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特集ワイド:片付けられない人たち 何を捨てますか!?(2/3ページ)

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 そもそも、片付けは人間だけが行う行動なのだろうか。動物学者の小原秀雄・女子栄養大名誉教授に聞くと、「自分の体と周囲の最低限の衛生を保つ習性は、どの動物にも共通して備わっている」という。たとえばサルの毛繕いやゾウの水浴びで、人間の入浴も同じ意味を持つ。それ以上の片付けはどうだろう。

 小原名誉教授がきれい好きな動物の代表例に挙げるのはアナグマ。日本にも生息するイタチ科の動物で、地面に巣穴を掘って暮らし居間や寝床の他にトイレなど多数の小部屋を持つ。穴の中は清潔で、寝床に敷いてある干し草を穴の外に出して日に当てたり、死んだ仲間の死骸(しがい)を穴から引っ張り出し外に穴を掘って埋めたという事例も報告されているという。何世代かの家族が同居することもあり、小原さんは、そのきれい好きは「本能的な面もあるが、親から子へ受け継がれている面もある」と指摘する。

 人間と少し似ている気もしなくもないが……。

 「動物と人間の決定的な違いは、人間が『たくさんの物』を保管している点」であり、片付けは人間だけに課された難しい課題のようだ。哺乳(ほにゅう)類の中でも人間に最も近いサルでさえ、「樹上で生活し定まったすみかを持ちません。排せつも木の上から垂れ流しで、物を保管したりすみかをきれいに保つ必要がなかった」というのだ。つまり人類は「所有欲」に目覚めた瞬間、「片付け」「整理」という厄介な問題に直面したようだ。

毎日新聞 2009年2月10日 東京夕刊

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