2008年05月

2008年05月31日

円の1/4は45°?

現在発売中の『週刊SPA!』08/6/3号に掲載されている『ニュースバカ一代』VOL.286「四川大地震 の巻」は、こういう書き出しではじまっています。


 「四川大地震発生直後からさまざまなメディアで私は一貫して『左上四分の一
  の空白』ヘの危惧を表明してきた。震源を中心に円弧を書いたならば、その
  左上四十五度に当たる部分の情報が一切出てこないからだ。震度や死者の数
  といった数字はもちろん、映像も何一つ流れてこない。」


はい、今回も「細部にこそ真実は宿る」の大原則で行きますよ。
まず「震源を中心に円弧を書いたならば」とありますが、これなぜ「円」ではなくて「円弧」なんでしょうか?
円弧とは円の一部、部分的な円周のことです。なぜ完全な円ではなく部分的な円を書くのかよくわかりませんね。実際このコラムに添付されている地図には、円弧ではなく震源を中心にした円が破線で描かれています(震度等を記載したものではなく、単なるイメージ図)。もしかしたら勝谷氏は「円」と「円弧」を同じ意味だと思っているのではないでしょうか? 勝谷氏、たぶん「円」をカッコ良く表現しようと思い「円弧」にしたんでしょうね。でも実は意味が違ってた。なんともかカッコ悪い話です。

単位円勝谷氏はおそらく三角関数で使う「単位円」のようなものを想定しているんでしょう。震源を原点とした単位円を地図上に書けと。
で、勝谷氏はその円の「左上四分の一」、つまり座標でいう「第2象限」を問題にしようとしています(しかしさすがは「地学の専門家」ですねぇ。「北西」と言わずに「左上」ですよ)。
ここで驚かされてしまうのは、その第2象限の範囲を「四十五度」としていることです。言うまでもなく円(360°)の1/4は90°です。45°では円の1/8で、第2象限のさらに半分になってしまいます。
勝谷氏は直角を45°だと思っているんでしょうね。「地学の専門家」どころか、小学校の算数からやり直したらどうですか、勝谷さん。

この「円の1/4=45°」というのは、このコラムでちょっと書き間違えただけではないか、そう思われるかたもいらっしゃるかもしれません。私も最初はそうかなと思いました。しかし違うようです。勝谷氏は別のところでも同様の発言をしています。


 「やっぱり、ボクがずーっと言っている、震源地から左上45°の三角形の部分
  には、何一つ情報が出てこなくて」(5/25『志ジャーナル』


勝谷氏が円の1/4を45°だと思い込んでいるのは、どうやら間違いなさそうです。

ちなみに、ここまで来てこう言うのもなんなんですが、そもそも勝谷氏が言うような円を描く必要があるんですかねぇ。円なんか描かずに「震源を原点にし、東西方向をX軸に、南北方向をY軸にとった座標の第2象限」と言えばスッキリ行くんじゃないでしょうか。
もっと言うなら、「震源の北西側」で十分だと思いますがね。
ホントこの人、理系的センスも文章のセンスも全然ありませんね。



さて、ついでと言ってはなんですが、細かいことはこれぐらいにして、勝谷氏がこの記事を通して何が言いたいのかも見てみることにしましょうか(まあ、おなじみの根拠薄弱な想像話なんですけどね)。

勝谷氏は「左上四分の一」から情報が出てこない理由を2つ挙げています。一つはその辺りに核施設があるから、もう一つはその辺りに住むチベット族を弾圧しているから、なんだそうです。
特にチベット族への弾圧を問題にしています。


 「なぜか即座に、軍ではなく、ろくな救出の装備を持たない武装警察を大量に
  同地に投入したことから、私は過剰な治安活動を危惧してきた。」


で、次の段落でこう言います。


 「しかし、ここに来て私はもっと恐ろしい企てが、中国共産党によって進めら
  れているのではないかと思い始めた。」


おお、武装警察による過剰な治安活動というだけでゾッとするのに、それよりも「もっと恐ろしい企て」って何だろう? おそるおそる読んでいくと、だいたいこういうことが書いてありました。

山間部である「左上四分の一」の地域は、まともな救援活動をせずに捨て置く。すると、そこに住むチベット族をはじめとする少数民族が、食料や医師を求めて都市部へ移動する。そうしたところで、その空いた山間部の土地に漢族を植民してこれを乗っ取る。

ということだそうです。
う〜ん。言うほど恐ろしいかなぁ・・・。まあ、勝谷氏はこれを称して「民族浄化」と言っていますが・・・。
それに、救援活動をろくにしないというのはそうかもしれないけど、それでそういう人たちが自分たちの住んでいる土地から完全に離れていくんでしょうか? で、そんな土地に漢族が入ってくるんでしょうか?
釈然としないものを感じるんですが、私はその辺の事情に詳しくないので、勝谷氏のこの想像に敢然と反論できません。
まあ仕方ないので、ここは上村幸治氏の27日の『ムーブ!』での発言を掲載することで、お茶を濁すことにします。


 「あのー、つまり弾圧をしてるとかですね、そういう追い出しとかですねぇ。
  でもわかんないんですよ。
  逆にですねぇ、地理的に非常に厳しいとこなんで、放置されている可能性も
  あるんですね。つまり見捨てられている可能性もある。
  (ちょい略)今おっしゃった『四分の一』については、軍事施設もあります
  んでね、そっちのほうを優先していて、むしろそういった少数民族の人に対
  する手当が薄いんではないかと。
  で、あのー、ボクは弾圧とか浄化というよりも、彼らはですね、そういった
  少数民族を観光とかの資源にですね、利用しようというふうな傾向があった
  んですね。だけどラサとかは交通の便が良くなりましたが、今回の地震のと
  ころは非常に不便なんですねぇ。だからボクは弾圧よりもむしろ、今のとこ
  ろまだ援助が届いてない、というふうな見方してます。」



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2008年05月28日

専門家でも何でもない

さすがに「地質学が専門」などと断言することはめずらしいにしても、勝谷氏は普段から何事につけ専門家面してデタラメをしゃべりまくっておられますよね。
しかしそんな勝谷氏も、自分は「専門家でも何でもない」と断って、謙虚に意見を述べていたこともあるんですよ。

2004年11月に起こった奈良女児殺害事件を、みなさん覚えてらっしゃいますよね。小学校1年生の女の子が、毎日新聞の販売員だった男に誘拐・殺害されたあの事件に関して、勝谷氏は自身の日記『勝谷誠彦の××な日々。』でこう書いています。まだこの事件の犯人が逮捕されていない11月22日の記事です。


 「奈良の女児誘拐殺人事件についてテレビや新聞の『専門家』の皆さんの分析
  があまりに『近所を徘徊していた変態』ということで一元化しているので私
  は警察や犯人を追い求めている人々の視野を狭くするのではないかと危惧す
  る。以下は専門家でも何でもないモノ書きのカンのようなものなのでおそら
  くは万分の一も当たらないだろう。あるいは家族やその周辺には不快に思わ
  れる向きもあるかもしれない。しかし楓ちゃんの仇をとる一助になるならば
  と思い敢えて書くことにする。」


ね、謙虚でしょ。

この後勝谷氏は、自身言うところの「モノ書きのカンのようなもの」で「犯人=知人女性説」を主張しています。


 「私は犯人は女であるという視点を外してはいけないと思う。それも楓ちゃん
  が知っている人物の可能性が高い。」


一応以下の根拠を挙げています。

 ・被害者が素直に車に乗り込んでいる。
 ・被害者は浴槽で殺されているが、犯人は女児を素直に風呂に入らせている。
 ・遺体の歯が抜かれていることから怨恨が動機と思われるが、犯人は頭部切断
  などの力のいる作業はしていない。
 ・水死させた後に服を着せていて、遺体の放置が丁寧である。


そして、こう締めくくっています。


 「メディアは宮崎勤を思い出させようと躍起だが私はむしろ音羽の春菜ちゃん
  殺人事件を連想するのである。捜査の視野を曇らせがちなのが『近所に出没
  していた変態』である。今や日本の津々浦々にかかる変態はあふれているの
  であって過度にそれを気にしてはいけない。犯人はあるいは『父兄の間のそ
  ういう噂』を逆手にとったかもしれないのである。」


その後同年12月30日に犯人が逮捕されましたが、勝谷氏の推理は大ハズレでした。犯人は同じ市内に住む小児性愛者の36歳の男。勝谷氏が批判した「専門家の分析」通り、「近所を徘徊していた変態」でした。
ちなみに勝谷氏は、自分の推理が外れたことについて、その後一切なんのコメントも発していません。ま、いつものことですけどね。


「自分は専門家」と断言してもトンチンカンな知識を披露してしまう勝谷氏ですから、「専門家でも何でもない」と断って述べた意見が正鵠を射るわけもありませんわな。しかし、自身を「モノ書き」と称するなら、書いたものには責任を取ってもらいたいものです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

勝谷氏のこの無責任ぶりは、ブログ『日記かきます』の下記の記事で厳しく批判されています。勝谷氏の当日の日記全文も掲載されています。

 ・「私が勝谷誠彦さんに謝らなければならないこと。」


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2008年05月26日

ボク、地質学が専門ですけど

中国・四川省の大地震が起きたのは今月12日午後3時半ごろ(日本時間)でしたが、この日夕方の『ムーブ!』(朝日放送)でこのニュースが取り上げられたとき、勝谷氏がキッカイな言葉を口にしました。


 「因縁話じみますけど、ほんとにこのパンダのふるさとの四川省で、胡錦濤
  さんがパンダ貸すっつって帰ったとたんにこの地震が起きました。
  でまあ、ボク、地質学が専門ですけど、」




キッカイなのはもちろん因縁話のほうではなくて、勝谷氏が自身を「地質学の専門家」と称したことです。
勝谷氏が地質学でメシを食っているという話も、彼が大学で地質学を専攻していたという話もまったく聞いたことがありません。これは一体どういうことなんでしょうか?

まあ、もしかしたらもののハズミで言ってしまったのかもしれない、そのときはそう思おうとしましたが、実際はそうではありませんでした。勝谷氏はその後、あちこちで同様の発言をしています。

14日『コラムの花道』(TBSラジオ)

 「ま、今回のことを、地学が専門の私から地質学的に言いますと、」

18日『志ジャーナル』(毎日放送)

 「ま、ボク、地学が割と専門なんで、」


勝谷氏が自身を「地学(地質学)の専門家」だと思っていることは、間違いないようです。

ではその地学の専門家を自任している勝谷氏が、今回の四川大地震に関して、どのような専門的見解を述べられたんでしょうか?
『コラムの花道』ではこう言っていました。


 「あそこはちょうど、あの要するにチベットがすぐ北側、北、西側なんです
  ね。チベット・ヒマラヤってのはああやってご存知のように、こうギューッ
  と押し上げられてんだけど、あれはこう、ここにまあ紙がありますけど、
  紙両側から押すと真ん中盛り上がってる、こういう理屈なんです。
  で、これの、えー、片側がインド・オーストラリアプレートってのが左側
  から来てて、下からフィリピン海プレートってのが上がって来て、右から
  太平洋プレートってのが。その3つがぶつかってジャジャミジャになって
  押し上げる。」

  http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080514.mp3


えー、地学の専門家でもなんでもない私がこう言うのもなんなんですが、勝谷氏のこの認識は完全に間違っています。

プレートを色分けした地図をご覧ください。

プレート


















問題のチベット・ヒマラヤはちょうど地図の端で左右の切れ目になっていて見にくいんですが、その辺りは北側がユーラシアプレートで、南側がインド・オーストラリアプレートです。この2つのプレートが南北でぶつかっているんです。

(2005年に起きたパキスタン地震に関する記事に、その辺りの詳しい解説が
 載っています。
 http://www.yomiuri.co.jp/features/pakistan/200510/pa20051010_07.htm

勝谷氏が言うような、
西側:インド・オーストラリアプレート
南側:フィリピン海プレート
東側:太平洋プレート
なんてことには、まったくなっていません。なっていないどころか、フィリピン海プレートなんか遥か東です。ましてやその東にある太平洋プレートなんて、なんで出てくるのかさえわかりません。そして当の四川省があるユーラシアプレートが勝谷説ではまったく出てきません。勝谷氏は四川省が何プレートにあると考えているんでしょうか?

「ボクは地学が専門」などと断っておいて、よくもこんなトンチンカンなことが言えたもんですよねぇ。もう呆れてしまうというより、感心してしまいますよ。


そんな勝谷さんに一つお聞きしたい。番組で本物の地学の専門家が出演したときも「ボクも同じ専門家として」なんて発言されるんでしょうか? もしそうおっしゃったなら、私は惜しみない拍手をあなたに差し上げますわ。
ブラボー、Mr.厚顔無恥(無知)! あなたの面の皮はチベット高原の地殻より分厚い!

(チベット高原の地殻の厚さは、普通の大陸地殻の2倍ほどあって、世界一分厚いんです。)

manguhsai at 12:18|PermalinkComments(18)TrackBack(0)clip!

2008年05月22日

サザン、タシィ、なーらん

《サザンの「大人ファン」?》

人気バンド、サザンオールスターズが09年以降の音楽活動を無期限で休止すると、所属事務所などが19日付で発表しました。

http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2008/05/19/01.html

勝谷氏はこのバンドの熱烈なファンだそうで、この報には相当にショックだったようです。19日『ムーブ!』(朝日放送)では、番組で共演している女性芸能レポーター・山崎寛代氏に思わず電話したそうです。

 「あのー、山崎に電話したんだよね、オレ、泣きながらね。」

しかし、勝谷氏には以前から、このサザンオールスターズが活動休止あるいは解散するのではないかという「予感」があったんだそうです。上の発言の後、こう言っています。


 「ただそのー、今となってはという『たら・れば』話だけれども、予感はいろ
  いろあって、例えばですね、『キラーストリート』っていうのはこないだの
  アルバムですよね。あれ、あのー、ビートルズが解散する前に出したのが、
  やっぱり『アビイ・ロード』っていう、スタジオがあるところの横のストリ
  ートの名前を付けたんですよ。それでその後『レット・イット・ビー』を出
  して解散したんですけど、桑田さんもたぶん解散、解散っていうか休止まで
  も一つ出すと思うんだけど、だから休止一つ前のアルバムの名前なんです。
  で、ビクタースタジオがあるところの前の通りが、横の通りが北キラースト
  リートなんですよ。だからあのときにそう考えたし。
  それからこないだの、ボクも全国あちこち行きましたけども、去年の暮れの
  コンサートで、桑田さんのコンサートなのに、横浜での一番最後のコンサー
  トのときに、最後にですね『希望の轍』をお一人で歌ったんですね。『希望
  の轍』ってのはこれねサザンオールスターズ名義なんです。だから、なぜこ
  こで桑田さん、自分のとこでサザンの曲を最後に歌って、そいで終わったの
  かと、去年という年を閉めたのかというとこでも、ファンの間では何かある
  んじゃないかという感じはあったんですね。」




ところが、この19日の活動休止宣言より前、12日の東京スポーツ(大阪スポーツ)の「スクープ!! サザンオールスターズ解散」と銘打った記事を取り上げたときには、まったくそのような「予感」について語っていません。
語っていないどころか、14日の『コラムの花道』(TBSラジオ)では、こう言って一笑に付しています。

 「ギャグでしょうねぇ。」

 「(「なんか根拠あんですか?」の問いに)ないですね。」

http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080514.mp3

活動休止宣言前日、18日放送の『志ジャーナル』(毎日放送)でも同じ反応でした。

http://www.mbs1179.com/katu/

なんでこのとき、これらの番組で「予感」について滔々と語らなかったんでしょうか。そしたら休止宣言のときには、また鬼の首でも取ったみたいに自慢できたはずなんですがねぇ。もしかして休止宣言の後にネットで必死に「予感」について調べたんでしょうか。まさかね、熱烈なファンですもんね。

ところで、その18日の『志ジャーナル』ではこういうことも言っています。


 「ボクはもう、40を過ぎてファンになりまして、今年で数年目という追っ
  かけでございまして、コンサートというコンサートはことごとく行ってい
  るという。そう、どこであれチケットがとれたところに行くという、大人
  買いじゃないけど、大人ファンをやっておりますけど。」


19日の『スッキリ!!』(日本テレビ)でも、8月16、17、23、24日に催される30周年記念ライブには仕事を休んで全部行くと言っていたようです。

http://www.j-cast.com/tv/2008/05/19020266.html

長野や奈良には行かなくても、サザンのコンサートには何が何でも行くんですねぇ。さすが現地主義ですね。




《タシィ・トゥリン氏とツーショット》

長野の聖火リレーの際、ランナーを務めていた福原愛氏の前に飛び出し逮捕された亡命チベット人2世のタシィ・トゥリン氏が、16日に釈放されました。

http://sankei.jp.msn.com/world/china/080517/chn0805170046000-n1.htm

彼を英雄のように祭り上げていた勝谷氏ですが、この日タシィ氏に会いに長野に行き、彼へのインタビューを行いました。
そのときの様子は、19日の『ムーブ!』で放送されましたが、現在発売されている『週刊SPA!』の『ニュースバカ一代』VOL.285でも勝谷氏はそのことについて書いています。
その勝谷氏のコラムのページには、タシィ氏と並んでいる勝谷氏の写真がドンと掲載されているんですが、私、この写真を見てなぜか、勝谷氏が毛嫌いしている創価学会の池田大作名誉会長を思い出してしまいました。なんででしょうねぇ。

ところで、勝谷氏はタシィ氏の聖火リレーでの行動を「彼にはそうする権利があった」と擁護し、高く評価しています。それに対し、同じ『ムーブ!』火曜日コメンテーターの上村幸治氏は20日の放送でこう言っていました。


 「たぶん今のこのかたも、チベット人でありながら祖国のために何もできない
  という、まあ悲しみがあって今回こういう行動をされたんでしょうが、若干
  ちょっとこのやり方はですね、ちょっと激しくてですね、ボクは、あのー、
  やっぱり仏教徒の人たちの静かな抗議っていうほうに、まあ評価してんです
  けどね。」




まあ、なんにしてもタシィ氏と会えてよかったですよね、勝谷さん。今度はダライ・ラマ猊下とのツーショットが実現するよう、がんばってください。




《がんばれ、なーらん!》

平城遷都1300年祭のマスコット・キャラクター『せんとくん』がお気に召さないということで、地元のクリエーターの集まり「クリエイターズ会議・大和」が独自に新しいキャラクターを募集していましたよね。
このほど、600件以上の応募の中から絞り込んだ30の作品が候補として発表され、最もふさわしいキャラを決めるための一般投票が開始されました。

ネットでの投票はこちらからできます。

http://creators-yamato.net/vote/kiyoki.cgi

私は3番の『なーらん』に1票入れました。
デザイン的にもいいですし、インパクトも十分なのでこれにしました。しかし、それ以外にも理由があります。
30候補の中で、仏をキャラクターにしたのはこの『なーらん』だけです。
このキモカワイイ大仏さんキャラに勝谷氏がなんと言うのか、それが知りたくて『なーらん』には是非新キャラに選ばれてほしいと思っています。

同調してくださるかたは、どうぞ『なーらん』に1票を!

なーらん


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2008年05月19日

リンリン暗殺説

4月30日未明、上野動物園に1頭だけ残っていたオスのジャイアントパンダ、リンリンが老衰で死にました。

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080430/trd0804301027004-n1.htm

この件に関しても、勝谷氏はいつもの妄想・邪推を働かせて、おなじみの陰謀説を主張しています。
つまりこのリンリンの死は、胡錦濤中国国家主席の訪日に際し、中国側から日本に新たにパンダを貸与するという、その手みやげの価値をさらに高めるために、東京に1頭だけいるパンダを始末したのだと言うんですね。いわゆる「リンリン暗殺説」です。
勝谷氏はこの自説をあちこちのメディアで披露されているので、みなさんも1度はお聞きになったのではないでしょうか。

実はこの暗殺説、先週発売の『週刊新潮』5月15日号でも唱えられています。そのことに関して勝谷氏は、胡錦濤氏が奈良に来た今月10日の『あさパラ!』(よみうりテレビ)で次のように言っていました。


 「これはだからその、死んだ瞬間からボクがもう発信している、言ってること
  で、週刊新潮、ボクのマネしてるだけやねんけど」


あらー。ダメじゃないですか『週刊新潮』、勝谷氏の説をパクるなんて! 私は以前このブログの「『これパクリじゃないでしょうか?』」で「勝谷オリジナルのネタをパクると、大恥かきますからね」って言っていたのに。なんで人の忠告を聞かないんでしょうかねぇ。
実際恥ずかしい記事なのかどうか、勝谷氏の主張に行く前に、『週刊新潮』のほうを先に見てみましょう。

その記事では、勝谷氏と同じくリンリンの死んだ時期を問題にしています。それが胡主席が訪日するちょうど1週間前で、あまりにもタイミングが良すぎると。
そこでこの記事は、リンリンのこのタイミングでの死に疑問を呈するある識者のコメントを紹介しています。こう言っています。


 「おかしいですよね。確かに人間の年齢にすれば70歳を越えているといって
  もねぇ。少なくとも、前日の様子をテレビで見た限り、僕にはすぐ死ぬよう
  には見えませんでしたよ。しかも、飼育員や獣医さんが死亡の瞬間を見てい
  ないでしょ。何か仕組まれているようにも思えるし、暗殺されたとしても驚
  きません。きちっと解剖して、死因を調べるべきですよ」


この識者は、前日にリンリンの様子をテレビで見ていたんですねぇ。ニュース番組で特集かなにかしていたんでしょうか。それにテレビで様子を見ただけで死にそうにないと判断できるなんて、よっぽどパンダに詳しい専門家なんだなぁ、と思い名前と肩書きを確認してみました。

 「近代史研究家の水間政憲氏が首を傾げる。」

き、近代史研究家? 動物学者とか獣医とかじゃないの? なんでそんな人にパンダの容態について訊くの? そんなコメント、意味あんのか? おいおい『週刊新潮』、大丈夫か?

さらに記事では、リンリンのいた展示室への第三者の侵入の可能性について、こういう記述があります。


 「上野動物園のパンダ舎は表門から入場してすぐ右側の位置。ガラス張りで、
  物を投げ入れることは出来ないが、その一方、飼育係の働く裏側のスペース
  と客の通路を隔てるのは高さ50〜60センチの柵のみである。」


裏側からなら容易に侵入できるということですね。と思ったら続けてこう書いています。


 「大人なら一跨ぎで不法侵入が可能で、しかも、そこから15メートルほど進
  み、ドアを1つ通り抜ければ、リンリンの展示室裏の格子扉に辿り着くとわ
  かる建物図面が、堂々と展示してある。」


遠いよ! 展示室侵入までほど遠いよ! 「ドアを1つ通り抜ければ」って、カギかかってるでしょ。辿り着いても格子扉をどうすんの? しかも図面見ただけかい! 実際に行ってないんかよ!

はっきり言ってこんな記事、どうしようもない。『週刊新潮』、勝谷氏の話なんかパクろうとするから、こんな恥知らずなダメ記事になるんですよ。これからは人の忠告をちゃんと聞きなさい。



さて、では勝谷氏自身の暗殺説の根拠はどういうものでしょう。『あさパラ!』での発言を見てみましょう。


 「集中治療室みたいなとこ入れたわけですよ、もう危ないから。前日に集中
  治療室入れたわけです。人間でも集中治療室入れたら全部モニターするで
  しょ。誰か見てますよ、ナースとかなんとか。ところがこれ死んでから6
  時間ぐらいモニターカメラで誰も気がついてない。そんなことはあり得な
  いわけですよね。

  それからもっと言うと、これの1週間ぐらい前の、確か4月17日に、日本
  の高村外相が向こうの楊外相と話をしたときに、すでに『パンダください』
  つってんですよ。あたかも死ぬことを予期したかのように。」


パンダをくれという話をしたら、パンダの死を予期していたことになるんですかねぇ。そんなんだったらどんな偶然も否定できるんじゃないですかねぇ。
それに4月17日はリンリンの死ぬ2週間前でしょ。「1週間ぐらい前」というのは、少しでも関連があると思わせるためのお得意の印象操作ですか? それとも勝谷氏は算数もできないんでしょうか?

もっとヒドいのが集中治療室のくだり。人間が集中治療室で四六時中監視されているとしても、パンダまでそうでなければならないという理屈はおかしいですよね。パンダはパンダ、人間は人間でしょ。

それに勝谷氏のこの部分の主張にはもっと大きな問題があります。
冒頭にリンクした産經新聞の記事にはこう書いてあります。

 「午前7時ごろ、飼育担当者が展示室を見回った際、リンリンがあおむけで死
  んでいるのを発見した。」

リンリンが死んでいたのは展示室となっていて、集中治療室(みたいなとこ)とは書かれていません。
そこで、その他の新聞も調べてみました(いずれも4月30日夕刊)。

・毎日新聞

 「上野動物園によると、リンリンはシャッターを下ろした展示室内で療養して
  いたが、30日朝にお気に入りの場所だったプールに座り込んだまま死んで
  いるのを出勤した職員が発見。監視カメラのビデオを再生したところ、午前
  2時ごろ息を引き取ったことが分かった。」

・朝日新聞

 「小宮輝之園長らが午前11時から園内で開いた記者会見によると、リンリン
  は午前7時ごろ、水を抜いたプールであおむけになって死んでいるのを発見
  されたという。」

・東京新聞

 「同園によると、同日午前七時ごろ、パンダ舎の班長が展示室のプールの中で
  あおむけになって死んでいるリンリンを発見した。ビデオで同日午前一時五
  十六分に動かなくなったのを確認した。」
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008043002007793.html

・読売新聞

 (どこで死んでいたか、わかる記述なし)


読売新聞以外、リンリンは展示室で死んだと書いています。
これについては、あの『週刊新潮』の記事でさえそうなっています。飼育展示係の話がこう記載されています。


 「リンリンの体調が急激に悪くなったのは4月中旬頃でした。ただ、2年位前
  から徐々に弱ってきてましたから、飼育係も獣医も老化現象による衰弱とい
  う認識を持っていたのです。だから特別な監視スタッフもつけたりせずに見
  守っていました。リンリンの展示室についているカメラを夜中にモニターし
  ているものはいません。そのため、飼育係の勤務時間以外は誰もリンリンを
  見ていなかったことになりますが・・・」


つまりリンリンは集中治療室に入れられていたどころか、公開を中止していた以外は普段とまったく変わらない体制で、いつもと同じように展示室にいたということです。
勝谷氏は何を根拠に「集中治療室みたいなとこ入れたわけですよ」と言ったんでしょうか? これ完全にでまかせ、ウソ情報じゃないですか。そういう言い方が言い過ぎだというんなら、事実誤認と言えばいいんでしょうか?
いずれにしても、間違ったことをテレビで言いふらし、その間違った情報を根拠にした、とんでもない陰謀説をテレビでまき散らしているわけですよ。もういい加減誰かが責任とれよ! と私は言いたいです。


結局、勝谷氏のリンリン暗殺説なんて、『週刊新潮』のクズ記事よりヒドい、社会を汚染する害毒情報ということです。『週刊新潮』がパクったとしても、ここまで無茶苦茶な話にはできなかった。それほどヒドい話なわけです。






リンリン暗殺説については以上です。しかし私の話はもう少し続きます。オマケだと思って読んでください。


『あさパラ!』では、勝谷氏はパンダに関する話で、こういうことも言っていました。


 「中国語で餃子は『ジャオツー』ですから、毒餃子を忘れんために(今度中国
  から貸与されるパンダに)『ジャオジャオ』と『ツーツー』って名前つけた
  れ。」


中国語で餃子は「ジャオツー」ではありません。「チャオツ」です。ピン音(発音記号)で書くと「jiaozi」ですが、これをローマ字や英語と同じように読むと間違えます。「j(i)」は無気音の「チ」で、「ジ」と濁りません。ときどき「ジ」と表記してあるものを見かけることがありますが、これはたぶん同じ舌面音で、有気音の「q(i)(チ)」と区別するために便宜上そうしているんだと思います。実際の発音として、勝谷氏が発したように「ジャオツー」と濁ることはありません。
勝谷氏はよく、自分は中国語ができると自慢していますが、こんな基本的なことさえわかっていません。これでよく中国人留学生の日本語をバカにできたものだと感心してしまいます。

(その後、『船場吉兆』が客の食べ残しを使い回していたという話題で、「何かを使い回したことがありますか?」と訊かれた吉本新喜劇座長・小籔千豊氏がこう答えて笑いを取っていました。

 「いや、それよりもね、もう『吉兆』はヒドいと思います。だからパンダの
  名前も『キチキチ』と『チョウチョウ』にしたれ!」)


もう一つ、勝谷氏のこういう発言。


 「ジャイアントパンダが見つかるまでは、レッサーパンダがパンダやってん
  で。で、あっちが見つかったから『劣ったパンダ』っていう意味で、『レッ
  サー』って劣ったっていう意味だから、『レッサーパンダ』に落ちてしまっ
  たんですよ。かわいそうやろ、レッサーパンダ!」


当ブログ読者のneneさんがコメント欄で指摘されていたように、レッサーパンダの「レッサー」は「劣った」という意味ではありません。単に「小さいほうの、小型の」という意味です。動植物に用いる「lesser」はすべてこの意味で、「劣った」という意味ではありません。
勝谷氏のこの発言に対し、司会のハイヒール・リンゴ氏はこう言っていました。


 「大丈夫。アタシらレベルでは『レッサー』が『劣った』って意味って知らん
  から。『ちっちゃい』かな、ぐらいの意味でございます。」


その意味でいいんですよ、リンゴさん。どうか勝谷氏の言葉で、あなたの正しい知識を台無しにしないでください。


リンリン暗殺説のみならず、英語も中国語もウソばっかり。勝谷氏はどれだけ世の中にドアホな言説を垂れ流せば気が済むんでしょうか。もうほんとにいい加減にしてくれ!




劣性パンダ

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2008年05月15日

スタジオに冷雨は降るか

5月10日(土)、ついに中国の胡錦濤国家主席が奈良にやってきました。

「現地主義」を自任する勝谷氏は、この日も長野聖火リレーのときと同じく現場には行かず、例の読売テレビのバラエティ番組『あさパラ!』に生出演されていました(司会はハイヒールのリンゴ氏です)。
もちろん番組ではこの胡錦濤氏の話題も取り上げており、勝谷氏もおなじみのキレ芸を披露されていました。

 「今日もね、ボクも別のホテルから車できましたけど、ずーととにかく交通
  規制の情報ばっかしですよ。で、今日要人来阪のため交通規制があります
  って、交通情報ずっと流すんだけど、どこを何時に規制するって言わない
  わけ。言ったらもう警備逆にそこ狙われたらいけないから。ただどこどこ
  に規制ありますって言ってるだけで。で、もう運転手さんカンカンや。
  『なに、いちびったヤツ来とんねん、ボケ!』言うて。ほんで『奈良行く
  んやったら、とっとと行け! 大阪泊まるな!』言うてはって。オレもそ
  の通りやと思いました。」

と、1発かました後、続けてこう言っていました。


  勝谷「で、奈良行くんだけど、奈良、唐招提寺と法隆寺行くでしょ。」

 リンゴ「はいはい、まあまあ中国にゆかりのある、鑑真上人が建てられたと
     いう・・・」

  勝谷「だけど、だけど、やっぱり同じ仏教徒のチベット人を、ああやって
     弾圧して虐殺している国の国家元首に対して、善光寺は聖火リレー
     は断りましたよ。善光寺のお坊さんは志あるなと世界中が思いまし
     たよ。法隆寺と唐招提寺はどうすんのか。ボク、非常に興味を持っ
     て見てるね。」


あのねぇ、聖火リレーの出発地を辞退するのとはわけが違うでしょ。胡錦濤氏に限らず、お寺が「この人は来ていいけど、この人は来たらダメ」なんて言えるわけないし、またそんなことやったらいけないでしょ。
と思っていたら、ゲストの小籔千豊氏がすかさず言ってくれました。


  小籔「まあまあ、そら行くだけやしね、許したったら。国は悪いことして
     るかもわからんけど、ねぇ。法隆寺ぐらい行かしたったら。ええと
     こですよ、法隆寺。」


さすが吉本新喜劇の座長、チンケなコラムニストより常識的です。
そう言えば、作家の若一光司氏も、9日(金)放送の『ムーブ!』(朝日放送)でこう言っていました。

 「あのー、こういうね、唐招提寺や、その法隆寺に個別の対応が問われると
  いうこと自体にね、仏教界全体としての矛盾が出てきてると思うんですね。
  なぜ日本の仏教界がこぞって、団結して、全体としてね、このチベットに
  対する抑圧に対してですね、抗議の声を上げないのか。仏教界全体でそう
  いうですね、抗議**をやっておけば、個別の問題は別にもういいんです
  よ、逆に言えば。これやってないから、個別のお寺が問われていくわけで
  ね。」

  http://jp.youtube.com/watch?v=JSIIhdaJ_LU


その後も、勝谷氏は「リンリン暗殺説」など、滑稽な自説を展開してこのバラエティ番組を盛り上げていました。今ここでそれをご紹介しようかとも思ったんですが、このパンダに関する勝谷氏の話はかなり面白いので、次回改めて取り上げることにします。






さて、勝谷氏が『あさパラ!』で楽しくやっておられた頃、私は胡錦濤氏が訪れる唐招提寺に向かっていました。ここからはそのときの現場リポートです。

近鉄・西ノ京駅に着いたのは、午前10時30分を回っていたと思います。
胡錦濤氏が最初に訪れる法隆寺には間に合わないと思い、唐招提寺に行くことにしたんですが、この日は前日までとは打って変わって気温がぐっと下がった上、小雨が降っていました。ポロシャツ1枚で出かけてしまった私は、自分の軽率さを恨み続ける1日になりました。寒いのなんの。

写真1駅から出ようとすると、出口に4、5人の警官がいて、「唐招提寺には入れませんよ」と声をかけてきました。「荷物のチェックとかしないんですか?」と聞くと、「目立った荷物しかしません」とのことでした(写真①)。
駅から寺へ向かう道の途中、所々警官が配備されていて声をかけてきましたが、みんな丁寧な対応でした。

写真2寺に近づくと警備の人数も増え、なにやら騒いでいる声も聞こえてきました(写真②)。しかし、私が想像していたよりはずっと静かな雰囲気でした。右翼なんかも来ていて大音量で演説しているのかと思っていたら、そういう人はまったくいませんでしたねぇ。
近づいてきた一人の若い警官に、「チベット支援者が抗議活動とかしてないんですか?」と尋ねると、「駐車場でやってますよ」とのこと。「見たいんですけど」と言うと、駐車場まで案内してくれました。すごい親切な対応でちょっとビックリです。その間少し話をしたんですが、その人は福井県警から応援に来た人で、他にも四国や九州など各地から応援が来ているということでした。感じのいい人でした。

写真3唐招提寺の門前の道は、一応車は通れるものの、かなり狭い車道でした。門から少し行った向かい側に駐車場があります。結構広いです。そこには警官がずらっと配備され、警察車両が何台も止まっていました。
門前の道からは、チベットの旗がチラッと見えるだけでした(写真③)。

駐車場の中に入ってみると、端にある売店の横でチベット支援者が傘もささずに旗やプラカードを掲げて「フリーチベット」を連呼していました。30人ぐらいでしょうか。聖火リレー時の映像が記憶にあるせいで、なんだかかなり寂しく感じましたねぇ(写真④・写真⑤)。中国の旗はどこにもありませんでした。
写真4写真5







写真6しばらく写真を撮っていると、6、7人の若者が現れて、チベット支援者に向かって中国の国旗を広げ始めました(写真⑥)。11時ぐらいです。中国人留学生でしょうかね、かなり大胆というか、勇気ある行動ですよ、この無勢で。
すぐにチベット支援者が彼らの前に迫って、両者間近で対峙する格好になりました。しかしチベット側は手を出すわけでもなく、ひたすら「フリーチベット」を連呼するだけでした。さすがこんな天候でもがんばってやろうという人たちだけあって、頭のおかしな人間はいなかったようです。写真7そう言えば「天安門事件を忘れないで!」と叫んでいた日本人の女性もいました(このブログの読者のF庵さんも写真に写っているようです。左端でチベット旗を貼り付けたスケッチブックを掲げた人ですね(写真⑦))。
その後すぐに警官が間に割って入り、取材陣も殺到しましたが、中国側の人たちがしばらくして引き上げたので、騒ぎは治まりました。
写真8
落ち着いたところで、ぼうとくんの写真も撮ろうと思いましたが、さすがにチベット支援者の近くでぼうとくんは出せず、遠くから1枚だけになりました(写真⑧)。


写真9胡錦濤氏の動きはよくわかりませんでしたが、唐招提寺の後に氏が訪れることになっている平城宮跡にも行ってみようと思っていたので、ここはこの辺りで切り上げ、駅に戻ることにしました。
行きとは違う、門前から一つ裏に入った道を通って帰ろうとしたところ、門前のほうから男のわめき声が聞こえてきました。何事かと思い駆け寄ると、大勢の警官に担がれて一人の男が裏道に連れてこられました。どうやら門前でチベット旗を掲げようとして、警官に排除されたようです。その後も警官と押し問答してました(写真⑨)。

唐招提寺地図







12時頃平城宮跡の朱雀門に到着。しかし、警官もチベット支持者もいませんでした。報道関係者がちらほらいるだけです。
散策マップを配っているボランティアのおじさんに聞くと、胡錦濤氏は11時半頃朱雀門に来て、10分ほどで帰ったようです。平城宮跡はだだっ広い野原のようなところですが、10時から完全に警察によって封鎖されていたとのこと。封鎖が解かれてからは4人ほどがチベット旗を振りにきたそうです。


私が見てきたのは、だいたいこんなところです。

さて、それでは実際に行ってみてわかったことを一つ。それは警察がなにを考えているかということです。
当たり前と言えば、当たり前ですが、警察はとにかく騒ぎを起こしたくない、無事にことが終わってほしいと思っています。それを実現することが最優先の任務です。
唐招提寺で男が一人排除されましたが、それは彼が門前でチベット旗を掲げようとしたから。警察にとっては門前での活動阻止は譲れない一線なんでしょう。
しかしそれ以外はなるべく認める。駐車場でチベット支援者に活動させているのは、それさえも押さえ込んでしまったら彼らの不満が爆発して、かえって厄介なことになると判断したからでしょう。私のような、言わばヤジ馬にも親切だったのは、誰であれなるべく刺激しないで、トラブルが起きないようにしているためでしょう。

これは長野の聖火リレーのときも同じだと思います。いや、むしろ規模が大きかった分だけ、余計そういう意識が強かったと思います。
日本人にしろ中国人にしろ、少々の違法行為には目をつぶる。それを一々逮捕してしまっては、仲間の反発を買うし、そこから騒ぎが大きくなってしまうかもしれない。最悪の場合、聖火リレーそのものが危うくなってしまう。
日本人に厳しく、中国人に甘く見えたのも理解できます。基本的に中国人は聖火リレーを応援している立場。妨害行為に出るとは考えにくい。一方チベット支持者は聖火リレーに批判的な立場。過激な妨害行為をする可能性は、こちらのほうが高い。

勝谷氏はことあるごとに警察を批判し、「なぜ中国人を逮捕しない、どこの国の官憲か」などとわめいていますが、それはいかにもわかっていない発言です。現場に足を運び、どちらかに肩入れすることなく冷静に状況を見ていれば、誰にでも容易に理解できることが、行かなかったせいか、この人にはまったくわかっていない。
勝谷さん、やっぱり行かないよりは、行ったほうが良かったんじゃないですかねぇ。それがあなたの言う「現地主義」っていうもんでしょ。


長々と書いてしまってすみません。以上で私の現場リポートは終わりです。お粗末。


最後になりましたが、現場で活動していたみなさん、チベット支援者も中国人留学生もマスコミ関係者も警察官も、冷たい雨の中、お疲れさまでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本当の意味でチベット問題に関心のある方は、劉公嗣さんのブログ『雑記帳』「陳思『チベット事件についての討論ノート』」で紹介されている、梁文道氏と陳思氏の記事を是非ご覧ください。


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2008年05月12日

長野聖火リレー始末(3)

長野聖火リレーについて書かれた勝谷氏の有料メルマガを読むことができます。
こちらのブログで掲載されていました。

『義によりて勇を馳せる、保守派へ』

・4月27日号掲載「勝谷が見た、聖火リレー

・4月28日号掲載「溜飲下げる、勝谷氏の正論!!」

・4月29日号掲載「勝谷さんと共に、台湾人の人権を守ろう!!!」


まあ、いわゆる信者さんのブログです。体調が悪くないというかたは、どうぞ全部読んでみてください。
私は体調が良くないのに読んでしまって、げんなりしています。
ダラダラと長い、自己陶酔的レトリック満載の駄文ですが、事細かにつき合ってられませんので、ポイントを絞って手短に行きます。


勝谷氏は単純な善悪二元論に立って、物事や人物をどちらかに割り振ります。
基準は明快。中国に批判的なものは善、それ以外は悪です。
面白いのは、善に属すものにはたいがい「義」という字が付けられています。
「義士」「義を踏む人々」「義の旗」「義僧」「義の寺・善光寺」など。
ちなみに悪の側は「蛆虫」「猛獣」「キチガイ」などですね。

さて、こうして善の側に振り分けられた人たち、すなわち「義士」から送られてきた情報を、勝谷氏はすべて正しいものとして扱います。

大マスコミが伝えるのとはまったく違った4月26日の長野があったのである。私はそれを、現場に行ったこの日記の読者や、日頃から私に情報を下さる方々、それに支那に土下座する上層部のせいでせっかくの取材が記事にならない、多くの記者たちからいただいた話で知った。
現地主義の私が長野市に行かなかったことには内心忸怩たるものがあったが、むしろ読売テレビのスタジオで自分の役割を果してよかったと今は思っている。敏腕の記者たちの話を聞いていても、現場は混乱していて、目の前のことしかわからなかったようだ。それよりも、こうして多数の目が見たものを寄せていただき、それを私が総括した方がいい部分もある。本来はこれは大マスコミがする仕事なのだが、どこもやらないので私がするのだ。
しかし、昨日からその作業をしながら、この日記はもうほとんど大きなメディアと変わらないなと苦笑する。実際に長野の現場にいた特派員の数では、そのあたりの新聞やテレビよりも多いかもしれない。しかもそのひとりひとりのクオリティの高さを考えればはるかに凌駕している。
みんな、志があるからね! (4月28日号)


そうやって寄せられてきた情報なんでしょうか、勝谷氏は下記のサイトにある、「FREE TIBET」などと書かれた上から、赤い×の落書きをした善光寺の絵馬の写真を指してこう言います。

http://www9.atwiki.jp/photoinnagano/pages/27.html

怒りに全身が熱くなるようだ。
義僧たちが集う善光寺は、支那の汚れた赤旗を境内から締め出した。にもかかわらず入り込んだ蛆虫どもは、祈りを込めた絵馬にかかる暴挙に及んだのだ。

ところが、すぐにこう続けます。
もちろん、頭の足りない暴走族などの手によるものであるという可能性は留保しておくが、状況からいけば、支那人の手によるものである可能性の高さは否定できまい。 (4月29日号)

可能性の問題にトーンダウンです。じゃあ、なんで最初に断言したんだ? 「蛆虫」呼ばわりも撤回しろよ。

結局寄せられた情報の真偽なんて、そう簡単に決められないんですよ。だいたい情報の送り手が反中国のチベット支持者に限られている時点で、それを扱うことには相当慎重な判断が要求されます。そういうことを勝谷氏はまるで考慮しないで、そこら中で言いふらし、書きまくり、その一方で安易なマスコミ批判をやっています。

リレーの沿道からの報告は、とにもかくにも支那人の横暴を伝えてきた。
なぜ日本の大マスコミは、こうした声をひとつひとつ拾わないのか。
(4月28日号)


さて、そこで私も勝谷氏に習ってやってみました。ただし、勝谷氏とは逆の目線でいくつかの事例を集めてみました。

まずはこれ。血糊男です。
血糊男 動画 http://www.nicovideo.jp/watch/sm3114690

自分の顔や腕に血糊を塗った日本人が、警官に中国人をなんとかしてくれと訴えています。しかし警官は一向に聞き入れません。まあ、当たり前ですね。偽装被害者であることはバレバレですから。

暴行された中国人勝谷氏は、中国人が彼らの旗でチベット支持者を包んで暴行を働いたと、あちこちで言っています。しかし、私はそういう画像や動画を見たことがありません。
逆に中国人が暴行された映像なら見たことがあります。右の画像です。

そして下の動画。中国人の列が通り過ぎる横で、日本人の集団が「人殺し! 支那人、帰れ!」と罵声を浴びせつづけています。




この長野聖火リレーシリーズの最初に紹介しましたが、勝谷氏は4月11日収録の『たかじんのそこまで言って委員会』で、聖火リレーにおける抗議行動についてこう言っていました。

 「あのね、知恵比べなんですよ。要するに前近代の、まぁ中世の闇の中にあの
  人たちは住んでるの、中国人の人たちはね。前近代の独裁的な奴隷制度の精
  神と、現代の非常に洗練された、現代の批評精神との闘いなんですよ。」


上に挙げた日本人の行為が「現代の非常に洗練された批評精神」によるものなんでしょうか? ちゃんちゃらおかしい。どう見たって、泥臭いヤツらの、おつむの足りない行動にしか見えない。

勝谷氏が自分の発言に責任を持ち、かつ公正な判断ができる人間なら、自分の耳に心地いい情報だけにくるまっていないで、こういう行為を批判するべきじゃないんですかね。

ま、しかしそれは無理っていうもんですかねぇ。勝谷氏自身が「洗練された批評精神」から最も遠い人物ですからね。
例の『あさパラ!』での終盤、聖火リレーの中継がつながったとき、放送では聞こえないように、周りの共演者にこんな話をしていたんだそうです。

さすがに番組では言わなかったが、私は出演者に小声で伝えた。
「今日の首都圏のコンビニでは『ありやとやいした』としか言えない店員
 がみんな休暇をとっていて、店長たちがてんてこ舞いをしないるよ」と(苦笑)。 (4月27日号)

下衆が。


(念のため言っておきますが、私は中国政府への抗議活動を貶めるために上の事例を出したわけではありません。誤解のないように。)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

勝谷氏のメルマガで気分が悪くなったかたは、こちらにどうぞ。最近やたらとお世話になっている『哲学するサラリーマン』の関連記事です。

「日本のジャーナリズムのレベル」

「素朴理論から科学理論へ」

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2008年05月08日

長野聖火リレー始末(2)

前回の続きです。

【5月7日】

この日発売の『週刊SPA!』5/13号掲載『ニュースバカ一代』VOL.283「長野聖火リレー② の巻き」

 私の知るあまたの人々が、雪山獅子旗を持ち、あるいは志だけを抱い
 て、四月二十六日の長野市に向かった。聖火など誰も目にしていない。
 ただ視野を覆い尽くしたのは、五星紅旗だった。耳に入るのは中国語
 だった。メディアが伝えたのは上空からヘリを飛ばし、地点ごとに立っ
 た記者によるものだ。いち日本人がどういうものをあそこで目撃した
 かという報道はほとんどなされなかった。しかし、私は知った。ニヤ
 つきながら持っている雪山獅子旗を五星紅旗でおおい隠そうとする中
 国人。暴走族のように車に「ハコ乗り」をして五星紅旗を振り回し、
 聖火ランナーの前に走り来る中国人。いずれも噂や伝聞ではない。直
 接に見た日本人から私に伝えられたことである。


うーん、素晴らしい文章ですよね。じっくり鑑賞してみることにしましょう。


 「私の知るあまたの人々が、雪山獅子旗を持ち、あるいは志だけを抱いて、
  四月二十六日の長野市に向かった。」


そうですか、そういうかたがたは本当にご立派だと思います。
しかし、勝谷さん自身は行かなかったんですよね。確か『あさパラ!』とかいう関西のバラエティー番組にご出演だったんですよね。そして午後は、メトロ書店神戸御影店で「長崎ブランド大使」としてサイン会をなさっていた。もしかしたら店内の『カフェ・ド・ボンボン』で提供されていたカステラセットや角煮まんじゅうなどお食べになったりもしていたんでしょうかねぇ。


 「聖火など誰も目にしていない。ただ視野を覆い尽くしたのは、
  五星紅旗だった。耳に入るのは中国語だった。」


「だった。」って、現地に行かれてないわけですよね。なんで実際見聞きしたような口ぶりなの?


 「メディアが伝えたのは上空からヘリを飛ばし、地点ごとに立った記者による
  ものだ。いち日本人がどういうものをあそこで目撃したかという報道はほと
  んどなされなかった。」


はあ・・・。でも勝谷さんは現場に行きもしなかったんですよねぇ。


 「しかし、私は知った。ニヤつきながら持っている雪山獅子旗を五星紅旗でお
  おい隠そうとする中国人。暴走族のように車に「ハコ乗り」をして五星紅旗
  を振り回し、聖火ランナーの前に走り来る中国人。いずれも噂や伝聞ではな
  い。直接に見た日本人から私に伝えられたことである。」


だからそれ伝聞でしょ? 情報提供者は実際経験したことかもしれないけど、勝谷さんにとっては伝聞ですよね。少なくともこのコラムの読者にとっては間違いなく伝聞情報ですから。

くどいようですが、このとき勝谷氏は関西のバラエティー番組に出演していました。しかもこの聖火リレーに関してしゃべったのは、序盤のわずかな時間だけです。中盤以降は聖火リレーに関して番組ではほとんど触れられていませんし、勝谷氏の出番自体もほとんどありませんでした。まあ、出番と言えば、下の画像のように「脱皮伊勢エビ(脱皮直後の殻まで食べられる伊勢エビ)」を頬張ることぐらいでしたね。

脱皮伊勢エビ1脱皮伊勢エビ2








(↑このころ、まだ聖火リレーやってます。)



さて、このコラムの最後は、こう締めくくられています。 

こういう動員を、ことあるごとに日本国に対して行うのか。ならばこちらもそれなりの考えがある。
世界にその名を轟かした善光寺はチベット蜂起の犠牲者を弔う法要から赤旗を締め出した。見習うべき何ものかがそこにはある。

26日、善光寺では聖火リレー出発式の時刻に合わせて、朝8時15分からチベット暴動による犠牲者の追悼法要を行っています。
で、勝谷氏はこの法要で中国人が締め出されたと言い、彼らが同じことを繰り返すのなら、これに習って中国人を日本から締め出すぞと言っているわけですね。

しかし、この法要はチベット族のみならず、漢族の死者をも供養する、実に仏教らしい立派な行事だったんです。
そして、いくつかの新聞記事では、この法要に中国人が来なかったので平穏に進んだとあり、また逆にチベットの支持者が集まったので、境内でのチベット旗やスローガンの掲示が禁じられたとあります。

http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/080426-174549.html

つまり、勝谷氏の言うような「法要から赤旗を締め出した」という事実はどこにもないんです。氏は事実を捏造した上で、自説を展開しているんです。

私は前回、なぜ仏教に帰依するものが勝谷氏のような人間と結託するのかと批判しましたが、案の定、もうその悪弊が出始めたというわけです。この立派な法要も、彼に利用されて、およそ仏教らしからぬ偏狭な行事として喧伝されてしまいました。
勝谷氏に相談を持ちかけた善光寺の若い坊さんがた、深く反省してくださいよ。

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2008年05月05日

長野聖火リレー始末

今回は、4月26日の長野での聖火リレーに関して、勝谷氏が当日およびその前後に、どのような言動をとってきたのか、私なりにまとめてみました。


【4月11日】

この日収録(放送は13日)の『たかじんのそこまで言って委員会』(よみうりテレビ)で。

 あのね、知恵比べなんですよ。要するに前近代の、まぁ中世の闇の中
 にあの人たちは住んでるの、中国人の人たちはね。前近代の独裁的な
 奴隷制度の精神と、現代の非常に洗練された、現代の批評精神との闘
 いなんですよ。だからどうすればもっと暴力を使わずに困らすことが
 できるか。今もうオリンピック始まってるんですよ。知恵比べオリン
 ピックなんですよ。どうやってね、中国イビったろかっていう。で、
 ロンドンやったなぁ! よし、パリはどうや? ね、アメリカも一生
 懸命。ボクら今もうほんと必死でね、4月26日に向けて考えなアカ
 ン。

勝谷氏自身が当日長野でどういうアイデアを見せてくれるのか、このときはほんとに楽しみでした。


 フランスは国会議員がズラッと並んで、中で何人かが雪山獅子旗のチ
 ベットの旗振ってる。日本の政治家も、今度26日は試されますね。
 誰が行って、誰が行かないかってことをボクらキッチリ見て。

「支持していない」と言いつつも、次の総理にふさわしい政治家として勝谷氏が名前を挙げる小沢一郎氏はどうだったんでしょうか。






【4月15日】

『ムーブ!』(朝日放送)

でもね、田中さんが今長野県知事やってたら、26日の聖火リレーがどうなってたかっていうの、ボクは非常に悔しいですね。世界に対してアピールができたと思うんですけどね。

その田中康夫氏ですが、4月14日放送の『アクセス』(TBSラジオ)で次のような発言をされていたようです。

 「チベットはもちろん中国の領土ですけれどもきちんと中国の一員なのですか
  ら、人権は尊重されなきゃいけません。でも、じゃあアメリカが昔ニカラグ
  アで何やっていたのか・・・。
  私は温家宝に期待している。なんかTBSの昼間に出ている勝谷うんたらと
  かいう人は、鬼の首を獲ったみたいに「オリンピックけしからん!」とか言
  っているけれどそうなの? 彼らがあがめ奉っているダライ・ラマは中沢新
  一みたいな人。人の心を掴むのは巧い人、バラク・オバマや小泉純一郎みた
  いな人。その彼が暴力はいかんと言っているのに・・・」       

http://eiji.txt-nifty.com/diary/2008/04/post_10f7.html






【4月25日】

この日収録(27日放送)の『たかじんのそこまで言って委員会』

明日の長野での聖火リレーがどうなっているか予想しろという問いに、勝谷氏は「日本人を信じる」と書きました。それについて、辛坊次郎氏、宮崎哲弥氏とのやり取り。

 辛坊「『日本人を信じる』ってどういう意味?」

 勝谷「なんかやってくれるでしょう。」

 宮崎「オレね、日本人は信じるけど、アンタは信じない!」




【4月26日当日】

『あさパラ!』(よみうりテレビ)生出演

 えー、本当はあそこ(長野)に今日、今いたかったんだけれども、『あ
 さパラ!』のために来ましたけど、何かあったら、おそらく世界で最も
 詳しい解説をすぐにやりますので、是非チャンネルはこのまま!

勝谷氏、現場には行きませんでした。「ボクら今もうほんと必死でね、4月26日に向けて考えなアカン」と言っていたのはなんだったんでしょう? 現地で抗議行動もしなければ、取材もしませんでした。


現場から中継しているアナウンサーとのやり取りです。
 勝谷「聖火が通り過ぎても両者はまだ対立しているわけですね?」

 アナ「聖火が通り過ぎてだいぶ経っているわけですけどもね、どんど
    ん、私の見る限りでは、先ほどよりもズッと中国人のかたがた
    のですね、数が増してるような気さえします。」

 勝谷「おそらくそれは非常に危険な状態だと思います。つまり、聖火
    というシンボルがなくなってもですね、ただの対立の抗争状態
    になっているわけで、おそらくこういう情報を得た中国人が、
    聖火が過ぎたところからそこへ終結してるわけですね。」

 アナ「・・・はい、えー・・・」

 勝谷「で、他のところでもですね、少数派のチベットの旗を持った人
    たちを、大勢の中国人たちが取り囲んで暴行するということが、
    クアラルンプールでも起きてますから、今からそういう展開が
    考えられますから、是非気をつけて取材してください。」

中継、必要ですか? 事前にしゃべること決まっていたようですね。


 あのー、善光寺が辞退したときは、しかし今回の一連の理念の中で最
 も大きなニュースとして世界に、日本人が人権と自由を守る国だとい
 うので出ています。今"Zenkoji-temple"で検索すると、世界中にニュー
 スが出ます。

この発言は、ネット上の「世界が善光寺を絶賛」などというウソの書き込みを、勝谷氏が信じ込んでしまったためのものとされています。
その書き込みに関する詳細は、それがウソ情報であることを検証したこちらブログ『Red Fox』「『善光寺が発した静かな怒り?』2ちゃん発の怪文書」「善光寺絶賛の海外メディア報道の『ソース』?」でどうぞ。


 それはだから、どれだけ緊張が高まっているかっていうことの象徴で
 あって、おそらく次、韓国で走ります。その次もうピョンヤンなんで
 すね。だから自由主義国で日本は、東京は最後だから、長野は最後だ
 から、世界中が長野を注視してるわけ。だから中国はダライ・ラマと
 対話するなんていう、今度はフェイントを急にかけてきた。

勝谷氏にとっては、韓国は自由主義国ではないようです。そう言えば以前勝谷氏は韓国のことを「(中国の)愛人国家」「鬼畜外道の低劣国家」などと言っていました(http://mindan-tokyo.org/2005/2005-10-4.htm


ちなみに、この番組の中盤以降、勝谷氏の出番はほとんどありませんでした。





(午後からメトロ書店神戸御影店にてサイン会)
 http://www.metrobooks.co.jp/mbs/html/katuya.html

勝谷氏はなぜ現場に行かなかったんでしょうか? 彼には彼なりの理由があるようです。『プロ論2。』(B-ing編集部)で彼は次のように述べています。

 「イラクで殺されかけるより、会社を辞めることのほうが怖かった

  これまでの人生で最も怖かったことは何かと聞かれれば、戦争中のイラクで
  死にかかったことではなく、会社を辞めたことだったと思います。最後の時
  は次長の肩書きもついて、年収1000万円以上あった。会社を辞めるとい
  うのは、これをドブに捨てることだと思えましたから。かつてフリーだった
  僕ですら、会社を辞めるというのは本当に大変なことだと思ったんです。」

なるほどね。よくわかりますよ。



【4月28日】

『スッキリ!!』(日本テレビ)

 だけどこれは、非常に実は重大なことが起きていて、次に日本と中国
 の間で摩擦が起きたときに、東京都心があの赤い旗で埋め尽くされる
 可能性っていうのを、我々はこれで知ったわけですよ。非常にだから、
 いろんな深い政治的な意味がある、これ出来事で、例えば外国人参政
 法なんていいのかどうなのかってことを、これで見て考える人もいる
 わけです。だから、上海や北京で起きたことが、東京で起きるかもし
 れないっていうこと。一声、中国大使館や政府が、実はバックにいま
 すから、声をかけたら、ああやって同じ規格の旗を持って、同じ規格
 の旗竿を持った中国人が、何千人とああいう風に街頭にでるという状
 況に、今、日本はあるわけですよ。
 それと許し難いのは、高村外務大臣が、中国人もチベット人も一人も
 逮捕されない、良かったって言ってんだけれども。ボクは、何十何百
 という人から、メールいっぱい、現地のほんとの声を聞きましたけれ
 ども、日本人はいっぱい暴行うけてるんですよ、中国人から。例えば、
 雪山獅子旗を持ってる人が、あの中国の赤い旗で包み込まれて殴られ
 たりってこと、そこらじゅうで起きてんだけど、日本側の警察は、一
 切中国人を逮捕しなかった。それはどういうこだ。日本の警察は誰の
 ためにあるのかと言いたいね。

この発言に関しては、ブログ『哲学するサラリーマン』「ワイドショーコメンテーター勝谷氏の発言について」で厳しく批判していますので、どうぞそれを読んでください。私が付け加えることは何もありません。






【4月30日】

『コラムの花道』(TBSラジオ)

http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20080430.mp3

 ちなみに日本国が国費で留学費を負担してるヤツらも来てる。1人頭
 なんやかやで400万円かかってる。今日も路頭に迷ってる日本人が
 いる中で、日本国で争乱を起こすような中国人に、なんで年間400
 万円も払うんだ、日本政府は! ふざけるな! 打ち切れ、全員!

 それで、しかも、しかもこれこういうことですよ。これでまた次です
 ね、例えばの話、えー、中国人と日本人の、なにか些細なトラブルが
 あって、反日感情に火がついたときに、同じ風景を、日本の永田町で、
 平河町で、霞ヶ関で、中国政府は簡単にやることができる。日本国内
 の中国人留学生を動員して、たちまち。あの赤旗は、あの赤旗は、捨
 てられていないことを、みなさん、これ聞いてる人は覚えておいてほ
 しい。あれはどこかのタンスの奥かどっかに畳まれ、旗竿は折られ、
 そうしてどっかに隠されている。次、いつなんどきあれを持ち出して
 くるかわからない。これは日本国の安寧に対する危機以外の何もので
 もないじゃないですか。ただしね、これね、諸刃の剣なんです、中国
 人、中国政府にとっては。外国人参政権なんてものは、こんなものは
 1発で吹っ飛びました。外国人参政権の論理が、また自民党の中の媚
 中派・売国派が、また持ち出して、それから人権擁護法もこれでかな
 り危なくなりました。そういうのをなぜ、なぜ日本国内で日本人の権
 利を抑圧するような、そういう法律を作ろうとしているのかわかんな
 いけど、そういうヤツがさんざん言ってた。

なんなんでしょうか、この憎悪の過剰さは。
これでは勝谷氏は、外国人排斥運動を煽る煽動家ですよ。こんなことマスメディアで流していいのか?

先の『スッキリ!!』での発言とかなりかぶりますので、これも『哲学するサラリーマン』に多くをお任せしますが、次のことは付け加えておきたいです。

勝谷氏が言うには、善光寺の若い坊さんが彼と連絡をとって、寺の上層部を説得し、スタート地点の辞退を実現したんだとか。その決定内容には私はここでは何も言いませんが、勝谷氏と寺が気脈を通じていたということには、非常に違和感を感じます。
上の発言から、勝谷氏が外国人、特に中国人に対して激しい憎悪を抱いていることは明らかです(この発言に限らず常日頃からそうですが)。そういう憎悪の塊のような人間と、仏教に帰依し、その普及に努める人間が結託して事を進める。私には信じられません。いつから仏教は憎悪の宗教と化したんでしょうか? 

憎悪をもって行動の動機とする。それがダライ・ラマが良しとするものなんでしょうか? 「勝谷氏がダライ・ラマを『猊下、猊下』と敬っているのは見せかけで、単に利用しているにすぎない」と言っている私の言葉を、これで理解していただけるんではないでしょうか。


 だからね、これは猛省を促(そく)したい。それはスポンサーとの絡
 みはわかるけども、日本の、日本国政府と日本の大マスコミの両方の
 あれが、信頼が問われている。今このことに関して正しい情報は、ネッ
 ト上にしかありません。

一度ネットのウソ情報に釣られているのに、まだこんなこと言ってます。まあ勝谷氏は現場へ行くなど、取材活動を一切しませんから、ネット情報と勝谷信者からのメールを頼るしかないんでしょうけどね。




おっと、一つ抜けていました。勝谷氏のいい発言も紹介しておかなくては。
4月22日発売の『週刊SPA!』4/29・5/6合併号
 どういう行動をするか、どういう行動がされたか、扇情的な報道に踊
 らされることなく見極めていこう。


manguhsai at 16:00|PermalinkComments(17)TrackBack(1)clip!