宮崎正弘の国際ニュース・早読み |
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年)2月8日(日曜日)
通巻第2484号
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猛烈な勢いで中国から資金が逃亡している、とNYタイムズが報道
2400億ドルが中国を脱出、香港では5キャラ、6キャラの宝石がブーム
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華北の小麦地帯を襲っている冷害、大雪。作物に悪影響がでている。
同様に不気味な現象は中国からの大規模な資金逃亡。NYタイムズが「08年第四四半期、広義に中国ら流失した資金は2400億ドルであり、投資家が将来の中国の安定に不安を抱いたのが主因」と報じた(『多維新聞網』、2月6日付けより重引)。
歴史的に見ても金持ちの海外逃避、とくに資産を海外へ移転させるのは中国の伝統であり、とくに驚くには値しない。
蒋介石独裁時代に孔家などが経営した銀行から、当時の外貨で300億ドルが米国へ逃げ出していた。だから蒋介石の発行した通貨はまるで信任を得られなかった。
過去十年間は中国経済のブームに便乗して、不動産、株式そして人民元に投機資金がうなりを上げて投入されてきた。これは賄賂など不正な収入を香港経由でバミューダのタックスヘブンに送り、中国へ『環流』させる巧妙な手口が廣く用いられ、さらにブームに乗り遅れまいとする在米華僑、亜細亜の華僑からのカネが勢いをつけて中国に流入した。これらを「熱銭」と言った。
その流れが明瞭に逆転したのだ。
上海企業は米国企業の社債を購入するかたちで米国へ資金を流し出している。
香港の金持ちではなく、大陸から人民元を大量に抱え込んだ『買い物客』が香港の宝飾店を訪れ「一番高いやつ」「一番大きな宝石」「高そうな色石」を狙う。5キャラットの宝石、6伽ラットのイヤリングなど、飛ぶように売れると香港最大の宝石店チェーン「景福宝飾店」。
合法的にドル換金ができないカネはそうやって換物投機される。
人民日報(2月6日付け)によれば、馬建堂・国家統計局長は「中国の統計データは正確であり、そもそも10万人もの職員が日夜、正確なデータを収拾し分析し、修正作業をしている。(07年GDP統計が11・9%から二年後に13%に上方修正されたが)速報値がずれるのは国際的に共通であり、わが統計は信頼に値する」と述べたそうな。
しかし中国銀行の想定でも、1200億ドルから1500億ドルが中国から海外へ流失した可能性がある、と報告しており、ストーン&マッカーシー研究所によれば200億ドルから1400億ドルの流失。
確かに第四四半期、中国の外貨準備高の増加率は74%の急減で、04年以来最低の水準を記録している。
それにしても中国人って、機を見るに敏すぎないか?
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(読者の声1)キルギスの記事は非常に面白いものでした、現在の日本に欠けているものが有る様な気もしました。
一度は行って見たいものと興味を持って読ませていただきました。
(A生)
(宮崎正弘のコメント)キルギスへは嘗てモスクワから東へ戻るようなルートしかなかった。いまは大韓航空がカザフスタンへ直行便を飛ばしているので、ソウル乗り換えでまずカザフへ入り、そこからバスで四時間ほどでキルギスです。ご参考まで。
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(読者の声2)貴誌2480号に掲載された、 「ラビ・バトラ著、ペマ・ギャルポ他監訳『2009年断末魔の資本主義』(あうん)」の書評にて、「かれのいう『資本主義の終焉』とはあくまでアメリカ型欲望追求資本主義モデルの崩壊であり、これからは東洋の智恵が世界を導くだろう、と言う」
とあります。
「アメリカ型欲求追求主義モデル」とは真の自由主義市場経済モデルとは異なり、「欲求追求型」とは「一人勝ち」もしくは「血縁、友人知人まで勝ち」を「追求」した資本主義モデルということではないでしょうか?
つまり「官僚利権型計画的資本主義モデル」とでも言うのでしょう。
また「バトラ教授が主唱する「プラウト」なる理論は、PROGRESSIVE UNITILIZATION TEHORYの略で、要するに「進歩的活用理論」。
その三つの基軸とは
「(1)世界中の資源とその活用の可能性は、人類すべての共有財産と認識する
(2)資源を最大限に効率よく活用し、それを合理的に配分し、真の意味での個人と社会の進歩を目ざす
(3)諸悪の根源である富の集中を排除した、倫理的で合理的な利益分配システムを作り上げる
究極の目標は世界から貧困をなくすのである、と説く」
とありました。
伝統を極めて合理的な人類の淘汰作業の結果と考えるならば、この時空に従うことこそ合理的なのではないでしょうか。
(万葉至乃輔)
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(読者の声3)貴誌2483号(読者の声1)でSK老師が渡部先生と小室先生の怨念についてかかれています。
発端は私(ST生)が2・26事件の原因となる状況を作ったのが、経済的合理性を欠いた異常に高い水準に高止まりした結果、農村とくに小作農が窮乏したが、殆どの人間がこの根本原因から眼をそらしたことにあるという指摘をした投書から、W氏、MC氏といった論客の議論が巻き起こったようです。
これらはいずれも情念レベルの議論です。情念のレベルが重要であることは認めます。
しかし、もう一つの面、客観的現象を生み出した原理のレベルでの議論が没却されていることは残念です。
なぜならこの高止まりをした地租・小作料率とそれを支えた当時の社会情勢が、その状況の中に住んでいた人間に死ととなりあわせした、死ぬことよりつらいかもしれない現実を引き起こしていたからです。
情念のレベルの議論はその現実に対して無力です。
そして、そこから眼をそむけることは非情なことです。情念のレベルの議論も重要ですが、そこから離れ、現実に眼を向けないと現実の問題は解決しません。
現在の諸問題もこれから新たに起きる諸問題に対しても無力です。そこから眼をそむけて情念のレベルの議論を楽しむのが悲しい人間の性です。しかし、この先、日本がそして世界が地上の楽園を気づきあげるにはこういった無神経なまでの冷徹な見方が必要です。情念の世界の議論は現実を変革するには無力だからです。
この大不況において、日本では日本マクドナルド、東京ディズニーランド、ユニクロ、米国ではウォールマート、米国IBM等が空前の高利益、高売上を享受していることも見えてきません。
私はSK老師の会津の人たちを想う気持ちに全く同感です。
明治維新の一番功績があったのは松平容保だと考えます。何か言うのではなく、行なうことでなく、沈黙を守ることにより、自己弁護をしないことにより、彼は偉大なことを成し遂げました。
西郷隆盛も大村益次郎もその他の維新の元勲も、容保が心身のみならず魂を引き裂き、自身が愛し命をかけて守るべく決意していた会津を犠牲にすることを傍観せざるを得ない場に自分をおく苦しみにたえ守り抜いた信義の前にはかすんで見えます。
もう二人、あげさせてください。
徳川義直と徳川慶勝です。甥の徳川光圀に学問を教え尊皇の思想を吹き込んだのは学問好きに大名であった義直でした。そこから水戸学が生まれました。官軍が軍資金を使い果たし、それ以上東に進軍できず膠着状態にあったとき、均衡を破ったのは御三家筆頭の尾張徳川家の徳川慶勝の決断でした。
容保と近い親戚でもあった慶勝にとって苦渋の決断であったしょう。慶勝は勝ち馬にのったのではありませんでした。
苦渋に耐えて決断したのでした。
(ST生、神奈川)
(宮崎正弘のコメント)尾張名古屋は独自のダンディズムがあります。主流の流れに刃向かう伝統とでも言えばいいのか。目と鼻の先の桑名藩は逆に官軍に立ち向かい誠意を貫徹しました。桑名の武士精神も会津と並ぶ見事なものでした。
水戸は頭でっかちのイデオロギーが先に立って、幕末に天狗党の悲劇がうまれ、維新の起爆剤だけで終わってしまった。
政治家は結果であり、幕末の藩主もまた結果が歴史評価を決めるわけですが、山内容堂や松平春嶽への評価が高い異常さを比較すると、たしかに徳川慶勝の評価は低い。
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宮崎正弘の新刊
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫)
定価980円<税込み>。
http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
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宮崎正弘のロングセラー
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『出身地でわかる中国人』(PHP新書、861円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
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