2005-03-24
学歴詐称事件と「反学校の倫理」
またしても政治家の学歴詐称事件が起こりました。
★学歴誤記:高橋札幌市議が12年間
高橋忠明・札幌市議(70)=西区、自民=が初当選した83年から4選を果たした95年の市議選までの間、後援会員向けに発行した小冊子に、実際は高校中退の最終学歴を「卒業」と記載していたことが分かった。99年の選挙では「誤りに気付いた」として最終学歴を削除したというが、毎日新聞などに提出した書類は「卒業」のままだった。
冊子には「昭和28年3月、札幌光星学園卒業」と記されていた。03年の市議選で毎日新聞などに提出した書類は「中退」と改められていた。高橋市議は「後援会に任せていてチェックが行き届かなかった」と釈明している。
毎日新聞 【清水隆明】
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050324k0000m040144000c.html
この事件に関しての、反学校党中央委員会の公式見解を発表します。それはズバリ、「学歴詐称上等! 弁解無用!」というものです。高橋忠明せんせいは辞職する必要は全くありませんし、罰則を受けるいわれもありません。
反学校主義の入門ステージにある方は、疑問に思われるかもしれません。「う〜ん。もし故意に学歴を偽っていたとすれば、この人はそれだけ学歴にこだわっていたことになる。それは学歴主義なんじゃないの? 低学歴でも正々堂々と誇りをもって生きるべきだと思うけどなあ」。ブーッ! 間違いです。
このような感想を抱くようでは、正しい反学校主義者とは言えません。それでは困りますよね♪ 今回の事件を通して、「反学校の倫理」の基礎トレーニングを行い、今後類似の事件が起こったときに正しい感想が抱けるようになりましょう。
そもそも、まだ入門ステージにある方でも、「学歴差別」という言葉はご存知ですよね? そして「学歴差別は悪い」と思っているはずです。これは皆さん大丈夫ですよね? え? 「なんでか」って? 「サベツは悪い」からです。「学歴差別=サベツ=悪い」、ね、簡単ですよね。わかりますよね。
え? 「別にサベツが悪いとは思わない」ですって? 。。。え〜、コホンッ。そのような方には、「再教育キャンプ」での合宿学習プログラムを用意しております。そこでわかるまでじっくり付き合います。反学校革命成就後、可及的速やかに「再教育キャンプ」への無料送迎バスを派遣しますので、それまでお待ちください(・∀・)!
ではその他の皆さんはいいですね。確認しておきます。「学歴差別は悪い」。念のために、3回連呼しておきましょう。「学歴差別は悪い、学歴差別は悪い、学歴差別は悪い」。はい、いいですね。なんだか、すがすがしい気分が広がってきましたね。反学校パワーが発生してきてますよ♪
「なんでこんな基礎的なことに時間をかけるんだろう」とお思いかもしれませんね。それは、わかっているようでいて、実はわかっていない方が多いからです。そして、この基礎的なポイントをマスターしていないと、必ず応用でつまづきます。それで、今回のような学歴詐称事件に対して誤ったリアクションを示す、といったような症状が出てきてしまうのです。今回は、わかっているようでわかっていない基礎に立ち戻って、バッチリ対策しておきましょう。
「わかっていない」のは、「学歴差別」という言葉を知っていても、それをサベツとして認識できていないからです。サベツってどんなものがありますか? 障害者差別、人種差別、女性差別、部落差別、同性愛者差別、在日差別、などなど、ですね。
ここでは、部落差別を例にとって考えてみましょう。もし今回のような学歴詐称事件が、部落差別の分野で起きたとしたら、どのような「事件」になるでしょうか? 想像してみてください。部落差別の領域において、学歴差別と学歴詐称事件の関係に対応するのは、どのような「事件」でしょう?
★出身地誤記:市議が12年間
A市市議のX氏(70)が初当選した83年から4選を果たした95年の市議選までの間、後援会員向けに発行した小冊子に、実際は甲地区である出身地を「乙地区」と記載していたことが分かった。99年の選挙では「誤りに気付いた」として出身地を削除したというが、落日新聞などに提出した書類は「甲地区」のままだった。
冊子には「昭和10年3月、A市甲地区生まれ」と記されていた。03年の市議選で落日新聞などに提出した書類は「乙地区」と改められていた。X市議は「後援会に任せていてチェックが行き届かなかった」と釈明している。
落日新聞
どひゃ〜! ものすごいことになってますね。現在の日本では、こんな新聞記事は、絶対に考えられないはずです。怪しげな団体のミニコミ紙や、2ちゃんねるならまだしも、大手新聞社がこのような記事を掲載する可能性はゼロです。産経新聞でもない。あ・り・え・な・い。
でもそう思ったら、考えてほしいのです。同じような「事件」報道を想定したはずなのに、「ありえない」と感じる。では逆に、今回の学歴詐称事件に関する毎日新聞の記事を、さっきさほどの違和感もなく読めてしまったのはなぜなのか。。。
上記のウソ記事のどこが「ありえない」のか確認しておきましょう。まず、正しいサヨクにとっては当たり前のことですが、「X氏」の行動は少しも悪いことではありません。なぜならば、そもそも出身地によって人を差別すること自体が間違っているからです。
たとえば、関東大震災の際の朝鮮人虐殺を考えてみましょう。地震後の混乱の中で、数多くの朝鮮人が一般の日本人によって殺戮(さつりく)されました。そのような状況下で、朝鮮人が「自分は日本人だ」と言い張ったからと言って、非難する人がいるでしょうか? あ、いや、いると思いますが(汗)、正しいサヨクならばそんなことはしないはずですよね。非難されるべきなのは、朝鮮人を殺す日本人です。もちろん、そのような脅威に直面して、「自分は朝鮮人だ」とあえて名乗り出て抵抗する選択もあるでしょう。「勇気」という言葉では言い表しきれないほどの行動です。そのような行動には敬意が払われるべきでしょうが、だからと言って、危険にさらされる中でウソをつく、という戦略を誰も否定することはできません。
同様に、「X氏」の出身地詐称は弱者の戦略として正当なものです。逆に、「落日新聞」の記事は正当なものでしょうか? 断じてNo!です。部落差別がある中で、出身地に関するする情報を暴くことは、たとえそれが「虚偽」を正して「事実」を明らかにするものであっても、決して許されることではありません。たとえて言うなら、朝鮮人虐殺が横行する中で、「こいつは日本人のふりをしているが実は朝鮮人だ」と言うようなものでしょう。
サベツをめぐる私たちサヨクの倫理とは、このようなものです。あるアイデンティティーカテゴリーに属することが差別の対象となるとき、その事実を隠したり偽ったりすることは正当化されます*1。そして「真相」を暴露することこそが糾弾されるべきなのです。
さて、話をもとに戻しましょう。学歴差別は、サベツです。そして、サベツは、悪い。で、あるならば、今回の学歴詐称事件の何が問題であるかが見えてきます。問題なのは、高橋市議(の後援会?)が誤った経歴を申告していたことではありません。むしろ、そのことを「問題」であるかのように暴き立てた毎日新聞(清水隆明記者)の報道こそが問題であるはずです*2。これまで「学歴詐称事件」という言葉を使ってきましたが、これはあまり適切ではないでしょう。むしろ今回の現象は、「学歴詐称「事件」報道事件」とでも呼ぶべきでしょう。ここにあるのは、「学歴詐称問題」ではなく、「学歴詐称「問題」化問題」です。
学歴差別は悪い。学歴詐称は悪くない。学歴詐称を暴くことこそが悪い。これが、「反学校の倫理」です。さあ、早急に「高橋忠明せんせいを勝手に応援する連絡会」を結成して、圧倒的な支持を表明しましょう。もし自民党が高橋せんせいを除名するようなことがあった場合には、反学校党が名誉党員として熱烈に歓迎することを表明しておきます。
さて、もう一歩進めましょう。学歴詐称には、大きく分けて、2つのタイプがあります。「実際よりも高い学歴を自称する」場合と「実際よりも低い学歴を自称する」場合です。今回は、前者のケースでした。そして、それが倫理にかなったものであることを学びました。
では、後者のタイプはどうでしょうか? たとえば、東大卒の人が中卒を自称する場合です。ガテン系のバイト先で周囲に溶け込むために学歴を伏せる、みたいなのはここでは考察の対象外とします。そうではなくて、就職など、学歴が非常に大きなプラス要素であるような場合を想定します。
東大生が、大企業の総合職に応募する際に、履歴書に「中卒、以上」と記入すること。この行為の倫理的意義を、思考実験として検討してみましょう。
リベラル*3な高学歴者は、次のように言います。「自分は、学歴によって人を選別することは良いことだとは思わない。学歴差別には反対だ」。しかしそう言いながら、多くの人は学歴を利用して特権的地位をゲットしています。そのことを非難しようとしても、彼らは言うでしょう。「自分が大卒なのは事実だ。自分は事実をそのまま申告しただけだ。学歴差別を利用したつもりはない」。
彼らは、一流大学卒という「事実」を書いて大企業に就職したり大学教授になったりした。しかし、上記のような思考実験が可能であることが示すのは、「事実」を申告して就職した場合でも、「中卒」と詐称するというオプションが潜在的に存在していた、ということです。ここには、「見えない選択」があったと言えるでしょう。大卒エリートの地位にある人々は、「一流大卒」という「事実」を書くというオプションと、「中卒」という「虚偽」を書くという二つのオプションから、前者をあえて選び取っていたのです。つまり、当人の意識はともかくとして、行為の可能性のレベルにおいては、積極的に学歴差別を利用していることになります。
「反学校の倫理」は、学歴差別について、「ひとごと」として語ることを許しません。学歴差別は、全ての人にとって「自分の問題」です。高学歴・低学歴を問わず、全ての人が当事者であるのです。
なお僕自身は、大学を卒業しています。履歴書にもそう書いています。
*1:もちろん、隠すことができる場合は限定されます。たとえば、身体障害は対面では秘匿(ひとく)することは難しいでしょう。
*2:正確には高橋せんせいが自ら修正していたことを毎日新聞が蒸し返して指摘しているわけですが。
*3:リベラルとサヨクは違います。リベラルはサヨクの最大の敵です。
通りすがり
2008/12/14 23:20
「大卒を中卒と書くことも出来る」とのご意見ですが、神戸市や青森市では市営バスの運転手や給食職員などが、大卒を高卒と書いて、後に懲戒免職されています。従って、事実上、自由に履歴書を改変することは出来ないと言えるのではないでしょうか?懲戒免職されないのなら、自由に大卒を高卒と書いたりもできるのでしょうけど。。。
2005-03-18
【ロト6】なっとくできないんですが。。。
日記 | |
万国の人民の皆さん、こんばんは。僕はタテマエ上は共産主義者ですが、お金は大好きです。
そんな僕にとっての2005年重大ニュース第1位が決定しました。まだ3月ですが、これ以上の「事件」は起こらないと断言しておきます。
★ロト6で珍事
17日抽せんの第230回数字選択式全国自治宝くじ(ロト6)で、2等の当せん金(940万5200円)が1等(181万4700円)の5倍以上という珍事が起きた[2等29口に対し、1等は何と167口]。(ロト6は)43個の数字から6個を選ぶ人気のくじ*1。
「実は、今回の本数字(当たり数字)は、過去の本数字と見事に連動しているのです」とは、ロト6を毎回買うという大阪市在住の男性。さっそく検証してみよう。
今回の本数字は04・09・18・31・36・42で、ボーナス数字は34だった。このうち、04は第222回の1番目の本数字。同じように、09は223回の2番目、18は224回の3番目、31は225回の4番目、42は226回の5番目、36は227回の6番目−というふうに、過去の本数字を古い順から斜めに組み合わせていくと、今回はすべて的中になるのだ。
「この買い方は一部のロトファンの間では知られています。だから、ボーナス数字の34を選ぶ2等の方が難しいわけです」(前出の男性)
■過去の当たり数字を古い順にナナメに買うと…
回数 当選数字
第222回 04 14 15 22 29 31
第223回 07 09 19 26 30 32
第224回 12 17 18 19 30 35
第225回 09 11 21 31 35 38
第226回 08 26 36 40 42 43
第227回 06 13 17 29 32 36…
第230回 04 09 18 31 36 42
ZAKAK:http://www.zakzak.co.jp/top/2005_03/t2005031820.html
(一部省略)
う〜む。。。
409 :名無しさん@5周年:05/03/20 02:24:26 ID:v3pGar/X
ロトとか宝くじってのはさ、
用は、国民に金使わせるってのが目的のようなモノ。
国民が持ってる金を市場に出すのが一番の目的みたいな?
売上げの何分の一は地方の公共事業に使われています。みたいなのがあるが、
実際はお偉いさん方の懐へ入ってます。
おまいら、クジの売上げが何に使われたか知らないだろ?
胴元は公表しないからな。
ちなみにロトってのは一般人には当選しない仕組みになってる。
数字が操作されてるってのは有名な話。
全国の売り場から買われた数字以外の数字を当選番号として発表してるわけだし。
つーか、毎回、1等当たった人が何人、、とかって発表出るけど、
あれ、ガセ以外の何者でもないからな。
当たってる人なんていません。
今回のは機械に異常が出たと考えられる。
数字を普通にランダムに選択した結果だろうね。
。。。
94 :名無しさん@夢いっぱい :05/03/18 00:09:34 ID:wyWtlAZZ
今回あたらなかってよかった
いやそれはそれでちょっと違う気が。。。
ところで2ちゃんねるで下の方のスレが立った次の日にZAKAKの記事が出たのですが、これってやっぱり2ちゃんねるを見ながら記事を書いたのでしょうか。「ロト6を毎回買うという大阪市在住の男性」に取材したことになっていますが。。。
*1:6個数字があって合っていれば1等。ボーナス数字を含む5個数字が合っていれば2等
2005-03-17
後悔そのうち安堵(あんど)
告知 | |
そうか! やっぱりキモイのか! トキめいたからと言って、迂闊(うかつ)に声かけたりせんでよかったです。「あの時ああしていれば、ああなっていたかもしれない」などと考えたりすることがないわけではありませんが、やっぱりああしてなくて正解だったわけですね(・∀・)! よかったよかった。「我が人生に悔いなし」、とはこのことでしょう。
きし@sociologbook
>やっぱりああしてなくて正解だったわけですね
あたってくだけろですヨ!
toled
やった! あこがれの人、きしさん@sociologbookからコメントをゲットした! ぬぬぬ、そうですか、あたってもOKですか。あたったらどうなるんでしょうね? ゴンッて感じですかね。ペシャッとなるでしょうか。
toled
あこがれのきしさん、ネタにしてください!sociologbookに「世界の中心で愛を叫んだ社会学者」というコラムがあったころからのファンです。お近づきになりたいとは思いつつ、メールする口実もなかったので、Googleの検索リンクでアクセス解析へのいたずらメッセージを送ったこともあります。ってこういうのがキモイんですよね。。。反省。
あるまぢろ
僕も手帳が取れたよ!まだ手元にないので、2級か3級かわからないけど。明日保健センターに行ってきます。
toled
手帳オメ! お祝いにに映画その他手帳の特典を活用して遊びましょう。2級だといいね。
あるまぢろ
2級でした!やりましたね。これで都営住宅の確率も上がるよ。早速保健センターの帰りにバスに乗ったら、210円のところ割引で110円でした。
toled
え! それって私営バス? 都営は証明書みたいのつくんないとダメなんだよね。
toled
2級おめでとう! おめでとう、っていうのもなんかヘンだけどね。それだけたいへんっていう認定なわけだから。
2005-03-10
「回避マン」新宿徘徊記
日記 |
初台くんと久々に新宿で交流しました。初台くんは花粉症が発症してつらそうでした。
ヨドバシカメラマルチメディア館で待ち合わせたはいいものの、何をやるのかは決まっていませんでした。しばらく新宿駅西口界隈を無目的にウロウロしているうちに、「ヨドバシの近くにカラオケ館ができたよ」と初台くんが情報提示してきました。僕は基本的にカラオケが好きではありませんが、初台くんと唐松くん*1とだけはたまに行くことがあります。
ヨドバシ周辺まで歩いて戻ることになりました。たしかに新しく「カラオケ館」ができていました。「う〜ん、今の時間(夕方前)ならけっこう安いみたいだね。入ろうか?」と言うと、初台くんは大きな声で「え?」と聞き返して来ました。初台くんは、「いや、行かなくてもいいんじゃない?」と言いました。「ええ?! だってわざわざ15分も歩いてここまで戻ってきたんだよ」と言うと、「うん、でも入るつもりはなかったから」と答えました。ワハハ、初台くん最高! いきなりライト前ヒットが出ました。
その後しばらくウロウロして、工学院大学の隣りにある新宿エステック情報ビルの1階にたどり着きました。ここには誰でもタダで利用できるロビースペースがあり、初台くんとたまにマッタリしに来ます。ベンチに腰掛けて、特に意義のない会話をしました。
僕らの隣りのテーブルには、ホームレス風の男性がいて、統合失調症の陽性症状と思われる挙動を示していました。って医者じゃないのに診断できるわけないやんか! すみません。。。僕はよく、新宿、渋谷などのターミナル駅周辺で、統合失調症患者と思われるホームレスの方の姿を見かけます。「よりよい医療」とか言う以前に、こういう現実があるのですね。昔の僕は、そのような場面に接するたびに、色々と人生についてサヨク的に考えたものです。今ではそういうことをしなくなったな、と改めて思いました。自分と自分の家族の利害以外のことは、無意識にシャットアウトするというか、「所詮他人事」として処理するようになっています。
ビルの地下1階には丸善がありました。『不登校、選んだわけじゃないんだぜ! (よりみちパン!セ) (よりみちパン!セ)』を探すという恥ずかしい挙に出ましたが、残念ながら置いてありませんでした。
書店内をブラブラしていて、『境界性人格障害=BPD(ボーダーライン・パーソナリティー・ディスオーダー)―はれものにさわるような毎日をすごしている方々へ』という本を見つけました。境界性人格障害(境界例)には以前から興味があったので、しばらく立ち読みをしました。
どうして彼はある時はとても誠実に行動しておきながら、次には私をとことんこき下ろしたのでしょう? 私のことを有能ですばらしいと言って持ち上げたかと思うと、次には卑劣で、問題の原因が私にあると怒鳴り散らしたのはなぜでしょう? 口に出して言っていたように、彼が私のことを愛していたのだったら、どうしてあれほど操作されているように感じ、無力感を味わったのでしょう? そして、どうしてあんなに知的で学のあった人が、ときどき完全に理性を失ってしまったかのように行動したのでしょう?
う〜む。本が欲しくなってきましたが、2800円。迷いました。
初台くんと三越に新しく入ったジュンク堂書店新宿店に移動することになったので、購入するかどうかはそこで考えることにしました。ジュンク堂は紀伊国屋新宿本店の正面への出店で、大型書店戦争などと言われています。
ジュンク堂の店内風景はこんな感じでした。基本的に背の高い書棚に本が並んでいて、平積みにするスペースがなく、すごくきれいな図書館、みたいな感じでした。店内はやや閑散としていました*2。ジュンク堂池袋店はいつも人がギッシリなのとは対照的でした。ちょっと苦戦しているのかもしれません。
初台くんは「人が少なくていい」と言っていました。僕が「でも商売の方は大丈夫なのかな?」と言うと、「いや、そんなこと考えなくていいよ、心配事が増えるから」とコメントされました。アッパレ! 初台くん。
例によって恥も外聞もなく『不登校、選んだわけじゃないんだぜ! (よりみちパン!セ) (よりみちパン!セ)』を探したところ、なんと2ヶ所に置かれていました! 売れるかな〜♪
自分の本が置いてあって気分がよくなったので、その勢いで『境界性人格障害=BPD(ボーダーライン・パーソナリティー・ディスオーダー)―はれものにさわるような毎日をすごしている方々へ』を購入しました。
その人は、
――善か悪かのどちらかで、人を判断しやすいですか? 誰かを悪人とみなした時には、その人の良いところを思い出せないようですか? 逆に、誰かをヒーローのように崇める時には、その人の欠点が何ひとつ見えなくなるようですか?
――ある人を自分の味方か敵かのいずれかで見ているようですか?
――ある状況を、悲惨か理想的かのどちらかで見ているようですか?
――自分のことを、完璧な人間か全くだめな人間かのどちらかで考えているようですか?
うーむ。問題は、「境界性人格障害」なるものが実在するかどうか、実在するとして、ある人がそのカテゴリーに当てはまるか、というよりは、その言葉を使うことによってよりよく生きられるかどうか、ということだと思います。
閉店間際になって、マンガ売り場を見てみました。関東地方にお住まいの皆さん、耳より情報です。ジュンク堂新宿店では、(一部の?)マンガも立ち読みできるようになっています*3。っていうか座って読めます。
先週のモーニングで見かけて気になっていた安野モヨコの『働きマン (1) (モーニングKC (999))』を立ち読みしました。するとたいへん面白く、物凄い勢いで引きつけられていきました。週刊現代とか週刊ポストみたいな週刊誌の編集部を舞台とする物語で、さまざまな「働きマン」たちが超絶な激しさで仕事をする様子が描かれています。
Aさん「松方ァ!!」
Bさん「巻頭差し替え!!」
松方(仕事してて最高に気持ちいい瞬間)
Bさん「タイトルは「外務大臣星川光 国民への背信!!」」
松方「ハイ」
Bさん「8ページぶち抜きだ!!!」
松方(仕事モードオン!! 男スイッチ入ります)
松方「働きマン」(変身のポーズ)
(ナレーション)
解説しよう!! 働きマンになると血中の男性ホルモンが増加して
通常の三倍の速さで仕事をするのだ
その間 寝食恋愛 衣飾衛生の観念は
消失する
ワハハ、男スイッチ最高にいいですね。そうですよね。ありますよね。ガーッて作業すること。僕にはないけど。
閉店時間(20:00)を過ぎても面白すぎて、カジリついて読んでいました。15分ほどオーバーしたところで観念して、本を棚に戻しました。
周りを見渡すと、まだ客の姿がチラホラと目につきます。「閉店しました」というアナウンスが何度も流れてるのに。うーん。時間を守らない僕らのせいで、ジュンク堂の「働きマン」の皆さんが迷惑していたかもしれません。あるいは、優秀な「働きマン」なら、そういう客の「ねばり」を見越して閉店時間を設定しているものでしょうか。
マンガはもう半分以上読んでしまったので「買うともったいない」と思い、エレベーターで店を後にしました。すると初台くんと僕はどうも業務用のエレベーターに乗ってしまったようで、1階についてみると作業現場に出くわしてしまいました。ここにも「働きマン」たちがいっぱい。ここからは出られそうになかったので、いったんジュンク堂までエレベーターで戻ることにしました。すると一人の「働きマン」が「下(に行くの)?」と言いながら乗り込んできました。僕が「コミュニケーションしなきゃ」、「上です」って言わなきゃ、と思ってる間に乗られてしまい、後ろにいた初台くんが「上ですよ」と言うと「働きマン」にちょっとムッとされてしまいました。ごめんなさい。。。
ジュンク堂に戻ると、まだ客がいました。どうしても続きが読みたくなって、けっきょく買うことにしました。
外に出ると、目の前が紀伊国屋でした。紀伊国屋は21:00まで開いているようです。
疲れた様子の初台くんを引っ張って、またもや『不登校、選んだわけじゃないんだぜ! (よりみちパン!セ) (よりみちパン!セ)』を探しました。紀伊国屋には、気付いただけでも4ヶ所に置かれていました! そしてなんとその内1ヶ所は高校進学情報のコーナーでした。いいんでしょうか? 前途ある中学生が、道を踏み外すきっかけにならないことを祈ります。
帰りの電車の中で、『働きマン (1) (モーニングKC (999))』を引き続き読みました。半分以上読んでふと気付きましたが、これ(少なくとも第1巻)に登場する「働きマン」って、みんな大手出版社の正社員なのですね(たぶん)。あ、あと一人は大手ゼネコンの正社員。大雑把に言って、全人口の上位約4パーセントくらいに位置する人々*4ではないでしょうか。数字は適当ですが。
自分とは縁もゆかりもない世界の話なのかもしれません。っていうか男スイッチないし。「男スイッチオン! ん? カチ、カチ。。。 男スイッチオン。。。 おと…、あっ、コード切れてるわ」っていう感じです。
まあでも、自分と関係あろうがあるまいが、面白いことに変わりはありません。マンガの登場人物と同じようなエリート「働きマン」の皆さんにも、そうでもない「働きマン」の皆さんにも、ニート・ひきこもりの皆さんにも、自信を持ってお薦めします。また、オヤジ系の人にも、フェミ系の人にも、面白く読める本だと思います。
toled
僕の知人の方には「働きマン」お貸ししますのでリクエストしてください。
ふやふや
「働きマン」面白いよね。あと「自虐の詩」も読みました〜。
toled
「自虐の詩」どうだった? あれに共感していいのかどうかちょっと再考中です。
ふやふや
個人的にイサオみたいな夫とそれを助長する妻(女)が大嫌いなので、上巻は笑えずむしろイライラさせられたけど、下巻は素晴らしい!熊本さんに惚れました。ユキエが母の記憶を取り戻すところも泣けました。子どもが生まれた後のイサオはどう変わるのか、変わらないのか、そこをちょっと考えてしまいましたな。
toled
見事な「共依存」だよね。ただ、下巻のあとも変わらないと思うな〜、イサオもユキエも。
toled
というかもしイサオが真人間になったりしたらラストシーンの意味がないんじゃないかと。
たけし
Web系のお仕事は常時男スイッチ入ってないと出来ません。僕は回路がショートして以来入れてませんが。
初台
先日はおつかれさまでした。なんか書かれている私の行動を読んで相当、天の邪鬼な印象をもたれてしまったかもしれない。実際そうかもしれないけど。
ところで、toled氏の本を随所で見つけることが出来て随行員の私もびっくり。特にジュンク堂では数少ない「平積み扱い」。減り具合からしてもけっこう売れているのでは?
あと、エステック情報ビルで隣に座っていたホームレスの人、統合失調症だったのだろうか。「(自分が食べていた)ベビースター欲しがっているのかな?」くらいにしか思わなかった。ちなみに、昨日所用で近くを通りかかったら元気そうにしてたよ。
toled
>たけし
回路がつながるといいですね。ところで「女スイッチ」もあるんですかね? 「おかまスイッチ」とかも。でもやっぱりスイッチのイメージにしっくりくるのは男ジェンダーかもしれないな。
>初台くん
「天の邪鬼」上等! ホームレスの方、元気そうで何より。
たけし
男スイッチの逆と考えると「服、グルメ、恋愛に命をかけて、労働意欲は消失」ということになるかな。まあ、そういうスイッチが入りっぱなしの人もたまにお見受けしますねえ。
僕は男スイッチの回路が切れてよかったと思うよ。うつって言うのは、過労死しないように体が防衛している、ヒューズのような役割があるんじゃないかと思うことがあります。
toled
なるほどたしかに。でもできることなら欲しい!よ。
2005-03-06
うつ友サークル@東京 初オフ会
今日はあるまぢろさん主宰のうつ病当事者会の初オフ会でした。
うつ友サークル@東京は先月結成されたばかりで、当初はあるまぢろさん周辺の人々でひっそりと活動していくのかなと思っていました。
ところが、あるまぢろさんはブログを立ち上げ、メーリングリストを整備し、着々と組織をつくっていきました。うつ病当事者のあるまぢろさんは、なけなしのセロトニンとノルアドレナリンを、相当このサークルに注ぎ込んでいると思います(笑、っていうか多謝!)。「需要」があったのか、メーリングリストにも次々と参加者が現われて、早々にオフ会が開かれることになりました。
今日は午後から、東京の吉祥寺に7人が集まりました。あるまぢろさんとノアノアさん以外の方とは初対面で、最初はちょっと緊張しました。僕は「オフ会」と名の付くものに参加すること自体が初めてで、ドキドキでした。
自己紹介のあと、お洒落なカフェに入って交流しました。病気のこと、クスリのこと、福祉制度のこと、仕事のこと、周囲のこと、ペットのこと、などなどについてマッタリと話しました。うつ病はやっかいで、しんどい問題ですが、同じ痛みを抱えた者同士で語り合うのはいいものですね。もちろん、「うつ病患者」は決して一括りの均質な集団などではなく、「同病だから何でも分かり合える」などというわけではないでしょう。また、このような場に集まれるということ自体、重症ではない証しで、患者の中でも恵まれているのかもしれません。
ともあれ、「うつ病」という共通項を通して他者とつながっているのだということを感じて、少し安心したような気がしました。心の空洞には、具体的なカタチがなくて、直に触れることはできません。そのような混沌(こんとん)としているものにとりあえず「うつ病」という名前をつけることによって、問題を共有することが可能になるのかもしれません。もちろん、薬物療法も重要であることは言うまでもありませんが、苦しみを通してリンクする回路がそのようにして拓(ひら)かれていくのかもしれないと思いました。
うつ友サークル@東京
メーリングリスト
2005-03-04
登校拒否解放の(不)可能性 荒井賢さんのコメント
登校拒否 |
「登校拒否解放の(不)可能性」(前編, 中編, 後編)に対して、荒井賢さんから「センチメンタルな東京コーヒー」というコメントをいただきました。「東京コーヒー」と聞いて懐かしさがこみ上げてきました。そう言えば80年代、「登校拒否」をもじって「東京コーヒー」と言っていたような記憶があります。荒井さんとも、当時どこかですれちがっていたのかもしれないと思います。
荒井賢さん「センチメンタルな東京コーヒー」