北海道新聞　道新スポーツ　Hokkaido Shimbun Press

　１８６センチの長身ながら５０メートル５秒７のスピードを誇る快速アタッカー。グアム合宿では「みんな一瞬の動き出しが速い」と戸惑いながら、先輩たちに必死で食らいついている。

　沖縄大、そして沖縄県西原市から初のＪリーガー。出身の小中高校に横断幕が張りだされるほど、故郷の期待は大きい。

　だが、本当は高校卒業を機にサッカーはやめるつもりだった。高校時代は全く無名の存在。「同じ高校に僕よりうまい選手がいたし、Ｊリーガーになるなんて考えもしなかった」という。福岡の専門学校に進学する予定だったが、沖縄大が奨学金付きで勧誘してくれたので、サッカーを続けることになった。

　沖縄大では近くにグラウンドがないため、普段の練習は体育館だった。「ワイドに展開する練習ができず困った」。だが、その分、「恵まれた環境の他大学には負けたくない」という反骨心が芽生える。長身とスピードがサッカー関係者の目に留まりはじめ、２００６年にはユニバーシアード日本代表候補に選ばれるまで急成長。昨年の天皇杯沖縄県予選準決勝ではＪＦＬのＦＣ琉球から４得点し、格上チームからの勝利の立役者となった。

　２２日には、沖縄で札幌とＦＣ東京のプレシーズンマッチが行われる。「地元なのでメンバーに絶対入りたい。そして開幕スタメンが目標」。まずは故郷への凱旋（がいせん）を目指し、グアムで汗を流す。

＜略歴＞
　うえはら・しんや　１８６センチ、７２キロ。沖縄県西原市出身。西原中、西原高から沖縄大に進学。２００５、０７年に九州大学リーグ２部で得点王に。ＦＷ登録だが、俊足を生かしサイドハーフもこなす。