の子の吹き替え」をとらえることはできないでしょうかねぇ。
中国政府はそんなつもりなかったかもしれませんが、演出のチャン・イーモウ氏は意図していたんだと思うんですが、どうでしょう。
勝谷氏は、もちろんこのことを否定的にとらえ、揶揄しています。
「だからボクね、これから今見てる映像ね、どこまで信用していいのか、
ちょっとわかんなくなっちゃって。」
あながち冗談ではないかもしれませんね。もちろん勝谷氏のリテラシーの低さがその程度という意味ですよ。
そして勝谷氏、女の子の口パクに対する中国側のコメントを取り上げて、こんなことを言ってしまいました。この日の放送で私が1番ビックリした発言です。
「これだけど、あれだよね、『そういう風に使い分けていくことが国益にかな
うと思った』って言うのね。『国家利益のためである』。
これは大きな間違いで、完璧にオリンピック精神を理解してなくて、オリン
ピックってのはアスリートと都市のものであって、国家のためのものじゃな
いんですよ。これは1番IOCが嫌うことなんですよ。国威発揚に使うって
いうのは。それをああいう風に言っちゃったらね。」
これの何にビックリしたかって?
そりゃあビックリしますよ。この放送の前日8月12日の勝谷氏の有料配信日記のタイトルがこうなんですから。
「巨躯の白人どもを撃破して世界新記録を出した北島康介のあの咆哮を
靖国にお帰りの英霊よご覧下さい」
http://www.katsuyamasahiko.jp/modules/tinyd0/index.php?id=9
THE 国威発揚!
タイトルだけで中身を判断してはいけませんが、トリノオリンピックで荒川静香氏が金メダルを取った際、彼女が日の丸をまとってリンクを周回する姿を見て感激しまくってた勝谷氏の姿から、その内容はタイトル通りと考えてまず間違いないでしょう。
難癖付けるためなら、一貫性をも捨て去る。同じように実体がなくとも、花火や女の子の偽装より勝谷氏の発言のほうがよっぽど悪質なんじゃないでしょうか。
まずはなんと言っても開会式ですよね。
いや、良かったですねー。私、単純に感動してしまいました。いつもオリンピックの開会式はそんなに熱心に見ないんですが(競技のほうもね)、今回は最初からテレビに釘付けでした。
多少中だるみはしたものの、わかりやすいテーマ、斬新なアイデア、よく訓練された動き、今までで1番面白い開会式じゃなかったですかねぇ。
また、動員した人数や費やした時間とカネ、演出を手がけられる人材なんかを考えると、この先これ以上の開会式、できないんじゃないでしょうか、どこも。
いい意味でも悪い意味でも、国家の威信をかけた今の中国だけがなし得る、そんな風に感じてしまうほどでした。私はね。
しかし、テレビを見ていて評価する声はあまり聞かれなかったんですよね。ラサール石井氏ぐらいでしょうか、私の知る限り。
中にはチベットをはじめとする人権問題等を持ち出して、それを理由に「評価する気になれない」なんて言ってた人もいました。みんなそういうこと意識してるんでしょうか? しかしそれは違うでしょ。
例え開会式自体が政治性を持っていたとしても、それとは別に芸術としてショーとして評価すべきでしょ。それが知性というもんだと思うんですがねぇ。
さて、我らが勝谷氏はこの開会式をどう評価しているんでしょうか? ま、褒めるわけないですわな。
8月13日放送の『コラムの花道』でいろいろと難癖を付けています。
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080813.mp3
まず、こう言っています。
「しかしね、ボクはハッキリ言ってね、あの開会式は、あのー、民族の祭典を
思いましたね、ナチスドイツの。」
またナチスドイツですか。けなしかたが「なんとかの一つ覚え」なんだよなー。
しかしその後、「革命はどこへ行った」と言って、辛亥革命や文化大革命がこの開会式のどこにも描かれていないことがおかしいと言い出すんですね。
最終的に太鼓持ちの小西克哉氏とこんなやり取りです。
小西「中国の祭典自体は、あれはボクは、チャン・イーモウがね、やっぱり共
産党系のことは全部カットしたかったんだろうと、個人的には思うんで
すよ。で、中国のいいところだけ、文明的なところだけ出して。
だから孫文も出ないし、毛沢東も出ないし、というとこかなと思ったん
ですね。」
勝谷「なんかね、『昔の遺産で食ってます』みたいな感じがね。でも全体は、
やっぱりすごいプロパガンダ。ボクはナチスドイツの**ベルリンオリ
ンピックのあれ思い出したね。」
共産党系のことは全部カットしてあるのに、なんでプロパガンダなの? なんでナチスドイツと同じなの? そうだという理由がまったくわかりません。とにかく何が何でもナチスドイツだと言いたかっただけでしょ? 最初からけなしたいだけじゃん。
この間にも両者悪乗りして、やれ『白毛女』をやれだの、毛沢東をパロディしろだの、言いたい放題。挙げ句の果てに「南京大虐殺の百人斬りをやれ」ですよ。
じゃあ、これから日本でオリンピックやるときは、広島・長崎の被爆劇、絶対やらないとね。
で、そんな話をした後、こういうことを言い出すんですよ。
勝谷「最後に五輪旗を持ったのが、人民解放軍の兵士でしたね。それでグース
フットで歩いて。よくIOCがあれを許したと。平和の祭典の五輪旗を
軍人が持って、最後に。」
小西「ああ、そう言えば、他、持ってないですね。」
勝谷「当たり前ですよ。旗持ってくっていう。で、結局最後はやっぱり軍が、
この国は軍であるっていうことを。」
南京大虐殺は描いていいけど、軍人が旗を持つのはダメなのか? どういう基準なんだ?
しかもこれ、勝谷氏がいつも主張していることと違ってませんか?
勝谷氏はいつも軍隊あっての平和だと言っていますよね。単に「平和」「平和」といって軍事をないがしろにするのは間違っていると。
それが今度は、兵士を平和の対極にある存在として忌み嫌ってますよ。これじゃあ勝谷氏が常日頃罵倒している革新政党のおばさんと同じじゃないですか。またしてもご都合主義的変節ですか?
自衛隊のみなさーん、アナタたちに五輪旗を持つ資格はないんですってー。
巨人の足跡を模した花火が実はCGだったことや、歌を歌った女の子が実は口パクで、別の女の子が歌っていたことは各種ニュースでも取り上げられていますから、読者のみなさんもよくご存知だと思います。
・http://www.asahi.com/sports/update/0812/TKY200808120178.html
・http://www2.asahi.com/olympic2008/news/TKY200808120408.html
報道ではたいてい「偽装」という言葉を使って、否定的なニュアンスで伝えているようですね。
しかし、私思うんですが、こういうことってダメなことなんですかねぇ。私には何がダメなのか全然わかりません。
開会式は一種のショーでしょ。トリックを使おうが何をしようが、楽しく見られればそれでいいわけで、事実でなければならないなんてことはありませんよね。そんなこと言い出したら、聖火台に点火したランナーはほんとに宙に浮かないといけない。
私はこれらの「偽装」は、極端な言い方をすれば、むしろ面白い試みなんじゃないかとさえ思っています。
開会式のカウントダウンは人が打楽器を叩いているのに、遠目ではデジタル文字のように見えました。式のはじめの波打つ活字は機械で動かしているように見せかけて、実は人が動かしていました。
そういう見た目と実体のギャップを楽しむ、偽装的お遊びの一環として「足跡花火」や「女の子の吹き替え」をとらえることはできないでしょうかねぇ。
中国政府はそんなつもりなかったかもしれませんが、演出のチャン・イーモウ氏は意図していたんだと思うんですが、どうでしょう。
勝谷氏は、もちろんこのことを否定的にとらえ、揶揄しています。
「だからボクね、これから今見てる映像ね、どこまで信用していいのか、
ちょっとわかんなくなっちゃって。」
あながち冗談ではないかもしれませんね。もちろん勝谷氏のリテラシーの低さがその程度という意味ですよ。
そして勝谷氏、女の子の口パクに対する中国側のコメントを取り上げて、こんなことを言ってしまいました。この日の放送で私が1番ビックリした発言です。
「これだけど、あれだよね、『そういう風に使い分けていくことが国益にかな
うと思った』って言うのね。『国家利益のためである』。
これは大きな間違いで、完璧にオリンピック精神を理解してなくて、オリン
ピックってのはアスリートと都市のものであって、国家のためのものじゃな
いんですよ。これは1番IOCが嫌うことなんですよ。国威発揚に使うって
いうのは。それをああいう風に言っちゃったらね。」
これの何にビックリしたかって?
そりゃあビックリしますよ。この放送の前日8月12日の勝谷氏の有料配信日記のタイトルがこうなんですから。
「巨躯の白人どもを撃破して世界新記録を出した北島康介のあの咆哮を
靖国にお帰りの英霊よご覧下さい」
http://www.katsuyamasahiko.jp/modules/tinyd0/index.php?id=9
THE 国威発揚!
タイトルだけで中身を判断してはいけませんが、トリノオリンピックで荒川静香氏が金メダルを取った際、彼女が日の丸をまとってリンクを周回する姿を見て感激しまくってた勝谷氏の姿から、その内容はタイトル通りと考えてまず間違いないでしょう。
難癖付けるためなら、一貫性をも捨て去る。同じように実体がなくとも、花火や女の子の偽装より勝谷氏の発言のほうがよっぽど悪質なんじゃないでしょうか。
2008年08月12日
buddyさん、もう結構です。
「寝言探偵と愉快犯」のコメント欄において、そこで勝谷有用論を唱えているbuddyさんが本文掲載用にその主張を改めて書いてくださることになったとお伝えしていましたが、結局その話、お流れになってしまいました。期待されていた読者のみなさんには本当に申し訳ないです。お詫びします。ごめんなさい。
ことの経緯をご理解いただくために、私とbuddyさんが交わしたメールを「続きを読む」にすべて掲載します。なぜか、本文掲載用に書かれた原稿かと見まがうほどに彼の主張もたっぷり書かれていますので、是非お読みいただきたいと思います。
一応私のほうからも経緯をかいつまんで説明させていただきます。
buddyさんはこう思っていたそうです。
「勝谷が危険なのは、勝谷の言うことならなんでも信じてしまった、あなた達のような人だけだよ、と、ここの読者にもろに喧嘩を売る」ことになり、そうすると「勝谷と同じ位思い込みが強いだけ、との批判が当然出る」。その批判に「対応までしなくてはなら無いとなるとなかなか面倒」だし、「『所詮平行線』というより穏当な結論も出ている」ことだから「書く事を躊躇して」いる。
そこでbuddyさん、こう言ってきました。
「寄稿をしようとは当初から思っていませんでした」。「私の寄稿が東田さんのブログに有用である、とご判断されるのであれば、そう判断される理由をお教えいただければ、寄稿用の原稿を書く事にやぶさかではありません」。
それを受けて私はこう判断したわけです。
コメント欄にもメールにも散々自分の主張を書いておきながら、今さら何が「書くことを躊躇している」だ! 何が「有用である理由を教えろ」だ!
「批判に対応するのが面倒」? コメント欄ではいちいち長ったらしいレス書いてたくせによ。
結局本文を書くことに怖じけずいただけじゃないか。それならそれで正直にそう言えばいいものを、自分の体面繕うために読者や私に責任転嫁するようなこと書きやがって。
もうこんな言い訳がましいヘタレ野郎に本文のスペース貸すことない。こっちからお断りだ。
で、この話はなくなったということです。
そもそも私は、戦場を傍目でニヤニヤしながら見て「そっちもアホなら、あっちもアホだ」と他人を小バカにすることでしか自分の矜持を維持できないような輩が、勝谷と同じぐらい嫌いです。
そんなヤツ、これ以上1分1秒でもかかわっていたくないけど、今まで反論を控えていた分がありますので、この機にちょこっとだけ言わせてもらいます。
・「一体、この日本に『勝谷がそう言ってた』と言われて納得する奴が居るのか
ね。」(コメントNo.45=c45)
はあ? いますけど。それが勝谷信者っていう連中なんですけど。その手のブログ、探してみたらどうですか? 勝谷氏の言葉をありがたがって鵜呑みにしてるのがゴロゴロ見つかるから。だいたいそういう連中がいなかったら、有料日記は誰に配信されてるんですかねぇ。
で、そう言ってる一方で、buddy氏、こうも言ってます。
・「勝谷は概ね発言や主張の根拠を明示していると理解している」(c35)
・「勝谷が妄想だけのやつなら、とっくに消えていただろう。妄想の基に取材に
よって裏付けられた独自の情報や情報の分析力があるから、勝谷は残ってい
る。」(c40)
・「それがオカルトにならずより現実に寄り添っている、検討に値する(事も多
い)」(c45)
これまた、はあ? 「根拠を明示してい」て、「取材によって裏付けられた独自の情報や情報の分析力があ」って、「現実に寄り添っている」のに「納得する奴が居」ない、ってどういうこと?
たまにはバカなことも言うけど、たいていは「検討に値する」ものだ、ってことか? それなら勝谷氏の言葉で「納得する奴」がいても不思議じゃないだろ。
言ってること、滅裂。
・「それはマスコミが、そしてその消費者が異なる視点を欲しているからだ。勝
谷をきっかけに議論が深まる。」(c52)
勝谷氏の口癖は「なぜ大マスコミはこのことを取り上げない!」なんですけど。そして、そうほざいた後でも、大マスコミは依然無視。せいぜい勝谷氏が出演している番組が気を使って、ちょろっとやるだけ。どこでどんな議論がどう深まったんでしょうか?
え? 竹島? 対馬? チベット? 長野? 柔整師? 猊下? みんな他人が言ってたことの尻馬に乗っただけじゃないか。勝谷氏のオリジナルっぽいものといえば、例えば松岡農相の自殺への不審視やリンリン暗殺説、イージス艦事故ステルス訓練説なんかがあるけど、これらがどこで話題になりましたか? それによってどう議論が深まりましたか? こんなもんオカルト以下じゃん。
このブログのエントリー数は、これを除いて74です。勝谷氏が有用で、彼の発言がきっかけで議論が深まると言うなら、少なくともそれと同じ数だけ例を挙げてみてほしいものです。
・「勝谷の終わりは読者視聴者を誘導する為に意図を隠して情報コントロールを
した時、つまり『アサヒ』った時だな。」(c35)
じゃあもう終わってるよ。リンリン暗殺説では「集中治療室に入れられていた」という嘘をついて自説へ誘導し、中国や日本政府への不信感・憎悪を煽ってるじゃないか。他にも嘘や誇張を使いまくってる。
そして、私が最も問題視し、すべての読者も同じ思いでありながら、buddy氏だけが理解していない点,それが勝谷氏の人間性ですよ。
世間の気を引くため、自分のひ弱な心を守るために、被害者やその遺族、関係者をはじめ一般人までも罵倒し、名誉を傷つける。そういう勝谷氏の人間性こそが問題であり、メディアから抹殺する最大の理由だと、このブログで主張し続けているのに、buddy氏はそのことにまったく触れようとしない。
「納得する奴が居」ないぐらいいい加減な話でも、「異なる視点」を提供しさえすれば、他人を傷つけたって「ジャーナリスト」としては有用だってか? じゃあ、大マスコミもセカンドレイプしようが濡れ衣着せようが、他と違うこと言ってさえすれば許されるってわけだ。へ〜。
結局このbuddyなる人物も勝谷氏と同程度の人間性しか持ち合わせていないということでしょう。
buddy氏は、私から「勝谷信者」と見なされたことが気に入らないようですが、それなら訂正してあげますよ。アンタに「勝谷信者」はもったいない。どっちかというと勝谷そのもの。しかもスケールのかなり小さい。そう、アンタは「小勝谷」だよ。「ミニ勝谷」「マイクロ勝谷」「ナノ勝谷」。
・「勝谷のバカげた発言に論理的な突っ込みを入れて何になる、と思っておりま
す。」(メール8/10)
・「残念ながら東田さんの批判は、緻密で労作ではありますが、批判対象のレベ
ルを超えるには到っていません。」(メール8/10)
「勝谷のバカげた発言に論理的な突っ込みを入れて何になる」って言うんなら、それよりレベルが低いと思ってるこのブログにイチャモン書いてくるオマエは何なんだよ。
buddyさん、もう2度とアンタを相手にすることはないので、井戸の中にでも入って独り勝谷氏の発言をキッカケに、せいぜい議論を深めてくださいな。
じゃあね。
続きを読む
ことの経緯をご理解いただくために、私とbuddyさんが交わしたメールを「続きを読む」にすべて掲載します。なぜか、本文掲載用に書かれた原稿かと見まがうほどに彼の主張もたっぷり書かれていますので、是非お読みいただきたいと思います。
一応私のほうからも経緯をかいつまんで説明させていただきます。
buddyさんはこう思っていたそうです。
「勝谷が危険なのは、勝谷の言うことならなんでも信じてしまった、あなた達のような人だけだよ、と、ここの読者にもろに喧嘩を売る」ことになり、そうすると「勝谷と同じ位思い込みが強いだけ、との批判が当然出る」。その批判に「対応までしなくてはなら無いとなるとなかなか面倒」だし、「『所詮平行線』というより穏当な結論も出ている」ことだから「書く事を躊躇して」いる。
そこでbuddyさん、こう言ってきました。
「寄稿をしようとは当初から思っていませんでした」。「私の寄稿が東田さんのブログに有用である、とご判断されるのであれば、そう判断される理由をお教えいただければ、寄稿用の原稿を書く事にやぶさかではありません」。
それを受けて私はこう判断したわけです。
コメント欄にもメールにも散々自分の主張を書いておきながら、今さら何が「書くことを躊躇している」だ! 何が「有用である理由を教えろ」だ!
「批判に対応するのが面倒」? コメント欄ではいちいち長ったらしいレス書いてたくせによ。
結局本文を書くことに怖じけずいただけじゃないか。それならそれで正直にそう言えばいいものを、自分の体面繕うために読者や私に責任転嫁するようなこと書きやがって。
もうこんな言い訳がましいヘタレ野郎に本文のスペース貸すことない。こっちからお断りだ。
で、この話はなくなったということです。
そもそも私は、戦場を傍目でニヤニヤしながら見て「そっちもアホなら、あっちもアホだ」と他人を小バカにすることでしか自分の矜持を維持できないような輩が、勝谷と同じぐらい嫌いです。
そんなヤツ、これ以上1分1秒でもかかわっていたくないけど、今まで反論を控えていた分がありますので、この機にちょこっとだけ言わせてもらいます。
・「一体、この日本に『勝谷がそう言ってた』と言われて納得する奴が居るのか
ね。」(コメントNo.45=c45)
はあ? いますけど。それが勝谷信者っていう連中なんですけど。その手のブログ、探してみたらどうですか? 勝谷氏の言葉をありがたがって鵜呑みにしてるのがゴロゴロ見つかるから。だいたいそういう連中がいなかったら、有料日記は誰に配信されてるんですかねぇ。
で、そう言ってる一方で、buddy氏、こうも言ってます。
・「勝谷は概ね発言や主張の根拠を明示していると理解している」(c35)
・「勝谷が妄想だけのやつなら、とっくに消えていただろう。妄想の基に取材に
よって裏付けられた独自の情報や情報の分析力があるから、勝谷は残ってい
る。」(c40)
・「それがオカルトにならずより現実に寄り添っている、検討に値する(事も多
い)」(c45)
これまた、はあ? 「根拠を明示してい」て、「取材によって裏付けられた独自の情報や情報の分析力があ」って、「現実に寄り添っている」のに「納得する奴が居」ない、ってどういうこと?
たまにはバカなことも言うけど、たいていは「検討に値する」ものだ、ってことか? それなら勝谷氏の言葉で「納得する奴」がいても不思議じゃないだろ。
言ってること、滅裂。
・「それはマスコミが、そしてその消費者が異なる視点を欲しているからだ。勝
谷をきっかけに議論が深まる。」(c52)
勝谷氏の口癖は「なぜ大マスコミはこのことを取り上げない!」なんですけど。そして、そうほざいた後でも、大マスコミは依然無視。せいぜい勝谷氏が出演している番組が気を使って、ちょろっとやるだけ。どこでどんな議論がどう深まったんでしょうか?
え? 竹島? 対馬? チベット? 長野? 柔整師? 猊下? みんな他人が言ってたことの尻馬に乗っただけじゃないか。勝谷氏のオリジナルっぽいものといえば、例えば松岡農相の自殺への不審視やリンリン暗殺説、イージス艦事故ステルス訓練説なんかがあるけど、これらがどこで話題になりましたか? それによってどう議論が深まりましたか? こんなもんオカルト以下じゃん。
このブログのエントリー数は、これを除いて74です。勝谷氏が有用で、彼の発言がきっかけで議論が深まると言うなら、少なくともそれと同じ数だけ例を挙げてみてほしいものです。
・「勝谷の終わりは読者視聴者を誘導する為に意図を隠して情報コントロールを
した時、つまり『アサヒ』った時だな。」(c35)
じゃあもう終わってるよ。リンリン暗殺説では「集中治療室に入れられていた」という嘘をついて自説へ誘導し、中国や日本政府への不信感・憎悪を煽ってるじゃないか。他にも嘘や誇張を使いまくってる。
そして、私が最も問題視し、すべての読者も同じ思いでありながら、buddy氏だけが理解していない点,それが勝谷氏の人間性ですよ。
世間の気を引くため、自分のひ弱な心を守るために、被害者やその遺族、関係者をはじめ一般人までも罵倒し、名誉を傷つける。そういう勝谷氏の人間性こそが問題であり、メディアから抹殺する最大の理由だと、このブログで主張し続けているのに、buddy氏はそのことにまったく触れようとしない。
「納得する奴が居」ないぐらいいい加減な話でも、「異なる視点」を提供しさえすれば、他人を傷つけたって「ジャーナリスト」としては有用だってか? じゃあ、大マスコミもセカンドレイプしようが濡れ衣着せようが、他と違うこと言ってさえすれば許されるってわけだ。へ〜。
結局このbuddyなる人物も勝谷氏と同程度の人間性しか持ち合わせていないということでしょう。
buddy氏は、私から「勝谷信者」と見なされたことが気に入らないようですが、それなら訂正してあげますよ。アンタに「勝谷信者」はもったいない。どっちかというと勝谷そのもの。しかもスケールのかなり小さい。そう、アンタは「小勝谷」だよ。「ミニ勝谷」「マイクロ勝谷」「ナノ勝谷」。
・「勝谷のバカげた発言に論理的な突っ込みを入れて何になる、と思っておりま
す。」(メール8/10)
・「残念ながら東田さんの批判は、緻密で労作ではありますが、批判対象のレベ
ルを超えるには到っていません。」(メール8/10)
「勝谷のバカげた発言に論理的な突っ込みを入れて何になる」って言うんなら、それよりレベルが低いと思ってるこのブログにイチャモン書いてくるオマエは何なんだよ。
buddyさん、もう2度とアンタを相手にすることはないので、井戸の中にでも入って独り勝谷氏の発言をキッカケに、せいぜい議論を深めてくださいな。
じゃあね。
続きを読む
2008年08月08日
これでいいのだ? 極東軍事
前々回の記事で、アメリカ地名委員会(BGN)が竹島をそれまでの「韓国領」という認識から「主権未確定地域」に変更したということを書きました。
しかし、その後事態は一変。8月6日の訪韓の手土産とばかりに、ブッシュ大統領がこれを元に戻してしまいました。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200807/2008073100139
前々回コメント欄で読者の朴さんが「目先をアジアばかりに向けず、もっと『腰を入れて』アメリカやEU諸国にも向けて欲しいですね」と揶揄したのを読んだからでしょうか、このことについて勝谷氏は先週2日の『あさパラ!』でブッシュ大統領に毅然として抗議しています。
「ブッシュ! オマエ、頭悪いんやったら、しばらくの任期のあいだ
黙っとれ、ボケが!」
が、柄悪ぅ〜。「毅然として」というより「まるでヤクザのように」でしたね。
そういえば、徳島県阿南市の土地改良区の資金6億円を横領したおばさんの長男は、母親から受け取った金を暴力団に渡していたそうですが、この日の『あさパラ!』ではその長男の言葉も流していました。動画をご覧になれるかたは、勝谷氏のコメントと聞き比べてみてください。
さて、勝谷氏はこのBGNの問題に関しては、ブッシュ大統領だけでなく、日本の外務省をも批判しています。どういう点を批判しているかというと、BGNが「主権未確定地域」と変更する以前、長年「韓国領」とされていたことに、こう言っています。
「だから、日本の外務省が知らなかったとしたら怠慢ですよ。で、知ってて国
民に知らせなかったとしたら、とんでもない話ですよ。だから次の国会で、
ボクもう民主党の議員に言ってますけども、次の国会で外務大臣呼んで徹底
的にこれを追及しろと。知ってたのか、知らなかったのか。だから、こうも
める前にアメリカに対して『あそこは日本の領土でしょ』って言わなアカン
かった。」
民主党議員に国会での質問を命じるとは、さすが陰で日本を動かす大物ですな。ところでその民主党の議員って誰なんでしょうね。国会でそういう質問をするヤツは勝谷氏の手下ってことですよね。注目しときましょう。
ま、それはさておき、この外務省批判、どうなんでしょう。
私は前々回の記事で、BGNの「主権未確定地域」への変更を「日本側の1勝」と言いました。韓国側のマスコミも日本のロビー活動を高く評価していました。
しかし勝谷氏はその点を一切評価せず、ひたすら外務省批判の姿勢をとっています。これではまるで、かつての「何でも反対政党」じゃないですか。いくら口先で「民主党支持ではない」といっても、政権交代願望に取り憑かれた盲目的現政権批判者にしか見えませんよねぇ。
しかしまあ、それでも勝谷氏は勝谷氏なりに「理屈」を考えてはきているんですよ、一応。どういうことかというと、たとえ変更させても「主権未確定地域」だと日米安全保障条約において不都合が生じると言うんです。同日『あさパラ!』での発言です。
「『日米安保条約、どうなるかわかりませんよ』って言うべきなの。つまり安
全保障条約、軍事同盟は、お互いの領土が『こことここですね』『そうです
ね』って納得して、そこを攻められたら『お互い助けましょう』でしょ。」
だから一気に「日本領」に変更さろというのは、ちょっと酷な話だと思うんですがねぇ。
しかし、日米安保条約における不都合って、具体的にはどういうことなんでしょう? 先月30日の『コラムの花道』でその点についてこう言ってました。
「私は仰天したのは、アメリカが竹島を『領土未確定』にしたっていうことな
んですよ。いいですか、日本は安保条約で結ばれてんですよ。安全保障条約
というのは、領土・国土・人民の財産を、お互いに侵されたときに守るとい
うことが不可分なんですよ、ね。ということは、お互いの領土がどっからど
こまでだということを明確に100%しておかないと、安全保障条約発動で
きないじゃないですか。
(中略)
竹島を例えばの話、北朝鮮が攻めてきたらどうすんの? 日本は・・韓国と
アメリカも安全保障条約結んでるわけですよ。ね。米朝防衛協定結んでる。
そしたら北朝鮮が竹島攻めてきたら、アメリカは応援するのかしないのか?
今もし、りょ、領土不確定だったとしたら応援できないじゃない。だからこ
れ韓国にとっても非常に厳しい状況であって・・・」
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080730.mp3
何を言ってるんでしょうねぇ。「どうすんの?」って、一緒に戦うに決まってるじゃないですか。
竹島の主権が未確定だといっても、それは日本か韓国のいずれかであることは間違いないわけで、その両国ともアメリカと同盟を結んでいる以上、第三国が攻めてきたらアメリカは戦わざるを得ない。戦わないという選択をする余地なんて全然ないじゃないですか。
日本や韓国から見ても、お互いの主張は一旦おいて、協力して北朝鮮を排除するでしょ、そりゃ。
結局竹島の帰属先がどっちであれ、両国と同盟を結んでいるアメリカにはさしたる不都合なんてないんじゃないですかねぇ。したがって日米安保にも現実的な不都合なんて何もない。
実際に放送されたものをお聞きになればわかると思いますが、後段は勝谷氏、しどろもどろです。しゃべっている途中で気がついたんでしょうね。その慌てぶりには笑ってしまいます。放送前にちゃんと考えてこいよ!
(それにしてもこの回の放送はヒドい。「プロレタリアート」を「プロレタリアーティスト」と言ったり、「面従腹背」を「背面服従」と言ったり。酔っぱらってたのか?)
2日の『あさパラ!』ではさらに踏み込み、日米安保の解消を口にしています。
「アメリカが日本の領土と認めないわけだから、そんな国と軍事同盟、危な
くて結べないから、『米軍、出て行ってください』って言うて。『もうい
りません』と。うん。」
そこで司会のハイヒール・リンゴ氏が「それを言うてしまうと、今度は核の傘がなくなってしまうという・・・」と懸念を表明すると、勝谷氏はこう主張しました。
「日本が核武装すればいいんです。ボクは米軍出て行ってもらって、日本が核
武装して、竹島は一戦して実力で自衛隊が奪還したらいいんですよ。それを
やったら、すごいね東アジアのあれは安定しますよ。中国も尖閣諸島に言っ
てこなくなるし、みんなちょっとこう引きますよ。」
話は竹島奪還・極東の軍事的安定まで進んでしまいました。しかし、これどうでしょう? 将来的な安保解消や核武装の是非についてはともかく、現時点でのこのシナリオはどう見てもまともだとは思えないんですけどねぇ。
まず、日本が日米安保条約を解消しても、韓国はアメリカとの同盟を絶対解消しませんよね。そうすると、竹島の武力奪還は韓国のみならずアメリカともやり合わなければならない。勝谷氏は韓国との戦争は楽勝だと豪語していましたが、では米韓連合には勝てるんでしょうか? 万一勝てたとしても、日米安保下での韓国だけとの戦争とは桁違いに大きな損害を出すことは火を見るより明らかです。
さらにこの時点での核武装ですが、アメリカとの同盟を切ってからの核武装化は相当な困難を伴うんじゃないでしょうか? 周辺各国からの猛反発と同時に欧米からの干渉も一通りではないでしょう。アメリカの手によるか韓国自ら行うかはわかりませんが、当然韓国に日本へ向けた核兵器が用意されるでしょう。
果たしてこれが、竹島奪還に関して良策と言えるんでしょうか? 日本国民はこのシナリオを良しとするんでしょうか? 私は勝谷氏とは違い、軍事に関してはまったくの素人ですが、その素人から見たら勝谷氏の言ってることは愚策以外の何ものでもないように思えるんですがねぇ。みなさん、これでいいですか?
ところで、もうお気づきだと思いますが、勝谷氏、また「一戦論」に変わってますね。
「オレだってニュースキャスター」の回に紹介しましたが、先月19日の『あさパラ!』出演時には、それまで主張していた「領土問題は武力によってしか解決しない」とする「一戦論」から180度方向を転換し、「領土問題はお互いの冷静な話し合いで解決するもの」と発言していました。それをまた元に戻してしまいましたよ、何の説明もなしに。
現在発売中の月刊誌『WiLL』に掲載されている勝谷氏のコラムのタイトルは「コロコロ変わる朝日の社説」です。「朝日新聞の社説には一貫した思想がない」と批判しておられますが、人のこと言える筋合いなんでしょうかねぇ。

しかし、その後事態は一変。8月6日の訪韓の手土産とばかりに、ブッシュ大統領がこれを元に戻してしまいました。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200807/2008073100139
前々回コメント欄で読者の朴さんが「目先をアジアばかりに向けず、もっと『腰を入れて』アメリカやEU諸国にも向けて欲しいですね」と揶揄したのを読んだからでしょうか、このことについて勝谷氏は先週2日の『あさパラ!』でブッシュ大統領に毅然として抗議しています。
「ブッシュ! オマエ、頭悪いんやったら、しばらくの任期のあいだ
黙っとれ、ボケが!」
が、柄悪ぅ〜。「毅然として」というより「まるでヤクザのように」でしたね。
そういえば、徳島県阿南市の土地改良区の資金6億円を横領したおばさんの長男は、母親から受け取った金を暴力団に渡していたそうですが、この日の『あさパラ!』ではその長男の言葉も流していました。動画をご覧になれるかたは、勝谷氏のコメントと聞き比べてみてください。
さて、勝谷氏はこのBGNの問題に関しては、ブッシュ大統領だけでなく、日本の外務省をも批判しています。どういう点を批判しているかというと、BGNが「主権未確定地域」と変更する以前、長年「韓国領」とされていたことに、こう言っています。
「だから、日本の外務省が知らなかったとしたら怠慢ですよ。で、知ってて国
民に知らせなかったとしたら、とんでもない話ですよ。だから次の国会で、
ボクもう民主党の議員に言ってますけども、次の国会で外務大臣呼んで徹底
的にこれを追及しろと。知ってたのか、知らなかったのか。だから、こうも
める前にアメリカに対して『あそこは日本の領土でしょ』って言わなアカン
かった。」
民主党議員に国会での質問を命じるとは、さすが陰で日本を動かす大物ですな。ところでその民主党の議員って誰なんでしょうね。国会でそういう質問をするヤツは勝谷氏の手下ってことですよね。注目しときましょう。
ま、それはさておき、この外務省批判、どうなんでしょう。
私は前々回の記事で、BGNの「主権未確定地域」への変更を「日本側の1勝」と言いました。韓国側のマスコミも日本のロビー活動を高く評価していました。
しかし勝谷氏はその点を一切評価せず、ひたすら外務省批判の姿勢をとっています。これではまるで、かつての「何でも反対政党」じゃないですか。いくら口先で「民主党支持ではない」といっても、政権交代願望に取り憑かれた盲目的現政権批判者にしか見えませんよねぇ。
しかしまあ、それでも勝谷氏は勝谷氏なりに「理屈」を考えてはきているんですよ、一応。どういうことかというと、たとえ変更させても「主権未確定地域」だと日米安全保障条約において不都合が生じると言うんです。同日『あさパラ!』での発言です。
「『日米安保条約、どうなるかわかりませんよ』って言うべきなの。つまり安
全保障条約、軍事同盟は、お互いの領土が『こことここですね』『そうです
ね』って納得して、そこを攻められたら『お互い助けましょう』でしょ。」
だから一気に「日本領」に変更さろというのは、ちょっと酷な話だと思うんですがねぇ。
しかし、日米安保条約における不都合って、具体的にはどういうことなんでしょう? 先月30日の『コラムの花道』でその点についてこう言ってました。
「私は仰天したのは、アメリカが竹島を『領土未確定』にしたっていうことな
んですよ。いいですか、日本は安保条約で結ばれてんですよ。安全保障条約
というのは、領土・国土・人民の財産を、お互いに侵されたときに守るとい
うことが不可分なんですよ、ね。ということは、お互いの領土がどっからど
こまでだということを明確に100%しておかないと、安全保障条約発動で
きないじゃないですか。
(中略)
竹島を例えばの話、北朝鮮が攻めてきたらどうすんの? 日本は・・韓国と
アメリカも安全保障条約結んでるわけですよ。ね。米朝防衛協定結んでる。
そしたら北朝鮮が竹島攻めてきたら、アメリカは応援するのかしないのか?
今もし、りょ、領土不確定だったとしたら応援できないじゃない。だからこ
れ韓国にとっても非常に厳しい状況であって・・・」
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080730.mp3
何を言ってるんでしょうねぇ。「どうすんの?」って、一緒に戦うに決まってるじゃないですか。
竹島の主権が未確定だといっても、それは日本か韓国のいずれかであることは間違いないわけで、その両国ともアメリカと同盟を結んでいる以上、第三国が攻めてきたらアメリカは戦わざるを得ない。戦わないという選択をする余地なんて全然ないじゃないですか。
日本や韓国から見ても、お互いの主張は一旦おいて、協力して北朝鮮を排除するでしょ、そりゃ。
結局竹島の帰属先がどっちであれ、両国と同盟を結んでいるアメリカにはさしたる不都合なんてないんじゃないですかねぇ。したがって日米安保にも現実的な不都合なんて何もない。
実際に放送されたものをお聞きになればわかると思いますが、後段は勝谷氏、しどろもどろです。しゃべっている途中で気がついたんでしょうね。その慌てぶりには笑ってしまいます。放送前にちゃんと考えてこいよ!
(それにしてもこの回の放送はヒドい。「プロレタリアート」を「プロレタリアーティスト」と言ったり、「面従腹背」を「背面服従」と言ったり。酔っぱらってたのか?)
2日の『あさパラ!』ではさらに踏み込み、日米安保の解消を口にしています。
「アメリカが日本の領土と認めないわけだから、そんな国と軍事同盟、危な
くて結べないから、『米軍、出て行ってください』って言うて。『もうい
りません』と。うん。」
そこで司会のハイヒール・リンゴ氏が「それを言うてしまうと、今度は核の傘がなくなってしまうという・・・」と懸念を表明すると、勝谷氏はこう主張しました。
「日本が核武装すればいいんです。ボクは米軍出て行ってもらって、日本が核
武装して、竹島は一戦して実力で自衛隊が奪還したらいいんですよ。それを
やったら、すごいね東アジアのあれは安定しますよ。中国も尖閣諸島に言っ
てこなくなるし、みんなちょっとこう引きますよ。」
話は竹島奪還・極東の軍事的安定まで進んでしまいました。しかし、これどうでしょう? 将来的な安保解消や核武装の是非についてはともかく、現時点でのこのシナリオはどう見てもまともだとは思えないんですけどねぇ。
まず、日本が日米安保条約を解消しても、韓国はアメリカとの同盟を絶対解消しませんよね。そうすると、竹島の武力奪還は韓国のみならずアメリカともやり合わなければならない。勝谷氏は韓国との戦争は楽勝だと豪語していましたが、では米韓連合には勝てるんでしょうか? 万一勝てたとしても、日米安保下での韓国だけとの戦争とは桁違いに大きな損害を出すことは火を見るより明らかです。
さらにこの時点での核武装ですが、アメリカとの同盟を切ってからの核武装化は相当な困難を伴うんじゃないでしょうか? 周辺各国からの猛反発と同時に欧米からの干渉も一通りではないでしょう。アメリカの手によるか韓国自ら行うかはわかりませんが、当然韓国に日本へ向けた核兵器が用意されるでしょう。
果たしてこれが、竹島奪還に関して良策と言えるんでしょうか? 日本国民はこのシナリオを良しとするんでしょうか? 私は勝谷氏とは違い、軍事に関してはまったくの素人ですが、その素人から見たら勝谷氏の言ってることは愚策以外の何ものでもないように思えるんですがねぇ。みなさん、これでいいですか?
ところで、もうお気づきだと思いますが、勝谷氏、また「一戦論」に変わってますね。
「オレだってニュースキャスター」の回に紹介しましたが、先月19日の『あさパラ!』出演時には、それまで主張していた「領土問題は武力によってしか解決しない」とする「一戦論」から180度方向を転換し、「領土問題はお互いの冷静な話し合いで解決するもの」と発言していました。それをまた元に戻してしまいましたよ、何の説明もなしに。
現在発売中の月刊誌『WiLL』に掲載されている勝谷氏のコラムのタイトルは「コロコロ変わる朝日の社説」です。「朝日新聞の社説には一貫した思想がない」と批判しておられますが、人のこと言える筋合いなんでしょうかねぇ。
2008年08月04日
寝言探偵と愉快犯
先月19日埼玉県川口市で起きた中学3年の長女による父親刺殺事件で、新展開がありましたね。
おととい2日の報道によると、長女はそれまでの「寝ている時に父親が家族を殺す夢を見て、父親を殺そうと思いついた」という供述を翻したとのこと。彼女の携帯電話が、寝ていたとされる午前0時から3時ごろまでに使用されていたことがわかり、県警が説明を求めたところ、「お父さんを刺すまでの間、ずっと起きていた」と供述を変えたということです。
きのう3日の報道ではさらに詳しい供述が伝えられ、「すべての人間関係が嫌だった。気を使って生きるのに疲れた。自殺すると残った家族が周囲から冷たい目で見られるので、みんな死ぬほうがいいと思った。お父さんを刺した後は放心状態になり、母と弟は殺せなかった」と、長女は家族全員を道連れに無理心中するつもりだったことを明かしたそうです。
当初の供述については「本当のことを言うと、お母さんや弟につらい思いをさせるから言い出せなかった」と、それがウソであることを認めたということです。
・http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080802k0000m040157000c.html
・http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080803k0000m040086000c.html
この事件が起きて2日後の7月21日、『スッキリ!!』で勝谷氏が「殺人の原因は、長女の『夢遊病』によるものである可能性が高い」という発言をし、その後同番組がこれについて謝罪する一幕があったことは、このブログの「またケツを拭いてもらいました」でお伝えしました。
番組を録画し損ねたので勝谷氏が具体的にどう言ったのかここに記せませんが、翌22日、氏が配信している有料の日記で、そのときの自身の発言に関して書いているそうです(ブログ『気ままな日々を 思いつくままに』に掲載されています)。また事件翌日20日の日記にはじめてこの件に触れているということで、そちらとともに引用します。
20日
「<長女の『ギャー』と言う叫び声>が注目される。本人も自分がしたことを
『われに返って』驚いたのではないか。確信犯的な犯行であれば、この場合
のパターンは4つだ。逃亡しようとするか、逆上しているか、説明を試みる
か、自殺するかである。そのいずれでもなく、叫び声を上げて呆然としてい
るというのは、それまでの自分の行動に驚いていると思われる。
(中略)
夜驚症や夢遊病ならばさした瞬間のことは覚えていない可能性が高い。しか
し、後から事実を突きつけられてそう思い込む事もある。調書は慎重にとっ
た方がいい。矢驚症も夢遊病も子供によく見られる症状である。多くは思春
期を迎えると共に収まるが、この少女の場合はちょうど端境期の時期だった
かもしれない。就寝してから1時間から3時間の間のノンレム睡眠の間によ
く起きる。
(中略)
ちなみに夜驚症は英語では『ナイト・テロル』だ。もし私の仮説があたりだ
とすれば、気の毒な一家は文字通りのナイト・テロルに襲われたと言うほか
は無い。この少女にこそきちんとした精神科医の分析が必要だろう。素人の
私がそう思うのに、今朝(20日朝)現在、そうした事に言及している大マ
スコミがいないのはどうしてだろうと思うのである。」
22日
「さらに今朝になり自身が出演しているTV番組の中で、<長女は19日午前
3時頃突然起き、父親を刺殺したとされる。逮捕直後、『父親が母と弟を殺
す夢を見たので殺そうと思った』などとはなしていたという。となると、や
はり夢の中と現実とがつながっていたように思われてならない。番組の中で
私はこの点を指摘し、『合理的な理由付けを焦るあまり、動機を無理やり作
り出した調書にサインさせるようなことをしてはいけない』といった。相手
はまだ子供である。大人に『こうだったんだろう』と言われるとあとづけで
理由を考えてしまう可能性がある。あれだけ少年法について口うるさいメデ
ィアが、こんなデリケートなケースで、そういうことに慎重さを求めないの
が不思議だ。」
果たして勝谷氏の推理は、またしても、例によって、いつものように、もののみごとにハズレたわけです。
テルミーさん「勝谷のバカ発言で江戸川乱歩の短編『夢遊病者彦太郎の死』と
いうのを思い出しました。夢遊病の主人公に無実の殺人を押し
付ける話です」
東田「長女はそれを読んでいたかもしれませんよね。で、逆に自分の犯行を夢
遊病のせいにしようとしたとか。まだいろんな可能性が考えられる」
これは「またケツを拭いてもらいました」コメント欄でのやり取りですが、こういうことは誰でも容易に想像できることです。
しかし勝谷氏は、その誰もが考える「犯人がウソの供述をしている可能性」にまったく思い及ばず、犯人の当初の供述を鵜呑みにして推理を組立てているわけです。とんだヘボ探偵ですよ。
しかも今回の場合も、結果的に推理がハズレたというだけでは済まされない。
素人が、ネットで読みかじったぐらいの知識を専門家ぶって振り回し、具体的な病名まで挙げて、それを殺人の原因であるかのようにマスメディアでしゃべるんですから、問題大有りですよ。
現在夢遊病を患っている人やその家族、周辺の人たちに抱かせる不安は大変なものでしょうし、そういう患者に対する偏見も世間に植え付けてしまう。
『スッキリ!!』の謝罪も当然でしょ。
しかし、その『スッキリ!!』の謝罪の意味がまったくわかっていない連中がいたんですねぇ。テレビで同じ発言を繰り返した勝谷氏と、『ムーブ!』でそれを許した朝日放送ですよ。
『スッキリ!!』謝罪の翌日、22日『ムーブ!』での発言です。
「これ、だからですね、あのー、何か学校で問題があったとか、家庭で問題が
あったとか、そういう文脈で解こうとすると、何も出てこなかったり、非常
に矛盾がしてくる。前の日もカレー一緒に作って、一緒にビデオ見てて、仲
のいいとこしか出てこないわけですよ。
だからボクはですね、起きたときからちょっと違った見方をしててですね、
ある種の半覚醒状態の中で、いわゆる『夢遊病』と呼ばれるような状態です
ね、で行った行動ではないかと、ずっと思ってんです、実は。
(司会者「どこが一番そう思うとこなんですか?」)
あのね、『目が覚め、父親を殺害』です。つまり思春期のころって一番眠く
て眠くてしょうがないころですよ、子供たちにとって。夜中に突然目が覚め
るってことは、なかなかないんですよ。ところが夢遊病の場合は、ノンレム
睡眠の時に脳がある働きをして、こう、目が覚めて、そして歩き出してしま
ったり動いたりする。
もうほとんどの場合、人に危害を加えるっていうことはないんだけれども、
ただその前に見てた夢と、夢と現実が彼女の場合つながっちゃってて、その
前のところでお父さんが家族を殺す夢を見た。彼女の言ってる中で、これだ
けが一番、なんていうか確言して、確実に言ってるんですよね。」
事件に関する勝谷氏の発言を、私が直接耳にしたのは3回です。
『スッキリ!!』、この『ムーブ!』、そして先月27日放送の『志ジャーナル』です。
しかし、『スッキリ!!』では謝罪があり、『志ジャーナル』では犯人の長女に極めて同情的であったものの「夢遊病」という病名は出しませんでした(おそらく局からの要請があったんでしょう)。
結局『ムーブ!』だけが、前日『スッキリ!!』の謝罪があったにもかかわらず、勝谷氏の主張を何の制約もなく恬然と垂れ流したというわけです(RKB毎日放送でもそうだったという情報がありますが、確認していません)。
現在発売中の『L magazine』9月号で勝谷氏は『ムーブ!』についてこう言っています。
「『ムーブ!』ってただの愉快犯なの。『電波少年』とか『夜クネ(夜はクネ
クネ)』の系譜だと思う。東京のアホな番組は、社会正義とかを大上段に振
りかざして理屈から入るから、がんじがらめになって何もできないんだよ
ね。でもこの番組は愉快犯だから何でもやる。」
(「"荒くれ"コメンテーターが『ムーブ!』に集う! 01 〜最たる荒くれ者
・勝谷誠彦に訊く、『ムーブ!』のやばさ、おもしろさ。〜」より
この後「イラク、竹島に行ったボクに比べたら『ムーブ!』はまだまだ」
という自慢話になります。うぜー!)
寝言のような推理を繰り返すヘボ探偵と、社会的責任をまったく自覚しない愉快犯とのなれ合い劇。おぞましい限りです。
『発掘!あるある大事典2』で追放になった関西テレビの民放連復帰もそろそろかと思われるころですから、朝日放送にはこれと入れ替わりで民放連から出て行ってもらってはどうでしょうかね。
おととい2日の報道によると、長女はそれまでの「寝ている時に父親が家族を殺す夢を見て、父親を殺そうと思いついた」という供述を翻したとのこと。彼女の携帯電話が、寝ていたとされる午前0時から3時ごろまでに使用されていたことがわかり、県警が説明を求めたところ、「お父さんを刺すまでの間、ずっと起きていた」と供述を変えたということです。
きのう3日の報道ではさらに詳しい供述が伝えられ、「すべての人間関係が嫌だった。気を使って生きるのに疲れた。自殺すると残った家族が周囲から冷たい目で見られるので、みんな死ぬほうがいいと思った。お父さんを刺した後は放心状態になり、母と弟は殺せなかった」と、長女は家族全員を道連れに無理心中するつもりだったことを明かしたそうです。
当初の供述については「本当のことを言うと、お母さんや弟につらい思いをさせるから言い出せなかった」と、それがウソであることを認めたということです。
・http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080802k0000m040157000c.html
・http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080803k0000m040086000c.html
この事件が起きて2日後の7月21日、『スッキリ!!』で勝谷氏が「殺人の原因は、長女の『夢遊病』によるものである可能性が高い」という発言をし、その後同番組がこれについて謝罪する一幕があったことは、このブログの「またケツを拭いてもらいました」でお伝えしました。
番組を録画し損ねたので勝谷氏が具体的にどう言ったのかここに記せませんが、翌22日、氏が配信している有料の日記で、そのときの自身の発言に関して書いているそうです(ブログ『気ままな日々を 思いつくままに』に掲載されています)。また事件翌日20日の日記にはじめてこの件に触れているということで、そちらとともに引用します。
20日
「<長女の『ギャー』と言う叫び声>が注目される。本人も自分がしたことを
『われに返って』驚いたのではないか。確信犯的な犯行であれば、この場合
のパターンは4つだ。逃亡しようとするか、逆上しているか、説明を試みる
か、自殺するかである。そのいずれでもなく、叫び声を上げて呆然としてい
るというのは、それまでの自分の行動に驚いていると思われる。
(中略)
夜驚症や夢遊病ならばさした瞬間のことは覚えていない可能性が高い。しか
し、後から事実を突きつけられてそう思い込む事もある。調書は慎重にとっ
た方がいい。矢驚症も夢遊病も子供によく見られる症状である。多くは思春
期を迎えると共に収まるが、この少女の場合はちょうど端境期の時期だった
かもしれない。就寝してから1時間から3時間の間のノンレム睡眠の間によ
く起きる。
(中略)
ちなみに夜驚症は英語では『ナイト・テロル』だ。もし私の仮説があたりだ
とすれば、気の毒な一家は文字通りのナイト・テロルに襲われたと言うほか
は無い。この少女にこそきちんとした精神科医の分析が必要だろう。素人の
私がそう思うのに、今朝(20日朝)現在、そうした事に言及している大マ
スコミがいないのはどうしてだろうと思うのである。」
22日
「さらに今朝になり自身が出演しているTV番組の中で、<長女は19日午前
3時頃突然起き、父親を刺殺したとされる。逮捕直後、『父親が母と弟を殺
す夢を見たので殺そうと思った』などとはなしていたという。となると、や
はり夢の中と現実とがつながっていたように思われてならない。番組の中で
私はこの点を指摘し、『合理的な理由付けを焦るあまり、動機を無理やり作
り出した調書にサインさせるようなことをしてはいけない』といった。相手
はまだ子供である。大人に『こうだったんだろう』と言われるとあとづけで
理由を考えてしまう可能性がある。あれだけ少年法について口うるさいメデ
ィアが、こんなデリケートなケースで、そういうことに慎重さを求めないの
が不思議だ。」
果たして勝谷氏の推理は、またしても、例によって、いつものように、もののみごとにハズレたわけです。
テルミーさん「勝谷のバカ発言で江戸川乱歩の短編『夢遊病者彦太郎の死』と
いうのを思い出しました。夢遊病の主人公に無実の殺人を押し
付ける話です」
東田「長女はそれを読んでいたかもしれませんよね。で、逆に自分の犯行を夢
遊病のせいにしようとしたとか。まだいろんな可能性が考えられる」
これは「またケツを拭いてもらいました」コメント欄でのやり取りですが、こういうことは誰でも容易に想像できることです。
しかし勝谷氏は、その誰もが考える「犯人がウソの供述をしている可能性」にまったく思い及ばず、犯人の当初の供述を鵜呑みにして推理を組立てているわけです。とんだヘボ探偵ですよ。
しかも今回の場合も、結果的に推理がハズレたというだけでは済まされない。
素人が、ネットで読みかじったぐらいの知識を専門家ぶって振り回し、具体的な病名まで挙げて、それを殺人の原因であるかのようにマスメディアでしゃべるんですから、問題大有りですよ。
現在夢遊病を患っている人やその家族、周辺の人たちに抱かせる不安は大変なものでしょうし、そういう患者に対する偏見も世間に植え付けてしまう。
『スッキリ!!』の謝罪も当然でしょ。
しかし、その『スッキリ!!』の謝罪の意味がまったくわかっていない連中がいたんですねぇ。テレビで同じ発言を繰り返した勝谷氏と、『ムーブ!』でそれを許した朝日放送ですよ。
『スッキリ!!』謝罪の翌日、22日『ムーブ!』での発言です。
「これ、だからですね、あのー、何か学校で問題があったとか、家庭で問題が
あったとか、そういう文脈で解こうとすると、何も出てこなかったり、非常
に矛盾がしてくる。前の日もカレー一緒に作って、一緒にビデオ見てて、仲
のいいとこしか出てこないわけですよ。
だからボクはですね、起きたときからちょっと違った見方をしててですね、
ある種の半覚醒状態の中で、いわゆる『夢遊病』と呼ばれるような状態です
ね、で行った行動ではないかと、ずっと思ってんです、実は。
(司会者「どこが一番そう思うとこなんですか?」)
あのね、『目が覚め、父親を殺害』です。つまり思春期のころって一番眠く
て眠くてしょうがないころですよ、子供たちにとって。夜中に突然目が覚め
るってことは、なかなかないんですよ。ところが夢遊病の場合は、ノンレム
睡眠の時に脳がある働きをして、こう、目が覚めて、そして歩き出してしま
ったり動いたりする。
もうほとんどの場合、人に危害を加えるっていうことはないんだけれども、
ただその前に見てた夢と、夢と現実が彼女の場合つながっちゃってて、その
前のところでお父さんが家族を殺す夢を見た。彼女の言ってる中で、これだ
けが一番、なんていうか確言して、確実に言ってるんですよね。」
事件に関する勝谷氏の発言を、私が直接耳にしたのは3回です。
『スッキリ!!』、この『ムーブ!』、そして先月27日放送の『志ジャーナル』です。
しかし、『スッキリ!!』では謝罪があり、『志ジャーナル』では犯人の長女に極めて同情的であったものの「夢遊病」という病名は出しませんでした(おそらく局からの要請があったんでしょう)。
結局『ムーブ!』だけが、前日『スッキリ!!』の謝罪があったにもかかわらず、勝谷氏の主張を何の制約もなく恬然と垂れ流したというわけです(RKB毎日放送でもそうだったという情報がありますが、確認していません)。
現在発売中の『L magazine』9月号で勝谷氏は『ムーブ!』についてこう言っています。
「『ムーブ!』ってただの愉快犯なの。『電波少年』とか『夜クネ(夜はクネ
クネ)』の系譜だと思う。東京のアホな番組は、社会正義とかを大上段に振
りかざして理屈から入るから、がんじがらめになって何もできないんだよ
ね。でもこの番組は愉快犯だから何でもやる。」
(「"荒くれ"コメンテーターが『ムーブ!』に集う! 01 〜最たる荒くれ者
・勝谷誠彦に訊く、『ムーブ!』のやばさ、おもしろさ。〜」より
この後「イラク、竹島に行ったボクに比べたら『ムーブ!』はまだまだ」
という自慢話になります。うぜー!)
寝言のような推理を繰り返すヘボ探偵と、社会的責任をまったく自覚しない愉快犯とのなれ合い劇。おぞましい限りです。
『発掘!あるある大事典2』で追放になった関西テレビの民放連復帰もそろそろかと思われるころですから、朝日放送にはこれと入れ替わりで民放連から出て行ってもらってはどうでしょうかね。