障害者の解雇が3カ月で倍増するなど雇用情勢が急速に悪化しているため、厚生労働省の渡辺孝男副大臣は10日、日本経団連に障害者の雇用を確保するとともに、福祉施設などへの発注量を維持するよう申し入れた。
申入書では「障害者の解雇者数が増加傾向にあるなど、今後厳しい状況になることが懸念される」として、雇用の維持や新たな雇い入れの促進、障害者を雇用する事業者や福祉施設での仕事の確保などを求めた。
厚労省の調査では、昨年10月に勤務先から解雇された障害者は125人だったが、11月は234人に増え、12月も265人で高止まりしていた。年度ごとのデータを比べても、08年度は12月までの計で1411人となり、07年度の1523人に迫っている。
一方、全国社会就労センター協議会が1月末〜2月上旬にかけ、加盟する1500の授産施設に景気後退に伴う受注減などの影響を聞いたところ、「影響が出ている」との回答が約400件あった。業種別では、自動車部品の製造や電機メーカーの下請けなどが目立つという。
1900の障害者作業所などが加わる「きょうされん」の藤井克徳常務理事は「年明け以降、受注減や単価の切り下げ、企業での解雇などが増えてきた。企業の努力だけではなく、国や自治体の支援も求めたい」と話している。