親を失った学生を支援している「あしなが育英会」(東京都千代田区)は9日、奨学金を得ながら高校に通う奨学生の1割近くが、不況の影響で卒業後の進学を「断念した」とするアンケート結果を公表した。昨年9月と比べて「生活が苦しくなった」という回答も8割に上っており、育英会は「一人でも多く進学できるよう支援を」と呼びかけている。
昨年末から今年1月にかけ、高校1~2年生の奨学生の母親1878人を対象に調査、814人から回答を得た。子供の教育環境の変化を複数回答で尋ねた質問では、73人(9%)が「進学をあきらめた」と回答。昨年2月の同種調査と比べ2ポイント増加した。「進学への意気込みが減退した」も131人(16%)だった。
9月以降の生活の変化では「とても苦しくなった」「苦しくなった」「やや苦しくなった」の合計が639人(79%)に上った。母親の失業率は9%を超えており、昨秋以降、勤め先の倒産や解雇で失職した母親も36人いた。仕事がある場合でも、6割近くはパートやアルバイトなどの非正規社員だった。育英会への奨学金出願者は、08年は2808人と過去最高を更新。今回調査でも7割近くが「奨学金があるから学校に行かせてやれる」と答えた。【山本太一】
毎日新聞 2009年2月10日 東京朝刊