蘭Philipsが焦点距離可変の液体レンズを開発
2004年3月8日
同システムは人間の目と同じように液体のレンズを使い、その形状を変えることで焦点距離を調整する。「大量生産に向いており、現在の低コスト画像システムの多くが抱える固定焦点という弱点を克服できる」(同社)
レンズ部分は、屈折率の異なる2種類の不混和性液体で構成する。1つは導電性水溶液、もう1つは不導電性油で、上下の面が透明な短い円筒に入れておく。円筒の壁面と上下どちらか一方の面には疎水性加工が施されているので、導電性水溶液は曲面を形成する状態で安定し、球状の曲率を持つ凸レンズの役目を果たす。
この状態で疎水コーティング面に直交する電界をかけると疎水性が低くなるため、レンズの形状を操作できるという。加える電界の強度を変えると、凸レンズから凹レンズまでスムーズに変化する。同社がデモンストレーションするFluidFocusシステムの焦点距離は5cmから無限遠で、「(焦点距離は)10ミリ秒未満で切り替えられる」(同社)。
焦点距離の調整には直流電圧を使い、消費電力はほぼゼロに等しいので、バッテリで動作する機器に向いているという。同社が実施した試験によると耐久性は高く、「100万回以上も焦点距離調整を行っても光学的特性の劣化は発生しなかった。「高い耐衝撃性と広い可動温度範囲も見込まれるため、モバイル機器に最適」(同社)
試作したレンズの大きさは、直径3mm、長さ2.2mm。小型の光学機器に組み込み可能。デジタル・カメラ、カメラ付き携帯電話機、内視鏡、家庭向けセキュリティ・システム、光学ストレージ・ドライブなどさまざまな用途が考えられる。
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