生活保護の老齢・母子加算廃止取り消しを府内の男女4人が求めている生存権訴訟で、原告の本人尋問が9日、京都地裁(瀧華聡之裁判長)であった。地裁がいったん尋問申請を却下、原告側の抗議で実施に転じたもので、松島松太郎さん(83)=山科区=は「老齢加算廃止後、趣味の旅行の回数を減らし、食費も削った。ただ食べて寝るだけの生活では人格を認めていない」と窮状を訴えた。
松島さんは、これまで週1、2回スーパーで購入していた480円の刺し身を購入できなくなり、果物も100円のバナナしか買わなくなった加算廃止後の厳しい生活実態を吐露。友人に旅行に誘われても断っているといい、「惨めな気持ちになる」と述べた。
高校生の長男と二人暮らしで母子加算を受給していた辰井絹恵さん(45)=同=は「冷蔵庫に何もないのに(おなかをすかせた)息子は何度も開けては見て、すごく情けなく悲しくなる。ぼろぼろのズボンや靴で、散髪も年に数回しか行けない。友人にも引け目を感じているはず」と話した。【熊谷豪】
毎日新聞 2009年2月10日 地方版