韓国  2009年2月11日(水曜日)
SW産業が危機、違法コピーの被害7,500億W[IT]

韓国のソフトウエア(SW)産業が危機にある。違法コピーが横行し、売り上げに結びつかないのが要因で、コピーによる業界の被害は年間7,500億ウォン(約495億円)に上る。さらに今年は政府の情報技術(IT)関連予算の減少で、経営危機に追い込まれる企業が増える見通しだ。



毎日経済新聞によると、李明博大統領はこのほど行った非常経済対策会議で、「韓国も任天堂のゲーム機のようなものを開発する必要がある」と話したという。だが、これについて国内の業界は否定的だ。違法コピーがまん延しており、仮に国内で開発に成功したとしても1週間ほどでソフトがコピーされる恐れがあるためだ。

ビジネスSWの保護を目的に設立された米ビジネス・ソフトウエア・アライアンス(BSA)が昨年発表した資料によると、韓国のSW業界の被害額は年間7,500億ウォン。違法コピー率は43%で、世界平均(38%)を上回っている。

国内のパッケージSW産業の市場規模は2005年の3兆1,000億ウォンから07年は3兆3,000億ウォンと停滞傾向にある。

あるベンチャー企業は翻訳ソフトを02年に発売したが、違法コピーのため売上高は初年度の20億ウォンから翌年は半分に急減したという。

国内SW業界大手のイーストソフトが開発した圧縮・解凍ツールの「アルジップ(ALZip)」も年間売り上げは20億〜30億ウォンにすぎない。企業や官公署は有料のパッケージソフトの購入が義務付けられているが、多くの企業が個人向けの無料ソフトをダウンロードして利用しているためだ。

■IT予算は8%減

こうした状況のため、国内では1990年代後半からSW業界の起業が相次いだが、97年の通貨危機を経て、現在営業を続ける会社は当時のわずか2.5%にすぎないとみられる。

市場での売り上げを期待できないため、政府機関による公共事業の発注に依存する形になっているが、今年の政府のIT関連予算は昨年より約8%削減された。これに加え、景気浮揚策の一環として予算の80%を上半期(1〜6月)中に施行される予定のため、下半期(7〜12月)に景気が回復しない場合、SW企業の倒産が相次ぐと懸念されている。

■昨年から取り締まり強化

違法コピーは以前から問題視され、対策が取られてきたものの実効性に乏しいのが現状だ。SWや映画などの違法コピーに対し、3年以下の懲役または5,000万ウォン以下の罰金が科されるが、これまでは摘発されても罰金刑にとどまるケースが多かった。

だが、昨年からはインターネット上にデジタルデータを記録・公開できる「オンラインストレージサービス」を提供する業者を起訴するなど取り締まりを強めており、その効果が期待されている。ただ、一方で消費者の低い著作権意識が違法コピーの温床となっているため、モラル改善には長期的な対策が必要といえそうだ。

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