男子ゴルフの石川遼(17)=パナソニック=が8日、栃木県日光市のきぬがわ高原CCでマスターズ(4月9日開幕、オーガスタGC)へ向け、クロスカントリースキーなどで筋力強化に着手した。昨年のクラシカル走法から大腿内転筋強化を目的としたスケーティング走法に変え、約1時間半、下半身強化に努めた。合宿は11日まで予定しており、短期集中でマスターズ仕様の下半身を作り上げる。
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赤いジャンパーに緑色のスキーパンツ姿の石川が、吹雪にさらされたコースに勢いよく飛び出した。時折、強風が吹き荒れる悪天候の中、全長7キロのコースを約1時間半かけて滑り抜いた。約1年ぶりのスキートレに「今日はいろいろと良かったです」と満足げにうなずいた。
昨年1月に長野県白馬で行ったスキー合宿では、前方だけに滑るようにしたスキー板を使用し、左右のスキー板を平行に前後させるクラシカル走法を行った。マスターズの舞台、オーガスタには“アーメン・コーナー”など超難関コースがあり、精密なショットが要求され、完ぺきなフォームで打ち続けなければならない。今回は間近に迫ってきた米ツアー対策のため、大腿内転筋の強化を目的に、スケーティング走法を取り入れた。
スケーティング走法は、前後に滑るスキー板を、スケートのように「逆ハの字」形に足を踏み出し前進する。大腿内転筋を強化するにはより効果的で、スキー指導をした栗城和宏氏(46)は「蹴る力を付けたいと言われたのでフリー(スケーティング)にしました」と説明した。
スキートレでは、脚力強化だけでなく、体重移動を中心としたバランス感覚も養う。「左右に差があると故障する。背筋でも腹筋でも弱い方をやってます」と、効果を実感した様子。
石川にとって、スキートレへの期待は大きい。「去年やって、その後のシーズンの体の状態が良かった。後半戦もバテなかったのは少し関係していると思う。ゲン担ぎじゃないけど、効果を信じたい。(この練習で)今年がまたスタートする感じがする」と“土台作り”への気持ちを新たにした。
そのせいか、トレーニングとはいえ楽しみなようで「(クロスカントリースキーは)毎年続けて初めて効果が出るもの。うまくなったら将来、大会に出られるかも」と、将来的にはクロスカントリーの大会出場にも意欲を燃やすほどだ。
11日までスキー合宿を行い、14日には渡米する予定。厳しい冬山での成果を、マスターズの晴れ舞台で披露する。