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2009年2月10日

 大相撲が一番面白いのは、強烈な大関が登場して来る時である。名横綱が君臨する安定期以上の迫力がある。今の角界は、その実力大関が不在で、もの足りない

政界も角界に似ている。安定した首相が長期政権を保っていても、次を狙う強力な大関がいると活力が生まれる。「三角大福」といわれた大関が控えていた佐藤政権がその一例だろう

当時と今を比較してもむなしいが、最近の自民党は、名横綱がいないうえに実力大関の不在が重なっている。加えて今回の郵政民営化に関する首相の迷走発言である。もはや麻生さんの「独り相撲」だ。独りで墓穴を掘っている姿が支持率低下に如実だ

なぜか今ごろ、三角大福時代を描いた「大平正芳戦後保守とは何か」(中公新書)との本が売れている。鈍牛宰相のアーウー演説もアーウーを外すと筋が通る立派な中身だったという。要は学識と信念だと、あえて言う著者の声が聞こえてくる

総選挙は「予算成立後」の表現が目立ってきた。政界の「新番付」は大幅な入れ替えもあろうが、厳しいファンの目が強い大関を育てた時代の眼力を取り戻したい。


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