2009年1月29日
パッチワークの島 関西ベイエリアの未来は(3)
国際見本市会場 「活性化し再建の切り札に」
大阪府の橋下徹知事は昨年4月17日、東京ビッグサイトの見本市会場にいた。府内43市町村の首長との意見交換会で財政再建への協力を呼びかけ、「涙」を見せた日の午後のことだ。見本市の主催者である企画会社「リードエグジビションジャパン」の石積忠夫社長の著書を読み、自ら希望しての視察だった。
3日間で一流企業から5万6000人余りを集めた見本市のにぎわいを見た橋下知事は視察後、石積社長の口癖「ひょっとしたらできるかもしれない」を引用し「明日から頑張る」と話した。関西経済の活性化のため、大阪南港・咲洲に府庁を移し、大規模な見本市会場設置に意欲を示し始めるのはそれからだ。
現在、咲洲には、約7万平方メートルの国際見本市会場「インテックス大阪」がある。開設者は大阪市だ。広さは東京ビッグサイト、幕張メッセに継いで国内3番目で関西最大。ベイエリア地域の重要な集客施設だが、全体の入場者数は減少が続き、面積稼働率はわずか20%(平成18年度)に過ぎない。
■行政が支え成功
世界最大の国際見本市会場があるドイツ・ハノーバー市。27館、約50万平方メートルに及ぶ広大な展示場があり、年間60〜70の見本市が開催される。大規模イベントのたびに人口50万人の都市に20万人規模で人口が増え、レストランやスーパー、銀行、警察署まで設置される。見本市チケットは有料だが、期間中の公共交通機関は無料。ホテルが少ないため、催しが行われている間、一般家庭が民宿のように来場客を受け入れる仕組みもある。
見本市の主催者であるドイツ産業見本市社の株主は、ハノーバー市とニーダーザクセン州で、民間資本は入っていない。つまり、行政が見本市を徹底して支え、民間が集う仕組みが確立しているのだ。「本当の意味で官民一体が成功のポイント」と同社日本代表部の樋渡知博代表がいう。そして「今や見本市の効果は日本より中国や韓国の方がよく知っていて国際競争は激化している」とも述べた。
■簡素でも大規模に
インテックス大阪の広さは世界100位。規模も運営方法もハノーバー市の見本市と比べるべくもない。大規模な国際見本市の開催は設立以来数回だけで、平成7年以降開かれていない。「いくら大風呂敷を広げても大阪では海外の見本市のような来場者は望めない」(市幹部)。市は規模拡大には消極的だ。
だが、そのインテックスでも毎年活況を呈する見本市がある。冒頭のリード社が主催する『関西機械要素技術展』だ。素人受けはしないが、むしろ専門性に活況の鍵がある。3日間で100〜200人規模の有料セミナーも20回前後開催され、来場者の滞在時間が長く、会場内のレストランも「同規模のイベントに比べ売り上げも2、3倍違う」という。
石積社長は「大阪の多くの見本市の現状は、本当の努力をしたことがないのに、最初から無理と言っているように感じる。不況のいまこそ見本市産業の育成は経済復活の切り札。第一歩は今すぐ簡素でも大規模な見本市会場を造ることだ。国内でも見本市の夜は明けつつある。誰もやっていないからこそ可能性があるんです」と話した。
(2009年1月29日 09:28)
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