ニューアルバムからの新曲も多数披露! 梶浦由記ソロライブレポート
2008年12月27日、この年3回目となる梶浦由記のソロライブ『Yuki Kajiura LIVE Vol.#3』が開催された。年の瀬も迫り、寒さも厳しくなってきた中、会場の横浜BLITZは満員の観客の熱気で満ちていた。
開演時間が過ぎ、ステージ前に張られたスクリーンに美しい林が映し出され、歌姫たちのシルエットが浮かび上がる。新曲「fairytale」(映画『空の境界』 第6章「忘却録音」主題歌)のゆったりした歌声に耳を澄ませているのだろう、会場内のざわつきも一気に静まり返る。続いて披露されたのは「oblivious」(映画『空の境界』 第1章「俯瞰風景」主題歌)。スクリーンがパッと落とされ、歌姫たちの姿があらわになり、大きな拍手が沸きあがった。WAKANA、KEIKO、HIKARUの3人による簡単なMCを挟み、「君が光に変えていく」(映画『空の境界』 第2章「殺人考察」主題歌)と、立て続けに3曲を披露した。
続くMCで2009年春のアルバムリリース、アニメ『黒執事』の新EDテーマを担当することを発表すると、拍手や歓声でファンも喜びを表現していた。そして、その『黒執事』EDテーマ「Lacrimosa」をさっそく披露。3人の声のハーモニーに聞き惚れながら、オープニングアクトは終了。
小休止を挟んで、ライブ本編。バンドメンバー、梶浦由記、そしてKAORI、KEIKO、YURIKO KAIDA、WAKANAという4人の歌姫たちを拍手で迎え入れるとさっそくスタート。「the image theme of Xenosaga Ⅱ」「fiction」と続けて披露した。その後、発売されたばかりのライブDVD『Yuki Kajiura LIVE 2008.7.31』を振り返りつつ、さらに2月25日に発売されるFictionJunctionとしての1stアルバム『Everlasting Songs』から「here we stand in the morning dew」「dream scape」「銀の橋」と3曲続けて先取りで発表するなど、2008年最後のライブとあってサービス満点の展開。
「日本語の曲が3曲続くなんて梶浦由記ライブで初めて」と話して笑いを誘うと、アルバムの収録時間の限界と闘っていると、製作の裏話もポロリ。「収録時間が78分何秒とかだったら、勝ったんだなと。75分くらいだったら負けて1曲削ったんだなと思ってください」と、自らプレッシャーをかけていた。続いて、「梶浦曲は日本語の曲だけではないので」という前置きの後、英語詞の「key of the twilight」「in the land of twilight,under the moon」を続けて披露した。
ここで、毎回恒例となっている梶浦由記による歌姫紹介。前回はサメが好きという少し変わった趣味を公開されたWAKANAは、恐竜と東京タワーにも興味を持っているとのこと。YURIKO KAIDAは「マカロンの食べくらべ」にはまっているらしく、オススメの店を2軒ほど挙げていた。続くKEIKOはPASMOをよく失くしてしまうというおっちょこちょいな一面を暴露されていた。最後のKAORIは沖縄音楽とインド音楽をよく聴いているという勉強家な一面を見せていた。美しい歌声でハーモニーを奏でる4人の歌姫の個性に触れたところで、コンサートは中盤。「forest」「winter」「花守の丘」「宝石」と、寒い冬によく合うような落ち着いた曲が4曲続く。中でも「winter」は梶浦のピアノと歌姫はKAORIだけと、構成にも変化をつけて楽しませた。
そして、梶浦がバックバンドではなく「フロント・バンド」と呼ぶバンドメンバー紹介。マニュピレーター:大平佳男、ベース:高橋“Jr”知治、ドラム:佐藤強一、バイオリン:今野均、ギター:是永巧一の5人の、格好いい演奏とはギャップのある意外なプライベートなどを話していた。アルバム『Everlasting Songs』から是永巧一がリアレンジを担当したという「synchronicity」をKEIKOとKAORIが熱唱。続けてWAKANA、YURIKO KAIDAが登場して「salva nos」「目覚め」と、梶浦語で綴られた楽曲を交えながら終盤の盛り上がりを増していく。是永巧一のギターソロを挟んでの「zodiacal sign」では、4人の歌姫+梶浦由記の5人の熱唱。客席も梶浦語を歌って応え、ボルテージは最高潮に。最後に「open your heart」を歌い、鳴り止まない拍手の中を出演者がステージを退場。
しばらく後、アンコールに応えてバンドメンバーが登場。YURIKO KAIDA、KAORI、梶浦、そしてスペシャルゲストのYUUKAが登場。歌うはもちろんこの曲、「nowhere」。会場が一体となっての「ヤンマーニ」の合唱が横浜BLITZに鳴り響いた。続くMCで、2月25日にYUUKAがソロとしてシングル「オデッセイ」をリリースすることを発表。そして、アルバム『Everlasting Songs』でYUUKAがボーカルを担当しているという「記憶の森」をアルバム発売に先駆けて披露していた。
再び出演者が退場するも、嬉しいダブルアンコールが用意されていた。バンドメンバー、梶浦、そして歌姫4人が登場し、まずは「ユメノツバサ」。客席からもコーラスの「ラララ」という歌声が聴こえる一体感に包まれた。そして、改めてのメンバー紹介ではYUUKAが再登場。全員が揃ったところで、最後に「聖夜」を披露。5人の歌姫による贅沢な歌声でライブを締めくくった。
本編も盛りだくさんだった今回のライブだが、さまざまな告知もファンを驚かせていた。kalafinaのアルバム発売、FictionJunctionのアルバム発売、YUUKAソロシングル発売に加えて、遂に梶浦由記ファンクラブの結成と、2008年以上に大きな展開がありそうだ。これまで主にコンポーザーとして名を馳せてきた梶浦由記の2009年に、要注目だ。
<セットリスト>
オープニングアクト(Kalafina)
01. fairytale
02. oblivious
03. 君が光に変えて行く
04. Lacrimosa
01. the image theme of Xenosaga Ⅱ
02. Fiction
03. here we stand in the morning dew
04. dream scape
05. 銀の橋
06. key of the twilight
07. in the land of twilight, under the moon
08. forest
09. winter
10. 花守の丘
11. 宝石
12. synchronicity
13. salva nos
14. 目覚め
15. zodiacal sign
16. open your heart
アンコール1
17. nowhere
18. 記憶の森
アンコール2
19. ユメノツバサ
20. 聖夜
梶浦由記公式サイト:
http://www.fictionjunction.com/
梶浦由記公式サイト(フライングドッグ):
http://www.jvcmusic.co.jp/kajiura/