前脚が欠けたアカウミガメの悠ちゃん=一時保護されていた神戸市内、日本ウミガメ協議会提供
アカウミガメの悠ちゃんの甲羅を掃除する子どもたち=08年12月、一時飼育されていた神戸市内、日本ウミガメ協議会提供
両前脚が欠けたアカウミガメのために人工脚(義肢)をつくり、海に戻す手助けをしようという計画を、NPO法人日本ウミガメ協議会(大阪府枚方市)が進めている。3月に獣医師や義肢メーカーの担当者らを交えた会合を開き、技術的な検討をする。
このアカウミガメは体重68キロ、甲羅の長さ74センチ。昨年6月に紀伊水道で漁網に入り、いまは日和佐うみがめ博物館カレッタ(徳島県美波町)で飼育されている。右前脚の3分の1、左前脚の半分が欠けており、体に無数についた傷から、サメに襲われたとみられる。泳ぐ速度は通常の6割ほどしかなく、海に返しても再び襲われる可能性があるという。雌雄はまだわからないがメスらしく、「悠ちゃん」と名付けた。
義肢の材質や形状を検討し、夏までに試作品をつくる。協議会研究員の赤井絵里香さん(27)は人工のヒレをつけたイルカの行動を研究した経験をもつ。「健康なウミガメと同じように力強く、スピーディーに泳げるようにしてあげたい」と話している。
アカウミガメは、環境省のレッドリストで絶滅危惧(きぐ)1B類に指定されている。義肢の研究開発には数百万円かかるとみられ、同協議会(072・864・0335)は「アカウミガメ悠ちゃん基金」をつくって募金活動を始めた。(山本智之)