十四日のバレンタインデーが迫り、百貨店やスーパーなどに特設されたチョコレート売り場の人出が目立ってきた。「建国記念の日」のきょうは直前の休日だけに、かなりにぎわいそうだ。
かつては「本命」と「義理」のどちらかだったチョコの種類も近年は多様化している。友達同士で贈り合う「友チョコ」、家族間で贈る「ファミチョコ」、自分へ贈る「ご褒美チョコ」。義理チョコを発展させた「感謝チョコ」というのもある。
今年話題になっているのが、男性から女性へ贈る「逆チョコ」だ。大手製菓会社が期間限定で既存製品のパッケージデザインを反転させた商品を売り出した。「あれ、印刷ミス?」と見間違いそうで、遊び心をくすぐられる。
メリーチョコレートカムパニー(東京)の第十二回川柳傑作選にも早速、こんな一句が選ばれた。「午前様逆チョコ妻の枕元」。夫婦間の優しい心遣いが伝わってくる。
もともと欧米のバレンタインデーは、男女が花やカードなどを互いに贈る日という。女性から男性へが主流の日本の習慣が、逆チョコをきっかけにさらに変わるかもしれない。
多様化は職場環境や男女の意識の変化など社会のありようを反映している。厳しい時代だからこそ、チョコが人間関係を滑らかにする潤滑剤であってほしい。