昭和伊南総合病院運営審議会は11日、第3回の会合を駒ケ根市の同病院で開いた。病院経営改革プランについて、委員の意見を反映して修正を積み重ねた素案を了承し、答申した。昨年実施した住民アンケート結果を新たに盛り込んだ。昭和伊南を運営する伊南行政組合は答申を受け、今月下旬に開く同組合議会に報告した上でプランを正案として固め、県を通じて国に提出していく。
修正では、目指す方向に総合病院としての機能の早期復活を加えた。医師の招聘(しょうへい)対策としてのいわゆる「コンビニ受診」の抑制は、コンビニ受診が勤務医の過重労働を助長する要因になっていることを説明し、住民へ適切な受診に向けて働き掛けていくことに改めた。
救命救急センターの今後の方向としては、存続のための医師確保などの支援を県に求めてきた経緯を挙げ、県の誠意ある対応を求めるとともに、県が加わる新たな組織をつくり、地域の中での救命救急センターの在り方を検討することを提案している。
さらに、昨年10月から11月にかけ、昭和伊南の現状についての説明会や病院祭などで行った住民アンケートを盛り込んだ。合わせて756枚の用紙を回収した結果を分析し、80%以上が「総合病院として維持してほしい」と望んでいることや、救命救急センターの機能について約40%が「いつでも救急患者を受け入れる病院」ととらえていることなどを掲げた。
素案は、地方公営企業法の全部適用に来年度移行し、組合長が任命する企業管理者を置いて経営再建を図る内容。届け出病床数を現在の医師数などを踏まえた220床に減らし、医業収益に対する人件費比率を2007年度実績の68%から10年度以降は55%前後に圧縮するなど経営の効率化を進める。10年度の黒字化を目標にしている。
審議会では前原茂之会長が杉本幸治組合長に答申書を手渡した。杉本組合長は「プランを一つ一つ実行していくことが一番大切。住民への説明もし、ともに昭和伊南を守っていくことが重要と肝に銘じながら、地域に信頼され、充実した病院になるよう努めたい。きょうがスタート」と話した。