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野焼きイベント死亡事故、防火線設置に問題

 慶尚南道昌寧郡にある火旺山の野焼きイベントで9日に起きた山火事による死亡事故は、主催者側が安全措置を怠ったことによる人災であることが判明した。死者に安全要員として配置された昌寧郡庁職員1人が含まれるなど、火災に対する備えがほとんどなかった問題点が浮き彫りとなった。

 警察と消防によると、事故当時の火旺山には野焼きを行う際に最も基本的な防火措置である防火線が適切に設置されていなかった。

 イベントを主催した昌寧郡は、山城の周囲2.7キロに幅30-50メートルの防火線を設置し、350人余りの安全要員を配置したと説明。郡は1995年から2006年の間に5回にわたりススキを焼くイベントを開いた際にも30-50メートルの防火線で問題はなかったと主張した。しかし、事故当時に現場にいた観光客らは「一部では防火線の幅が20メートルもなく、火の手を阻むのに役に立たなかった」と証言した。現場にいた男性(42)は「幅5-10メートル程度の防火線が設置されていたが、刈られた草が乾燥してそのまま防火線に残っており、火が瞬く間に草に燃え移って観客に迫った」と当時の様子を語った。

 気象条件を考慮せずにイベントを強行した点も問題視されている。当時火旺山一帯は降雨がなく乾燥していた。また、事故現場に最も近い昌寧郡大池面の無人気象観測設備(海抜24メートル)で当時風速4.5メートルを記録していた点からみて、海抜700メートル以上の火旺山ではさらに強い風が吹いていたとみられる。

 防災専門家らは「風が強く、風向も変わる山の頂上で夜に数万人を集めて火を扱うイベントを行うこと自体が非常に危険な行為だ」と指摘した。

 今回の火災による人的被害は、指紋や遺留品から身元が確認された死者4人と負傷者63人。死者のうち1人は安全要員として配置されていた昌寧郡庁の女性職員(37)が所持品から判明した。負傷者のうち6人は重体となっている。

一夜明けた慶尚南道昌寧郡の火災現場。真っ黒に焼けたススキが尊い人命まで奪った。右側に見えるペバウ(ヘビ岩)一帯でススキの野焼きを見ていた観客の被害が最も大きかった/写真=キム・ヨンウ記者

昌寧(慶尚南道)=姜仁範(カン・インボム)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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