写真を切り貼りしてアルバムを作ったり、旅先のチケットや包み紙で日記を飾ったり。紙のコラージュは最近ブームといってもいいですが、その中でジワジワと密かに盛り上がっているのが、このマスキングテープなのです。一度使い出したら止められない、中毒ともいえる症状が出てしまうほど、人の心を捉えて離さないこのテープ。そんなマスキングテープを愛する、マニア(?)たちの実態を探ってみました。
■気がつくと、マニアックな愛おしさがこみ上げてくる
さてさて、マスキングテープとは、本来「塗料を塗りたくない境目の部分に貼り付け、塗装が終わったらはがす」という使い方をするもの。ペンキを塗ったり、絵を描いたりするときに使うのが普通で、主にホームセンターや画材屋さんなどで販売しています。素材はさらっと薄く透け感のある紙(実は和紙だそう)で、手で無造作にビリッと切ることができます。
私がマスキングテープに初めて出会ったのは東急ハンズでした。その頃は名称も用途もあまりよく知らず、素朴な生成り色と紙の質感が気に入って、セロハンテープ代わりに愛用していたのでした。
マスキングテープの魅力に改めて目覚めたのは、経堂にある「ROBAROBA cafe」に行ったとき。店内に何気なく貼られていたお知らせメモやポストカードが、カラフルなテープで彩られており、なんともかわいい雰囲気を醸し出していたのです。そういえば、ROBAROBA cafeから送られてくる展示会のお知らせ封筒にも、色とりどりのテープが使われていました。こんなテープがあったんだ!そこで私は初めて「マスキングテープ」という固有名詞を認識したのでした。
ROBAROBA cafeの店主、いのまたせいこさんは以前からマスキングテープの愛用者。それが訪れるお客さんの目に止まり、口コミでじわじわと人気が高まってきたようです。店の常連でもあるコラージュ作家・オギハラナミさんもその魅力にハマったひとり。さっそくホームセンターに走り、色や太さなど、バリエーションが様々にあることを発見!以後、新色を見つけるたびに報告し合うなど、いのまたさんとマニアックな情報交換が行われていたとか。自分の作品にも乱用していたようです。気がつけば、多種多様なマスキングテープが集まりました。
そして、さらにこのマニアックぶりに輪をかけたのが、「a2g+(books)」の辻本さん。辻本さんは、ハマったらとことん追求するおたく肌。そして、行動派。いのまたさん、オギハラさんをぐいぐいと引っ張って、マスキングテープ熱は頂点に達し、とうとう「マスキングテープ工場に行こうよ!」とまで言い出す始末(笑)。そして、3人はついに工場見学にまで行ってしまったのです!首をかしげる現場の方々を尻目に、目を輝かせて興奮する女子たち。粘着力のことしか考えていなかった、という研究者たちにとって、彼女たちの視点は、ある意味新鮮だったようです。
■アイディア次第で利用方法無限大
このテープが通常よく使われているのは、ビルの工事現場など。「ガラス注意!」や「ペンキ塗りたて!」の横に、そっけなくこのテープが貼られていたりするのです。ステーショナリーではなく、ラッピング用品でもなく、あくまでプロ仕様の実用重視なテープ。だからこんな風に使うのは、間違っているのかもしれません。色違いがあるのも、本来は企業別で色分けていたり、ガラス、コンクリートなどの素材別に使う色を決めていたりするからだそう。
ただ壁にバラバラ貼り付けてみても、なんだか絵になってしまう(という思い込みかもしれないが)。ビニールテープが油性マジックだとしたら、マスキングテープは色鉛筆のような、素朴で柔らかなタッチ。色と質感に、ほのぼのと温かい、独特のニュアンスがあります。
いくつかの色を使って自由に散りばめ、その絶妙な色合わせを楽しむのも、このテープの魅力のひとつ。壁にポスターを貼ったり、プレゼントのラッピングにしたり、食べかけの菓子袋を留めたり。気がつくと、部屋中の“貼るもの”にマスキングテープを使っていました。もともと「剥がすためのテープ」だから、貼るにもあまり気兼ねがありません。間違えちゃってもすぐ剥がせます。何度も使えます。粘着力はあるのに、剥がしたら跡が残りにくい、というのも、このテープの特徴なのです。なんて便利なテープなのでしょう!
■マスキングテープを使った作品展
さて、冗談のように局地的な盛り上がりを見せていたマスキングテープですが、いつの間にか本気のアートイベントになりました。「マスキングテープはこんなにかわいい!こんなに使える!」ということをみんなに伝えたかったいのまたさん。熱い思いを胸に同士を募ったところ、潜在的マスキングテープ・マニアは予想以上に多かったらしく、総勢17名のアーティストが集まりました。それぞれが愛を持って、テープを使った作品を発表しました。
当日は、作品展の他、マスキングテープについてまとめた本も販売。作家さんの作品やエピソードなどはもちろん、工事現場やお店やさん、そして一般人のマスキングテープ使いなども紹介する楽しい本だとか。さらに、揃う限りのカラーのマスキングテープも販売されたようです。
■参加作家■ 青山健一(絵描き、飯田竜太(アーティスト)、イナキヨシコ(イラストレーター)、大沼ショージ(写真家)、オギハラナミ(コラージュ作家)、カキノジン(絵はんこ作家)、古賀昭子(イラストレーター)、霜田あゆ美(イラストレーター)、スソアキコ(イラストレーター・帽子作家)、寺田順三(イラストレーター)、寺田眞理子(イラストレーター)、西村玲子(イラストレーター・エッセイスト)、ヒサマツエツコ、福田利之(イラストレーター)、松尾ミユキ(イラストレーター)、みやまつともみ(イラストレーター)、山田美津子(イラストレーター) 協賛/カモ井加工紙株式会社
2009年1月6日 12時00分
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