桜井淳所長から東大大学院人文社会系研究科のH先生への質問 -神学研究の方法 7-
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日本にいるとあまり強く感じませんが、と言っても、あるいは、私の関心が薄く、中には、熱心なひとたちもいるのかもしれません。米国のひとたちは、どうかよく把握していませんが、欧州や中近東には、信仰に熱心なひとたちが多くおり、特に、イスラエルのユダヤ教のひとたち、それから、イランやイラク等のイスラーム教のひとたちは、熱心です。前者は、朝5時半から始まる朝のお祈りに毎日参加し、後者においては、毎日決まった時間にアッラーの神にお祈りしたり、さらに、定期的に断食したりと、日常生活の中に宗教が入り込んでいるように感じています。私が30年前に欧州先進国の一部の国々のカテドラルで建物の外観や建築物としての価値・歴史的位置付けとともに、中に入り、少なくとも1000名、大きなところでは、3000名も収容できそうなカテドラルでのお祈りの様子に接し、やはり、日常生活の中に宗教が溶け込んでいるとの印象を強く持ちました(私の報告文3回連載、「いばらき新聞」、1978年12月19日-12月21日)。日本では、キリスト教でも仏教でも、それほど熱心ではないでしょう。キリスト教では週1回のお祈りでしょうか。仏教でも毎日お線香を上げたり、お経を読むひとは、多くないでしょう。欧州先進国の大きくて立派なカテドラルは、個人や特定の小さな団体・組織の管理下にあるようには思えず、と言うのは、おカネがかかり過ぎ、管理できないでしょう。日本は、個人やごく小さな団体・組織が管理しており、必要経費は、信者が分担して収めています(キリスト教では財政的な献身のことを「献金」と呼んでいるようです)。欧州先進国やイスラエル等の立派な施設はどのような方法で必要経費を捻出しているのでしょうか。日本では、聞くところによりますと、月に信者ひとりが収めるおカネは、月給の一割がめやすのようです。ごく普通の大きさの教会であれば、神父(カトリックの場合の呼び方)あるいは牧師(プロテスタントの場合の呼び方)の月給・光熱費・施設管理費だけでも、少なくとも、月に約100万円かかり、熱心な信者が50名から100名いないと成立しないように思えますが、中には、特に、熱心な団体・組織・個人がいて、大口の寄付等もあるのでしょうか。私は、キリスト教等の神学を研究対象としているだけで、信者ではありませんから、おカネは、まったく収めていません。
桜井淳